チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ザ・マシーン

カラドッグ・ジェームズ監督作「ザ・マシーン」("The Machine" : 2013)[BD]

人工知能を搭載した人型マシーンとその開発者が、国家の策謀に巻き込まれていく様を描くSFスリラー作品。

中国が台頭する近未来の世界。西側諸国は中国との冷戦で大恐慌に陥り、一方、台湾と中国は一触即発の事態を迎える。兵器開発と軍拡競争の中心は、人工知能マシーンの開発に移る。政府機関の研究施設で、兵器開発に携わるヴィンセントは、戦傷者の治療用の義体や人工頭脳の開発に心血を注いでいた。しかし、人工頭脳の移植テストは失敗が続き、開発は滞っていた。ヴィンセントの娘メアリーはレッテ症候群を患い、脳に障害を抱えており、彼は潤沢な防衛費を、治療に役立てようと躍起になっていた。ある時、人工知能チューリングテストに臨んだエヴァの研究成果を見たヴィンセントは、彼女の素質を見抜き、助手として採用する。

勤務初日、エヴァは施設の手前で息子を誘拐されたという女に呼び止められる。ヴィンセントはそれがポール・ドーソンという台湾で戦死した元兵士だと明かす。かつてヴィンセントが人工頭脳の移植に失敗し、暴走した為、射殺処分された男だった。エヴァはヴィンセントに導かれ、地下のラボに向かう。その途中、人工頭脳で視覚や記憶力を取り戻した兵士達の姿を見る。副作用により数ヶ月で発話能力を失ってしまうのが課題だった。

ラボに着くと、施設を統括する上司のトムソンが待っており、元兵士で両腕を失ったジェームズに義手を装着し、テストが行われる。ジェームズは義手でエヴァに触れる事を要望し、不意に引き寄せ、エリア6で助けを請う旨を密かに伝える。エヴァの脳と顔のデータを使ったマシーンの開発を行うため、ヴィンセントはエヴァの脳と顔のスキャンを開始する。エヴァはその最中、ヴィンセントにエリア6について尋ねるが、ヴィンセントが明確に答えない為、施設内を密かに探ろうと試みる。トムソンの部下で兵士のスリが、エヴァのコンピュータへのハッキングを発見し、トムソンに報告する。エヴァはヴィンセントに研究の真意を尋ね、娘の病を脳移植で治す事だと知り、協力を申し出る。しかし、2人が施設から出た直後、エヴァはドーソンの母を装った男に殺され、ヴィンセントも負傷する。

施設で意識を取り戻したヴィンセントに、トムソンは中国国家安全部による暗殺だった事を告げる。しかし、実際はトムソンによるパージだった。その後、ヴィンセントはエヴァの脳と顔のデータを使って、マシーンの開発を続け、遂に完成する。トムソンや研究者らが見守る中、ヴィンセントはマシーンを起動させ、テストを開始するが、その最中、マシーンは判断ミスを犯し、研究者を殺してしまう。マシーンは原因不明のまま停止し、ヴィンセントは困惑する。しかし、トムソンは兵器としての可能性を確信する。スリが停止したマシーンと接触を試みると、マシーンから信号を受信する。

程なくして、マシーンは再び動き始め、ヴィンセントは安堵するが、メアリーの症状が悪化したと病院から連絡を受ける。マシーンはメアリーの事を知り、ヴィンセントを気遣うが、ヴィンセントにはなぜ人工知能にその様な連想が可能なのか、まだ分からなかった。マシーンは果たして生物なのか、模倣品なのか、ヴィンセントには判断できないでいた。ヴィンセントが病院に向かうと、トムソンは秘密裏にマシーンと接触し、脳内に格納されているファイルをインストールする様に命じ、マシーンに殺人を強要する。

医師からメアリーの容態の悪化を伝えられ、手術が近い事を知ったヴィンセントは、メアリーの脳と顔のスキャンを開始する。ラボに戻ったヴィンセントは蹲り動かないマシーンを発見し、理由を尋ねる。マシーンはトムソンに命じられ、人を殺した事を打ち明ける。トムソンは兵器としての可能性を主張するが、ヴィンセントは命の仕組みに謎が残っていると反論する。

再度、病院から連絡が入り、ヴィンセントが施設から出ると、トムソンはその隙にマシーンに戦闘訓練させる。ヴィンセントはメアリーの脳スキャンを完了するが、その後、医師から手術が無理でメアリーが死亡した事を伝えられる。

ラボに戻り、コンピュータに娘のデータを移すと、ヴィンセントはマシーンが何をどう感じているのか知ろうと探り、そこに自発的な情報統合、すなわち意識が存在している事を発見する。トムソンは兵士にとって邪魔な意識は消す様に命じるが、ヴィンセントは拒否する。トムソンはメアリーの脳データを管理者権限で消去すると脅し、マシーンからの意識の除去をヴィンセントに強要する。ヴィンセントはマシーンに事情を率直に伝え、マシーンは応じる。ヴィンセントはマシーンの脳から意識の源となる部分を切除するが、トムソンは娘のデータをも危険な進歩だと判断し、消去すると言い渡した後、ヴィンセントは拘束される。

トムソンは部下にマシーンの台湾行きの準備を命じる。その後、マシーンから切除されたのがGPSの充電池で、自爆させられないと判明する。マシーンは兵士達と意思疎通を図り、ヴィンセントを救出する。兵士達は発話能力を失ったのでは無く、より進化した言語で意識を伝達していたのだった。マシーンはメアリーのデータの確保に向かう。マシーンの襲撃を恐れたトムソンは執務室に籠もり、兵士に護衛させる。ヴィンセントはエリア6で囚われている兵士達を開放した後、メインコンピュータを破壊する。トムソンは管理者権限で兵士の人工知能を停止させていくが、スリが妨害し、トムソンに殺される。そこへマシーンが現れ、トムソンを殺し、施設から全員を退避させる。マシーンはメアリーのデータのコピーが脳内に保持されている事をヴィンセントに伝え、2人は施設から脱出する。ヴィンセントは施設の外で、ドーソンの母に兵士達のデータを手渡す。その後、ヴィンセントはマシーンと仮想空間上のメアリーと共に、日の出に包まれる。それはマシーンが予てから望んだひと時だった。


英国の低予算系SF作品。それなりにチープさは際立つものの、予算150万ドルにしてはかなり頑張っていると思う。邦画で予算1~2億円じゃ、このクオリティには達しないんじゃないかな。対中国戦を想定して、人工知能を搭載したアンドロイドの開発にしのぎを削っている世界で、ヴィンセントは艱難辛苦の果てに1体の通称「マシーン」完成に漕ぎ着ける。しかし、完成したと言っても、自分達が生み出したモノが命そのものなのか、あるいは単に命を模したモノに過ぎないのか、当の本人にすら理解できていないと。上司は意識を持たない殺戮マシーンを望む一方、ヴィンセントは娘を救うために、命と意識の源泉の謎の解明を望み、利害が衝突する。マシーンはヴィンセントの娘を思う気持ちに同調し、自ら進んで彼の協力をする。トムソンが恐れたのも尤もで、見方を変えれば、なかなか由々しき事態である。早晩、我々人類は人工知能に滅ぼされるか、あるいは服従させられるんじゃないか。

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