チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

海月姫

川村泰祐監督作「海月姫」(2014)[BD]

共同生活を送るオタクニート女子5人組が、女装男子との出会いを経て、アパートを立ち退きの危機から救うべく奮闘する様を描くコメディ・ドラマ作品。

クラゲオタクの月海は、鹿児島からイラストレーターを目指して上京し、男子禁制の古風なアパート「天水館」で、オタクニート女子4人(三国志オタクのまやや、鉄道オタクのばんば、和物オタクの千絵子、枯れ専のジジ)と共同生活を送る。彼女達は、実家からの仕送りに加え、天水館の主と称される売れっ子BL漫画家・目白先生のアシスタントをしながら、日々それぞれの趣味の追求に邁進しており、皆、色恋沙汰とは無縁な事から「尼ーず」を自称する。

上京から早半年が経ち、月海は恋愛はおろか男と喋る事すらできずに20歳を迎える。ある夜、月海はいつもの様に最寄りの熱帯魚館ぷかぷかにクラゲ観察に訪れるが、タコクラゲとミズクラゲの飼育方法に異議を唱え、店員と一悶着起こす。そこに月海が苦手とするオシャレ女が通り掛かる。女に促され、月海が事情を伝えると、女は強引にタコクラゲを店から引き取る。その後、女は月海の部屋に押しかけ、泊まる。

翌朝、目覚めた月海はその女が実は男だった事を知る。その男・蔵之助は女装が趣味だと明かすが、月海は男に免疫が無く、更に男子禁制の天水館に男を連れ込んでしまった事に当惑する。蔵之助は月海が描いたクラゲの絵の数々に感銘を受け、更に月海の言動から処女だと悟る。

大学生の蔵之助はその日から天水館に居座る様になるが、天水館では男の存在は死罪に値する為、月海は蔵之助を蔵子として4人に紹介する。しかし、4人は場違いなオシャレ女の登場を非難する。蔵之助は5人がオタクでニートだと見抜き、一同を激しく動揺させる。千絵子は母が天水館のオーナーで、韓国までイ・ビョンホンの追っかけに出掛けている間、管理を任せている事を主張する。蔵之助は鍋パーティ用に持参した松阪牛で5人の心を巧く釣る。

蔵之助は月海に豪邸の自宅を紹介する。そこに帰宅した兄の修が、女装の蔵之助を見て一家の恥だと咎める。蔵之助は運転手の花森から、堅物の修が童貞だと聞き出す。

月海は、蔵之助が政権与党・民自党の重鎮である鯉淵慶一郎の息子だと知る。蔵之助は政界では無く、ファッション界で生きていきたいという意向を明かすと、水族館に行くという月海を強引に自宅に連れ込んで、そのオタクファッションを改めさせる。修は女化し込んだ月海を見て、一目惚れする。

月海の水族館行きに蔵之助と修まで同行する。クラゲに夢中な月海の姿を眺める修を見て、蔵之助は修が月海に惚れたと悟るが、同時に自分も月海を意識し始めている事に気付き、動揺する。月海がクラゲを見て、母を思い出し、急に泣き出すと、修はどうすべきか分からず、抱きしめる。その時から月海は修を意識し始める。

大手ゼネコン会社による天水地区の再開発プロジェクトが立ち上がり、民自党に支援が要請されると、慶一郎はプロジェクトの成功が票に繋がると睨み、プロジェクトへの対応を秘書の修に一任する。プロジェクトの存在を知った蔵之助は、天水館の5人に伝える。千絵子は母に連絡し、天水館を売る意向を初めて知る。蔵之助は呑気な5人を叱咤し、プロジェクトの地区説明会への参加を勧める。

皆と共に会場に到着した月海は、修と再会するも、オタク姿では認識してもらえずに落胆する。プロジェクト担当の稲荷が説明を始めると、5人は騒がしい事を責められ、会場から撤退する。説明会を終えた稲荷は、民自党と繋がる修に色仕掛けを画策する。月海は修と稲荷が一緒にいる現場を偶然目撃し、失意に暮れる。

蔵之助は天水館に戻った5人に、説明会で反対の意思を示さなかった事を責める。そこに稲荷が挨拶がてらやって来ると、蔵之助は天水館から皆が出て行かないと啖呵を切り、天水館を買うと宣言して稲荷を追い返す。その夜、稲荷は修に薬を盛って眠らせ、ホテルで関係を持った事にする。

翌日、5人は蔵之助の主導でフリマに参加し、それぞれに出品をして資金稼ぎを図る。どれも売れずに困っていると、月海が作成したクラゲの人形が好評を得た為、皆は協力し合い、即席で作って大量に売る。

稲荷は関係を持った事を明かして修を欺き、プロジェクトの成功を確信する。しかし、鯉淵家の運転手の花森が、修の童貞を明かし、稲荷は驚く。月海は修と稲荷の関係を知り、オタクの自分とは釣り合わないと意気消沈する。蔵之助は月海も普通の女だと諭すが、月海はずっとこのままだと告げ、自分の殻に閉じ込もる。月海は母を思い出し、自作したクラゲのドレスを纏い、夜空を見上げる。その姿を見て感銘を受けた蔵之助は、妙案を思い付く。

翌日、蔵之助は月海がデザインしたクラゲのドレスを作って売る事を5人に提案する。皆、興味を示さず、呆れるが、蔵之助は千絵子とジジを誘惑し、屋敷に招いて協力させ、月海と共にミズクラゲをイメージしたドレスを完成させる。その最中、慶一郎に騒がしさを叱られ、息子だと発覚するが、蔵之助は一計を案じ、女なのに政治家の息子として育てられたと偽り、切り抜ける。その後、まややとばんばも食事に釣られ、協力する事になる。

慶一郎が政治資金パーティを開く事になり、そこでプロジェクトへの支持を表明する運びとなる。蔵之助は月海達と協力してドレス制作に励む内に、月海の熱意に惹かれていく。蔵之助は、母と生き別れになり、父の屋敷に住む事になった時の事を明かし、大切な物はある日突然無くなるから失ってはいけないと月海に説く。

屋敷に戻り、修からパーティの件を聞いた蔵之助は、パーティの日にファッションショーをぶつけ、金持ちの客を集めて、再開発への反対の意思を表明する事を月海達に提案する。月海が開催場所に天水館を提案すると、蔵之助はそれに賛同し、モデルに自分自身とまややを指名する。自分の体型にコンプレックスを抱くまややは激しく拒絶するが、蔵之助はまややは実はモデル体型で適任だと説得する。月海の熱意に押され、まややは渋々承諾する。

それから月海達はショーの為のドレス制作に明け暮れる。稲荷は天水館のオーナーから売りたくないという意向を聞き、改めて修に姑息な手段で働きかけるが、修は再び自分を欺いた稲荷を引っ叩いて、立ち去る。その後、ぷかぷかの前を通りがかった修は、そこでクラゲを眺める女を見て、月海だと気付く。修は説明会で気付かなかった事を詫び、食事に誘う。

翌日、月海と修のデートを知った蔵之助は、千絵子に月海の着物を仕立ててもらうと、自ら月海にメークを施し、内心動揺しながらもデートに送り出す。修との食事の席で、月海はクラゲのドレスを売って天水館を買う計画と、ファッションショーの予定を明かし、全てが蔵之助のおかげだと告げる。修は蔵之助がパリにいるデザイナーの母と別れ、屋敷に来たばかりの頃、クローゼットに閉じ込もって、誰とも打ち解けなかった事を明かし、ようやく居場所を見つけ、それを失いたくないのだと察する。月海が修に失いたくない物を尋ねると、修はそれが月海だと打ち明け、告白し、結婚前提の交際を申し込む。

ショーの日が迫り、月海のデザインを元に、ドレスの制作が大詰めを迎える。そしてショー当時、10着のドレスが完成する。その朝、天水館に稲荷が突然やってくる。稲荷はオーナーをイ・ビョンホンのプラチナチケットで買収し、天水館の取り壊しが決定した事を明かすと、ショーが悪あがきだと告げて去る。蔵之助はやってみないとわからないと発破をかけるが、一同にたちまち諦めムードが漂い、それぞれ自分の殻に閉じ込もってしまう。ぷかぷかを訪ねた月海は、再開発に伴って閉店する事を知り、悲しみに暮れる。

慶一郎は修を伴って商店街を街宣カーで訪れ、再開発のアピールを始める。そこへ蔵之助が花森の運転する街宣カーに乗って現れ、妨害を図ると、慶一郎の息子だと明かした上で、ファッションショーの開催を発表する。天水館の5人はその模様を生中継で見守る。蔵之助はテレビ越しに月海達に叱咤激励し、絶対に諦めない旨を告げる。感動した5人は商店街に駆け付け、蔵之助と合流する。

その夜、資金パーティに臨んだ慶一郎と稲荷は、閑散とする会場に呆然とする。一方、天水館には大勢の客が詰めかけ、館内に特設されたランウェイで、蔵之助とまややによるショーがスタートする。一同はトラブルの頻発にもめげずに協力し合って乗り越え、ショーは盛況を博す。

ショーが成功裏に終演すると、蔵之助は月海にドレスを着てみる様に促す。ドレスを着て女化し込んだ月海の姿を見て、蔵之助はその可愛さを褒める。二人はタコクラゲに似た満月を見上げ、ショーの成功を喜ぶ。

程なく、修は慶一郎を代弁して、再開発の全面中止を表明する。一方、天水館にはドレスの注文が相次ぎ、蔵之助はインドで縫製工場を見つけてきた事を一同に報告する。ドレスのブランド名はジェリーフィッシュに決定する。

 

 

原作が少女漫画?らしく、本作のノリも全体的にそんなテイストを醸しだしており、おっさんが観るには多少キツいかなぁっていう印象。主人公の月海を筆頭に天水館で暮らす女子5人は、それぞれが異なるオタク趣味を持ついわゆる腐女子で、更に親の仕送りで生活するニートという設定が笑える。そしてそこに絡んでくるのが女装オタクの蔵之助で、その兄の修が堅物の童貞という超絶コミカルな役どころがこれまた笑える。原作がどの程度再現されているのかは分からないが、月海役の能年玲奈はそのまんまナチュラルな役作りで、あまちゃんとカブるのは否めない。こういう役ばかりだと今後しんどいんじゃないかなぁと勝手に心配してしまう。まやや役の太田莉菜のキレっぷりが半端無くて、主役の能年を食ってしまう勢いなのだが、その存在感に圧倒された。キレっぷりと言えば、稲荷役の片瀬那奈も可笑しかった。この人はこういう悪女役を演じると活き活きしているのが最高だわ。売れっ子俳優の菅田将暉って女装する役だからかガリガリすぎるのが気になったが、本作の為に痩せたのだろうか。しかしまぁ、キラキラした作品でしたな。

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