チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

私の男

熊切和嘉監督作「私の男」(2014)[BD]

津波で家族を喪い、孤児となった少女と、彼女を引き取る事にした男の、禁断の関係の顛末を描くドラマ作品。

1993年7月、北海道南西沖地震は大津波を引き起こし、奥尻島を襲った。9歳の竹中花は津波で家族諸共、家を押し流され、真夜中に海岸に漂着する。避難所に身を寄せた花は、そこで家族が皆死んだ事を知る。避難所で、紋別市から親族の安否を確認する為に訪れていた、海上保安官の腐野淳悟(浅野忠信)と出会う。淳悟は花の生まれる前の一時期、奥尻の親戚の元に預けられていた事があった。同じく紋別から訪れていた大塩(藤竜也)は、花の引き取り手を探すが、家族を欲していた淳悟は、花を養女として引き取る事にする。淳悟をよく知る大塩は不安を覚えるが、淳悟の気迫に負ける。淳悟は花を紋別に連れ帰る。

花(二階堂ふみ)は成長し、中学生となる。一見、歳相応の普通の少女だが、花と淳悟の間には、親子を超えた人知れぬ秘密を宿していた。一方、淳悟は大塩の娘、小町と関係を持っていた。小町は淳悟と花の只ならぬ関係を察していた。ある夜、それを決定づける物を見つけ、淳悟を拒絶する様になる。尚もやりきれぬ思いを抱える小町は、程なくして淳悟と花が交わす異常な光景を目の当たりにする。後日、花と会った小町は、花の淳悟に対する、およそ養女とは思えぬ愛情を知る。花は淳悟の家族が皆死んだ事を聞き、淳悟には小町が相応しくない事を伝えていた。その後、小町は、淳悟と決別し、上京する。大塩は、淳悟に引き取られた花の事を常々心配し、気遣う一方で、淳悟には小町と一緒になる事を希望していた為、残念がる。

ある朝、淳悟は任務で10日程、紋別を離れる事になる。淳悟と花は出かける前にSEXに及ぶが、その最中、花は窓越しに大塩の姿を見かける。大塩は花を気遣う余り、度々淳悟の家の様子を窺っていたのだった。花は2人の関係が知られたのではないかと疑う。学校からの帰宅途中、花は大塩と出会う。2人の関係を知った大塩は、旭川に花の親戚がいる事を打ち明け、移り住む様に提案する。花は聞く耳を持たず、大塩から逃れ、流氷が接岸する海岸へと向かう。大塩はなんとしても花を淳悟から引き離したく、説得を続ける。大塩は淳悟がかつて母親の首を絞めた事があり、それが原因で彼に家庭を築くのが無理だと思った事を話し、2人が感情で狂っているのだと諭す。激昂した花は、大塩の乗る流氷を割り、沖へ押し流すと、その場を立ち去る。その後、多数の警察官が動員され、大塩の捜索が行われる。大塩と旧知の仲だった警察官の田岡(モロ師岡)が、花の元へ大塩の遺体発見を伝えに来る。淳悟が帰宅すると、花は大塩を殺した事を打ち明ける。2人は何食わぬ顔で大塩の葬儀に出席する。

その後、2人は人知れず上京する。花は高校生となり、淳悟はタクシーの運転手に転職し、古びたアパートで暮らしていた。ある日、淳悟が部屋で休憩している時、田岡が訪ねてくる。小町から居場所を聞いたと言う。近況を交わすのも程々に、田岡は大塩の発見現場付近で見つかった、花の眼鏡を突きつける。淳悟は衝動的に田岡を殺す。日が暮れた頃、帰宅した花は、田岡の死体と動転する淳悟を目の当たりにする。

月日が流れ、花は社会人となる。派遣社員の花と同僚は、同じ会社の社員の男2人に食事に誘われる。花はその内の尾崎(高良健吾)という男と気が合い、2人で会う様になる。花は尾崎に、自分の身の上話をし、淳悟の気持ちが分からなくなっている事を打ち明ける。一方、淳悟は田岡を殺して以来、身持ちを崩し、無職で廃人の様な生活を送っていた。淳悟は人生を死ぬほど後悔している事を花に明かす。ある晩、尾崎は酔った花をタクシーで送り届けると、淳悟に強引に部屋に招き入れられる。そこで、尾崎は淳悟と花の只ならぬ関係を察する。淳悟は尾崎に上半身裸になる様に強要し、尾崎は渋々応じるが、淳悟の異常な行動に慄き、突き放す。淳悟は「お前は花とは無理だ」と言い放ち、尾崎は部屋から飛び出る。淳悟はただ花の親父になりたかったのだった。

その後、花は家を出る。3年後、花は婚約者を連れ、淳悟と食事を共にする。席上、淳悟は「お前には無理だ」と言い放つ。花はその時・・・


親子の近親相姦がテーマとなっているのだが、作品の中で明示的にそう表現されているワケでは無く、原作がそうだからそういう事なんだろうという推量で解釈。紋別のロケーションの素晴らしさと、SEXシーンや殺人のアート的な表現の対比が、本作の妙味となっている感じ。二階堂ふみが花の中学時代から社会人になるまで、およそ10年を演じているが、浅野忠信扮する淳悟との異常な関係がやはり見どころである。二階堂はほぼヌードで文字通り体当たりの演技をしており、その点は感服したのだが、不思議ちゃんキャラが他作品とややカブっている印象を受ける。原作もこうなのだろうか。しかし、花が社会人になってからの心情変化が僕にはいまいち理解できず、EDの真意に関してはサッパリ分からなかったな。機会があれば、原作を読んで補完したい。

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