M・ナイト・シャマラン監督作「エアベンダー」("The Last Airbender" : 2010)[BD]
気・水・土・火の4つのエレメントを操るアバターと、世界征服を企む火の国の戦いを描くファンタジー・アドベンチャー作品。
100年前、世界は4つの国、気・水・土・火の国が調和を保つ事で平和に栄えていた。気・水・土・火を操る者はベンダーと呼ばれ、更にそれら4つのエレメント全てを操る存在はアバターと呼ばれた。アバターは精霊と語る事のできる唯一の存在であり、精霊の導きこそが世界の調和を保ってきたのだった。ところが100年前、アバターは突然消えてしまった。
南の水の国の村落に、水のベンダーのカタラとその兄サカが暮らしていた。2人の父は戦争へ行き、母は幼い頃に殺されていた。ある日、兄妹は狩りの途中、氷に覆われた少年アンと不思議な動物アッパを救出する。兄妹はアンを村へ連れ帰り、介抱する。アンが目を覚ますや否や、火の国の王子で火のベンダーのズーコが兵を率いて村に現れる。ズーコはアンを見つけると、軍艦に連行し、船内でアンの力を試すテストを行う。カタラはサカにアンを救出すべきだと主張し、祖母に相談する。祖母はアンが気のベンダー、そしてアバターであり、その出現が運命だと告げる。更に、精霊を嫌う火の国が、精霊と語る事のできるアバターを恐れていると説くと、カタラ達にアンの救出に向かう様に促す。ズーコはアンがアバターだと判明した事で、火の国への連行を決める。ズーコは父オザイ国王に追放された身であり、アンを連れ帰り、名誉を回復しようとしていた。アンはズーコの隙を突いて軍艦から逃げ出すと、アッパに乗ってやってきたカタラ達と合流する。
アンは、修行を行っていた南の気の寺のギアツォ師匠の元へ戻るが、そこには朽ち果てた祈りの場と門弟達の躯だけが残っていた。アンはかつて修行から逃げ出し、アッパで飛び立ったが、嵐で海に落ち、氷で体を覆う事で身を守り、その後100年間眠っていたのだった。カタラはその間に、火の国が気の国に攻め入り、皆殺しにした事を伝える。アンは我を失いかけるが、その時、龍の精霊と接触する。その頃、火の国の司令官ジャオがズーコを発見し、アンを取り逃した事を愚弄する。2人は王の座を巡って、互いに敵対心を燃やしていた。
アン達は南の土の国を訪ね、そこに現れた火の国の兵士達に捕らえられ、村へ連行される。村には土のベンダー達が閉じ込められており、火の国の巨大な鉄の兵器に屈したと明かす。アンは、土のベンダー達に、共に立ち上がる様に呼びかけ、奮起させると、協力して火の国の兵士達を撃退する。かつて火の国が水の国から奪った巻物を取り返したカタラは、世界中の虐げられている人々を助けに行こうとアンに提案する。しかし、アンは修行を途中で逃げ出した為に、まだ気しか操れない事を打ち明ける。アバターは普通の人生を送る事が許されず、その責任を果たすのが宿命とされた事に反発したのだった。アバターとなるには、気・水・土・火の順で習得する必要があり、アン達はまず北の水の国を目指す。
火の国に戻ったジャオは、知識の館で発見した巻物を解読すれば、海と月の精霊の住処が分かるとオザイに伝え、北の水の国の征服に乗り出す。一方、火の国の植民地に身を寄せたズーコは、アンと接触する機会を覗うが、伯父のアイロはそんなズーコの将来を案じる。
アン達は北の土の国に到着する。アンは修行に身が入らず、再び精霊と接触する為に単身、北の気の寺に向かう。寺で土の国の僧に迎えられたアンは、歴代アバターの石像が並ぶ石室に案内されるが、それはジャオの仕掛けた罠で、アンは捕らえられてしまう。意識を失ったアンは龍の精霊と接触する。精霊は火の国が知識の館から知恵を盗み、悪用する気だと伝え、北の水の国に急ぐ様に告げる。
夜、寺に覆面の男が侵入し、アンを救出する。アンは男と共にジャオの兵士達を退け、脱出を図るが、男の覆面に矢が直撃し、男がズーコだと判る。アンは気絶したズーコを連れ、寺から逃亡する。ジャオはズーコが裏切りを働いた事をオザイに報告する。アイロの元に戻ったズーコは、休息を取る様に促され、軍艦内で横たわるや否や、爆発に巻き込まれる。
アン達は北の水の国へ到着する。アンは水の技を学ぶ為に、ベンダーへの弟子入りを許可される。北の水の国の人々は、火の国の襲撃に備え始める。オザイは月と海の精霊のちからを排除する様にジャオに命じ、火の国の軍艦が大挙して北の水の国へ向かう。北の水の国の王女ユエはサカと親密になる。ユエは産まれた直後、意識が無く、両親が月の精霊に祈る事で命が流れ込み、助かった事を打ち明ける。
アイロはズーコが死んだと思わせ、ジャオに接近し、ジャオがズーコを襲撃したと察知し、それをズーコに伝える。軍艦が北の水の国に到着すると、ズーコは単身、アンを探しに向かう。修行中のアンは、ユエに導かれ、都中央の精霊の住む神聖な洞穴に向かう。気のベンダーとして火の国に立ち向かう為、瞑想に入るアンをカタラが残って見守る。そこにズーコが現れ、カタラが水の技で立ち向かうが退けられ、アンはズーコに連れ去られる。ズーコは戦火の機を見計らってアンを連れ、北の水の国を脱出しようと企てる。アンは再び、龍の精霊と接触し、火の国に勝つ方法を尋ねる。精霊はアンが仲間の死と、その死に対する自分の責任を見つめておらず、悲しむ事を自分に禁じ、怒っていると指摘し、怒りを捨てるように促す。更にアバターは誰も傷つけてはならぬと諭し、水の力で海を使う様に指示する。
北の水の国は、火の国の兵士達に攻めこまれる。アイロはジャオに、北の水の国が月のパワーで力を増す前に引き上げる様に訴える。目覚めたアンが拘束を断ち、ズーコと戦っているところへ、カタラが加勢し、ズーコを凍結させる。ジャオは精霊の洞穴に辿り着き、月の精霊を捕らえると、アイロの制止を振りきって、精霊を殺す。その途端、水の国を覆う力が弱まる。アイロは火の技を使い、ジャオを洞穴から追い出すと、ユエに精霊にもらった命を帰すのが宿命だと諭す。ユエが精霊の泉に身を投じると、精霊は蘇り、水の国の力が復活する。
ジャオに復讐しようとするズーコをアイロが制止し、2人は北の水の国から脱出する。その直後、ジャオは水の国の戦士に殺される。アンは水の技を使い、海を大きくうねらせ、巨大な水の壁を作り、火の国の軍艦を退却させる。アンのアバターとしての力に、北の水の国の人々は皆敬意を示し、ひれ伏す。
オザイは北の水の国の征服失敗の報を受け、ソジンの彗星が近づき、火の国が力を増す前に、アンに土と火の技をマスターさせぬ様にと、火のベンダーで娘のアズーラに命じる。
方々で酷評されまくっているので、さぞかし駄作なのだろうなぁと思い、これまでスルーしてきたのだが、怖いモノ見たさもあり、遅ればせながらの鑑賞。そこまで糞味噌にこき下ろす程、酷くは無いというか、僕は割りと楽しんでしまった。期待値が低かったというのもあるだろうが、技を自在に繰り出す際の多彩なVFX表現なんか厨二テイスト満載で、なかなかどうして痛快なファンタジー・アドベンチャーじゃないか。確かに脚本の薄さは気になったが、このレベルなら他のアクション作品を探せば幾らでもあると思うがなぁ。このクオリティでラジー賞ってどうよ?そんな事より、もしこの作品に問題があるとすれば、この1作だけで終わってしまう事だろう。本来、3部作で制作されるはずで、本作も第1章という位置づけになっているのだが、総スカンされた事で続編の制作が頓挫してしまった。これではシコリが残って気持ち悪い。是非シャマランに続編を作らせてあげて欲しいが、本作と同等の1億5000万ドル規模の予算なんかどこも出さないんだろうなぁ。それ以前に、演者が成長してしまっているから無理か。