チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ピケティを読みたい。

何一つ進展の無いまま、あっという間に1月が終わった。大体この辺りまで来ると冬の折り返しだが、今年は例年より寒暖差が激しいせいで、何かと煩わしい事が多い。来週から各地で恒例の雪まつりが始まるのだが、こんな妙な天候続きで雪像や氷像の製作は捗っているのだろうか。雪まつりというのは、地元民は関心が薄いらしく、観に行かない人も多いと聞いているが、移住組の僕にとってはまだまだ物珍しいイベントだから、今年の雪まつりも楽しみにしている。

一ヶ月経つのに、今年はまだ2冊しか読了していない。読みたい本はそれなりにあるものの、無気力ぶりが災いしてなかなか時間が割けないし、集中力が持続しない。図書館では旬で面白そうな新刊は予約が殺到していて、待っていたら数年は掛かりそうだから、いっそのこと購入した方が捗るのだが、如何せんお金がない。僕も話題のピケティ「21世紀の資本」が読みたいのに、翻訳版は6千円もするからおいそれと手が出せない。r>gを知りたい。

ときに、最近は幅広い年代層で読書離れが進んでいると聞いた。読書をすれば、すなわち知能が向上するワケでも、良識ある人間に育つワケでも無いと思うが、たまに電車に乗って、老いも若きもスマホに喰らいついているのを見るとゲンナリする。やはり本を読まないと何か大事なモノを失っていく気がする。あれも一種のスマホゾンビだと思う。

 

読了記

ハウスワイフ2.0

ハウスワイフ2.0

 

米国では中所得層以上の女性に、専業主婦回帰が進んでいるらしい。それはフェミニズムの新しいカタチとして顕在化してきている様だ。昔に比べれば社会における男女の格差が解消され、幾分平等になってきたとはいえ、未だ根強く男女差別が残り、女性が不遇を強いられる局面は多い。女性はとりわけ出産を機に、会社を一旦離れざるを得ないから、自分の意思とは無関係にキャリアから外れてしまう。フェミニズム運動が一定の功績を上げ、女性の社会進出が実現したものの、まだまだ男性優位は揺るがないというワケだ。

そこで女性達は、積極的に会社組織に背を向ける様になった。専業主婦こそ、逆に女性の本来あるべき姿だと考えられる様になり、ブームの様相を呈しているというのだ。彼女達は家庭に自家菜園を作り、そこで家族が食べる分の野菜を育てる。また豚や鶏などの家畜を飼い、自ら捌いて調理する強者までいる。お婆ちゃん世代を彷彿とさせる様な裁縫や編み物が憬れとされ、空き時間にはみな挙って励んでいる。そうやって贅沢を拒み、徹底して無駄を排除する事で、循環型で再生可能な、環境に配慮した社会を志向する。そして、その様な取り組みをSNSやブログで公開することで、カリスマ専業主婦と崇められるのがステータス化しているのだそうだ。どれだけ裾野が拡がっているのか知る由もないが、女性のみならず、男性にも会社離れが始まっているらしい。

著者はハーバード大卒の才女で、新進気鋭のジャーナリスト。全てをDIYで賄おうとする新しい専業主婦を、「ハウスワイフ2.0」と称し、これらはあくまでフェミニズムの新しいカタチなのだという。著者自身、この専業主婦の在り方に魅せられながらも、礼賛はしていない。積極的に専業主婦を志向したと言っても、男性優位の社会に拒絶された現実逃避だという一面もあり、この様なブームが持続するか疑義を呈している。そもそも、こういう生き方は、ある程度の資力がモノを言うから、中所得層以上に流行るのであって、低所得世帯では差別の有無を問わず、相変わらず会社に属して働かなければならない。日本はまるで事情が違うから、同じ現象は起こらないだろうが、彼我の差はなかなか興味深い。

総理メシ 政治が動くとき、リーダーは何を食べてきたか

総理メシ 政治が動くとき、リーダーは何を食べてきたか

 

本書では歴代首相の一般に余り知られていないであろうエピソードが、その愛した料理を元に描かれている。以下に各首相のお気に入りの店(料理)をメモ。

安倍晋三 すきやばし次郎本店、楽亭の天ぷら

小泉純一郎 壇太の餃子

中曽根康弘 日の出山荘

小渕恵三 スタミナ苑

田中角栄 銀座木村屋 ベーカリーのあんぱん

細川護煕 黒森庵のそば

大平正芳 大平家のすき焼き 料亭栄家

竹下登 日本橋皆美のあご野焼

森喜朗 山の茶屋の鰻の蒲焼き

福田康夫 三平のそば

村山富市 花邨

橋本龍太郎 はち巻岡田

海部俊樹 中国飯店 市ヶ谷店 酢豚

宮沢喜一 赤坂飯店

これだけ見ても、なんとなく人柄が伝わってくる様な気がしないでもない。食事を通して、歴代首相の裏の顔を垣間見る事で、親近感を抱く構成になっているのが良い。元が朝日新聞の連載だけあって、やや安倍に否定的であるが、そこはまぁご愛嬌。呑気に高級天ぷらを頬張っていたのがいけない。

 

 

映画鑑賞記

片山修監督作「岳 -ガク-」(2011)

山岳遭難救助隊に配属された若い新人隊員の女が、雪山での過酷な救助を経験する事で成長していく様を描く人間ドラマ作品。

幼い頃、父親を雪山で失った警察官の椎名久美(長澤まさみ)は、自ら遭難救助を志願し、長野県警の山岳遭難救助隊へ配属される。久美が挨拶がてら本部に訪れるや否や、救助隊への出動要請が出され、久美はその足で、隊長の野田(佐々木蔵之介)達と共に救助の現場に同行する。現場近くには山岳遭難救助ボランティアの島崎三歩(小栗旬)がおり、彼の的確で迅速な救助活動により、遭難者は一命を取り留める。三歩は世界の名峰の数々を登頂制覇してきた、山のプロフェッショナルとして、救助隊の絶大な信頼を得ている男だった。久美は三歩との出会いを経て、山岳救助の指南を受けつつ、訓練と実務に臨んでいく。ある日、休暇中に一人で訓練に励んでいた久美は、登山者の事故現場に遭遇する。本部の野田は新人で休暇中の久美に、隊員が到着するまで待機する様に命ずるが、居ても立っても居られない久美はそれを無視し、負傷者の救助に向かう。しかし、久美はそこで初めて人の死に直面し、虚しさの余り、打ちひしがれてしまう。

山岳遭難救助の現場を、主に新人隊員の目線で描いたドラマ作品。主人公は三歩という、ボランティアの青年なのだけど、彼が本職の隊員以上にプロフェッショナルな男で、隊長の野田から全幅の信頼を寄せられている。その割には飄々とした掴みどころが無い風体で、なんだかフワフワとしているから、逆に没個性的に感じてしまう。原作からしてこんな人間像なのかも知れないけど、小栗旬は今ひとつハマりきれていない様に思う。一方、新人で志願入隊してくる久美は、勝ち気で責任感が強い女子。物語的には久美の方が主役で、彼女が挫折を経て成長していく様子を軸に描かれている。久美は長澤まさみのイメージと重なるから、こちらは違和感が無いかな。「突き進むより、撤退する勇気」というのが人命救助の鉄則らしく、本作では山頂付近が荒天に見舞われる度に、救助の可否の選択を迫られる。救助隊は天候が回復するまで待機を厳命されるのに、ボランティアの三歩が救助に行くのを止めないってのは、なんだかなぁと。そもそもこの救助隊、三歩がいてナンボのポンコツみたいに描かれ方しているし。それ以前に、あれだけのノウハウとスキルを持ち合わせた男がボランティアで、果たして何を生業にしているのか気になる。野田が三歩を評して「あいつは山そのものだ」という台詞があって、まぁ凄いヤツってのは分かるんだけどさ。猛吹雪はVFXで処理している様だけど、あれだけ暴風が吹き荒れてるのに、三歩の髪やウェアが微動だにしないのはモヤモヤする。あと、渡部篤郎が脇役過ぎて泣ける(笑)

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