チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

11:14

グレッグ・マルクス監督作「11:14」("11:14" : 2003)[DVD]

ある夜の11時14分に起きた事故を巡って、運命に翻弄される男女をそれぞれの視点で描くスリラー作品。

車で夜道を走行するジャックは、鹿が頻繁に出没する地点に差し掛かる。11時14分、何かが車に衝突し、急停車したジャックは、慌てて車外へ飛び出す。車の傍で顔の潰れた男の遺体を発見し、自分が轢いた事に動転したジャックは、飲んでいた酒の瓶を林に投げ捨てる。そこへ中年の婦人の運転する車が通りがかり、ジャックが鹿を轢いたと誤解する。ジャックは警察への連絡を済ませたと偽るが、婦人は署長が知り合いであり、連絡すると告げて去っていく。ジャックは遺体をトランクに押し込み、隠蔽を図るが、そこへ通報を受けた警官がパトカーで駆け付ける。警官はジャックの様子を不審に思い、アルコールの口頭検査を行う。その後、3ヶ月前の飲酒運転で免許取り消し処分になっている事が判明し、警官はジャックを逮捕する。トランクに血痕を見つけた警官は、中から遺体を発見し、ジャックをパトカーに乗せようとするが、先に逮捕されていた2人の男女と諍いが生じる。その隙に、ジャックは拘束を断ち切り、逃走する。警官がジャックの追跡に向かうと、男女もまたパトカーから逃げ出す。ジャックは逃げ込んだ先の民家で、先ほど出会った婦人と遭遇する。婦人は夫にジャックの轢いた鹿を見に行かせたが戻らないと言い、更に、一人っ子が事故に遭ったと署長から連絡を受けたと告げる。ジャックは自身が轢いたのがその子だと誤解し、そこへ警官が駆け付けた事で動転し、墓地に逃げ込む。ジャックが墓地に捨ててあったボーリング玉に躓き、転倒すると、警官と婦人が追い詰める。婦人が娘を事故に遭わせたのがジャックだと主張した事で、ジャックは自身の誤解に気付く。

マーク、エディ、ティムの悪ガキ3人組は、バンに乗り、夜の町を宛もなく移動する。各々が悪ふざけに興じる中、エディが窓越しに車外へ小便をすると、親からバンを借りているマークが憤慨し、制止しようとする。ところが、マークがエディに気を取られた瞬間、バンは前方の少女を轢いてしまう。時刻は11時14分だった。少女の付き添いの男が銃を発砲し、マーク達は慌てて逃走する。ところが、エディが事故時の衝撃でペニスをドアで切断している事に気付く。エディは路上に放り出されたペニスを拾ってきて欲しいと哀願する。拒絶するマークの制止を振り切り、ティムが事故現場へ拾いに向かう。ティムが現場に戻ると、救急車が到着し、救急隊員の2人が少女を搬送しようとしていた。ペニスが既に隊員らに回収済みだと知ったティムは、密かに持ちだそうと試みるが、隊員らに気付かれ、取り押さえられる。轢き逃げへの関与を疑われ、ティムは連行されそうになるが、そこへ娘の父親が現れた為、その隙を見計らってペニスを持って逃走する。エディにペニスを手渡し、バンが再び走り出すと、マークは口裏を合わせて警察の聴取を乗り切る事を提案するが、エディが真実を話すと抵抗する。マークは激昂し、エディを黙らせると、バンを病院へ走らせる。

11時前、フランクは犬のマリガンと散歩に出かける。墓地に入ると、娘シェリーの交際相手アーロンが、崩れた墓石で顔の潰れた状態で死んでいるのを発見する。シェリーが関与した可能性を疑うフランクは、遺体の隠蔽を画策する。フランクは遺体を墓地から担ぎ出すと、アーロンの車のトランクに押しこみ、墓地から離れた陸橋に辿り着く。フランクは周囲に誰もいない時を見計らって、遺体を下へ放り投げるが、意図せず走行中の車にぶつけてしまう。フランクは慌てて逃走しようとするが、マリガンが血の付着したフランクのシャツを咥えて逃げ出してしまう。マリガンを捕まえ、町に戻ったフランクは、通りで何者かが燃やした本の火でシャツを燃やし、証拠の隠滅を図る。そこへ偶然、妻ノーマが車で通りかかり、フランクは自宅まで同乗する。ノーマは途中で鹿の衝突事故に遭遇したので、見に行って欲しいとフランクに頼む。フランクが再び出かけると、途中で轢き逃げ事故の対応に当たる救急車を発見する。

11時直前、ロイズ酒店は閉店時間を迎えようとしていた。そこへダフィが店員バジーを訪ねてやってくる。ダフィは交際するシェリーが妊娠した為に、中絶に金が必要だと告げる。そこへマークら3人が来店し、酒を購入して去っていく。ダフィは金策に困り、店から盗むしか無いと哀願するが、バジーは妹の治療費を稼ぐ必要があり、クビにされたら困ると頑なに拒む。そこへシェリーがダフィを訪ねてやってくる。2人がバックヤードで密かに話している間、バジーはダフィが置き忘れた拳銃で遊んでいる内に暴発させてしまい、店の設備が破損する。シェリーはダフィの上着を借りてそそくさと帰る。口裏を合わせて強盗の仕業にすれば、丸く収まると提案するダフィに折れて、バジーはレジを開ける。バジーは店長に信用させる為に自分の腕を撃つように頼み、ダフィはバジーに請われるまま左腕を撃つ。バジーが警察に通報すると、ダフィは逃走する。ダフィはシェリーの車を発見すると、金を入手した事を伝え、シェリーを呼び出す。その時、ダフィは車内に自分のボーリング玉が無くなっている事に気付く。シェリーは電話に気を取られ、道路を横切り、マークのバンに轢かれる。ダフィはシェリーに駆け寄り、バンに発砲する。そこへパトカーが駆けつけ、ダフィを強盗犯として逮捕する。警察官はシェリーの遺体と、そこからほど近い場所にペニスを発見する。そこへ救急車が到着する。車内には手当を受けたバジーが乗っており、警官に強盗の共謀が発覚し、逮捕される。警官はノーマからの通報を受け、陸橋下の鹿衝突事故の確認に向かう。

11時直前、シェリーは自宅で中絶の金を交際するダフィとアーロン、それぞれから支払わせようと画策する。そこへアーロンが訪れ、シェリーは父フランクの警告を無視して出かけていく。シェリーとアーロンは墓地でセックスするが、その最中、墓石の一部が崩れ、アーロンの頭部に落下し、顔面を潰す。対処に困ったシェリーは、ダフィのボーリング玉を使う事で、ダフィに罪をかぶせようと咄嗟に企てる。シェリーはフランクの車を借り、ダフィの元へ向かう。その途中、マークのバンとすれ違い、マークからダフィがロイズ酒店にいる事を聞く。シェリーは酒店に入り、ダフィから車の鍵を奪おうと試みるが、バジーが銃を暴発させたどさくさに紛れて、ダフィから鍵の入った上着を借り、店から出る。ダフィーの車からボーリング玉を盗み出し、走り出した途端、店内でダフィがバジーを撃つ瞬間を目撃し、シェリーは強盗事件として警察に通報する。墓地に戻る途中、シェリーはアーロンの車とすれ違い、更に墓地から遺体が消えているのを目の当たりにし、動転する。シェリーは本命の恋人ジャックに連絡し、すぐに出発したいと告げる。妊娠は金を騙し取る為に2人で計画した作り話だった。シェリーはダフィの分が回収できていない事を伝えると、ジャックは迎えに行くと告げる。そこへダフィがやってくる。シェリーはジャックに金が予定どおり手に入ると伝える。電話を切ったジャックは、その直後の11時14分に事故に遭う。そして同時刻、シェリーもまた事故に遭う。

 

これは実によく出来たシチュエーション・スリラーだなぁと、最後のオチを見て膝を打った。なるほどそこが恋人同士で繋がってるのねと。シリアス系だと思っていたので、意外にもコメディ色が強かったのには戸惑ったが、頭と尻尾が繋がる様な見事な脚本の面白さに感服した。同じ時刻の出来事を5つの異なる視点で、5者5様に描いていくのだが、ネタの明かし具合が絶妙で、一つ一つ繋がっていくのがとても気持ち良い。何度「なるほどぉ」と口にしたことか(笑)。90分弱と短い尺ではあるものの、とても見応えがあって充実した作品だった。 しかし、友人のペニスを拾いに行くってのはバカバカしくて笑ってしまったな。

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