チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

インターステラー

クリストファー・ノーラン監督作「インターステラー」("Interstellar" : 2014)[BD]

滅亡の危機に貧した人類を救うべく、移住可能な星の探査に向かう飛行士達の姿を描くSF作品。

近未来、気候変動による環境の変化で、地球は干ばつと砂漠化に見舞われ、人類は深刻な食糧難や飢饉に直面した。年々収穫できる農作物は減っていき、遠からぬ将来、人類が滅亡するのは必至だった。かつて有能なエンジニアであり宇宙飛行士であった、男やもめのクーパーは、農夫に転身し、義父ドナルド、息子トム、娘マーフらと共に暮らしていた。クーパーは徐々に衰退していく大地を憂いながら、試行錯誤を繰り返し、農作物の収穫に励んでいた。トムは将来、クーパーの後を継いで農夫を志す一方、マーフは科学に関心を抱いていた。

ある時、マーフが部屋の本棚から本が勝手に落ちる事を幽霊の仕業だと話し、クーパーは観察して記録を取る様に促す。ある日、クーパーらは制御を失ったインド空軍のドローンを回収する。その直後、コンバインが挙って自宅周辺に集まる異常な挙動を見せる。マーフは本棚から落ちる本に規則性を見出し、それがモールス信号だと悟る。程なくして、町を大規模な砂嵐が襲い、クーパーの家の内部も砂まみれとなる。マーフの部屋には砂による規則正しい模様が生じており、クーパーはそれが重力による作用で、バイナリ信号で表された座標だと気付く。

クーパーはマーフを連れ、座標の示す場所に車を走らせる。夜、フェンスで囲われた座標地点に到着するが、フェンスを破ろうとした途端、何者かに拘束される。施設内で気付いたクーパーの前にアメリア・ブランド博士が現れる。彼女はクーパーがよく知るブランド教授の娘だった。ブランド教授の元へ案内されたクーパーは、その施設が極秘に存続していたNASAだと知り、発見した経緯を説明する。

ブランドは地球がやがて衰退する事は避けられず、マーフの世代が最後になると予想しており、人類は地球から去るべきだと話す。ブランドは探査船レインジャーを披露し、宇宙船エンデュランスにドッキングした後、居住可能な星を探査するラザロ計画を明かす。ブランドはクーパーを「彼ら」に選ばれた存在とし、宇宙船の操縦を要請する。土星近傍にワームホールが生じており、ホールを通じて遥か遠い惑星系に移動できるという。ブランド達は10年前からラザロ計画を進行しており、既に12機のレインジャーを送り出していた。マン博士が率いた有能な12人の乗組員達が、惑星に到達次第、探査を行い、居住可能なら信号を送る事になっており、1つの惑星系から3つの信号を受け取っていた。

ラザロ計画にはプランAとプランBがあり、宇宙ステーションを建造し、地球に住む人類を移住させるのがプランAだったが、重力をコントロールする理論が未完成で実現が困難だった。プランBはいわば人口爆弾と称され、地球から受精卵を携え、居住可能な星に向かい、到着した後に人口培養を行い、代理出産で爆発的に人口を増やすという手法だったが、それはすなわち現存の人類の死を意味していた。ブランドは重力の謎はほぼ解けているとし、あくまでプランAを優先させると告げる。

クーパーが家族を置いて、宇宙へ発つ事を知ったマーフは、悲しみの余り憤る。クーパーは必ず帰ると説得し、理解させようと試みるが、マーフは納得せず、相対論効果で生じる時間のズレを確認できる様に時計を手渡す。

翌日、クーパーはドナルドとトムに別れを告げ、宇宙へ飛び立つ。乗員はクーパーの他、アメリア、ロミリー、ドイル、そして人工知能を搭載したロボットTARS。レインジャーは、地球軌道上のエンデュランスとドッキングし、一行は船内でロボットCASEと合流する。アメリアから、信号を受信した、ミラー、エドマンズ、マンの3人がそれぞれ到着した星について説明を受けたクーパーは、アメリアとエドマンズの関係を察知する。その後、一行は冬眠状態で土星に向かう。

2年後、エンデュランス土星に到着し、ワームホールに突入する。アメリアは何者かと接近遭遇を体験する。エンデュランスがホールを抜けると、一行は最初に向かうべき星の選定を議論する。信号はミラーとマンの星からだけで、エドマンズの星からは3年前に途絶えていた。ミラーの星はブラックホール「ガルガンチュア」に近い軌道上に位置し、相対論効果で1時間が地球の7年に当たる。しかし、マンの星までは到達に数ヶ月要し、エドマンズの星は更に遠かった。残された人類の為に、時間を極力節約したい一行は、クーパーの提案通り、最短ルートでミラーの星の信号地点に向かう事にする。

エンデュランスにロミリーとTARSを残し、クーパー達はレインジャーで星の海上に着水する。船外に出たアメリアとドイルが調査を開始するが、信号地点に漂っていたのはミラーの船の残骸だった。アメリアがビーコンを発見すると、そこへ大津波が接近する。アメリアはCASEのおかげで辛うじて助かるが、ドイルが波に飲まれ命を落とし、レインジャーも水没しそうになる。ミラーはその星の時間で、数時間前に到着、死んだのは数分前だと推定される。クーパーらは星を脱出し、エンデュランスに戻る。既に地球時間で23年4ヶ月が経過していた。

クーパーは23年の間に地球から受信していた家族からのメッセージを確認する。トムは大学卒業、結婚、孫の誕生、ドナルドの死、更に孫の死を報告してきており、クーパーの帰りを諦めている旨を告げていた。また、マーフが初めてメッセージを送っており、彼女はクーパーが出発した時と同じ歳になっていた。マーフはブランドに師事し、物理学者になっており、重力の謎を解こうと日夜励んでいた。しかし、ある日、マーフはブランドが長年解明に臨んでいた方程式が再帰的で意味が無い事を悟る。

クーパー達は次に目指す星を検討する。アメリアはマンの星がガルガンチュアの影響を受けるとし、エドマンズの星を推すが、クーパーはアメリアが私情を挟んでいると指摘する。アメリアは愛には特別な意味があり、時空を超えると反論するが、クーパーの指摘を認め、次の星はマンの星に決まる。

マーフは砂による影響で疾患に苦しむジェシーを医者に見せる様に勧める。その後、ブランドが危篤となる。ブランドは最期にマーフに嘘をついていた事を打ち明ける。クーパー達が地球に戻っても意味が無いと言い残し、ブランドは息絶える。マーフは父が地球を見捨てたと思い込み、父を責めるメッセージを送る。

一行は氷に覆われたマンの星に到着する。マンを冬眠から目覚めさせると、マンは長期の孤独に疲れきって、助けを待つことにしたと明かす。マンは調査結果を報告し、この星は期待できると告げる。TARSがエンデュランスの受信したマーフからのメッセージを再生する。マーフはブランドの死を知らせると共に、計画が最初から全部嘘だったと告げる。それを聞いたマンは、方程式がドナルドにより既に解けていた事を打ち明ける。しかし、相対論と量子論の融合にはブラックホール特異点のデータが不足しており、プランAは実現が不可能とされた。そこで持ちだされたのがプランBだったが、公表すれば、誰もが人類では無く、個人を優先する事が予想された為、秘匿してきたのだった。マンは地球に残る人類は滅ぶが、我々が未来を作れば良いと言う。

ブランドから真実を聞いたマーフはどうすべきか悩んだ末、自室の本棚に答えがあると確信する。

クーパーとロミリーはレインジャーで地球に帰還する事を決める。ロミリーはガルガンチュアでTARSを犠牲にし、事象の地平線のデータを採取する事を提案し、マンが保有していた故障中のロボットKIPPから光通信装置の回収作業に入る。クーパーは出発前にマンと共にベースキャンプの設営に向かう。ベースから離れた地点でマンは突然、クーパーを突き落とし、殺そうとする。マンは到着直後に、その星が居住不可能であると知り、自らがプランBを実完遂する為に地球に信号を送った事を打ち明ける。クーパーは通信装置でアメリアに助けを呼び、辛うじて救出される。クーパーがマンの狙いを知らせるや否や、マンのベースが爆発し、ロミリーが巻き込まれる。マンはその隙にレインジャーを奪い、エンデュランスに向かう。クーパーとアメリアはTARSを救出した後、ランダーで後を追う。
マーフはジェシーらを病院に連れて行こうとするが、トムが頑なに拒む。マーフは農場に火災を起こし、トムを引き付けている内に家に入り、ジェシーらを連れ出す。

マンはエンデュランスに強引にドッキングを試みるが、連結不完全なままハッチを開けた為に、エアロックの減圧で船外に吹き飛ばされる。エンデュランスは一部破損するが、大気圏突入寸前にランダーがドッキングに成功し、クーパーらは星から無事離脱する。

残りの燃料では地球への帰還は無理でも、ガルガンチュアの地平線に近づき、重力ターンを行えば、エドマンズの星に到達する事が可能だと分かる。ランダーとレインジャーの全燃料を使い、TARSを載せたランダーを分離し、エンデュランスの推力を得る手法だったが、クーパーが自らの乗るレインジャーをも分離した為、アメリアは驚き、クーパーに詫びる。

レインジャーはガルガンチュアに突入し、地平線に近づくと船体が維持できなくなり、クーパーは船外へ脱出する。気付くとクーパーは4次元空間におり、そこが過去のマーフの部屋と繋がっている事を悟る。クーパーは本棚の本を落とす事で、過去のマーフと自分自身に必死に訴えかけようとする。かつてマーフが幽霊の仕業と考えたのは、未来のクーパーによる行為だった。その時、クーパーはTARSと交信する。クーパーは重力が次元を超えて、過去にメッセージを送る事ができると悟り、過去のマーフにNASA基地の座標をバイナリ信号で送る。クーパーは、地球を救うために「彼ら」に選ばれたのがマーフで、自身はマーフにメッセージを送る為に宇宙に導かれたのだと確信する。クーパーはTARSが採取したガルガンチュアのデータをモールス信号に変換し、マーフに別れ際に渡した時計の秒針の動きで伝える。

父の意思に気付いたマーフは時計を手にし、秒針の動きを解読し、遂に重力理論を解明する。クーパーのいた4次元立方体は閉じ始め、5次元空間を漂う。その最中、クーパーはワームホール突入時のアメリアに手を差し伸べる。

宇宙を漂流したクーパーは、その後、救出され、人類が土星の軌道上に建造したコロニーの病院で目を覚ます。地球にいた頃の年齢で124歳になっていた。医師からマーフが生きている事を知らされ、2週間後に会う事になる。クーパーの為に、当時の家が忠実に再現されており、そこでTARSがクーパーと同様に回収されていた事を知り、自ら修理する。クーパーは年老いて、死期を迎えたマーフと再会する。マーフは親が子供を看取るべきではないと告げ、アメリアを探しに行くように促す。クーパーは新型の宇宙船にTARSと乗り込み、アメリアが独りで待つエドマンズの星目指して、再び宇宙へと飛び立つ。

 

本作は昨年公開直後に映画館で鑑賞したので、今回が2度目。2時間40分と長丁場だが、間断なく随所にノーラン節が炸裂しまくっているので、全く集中力を途切れさせないのが流石だ。映画館で鑑賞した時は、ワームホールや5次元に進化・適応した人類の存在など、その余りにぶっ飛んだハードSFぶりに面食らってしまい、面白いより不思議な作品という印象が上回ったのだが、腰を据えてストーリーを追ってみると、やはり傑作だなぁと感じた。最高のロケーションと最新のVFX技術が、本当に他の惑星を再現している様で、圧倒される。というか、どこまでリアルでどこからバーチャルなのかまるで区別が付かない。終盤にクーパーが4次元空間に導かれ、重力を用いて過去に作用を及ぼすというのは、かなりファンタジー色が強い領域で、本作で一番戸惑いを覚えるシーンだ。人類が次元を超えた存在へと進化するというのは、容易には想像できないのだが、果たして生物としての体を成しているのだろうか。本作のユニークな要素の1つにTARSとCASEという人工知能を搭載したロボットがあり、従来の近未来ロボット観を覆すブロックの様なデザインがとても斬新で、しかも馴れ馴れしく冗談を飛ばす海兵隊キャラというのが笑いを誘う。まだまだ知りたい事が山ほどあるから、BDを購入したいな。

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