チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

セッション

デミアン・チャゼル監督作「セッション」("Whiplash" : 2014)[BD]

名門音楽院のスパルタ教師に楽団のドラマーに抜擢され、狂気的な指導に苦悩しながらも、才能を開花させていく青年の姿を描くドラマ作品。

ニューヨークにある名門のシェイファー音楽院の秋学期。1年生のアンドリューは著明なジャズ・ドラマーに憧れ、所属する楽団で主奏者コノリーの譜めくりなどの補佐をする傍ら、自主練習に励む。ある時、アンドリューが一人で練習していると、指導者として名高いフレッチャー教授が現れる。フレッチャーはアンドリューに演奏を促すが、聞き終える事なく、その場を後にする。落胆するアンドリューを、父ジムは音楽とは別の道もあると励ます。アンドリューは更に練習に打ち込んでいく。

ある日、アンドリューの所属する楽団の練習中、フレッチャーが突然訪れ、団員に演奏を促す。フレッチャーはアンドリューにも演奏させると、去り際に呼び寄せ、翌朝6時に自らが率いるスタジオバンドの練習室に来る様に命じる。気を良くしたアンドリューは、その夜、行きつけの映画館の受付ニコルを初めてデートに誘い、約束を取り付ける。

翌朝、アンドリューは寝坊し、6時に遅れて練習室に到着するが、練習開始は9時だと知る。9時が近づき、団員が集まると、アンドリューはドラム主奏者タナーの隣に控え、譜めくりを担う事になる。9時丁度にフレッチャーは現れ、新人のアンドリューの加入を伝えると、バンドに「ウィップラッシュ」の演奏を始めさせる。演奏の最中、フレッチャーは音程のズレを指摘し、申し出る様に促す。しかし、誰も名乗り出ない為、フレッチャーは一人ずつ演奏させた後、冴えないトロンボーン奏者の青年にズレを自白させると、激しく罵倒し、退出させる。その後、フレッチャーは実は別の奏者がズレている事を明かし、自覚の無さが致命的だと指摘する。フレッチャーはタナーに代わり、アンドリューにも演奏させると告げ、休憩を入れる。

休憩中、フレッチャーはアンドリューに出自や両親について尋ね、アンドリューは父が高校教師をしており、母は家を出た事を打ち明ける。フレッチャーはアンドリューに偉人達の演奏を聞くように告げ、他人の評価を真に受けず、演奏を楽しむ様に励ます。

アンドリューがドラムに付き、練習が再開する。演奏中、フレッチャーはアンドリューのテンポの違いを指摘し、その都度、バンドの演奏を止める。フレッチャーの機嫌はたちまち悪くなり、何度もアンドリューに叩き直させた挙句、突然椅子を投げつける。フレッチャーはアンドリューに平手打ちを浴びせ、テンポを数えさせ、激昂すると、アンドリューの無知を論い、両親をも侮辱し、こっぴどく罵倒する。フレッチャーはアンドリューに練習に励む様に命じ、再びタナーと交代させる。以後、アンドリューはこれまで以上に自主練と名奏者達の研究に時間を費やしていく。その後、アンドリューはお気に入りのピザ店でニコルとデートする。2人はお互いの事について語らい合い、距離を縮める。

バンドがジャズコンテストに参加する事になり、アンドリューも副奏者として控える。フレッチャーはコンテストが人材発掘の場であり、恥をかかせぬ様に一同に命じる。初回の演奏を終え、休憩に入ると、アンドリューはタナーから楽譜を預かるが、目を離した隙に楽譜を紛失し、タナーに激しく詰られる。フレッチャーはタナーの管理責任を問い、有無を言わさず、ステージに上がる様に命じる。タナーは疾患で記憶力に問題があり、暗譜できていない事を告げ弁明すると、アンドリューが暗譜していると申し出て、代わりを務める様にフレッチャーに命じられる。アンドリューは「ウィップラッシュ」をそつなく演奏し、バンドは優勝を収める。翌日、アンドリューは団員達に謀略を疑われ、疎外される。しかし、フレッチャーはアンドリューを主奏者に任じ、タナーに譜めくりを命じる。

フレッチャーは次の大会に向けた新譜に「キャラバン」を採用する。フレッチャーはコノリーを呼び寄せると、新譜に際してアンドリューと競わせる意向を明かし、両者に演奏させる。アンドリューは自分の方がマシだと反駁するが、フレッチャーは主奏者の交代を仄めかす。危機感を覚えたアンドリューは、更に練習に専念すべく、ニコルに足手まといになると切り出し、一方的に別れを告げる。アンドリューはキャラバンの練習に没頭する。

バンドの練習開始直前、フレッチャーはかつての教え子ショーンの訃報を一同に告げる。フレッチャーはショーンの演奏するCDを一同に聴かせ、いかに優れた奏者だったか知らせたいと涙ながらに語る。6年前に出会った練習生ショーンは、音楽院にギリギリの成績で合格し、苦しんでいた。フレッチャーはショーンの必死で練習する姿を評価し、スタジオバンドに入れた。卒業後、ショーンはトランペット奏者として見事に名を馳せる事になった。そのショーンが事故で死んだという。その後、キャラバンの練習を開始するが、フレッチャーはドラムに納得せず、アンドリュー、タナー、コノリーの3人に、指示通りに叩ける様になるまで夜を徹して何度も交代させて、主奏者の座を競わせる。最終的にフレッチャーはアンドリューを主奏者に任ずる。バンドが未明に練習を終えると、フレッチャーは翌日の午後5時にダネレンのコンテスト会場に集合する様に命じる。

当日、アンドリューはバスでダネレンを目指すが、途中でパンクに見舞われた為、レンタカーに乗り換え、ダネレンに急行する。その時、アンドリューは店にスティックを置き忘れる。集合時間に遅れたアンドリューに、フレッチャーはコノリーへ奏者を交代した事を言い渡すが、アンドリューは自分のパートだと食らいつき、降板を命じられる。フレッチャーは、尚も反抗するアンドリューに、自分のスティックを持って5時半までにステージに上がる様に命じ、一つでもミスを犯せば、卒業か退学まで譜めくりしかさせぬと告げる。アンドリューはスティックを取りに向かうが、無我夢中で会場に戻る途中にトラックと衝突し、負傷する。開始時間が過ぎ、アンドリューは血だらけの姿で会場へと走る。ステージに上がると、アンドリューはそのままの姿で位置に付き、演奏を始めるが、負傷した体ではまともに叩けず、フレッチャーはバンドに演奏を中止させ、アンドリューに終わりだと宣告する。憤慨したアンドリューはフレッチャーに殴りかかり、退学処分となる。

後日、ジムはアンドリューを弁護士と面会させる。弁護士は、ショーンがフレッチャーの生徒になってからうつ病を患い、首吊り自殺で死んだ事を明かし、二度と繰り返さぬ様にしたいと告げる。弁護士がフレッチャーの言動に問題が無かったか尋ね、ジムも同調すると、アンドリューは証言に応じる。その後、アンドリューは音楽と決別する。

夏、アンドリューはバイトをする傍ら、大学進学を志し、新たな人生を模索しながら、穏やかな生活を続ける。ある夜、アンドリューはジャズクラブでフレッチャーがゲスト出演しているのを知る。フレッチャーのピアノ演奏を見届け、立ち去ろうとするアンドリューを、フレッチャーが呼び止める。フレッチャーはショーンの同学年の生徒の親の密告により、学院を辞める事になり、フェスに参加するプロバンドで指揮をしている事を明かす。フレッチャーは凡人では敵わない期待以上の成果を上げるのが学院での役割だったと語り、卓越した才能を見出すには挫折と奮起が必要で、世の中が甘くなったせいでジャズが死んだと嘆く。アンドリューはやり過ぎだと説くが、フレッチャーは真の天才なら負ける事は無く、謝罪するつもりが無いと告げる。別れ際、フレッチャーはアンドリューをフェスのバンドのドラムに誘い、曲はキャラバンとウィップラッシュで、慣れている奏者が良いと告げ、検討を促す。アンドリューは応じる決意をし、ニコルに久しぶりに連絡をし、フェスに誘うが、既に恋人がいると知る。

フェス当日、アンドリューは意気揚々と会場に訪れ、バンドに加わる。フレッチャーはバンドを前に、フェスがスカウトの目に留まるチャンスである反面、ミスをすれば職替えのリスクもあると告げる。ステージに上がり、位置に着くや否や、フレッチャーはアンドリューを密告者だと詰り、演奏するのが新譜だと会場に伝える。バンド演奏は始まるが、アンドリューの手元には新譜の譜面が無い為、演奏はままならず、会場は白ける。フレッチャーはアンドリューを無能だと面罵する。動転しステージから降りたアンドリューの元に、会場におとずれていたジムが駆け付け、抱きしめる。アンドリューは再びステージに戻り、位置に付くと、勝手にキャラバンの演奏を始め、ベースに指示を出し、それに合わせてバンドも演奏を始める。キャラバンが終わった後も、アンドリューは演奏を止めず、立て続けにソロプレイを始める。狂気を帯びたアンドリューの様子に、フレッチャーは真意を図りかねるが、やがてその卓越した演奏に感化され、同調する。

 

 

いやぁ、ガチで凄い作品を観た、そんな気分。高く評価されているのも頷ける。ジャンル的には音楽をテーマに据え、師弟関係を描いたドラマ作品だが、スリラーというかホラーの様な色合いをも帯びており、非常に斬新で見応えたっぷり。中盤、かなり鬱々とした展開が繰り広げられるのだが、ストーリー自体はシンプルで取っ付き易いと思う。フレッチャー教授というのは、傑出した音楽家を育てる為なら、どんな手段も正当化されうるという様な考えの持ち主で、多分にマッチョなおっさんである。いわゆるブラック上司に近い存在でもあり、自らの課す目標に到達できない者には徹底して厳しく当たり、消耗し尽くしても意に介さない、独善的な非情さを指導の原動力にしている。この狂気染みたフレッチャー像はJ・K・シモンズの怪演の賜物だろうなと感服。アンドリューは手に入れた主奏者の座を明け渡すまいと、昼夜を問わず自主練に励み、フレッチャーの要求に応えていくのだが、その姿があまりにも痛々しい。劇中流れる血は本物だと聞いたが、これが実に生々しい。それはさておき、ニコル役のメリッサ・ブノワが超絶可愛くて、それが一番の見どころだった(笑)

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