チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

スイス・アーミー・マン

ダニエル・シェイナート, ダニエル・クワン監督作「スイス・アーミー・マン」("Swiss Army Man" : 2016)[BD]

遭難して無人島に漂着した冴えない男が、色んな能力を併せ持って喋る事のできる男の死体と遭遇し、故郷へ帰るべく奮闘する内に、互いに心を通わせていく様を描くアドベンチャー・コメディ・ドラマ作品。

 

7月、ハンクはカリフォルニアから船で海に出るも嵐に遭い、太平洋に浮かぶ無人島に漂着する。ハンクは助けを呼ぼうと手を尽くすが、いずれも奏功せず、絶望して浜辺の傍で首吊り自殺を図ろうとする。その時、ハンクは波打ち際に倒れている男に気付く。危うい所で縄が切れた事で助かったハンクは、男に駆け寄るが、既に死んでいる事を確認する。間もなく、男の尻から腐敗ガスが出始める。ハンクは気を取り直して、男のベルトを使って首吊りをやり直そうとする。男が発するガスは次第に勢いを増し、やがて男の体は海を自走し始める。ハンクは一計を案じ、男の体に縄を括り付けて跨る事で、ガスを推力にしたジェットスキーの要領で島からの離脱を試みる。しかし、間もなくハンクは操縦を操り、海に転落する。

ハンクは溺れた末に男と共に別の浜辺に漂着する。ハンクは傍で袋入のスナック菓子を見つけ、故郷の近くに戻ってきたと確信すると、ビニールに仕舞っていた携帯の電波を探すが、そこが圏外だと知る。ハンクは恩人たる男を置き去りにするのが忍びなく、担いで海岸沿いの山を登る。ハンクは助けを求めて森を彷徨い歩く内に、散乱するゴミの中からコルクを見つけ、男の肛門に差してガスを止める。夜、ハンクは洞窟で雨宿りする。ハンクは孤独を紛らすべく、亡き母が歌っていた唄を男に聞かせる。

翌朝、ハンクは空腹と渇きに耐えかね、男を置いて出ていこうとする。その矢先に、ハンクは男が口から真水を吐き出せる事に気付き、それで渇きを癒やす。更に男は徐ろに言葉を発し始め、自らの名をメニーと称する。ハンクは自己紹介すると、メニーにもっと喋るよう促すが、緩慢なメニーに苛立つ余り、父の口癖の様に低能とメニーを罵る。メニーは突然オウム返しする様に喋り始め、それに驚いたハンクは思わずメニーを殴ってしまう。メニーはハンクが歌った唄を気に入り、同じ様に歌い始める。ハンクは故郷について何か思い出せないか尋ねるが、メニーが故郷を理解できないと知ると、そこら中に放棄されているゴミを掻き集め、それを元に記憶を呼び覚まそうと躍起になる。

その最中、メニーはハンクが途中で拾ってきたポルノ雑誌の水着の女に興味を示す。ハンクは女との恋物語について想像を膨らませる様に語る。その内にメニーの心臓が高鳴り、起立したペニスが暴れ始める。ハンクは気味悪がるが、それがコンパスの様に特定の方角を指し示している事に気付く。ハンクは故郷の方角を示しているのだと悟り、雑誌を見せながらメニーを運んでいく。やがて雑誌の効果は薄れると、ハンクはメニーと他愛も無い話を続けながら、生い茂る森を彷徨い歩く。間もなく、二人はクマと遭遇し、驚いた弾みで沢に転落する。メニーはその際に落ちたハンクの携帯が自分の物だと誤解し、待受画面に表示された女に好感を持って会う事を希望する。

ハンクは元の場所に戻れずに途方に暮れる。メニーはその女が自分の友人、恋人、妻のいずれかであり、愛が自分を生き返らせてくれるかも知れないと説き、女を思い出す為にハンクに女装するよう促す。ハンクは周辺に放棄されているゴミの数々を使って女装する。メニーはハンクを見て感嘆すると、記憶が戻ればハンクを救ってやれそうだと説く。ハンクはかつてバスで撮ったその待受写真の構図を再現すべく、メニーをマルチツールとして活用する事で、ゴミと草木を使ってバスのセットを作り上げる。ハンクはメニーを乗客になりきらせ、自らが女を演じる事で、女との再会を願うメニーの記憶に働きかける。ハンクは女に隣に座りたいと話しかけるようメニーに促すが、メニーは美しさに尻込みし、ハンクにそれができるのか尋ねる。ハンクは自らも座ったまま降りるのを見届けるだけであり、女と付き合うのが苦手だと告白する。ハンクは女を演じてメニーに話しかけるよう促し、一緒にイヤホンで音楽を聞き、手を重ねて見つめ合って自己紹介する。メニーは女の名がサラだと思い出す。ハンクは力んだメニーの手を振り解く際に、火花を起こせる事に気付くと、早速それを利用して火を焚き、更に映画館のセットを作ってデートを演じる。

ハンクはメニーが口に詰めた物を発砲できる事に気付き、それを利用して縄を崖の上に渡す事で沢から脱出する。ハンクは更に散弾銃の要領でメニーを利用し、動物を狩って食糧とする。二人はレストラン、車、シャワーを作ってデート気分を味わうと、更にたくさんの人形を作り、ゴミの中から見つけた酒を飲んでパーティに興じる。メニーはサラが彼女なら最高に幸せだと喜ぶ。メニーはハンクが母の死をトラウマに感じてオナニーできないでいると指摘すると、オナニーの感覚を妄想する。メニーは幸せを願うならオナニーを拒絶すべきでは無いと説き、ハンクにどんな事で幸せを感じるのか尋ねる。ハンクは酔った勢いでメニーに口づけしようとして翻意する。

翌朝、二人は気を取り直して出発する。二人は細長い鋼管の架かった川に出る。メニーのペニスが川の向こうを指すと、ハンクはメニーを担いで鋼管を渡り始めるが、その矢先に鋼管が途中で外れ、二人は川に転落する。ハンクは沈みゆくメニーを掴まえて口づけすると、メニーが酸素ボンベになる事に気付く。ハンクはメニーの肛門のコルクを抜き、ガスの噴射で川から脱出すると、鋼管に戻って対岸へと渡る。

夜になり、二人は火を炊いて休む。ハンクは父とは疎遠になっており、互いに口下手である為に感情を言葉で表現できず、誕生日に電子グリーティングカードを自動的にやり取りしているくらいだと明かす。メニーは父がハンクの事を思っているはずだと説く。メニーはハンクが人のいない場所でおならをする事に疑義を呈す。ハンクはそれが常識だと応えるが、メニーは自由を奪われる故郷になぜ戻るのかと尋ねる。ハンクは何でも好きな事ができるこの森こそが故郷であり、二人で家でも立てようかと想像を膨らませる。ハンクは小便に離れた際に、直ぐ側に車道がある事に気付くと、携帯で電波をキャッチし、父から届いた電波グリーティングカードを受信する。更にハンクはネットでサラのSNSを見つけ、夫と幼い娘がいる事を知る。ハンクはメニーの元に戻ると、サラがバスで毎日見かけた女であり、相手にされないと思って話しかけられなかった事を打ち明ける。そこに餌を求めてやってきたクマが現れる。ハンクは咄嗟にメニーを散弾銃にしようとするが、メニーはハンクの携帯に表示されたサラと夫が並んでいる写真を見て、意欲を失う。ハンクはクマに抵抗して、逆に脚を引き裂かれる。ハンクはサラがメニーとは無縁の女だと言い出せなかった事を弁解する。メニーはそんな女との恋愛をでっち上げたハンクを惨めな負け犬だと罵る。ハンクはメニーのガス噴射を焚き火と組み合わせて飛翔し、樹上へと逃げる。メニーは悲しみの余り、涙を流し始めると同時に思考が止められず、新たな力でハンクにこれまで一緒に過ごしてきた様子を幻覚で見せる。メニーは隠し事をするハンクに孤独を吐露し、死にたいと訴える。ハンクは幻覚の衝撃でクマの前に転落する。クマはハンクを捕まえて引きずっていく。メニーは樹上から、自分のせいでハンクが殺されると説く。ハンクは自分で招いた結果だと応える。メニーは死にゆく恐怖を描写すると、体を痙攣させて転落し、焚き火の燃えカスで自らの体を燃やしてクマを追い払う。

自立できる様になったメニーは、意識を失ったハンクを引きずって運んでいく。翌朝、メニーはサラの家に辿り着き、庭に侵入する。目を覚ましたハンクはサラに見つかって騒ぎになる事を恐れ、メニーと争い合う。ハンクは自分が女に気弱なのは怖かったからであり、醜く役立たずだからだと訴える。メニーは人は皆醜いものかも知れず、一人がそれでも平気だと言えば、寂しくなくなるかも知れないと応える。その時、二人に気付いたサラの娘クリシーが家の中から出てくる。メニーは森を彷徨い、特別な力で生還した事を伝えると、水を吐き出し、ガスを放り出してみせる。クリシーは気味悪がって泣き出す。それを聞きつけて出てきたサラは二人を不審者扱いするが、クリシーから二人が森で迷った事を聞き、助けを呼びに行く。メニーはサラの自分を見る目つきに失望すると、自分がサラを愛していたと言わぬようハンクに命じ、物言わぬ死体に戻る。

間もなく、警察と救急車が駆けつける。手当を受けたハンクは、メニーが死体置き場へ搬送された後、郡によって埋葬される運びとなる事を知る。間もなく駆けつけたハンクの父親は、ハンクが死んだと誤解し、死体の確認をせずに泣き始める。サラは警察からハンクの携帯に自分の写真が入っている事を聞くと、ハンクに理由を問い質す。ハンクは孤独な自分に反してサラが楽しそうだったからと答えると、死体袋に収まったままのメニーを持ち出そうとする。父はそれに気付いて止めに入り、ハンクを低能と罵る。ハンクは意に介さず、メニーを引きずって森へ逃げ込む。警察、ハンクの父、サラと夫、クリシーらはその後を追う。その過程で一同は、ハンクとメニーが作ってきたバスやレストランなどのセットの数々を目の当たりにする。ハンクは最初の浜辺に戻ってくると、メニーに迷惑をかけた事を詫び、この世の楽しさを教え、自分が苦手な恋愛を経験させたかったのだと弁解し、死なないでと呼びかける。そこへサラ達が集まってくる。ハンクはバスなどを二人で作り、そこで歌い踊ったと説く。一同はハンクの正気を疑い、ハンクはその場で逮捕される。ハンクはメニーに証明しようと呼びかけておならをし、一同を呆れさせる。その直後、メニーは呼応する様に再びガスを放り出し始める。ハンクはメニーの傍へ歩み寄る。メニーは笑顔を浮かべ、ガスの推力で海へ旅立っていく。ハンクはそれを笑顔で見守る。

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