チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ヒプノティスト -催眠-

ラッセ・ハルストレム監督作「ヒプノティスト -催眠-」("Hypnotisören" : 2012)[DVD]

ある惨殺事件を巡り、医師による催眠でもたらされた証言を手掛かりに、刑事が事件解決に奔走する様を描くクライム・サスペンス作品。

クリスマスムード漂うストックホルム。高校の体育館で体育教師アンデシュの遺体が発見される。遺体には刃物による無数の刺し傷が残っていた。国家警察の刑事ヨーナは現場に駆けつけ、その足でアンデシュの自宅に向かうと、妻と娘が同じ手口で惨殺されており、重傷を負った息子ヨセフが病院に搬送され、一命を取り留める。同一犯による犯行だと睨んだヨーナは、一刻も早くヨセフから事情を聴きたかったが、ヨセフの意識は戻っておらず、医師ダニエラに制止される。業を煮やすヨーナにダニエラは催眠を専門に扱う医師エリックを紹介する。

エリックは過去のある一件が原因で、催眠に消極的だったが、ヨーナの熱意に負け、ヨセフに催眠をかける。催眠状態のヨセフは、犯行に遭った時の状況を語り始める。彼は妹の隣で手紙を読んでいた時に、ノックする音が聞こえたと証言する。その後、ヨセフの姉エヴェリンが消息を絶っている事が判明する。ヨーナは手掛かりを探るべく、再びアンデシュ宅を訪れ、ヨセフが証言した手紙を発見する。そこには「お前は私の血族だ。一家を殺せ。正しき姿を取り戻すのだ。」という記述があった。

一方その頃、エリックは画家の妻シモーヌとの関係が悪化していた。エリックの2年前の浮気が原因で、事件に呼び出されたエリックを、シモーヌは不審に感じていた。エリックは過去の蟠りから不眠症に陥り、睡眠薬を手放せなくなった。そんなエリックを見るに忍びなく、シモーネはエリックに距離を置きたいと告げる。その夜、エリック宅に何者かが侵入し、息子のベンヤミンが誘拐される。ベンヤミン血友病で、定期的に注射を打たなければならず、危険だった。更にシモーヌのアトリエには、エリックに対し催眠を止める様に脅迫するメッセージが残されていた。

ヨーナはエヴェリンを発見し、証言を求めるが、彼女は何かに怯えて口を噤む。ベンヤミンが発見されない事に、シモーヌは苛立ちを募らせていく。エリックは手掛かりを得るために、再度、ヨセフに催眠を試みる。そして、父、母、妹を殺害した実行犯がヨセフ本人だった事が判明する。彼は手紙の指示を忠実に実行したのだった。その頃、ヨーナはヨセフの足に付いた汚れを不審に思い、病院に急行する。ヨセフは看護師を刺し、脱走した直後だった。ヨーナは再度エヴェリンに会い、彼女がヨセフの暴力衝動に怯えてきた事を知る。ヨセフは「本当の親に自分を返せ」と口にしたという。

ヨーナはヨセフがアンデシュの養子である事実を突き止め、実の母親リディアについて捜査を始める。リディアは10年前に精神病院に入院し、半年前に退院したばかりで、ヨセフはリディアの入院前にアンデシュの養子になっていたのだった。脱走したヨセフは、エリックの自宅に忍び込み、襲撃を試みるが、そこにはシモーヌと画廊の友人がいただけだった。画廊の男に反撃され、襲撃に失敗したヨセフは負傷する。ヨーナはヨセフの証言を元に、リディアによる犯行教唆を確信する。

シモーネはエリックに催眠を頼み、ベンヤミン誘拐の夜に見た犯人の顔を思い出す。絵に描いたその顔は、ヨーナがヨセフの病室ですれ違った看護師だった。惨殺事件とベンヤミン誘拐が繋がった事で、リディアは全国に指名手配される。程なくして、ストックホルムから遠く離れた雪原地帯のコテージに、リディアが停泊している事が判明し、ヨーナ、エリック、シモーネはその場所へ急行する。

ヨーナがコテージを急襲すると、屋内にリディアとベンヤミンを発見する。リディアは錯乱し、ベンヤミンを我が子と混同していた。リディアはライフルを発砲すると、ベンヤミンを連れて、バスで逃走を図る。しかし、途中で湖氷が割れてバスが沈み始める。リディアはベンヤミンを道連れにしようとするが、ヨーナが辛うじてベンヤミンを救出する。リディアは救出を拒み、湖深く沈んでいく。クリスマスの夜、仲を取り戻したエリックとシモーネはベンヤミンと食卓を囲む。ヨーナもまた、事件から解放され、同僚と一時の休息を得る。

 

テレビの二時間ドラマ的なクオリティで、今ひとつフックが弱く、地味な感は否めない。登場人物の人間性や背景を深堀りしようという狙いは分かるのだが、その下り必要?って感じる冗長なシーンが多い。最初から催眠で証言を全部引き出せば良かったのに、というのは野暮か。とは言え、こういう作品で、スウェーデン生活様式や文化的側面を垣間見るのは、なかなか楽しい。スウェーデンには国家警察と地元警察があって、事件の質によって棲み分けがあるらしい事が覗えるが、その線引はよく分からないところ。催眠による証言は裁判で使用できないのだが、国家警察の刑事はエリートだからか、結構自由な捜査権限があるんだね。

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