チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ショート・ターム

デスティン・ダニエル・クレットン監督作「ショート・ターム」("Short Term 12" : 2013)[DVD]

少年少女が暮らすグループホームの職員が、悩みや問題を抱えながらも奮闘する様を描くドラマ作品。

問題を抱える少年少女を一時的に預かり、共同生活を営む事で解決に導くグループホーム「ショート・ターム12」。主任職員のグレイスは、自身も心に問題を抱えながらも、甲斐甲斐しく子供達の世話をする、責任感の強い人物。同僚の優男メイソンとは恋仲であり、密かに同棲中であった。

入所中のマーカスが18歳を迎え、ホームを出る事になり、職員と子供達で送迎会の予定を話し合うが、当のマーカスは浮かない顔でグレイスは心配する。そんな折、ジェイデンが入所して来る。ホームの所長ジャックは、ジェイデンは母を亡くして以来、荒れており、施設を出たり入ったりしている事をグレイスに伝える。ジェイデンは平日をホームで過ごし、週末のみ父の住む自宅に戻る事になる。ジェイデンはグレイスとの初めての対面の際、露骨に反抗的な態度を見せる。

その頃、グレイスは妊娠が判明するが、堕ろすべきか思い悩む。彼女は過去に一度堕胎を経験していたが、メイソンには秘密にしていた。メイソンはグレイスが抱える悩みを、いつか話してくれると信じ、機が熟すのを待っていた。

ジェイデンが初めての集会に参加し、自己紹介をする。その後、皆が外で遊んでいる間に、グレイスは各部屋の定期チェックを行い、その最中、マーカスの部屋でマリファナを発見する。その直後、マーカスがルイスと諍いを起こし、暴力を振るう。マーカスはホームから出るのが不安で苛立っていた。グレイスはマーカスに、マリファナと暴力が発覚すれば、少年拘置所送りになると伝え、自らの父も10年間刑務所に入っていると打ち明ける。その後、メイソンはマーカスの心に寄り添い、マーカスがいかに母からの虐待に怯え、憎んでいるかを知る。一方、グレイスはジェイデンに自身の境遇と似ている部分を感じ、心を通わせようと試みる。マーカスがホームを出る前に頭髪を剃って欲しいと願い、グレイスとメイソンが応じる。マーカスは剃った頭に母から受けた虐待の後が残っていないか、しきりに気にする。マーカスに対するメイソンの慈しみの様子を見て、グレイスはメイソンに妊娠を打ち明ける。メイソンは喜び、感激する。

週末、ジェイデンは誕生日を迎えるが、浮かない顔で自傷を繰り返した後、部屋に閉じ込もる。危険を感じたグレイスらが部屋に押し入ると、ジェイデンは錯乱し暴れる。落ち着きを取り戻したジェイデンに、グレイスは父の虐待の苦痛から逃れる為に付けた過去の自傷痕を見せる。その後、ジェイデンは皆から誕生日を祝福されるが、戸惑いを覚え、衝動的にホームから逃げ出す。グレイスがジェイデンを追いかけるが、ホーム外では触れる事が許されておらず、ジェイデンが父の家に戻るまで付き添う。グレイスに伴われホームに戻ったジェイデンは、タコが自らの足を与え、友達のサメの気を引く、自作の童話をグレイスに聞かせる。グレイスはジェイデンが父から虐待を受けていると確信し、父の元へ戻さぬ様に要望する報告書をジャックに提出する。

グレイスはメイソンの養父母の結婚30年記念のパーティに参加する。孤児だったメイソンは、養父母によって救われた事を心から感謝する。その席上、メイソンはグレイスにプロポーズし、グレイスは感激する。ところが翌日、グレイスの元に父親が仮釈放されると連絡が入り、グレイスは不安に苛まれる。

ホームに出勤したグレイスは、マーカスの大切にしていた金魚が死に、それをルイスの仕業だと疑っていると知る。更に、ジェイデンが予定通り、週末を過ごすために父親と共に帰ったと知る。憤慨したグレイスは、許可を出したジャックの元を訪れ、詰る。ジャックは、ジェイデン本人が虐待されている事を証言しなければどうする事もできないと主張する。グレイスは怒りに震えるが、その直後、自殺を図ったマーカスを発見する。病院に緊急搬送されたマーカスを、グレイスとメイソンが回復を信じて待つ。心に不安定さを増したグレイスはメイソンに、結婚も出産も無理だと告げる。メイソンは自分を信じて悩みを打ち明ける様に懇願するが、応じないグレイスに、関係の終わりを告げて去る。

グレイスはその足でジェイデンの家に訪れ、眠っているジェイデンの父をバットで襲おうとする。そこへジェイデンが現れ、制止する。グレイスは父にレイプされ、妊娠し、堕胎した事を初めて打ち明ける。ジェイデンもまた虐待を打ち明け、殴られた痕を見せる。グレイスはジェイデンに促され、一緒に父親の車の窓ガラスをバットで叩き割り、その場から逃げる。再びホームに戻ったジェイデンは、グレイスに良い母親に慣れると告げる。グレイスは自宅に戻り、メイソンに詫びる。

後日、グレイスはセラピストに気持ちを打ち明けた後、病院でエコー検査を受け、子供の確かな鼓動を確認すると、涙する。ホームに穏やかな日常が戻った頃、メイソンは職員達に回復したマーカスと再会した話を聞かせる。マーカスは見違える様に雰囲気が変わり、無事社会に出て働き始めたという。更に、かつてホームで出会った年上の女と交際しており、メイソンとグレイスは甚く驚き、喜んだのだった。



最近になってブリー・ラーソンの事を知ったので、彼女が主演の本作を観てみた。舞台となるショート・ターム12というのは、問題児を預かり、更生を図る施設の様だ。ルールはそれなりに厳しいが、閉鎖的な環境では無く、基本的には皆で和気あいあいと集団生活を営んでおり、主任のグレイスを始め、職員達は熱心で甲斐甲斐しい。グレイスにしろ、メイソンにしろ、子供時代に不遇を強いられたであろう事が示唆されており、それがきっかけとなり、施設で働く様になったのかも知れない。そんな彼らだからこそ、子供達の気持ちがよく分かるし、共に信頼関係を築いていけるのだろうと、そんな風に考えながら、観終わった後、心が洗われる様な気持ちになった。こういう作品なら何本でも観たいな。ラーソンは本作の演技が絶賛されたそうだが、確かに感銘を受ける熱演ぶりだったし、今後が期待できる若手だと思う。ジェイデン役のケイトリン・ディーヴァーも良かった。日本の同世代の女優と比べると、圧倒されちゃうな。

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