チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

生き別れる、手袋と。

全国的に冷え込みが強まっているそうで、「トンキン寒いですね、13℃しかありません」とか、コートを着た気象予報士がいかにも寒そうな身振り素振りを交えて伝えている。こちらに来てから、二桁気温はまだ温かい方だという感覚が身についたものだから、その手の寒さアピールには「大袈裟だなぁ」とついツッコミを入れてしまう。元々、僕もそっち側にいたというのに。

ときに、昨日はズボンのモヤモヤについて考えたのだが、書き終わった直後に、じゃあトップスはどうなんだ?アウターは?ブルゾンは?って感じで、内容をちょい足ししてみたい欲求に駆られたが、日記という趣旨から外れるし、くだらなさMAXの反復作業になりそうだし、止めておいた。しかし、子供がいたりすると、日常的にボトムスだのパンツ↑だのと言っている親御さんらも、子供に対してだけは例えば「ズボン履きなさい」とか、そんな風に使い分けていそうな光景が目に浮かぶのだが、リアルでパパ・ママ世代と交流する事もないだろうし、仮にあってもそんなくだらない事は聞けないと思うから、このモヤモヤが解消される可能性は薄いだろう。

まぁ、それはどうでも良いとして。一昨日、古着屋に衣類を売りに行った際に、少し寒かったので愛用している指ぬき手袋を着けていったのだが、片道2キロ以上歩くとさすがに汗ばんできて、途中で外してバッグに投げ込んでおいた。古着屋を出た後も手袋を着けることなく、そのままスーパーをハシゴし、帰路に就いたワケだが、自室に戻ってバッグの中を見ると、手袋の片方が無くなっていた。バッグは上開き型のトートで、これに買い物袋2つと、更に傘を持っていたこともあり、両手が塞がった状態で、横着にバッグの中身を出し入れしたために、弾みでどこかに落としてしまったのだろう。

件の指ぬき手袋は、これくらいの時期に使い勝手の良いヘビロテアイテムで、ネカフェを転々としていた頃から、もう5~6年は使用してきた、いわば戦友の様な存在だった。その割には最近少しぞんざいに扱ってしまいがちだったから、それが災いしたのだとしても、傷みや汚れで使えなくなったのならともかく、こんなカタチでサヨナラするとは思ってもみなかった。もう5~6年は使えただろうに、口惜しや。片方だけでも使おうかしら。

 

映画鑑賞記

マーク・ロマネク監督作「わたしを離さないで」("Never Let Me Go" : 2010)

臓器提供者として生まれ育った、3人の若い男女の姿を描くSF恋愛作品。

1952年、医療技術の進展により、人類の平均寿命は100歳を超えた。1978年、寄宿制学校の「ヘールシャム」では、子供たちが社会と隔絶された環境で独自の教育を施されていた。その子供たちは「ドナー」として生まれ育った存在で、「オリジナル」に自らの臓器を提供する事を宿命づけられており、年次に応じてヘールシャムから「コテージ」に移った後、適齢が来ると自動的に提供が開始され、数回の提供で死に行く事が決まっているのだった。しかしヘールシャムの子供たちは、その様な過酷な境遇について知らされておらず、教師の指導の元。厳格な規律に従い、心身を健やかに保ちながら成長する事のみが是とされた。そんな子供たちの中に、キャシー(キャリー・マリガン)、トミー(アンドリュー・ガーフィールド)、ルース(キーラ・ナイトレイ)という仲の良い3人がいた。トミーは癇癪持ちの変わり者で、孤立しがちな男の子だったが、キャシーはそんな彼に好意を抱き、2人は心を通わせる様になる。ところがルースは、嫉妬心が昂じて、キャシーを差し置いて、トミーとより親密な関係を築く。その後、成長した3人はコテージに移ったが、トミーとルースの仲は肉体関係を伴うものとなっていた。ドナーには「介護人」という、主に提供開始後のドナーの身の回りの世話をする仕事に就く事で、一定期間、提供を猶予される制度があった。ルースと険悪な雰囲気となったキャシーは、介護人となる事でコテージを出て、トミー、ルースの元から去る決意をするのだが・・・

普通に男女の三角関係を描いた恋物語だと思っていたら、出だしから人類の寿命が100歳を超えた社会という説明がなされ、本作がSFど真ん中な作品である事をそこで初めて知った。劇中で明示的ではないものの、この社会ではオリジナルに対するクローンを作っておき、病気やケガをした際に、部品を取り替える様に臓器移植される事が一般的なのだろう。ヘールシャムとは、そんなスペア専用ドナーの育成機関といったところか。そんな事とは露知らず、子供たちは無邪気に成長していくのだけど、当然、いつしか自らの抗えぬ宿命を知ることになる。ドナーは早ければ1回、多くてせいぜい3回程度の提供でカラダが持たなくなるから、大抵は若くしてこの世を去る。オリジナルに関する情報は一切知らされることなく、提供して死ぬだけの宿命を帯びた若者達。淡々と進行する恋愛劇が実に頽廃的で、切ないのう。

f:id:horohhoo:20141015213924j:plain

f:id:horohhoo:20141015214000j:plain

f:id:horohhoo:20141015213931j:plain

f:id:horohhoo:20141015214013j:plain

f:id:horohhoo:20141015214015j:plain