チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

縞模様のパジャマの少年

マーク・ハーマン監督作「縞模様のパジャマの少年」("The Boy in the Striped Pyjamas" : 2008)[DVD]

大戦下のドイツで、軍人を父に持つ子が強制収容所のフェンス越しにユダヤ人の子と出会い、親交を深めていく様を描く歴史ドラマ作品。

第二次大戦下のベルリン。ユダヤ人はナチスによる苛烈な迫害を受け、町から強制退去された後、収容所に送られる。その最中、8歳の無邪気で快活な少年ブルーノは友人に恵まれ、ナチス幹部の父ラルフとその妻エルサ、姉グレーテルと共に豊かな暮らしを送る。

ラルフの昇進が決まり、一家はベルリンを離れ、田舎に引っ越す事が決まる。ブルーノは学校を辞めざるを得ず、また友達と離れ離れになる事を寂しがるが、ラルフは軍人は国の為に任務に従う必要があると説き、理解を求める。その夜、自宅に来賓を呼んで盛大にパーティが開かれ、ラルフの父マサイアスと母ナタリーも訪れる。ナチスを快く思っていないナタリーは、ラルフの昇進に否定的な意志を示すが、ラルフはそんなナタリーの言動を窘める。

出発の日、ブルーノは友達を招いて、最後の遊びに興じた後、皆に別れを告げ、家族と共に車に乗り、ベルリンを発つ。一家は汽車と車を乗り継ぎ、新居となる田舎の屋敷に到着する。常に警護が付くその屋敷には、軍関係者が頻繁に出入りし、遊ぶ場所が無いために、ブルーノは早くも不満を抱く。ブルーノは自分の部屋の窓から見える農場に、縞模様のパジャマを着た人々がいる事に興味を抱き、その事をエルサに話す。エルサはそれが強制労働収容所で、ブルーノが誤解しているのだと察する。ブルーノは知る由も無いが、ラルフはその所長に就任したのである。ブルーノは帰りたいとラルフに請うが、ラルフは真実を伏せ、国の為に大事な仕事をしているのだと理解を求める。ラルフとエルサは、農場にいる人達が自分達とは違っているのだと説き、関わらぬようにブルーノに命じると、ブルーノの部屋の窓から外が見えない様に封鎖する。

二週間が経ち、ブルーノは部屋での一人遊びに退屈すると、警護されている正面入口とは別の、裏口から外に出ようと画策する。エルサはブルーノが外に出ないか気を揉む。ブルーノは友達と学校が恋しいとラルフに訴えると、ラルフは姉弟に家庭教師を付ける事を伝える。

ブルーノはラルフの部下コトラーにブランコを作るための古タイヤを請う。コトラーは収容所から使用人として派遣されているユダヤ人のパヴェルに、タイヤを用立てる様に命じる。ブルーノはパヴェルに同行し、裏庭の倉庫へ入ると、その窓から敷地外へ出られると悟る。

ブルーノは庭の木にタイヤでブランコを作って遊んでいると、収容所の方角から上がる黒煙に気を取られ、転落して脚に擦り傷を負う。そこへパヴェルが駆け付け、手当をすると、自らがかつて医者であった事を明かす。ブルーノは医者が農場で働いている理由が分からず、不思議に思う。帰宅したエルサは、パヴェルに密かに礼を述べる。

程なく、家庭教師のリストがやってきて、姉弟にドイツの歴史を教える。リストは歴史に関心が薄いブルーノにドイツ年鑑を与え、読む様に促す。

読書より冒険が好きなブルーノは、敷地外への好奇心を抑えきれず、エルサの目を盗んで、倉庫の窓から外へ抜け出す。ブルーノは探検のつもりで林を抜け、その先にある有刺鉄線のフェンスで仕切られた収容所に辿り着く。ブルーノはそこで、フェンスの向かい側の資材に隠れて座っている、同じく8歳の少年シュムールと出会う。ブルーノは、シュムールが番号の付いたパジャマを来て、小屋を作っているという中の人達と遊んでいるのだと理解する。シュムールは笛で呼び戻され、二人は別れる。

翌日、ブルーノは空腹を訴えていたシュムールの為に、自宅からチョコと遊び道具のボールを持ち出し、再びフェンスの前に訪れるが、シュムールはおらず、フェンスの前で時間を費やす。ブルーノはフェンスに金属片を投げつけ、電流を帯びている事を知る。その一方で、リストによる指導は続き、グレーテルは次第にナチスに感化されていく。

ブルーノはエルサの目を盗み、再びフェンス前に訪れ、シュムールと再会する。シュムールは着衣がパジャマでは無い事を説き、兵隊に服を取られた事を明かす。ブルーノは自分の父が軍人だと明かした上で、服を取る様な兵隊では無く、皆の為になる大事な仕事をしていると主張する。シュムールは自分の父が時計職人をしていたが、今は靴の修理ばかりだと告げる。ブルーノは煙突から出ている煙が何を燃やして出ているのか尋ねるが、シュムールもよく分からず、答えに窮する。ブルーノがシュムールを屋敷に誘うと、シュムールはフェンスがブルーノが考える家畜用で無く人間用で、自分がユダヤ人である事を明かす。

エルサは、人が変わったようにナチスに傾倒するグレーテルに困惑する。ブルーノは煙突から漂う酷い匂いについてラルフに尋ねるが、ラルフはそれをはぐらかす。エルサはグレーテルを心配し、リストに教師としての適性があるのかラルフに問い質す。

グレーテルはその後もリストからユダヤ人に対する敵対意識と差別感情を植え付けられていく。ブルーノはユダヤ人であるというだけで、敵だと教えられる事に純粋な疑問を抱く。

ラルフはエルサとメイドのマリアを欺き、お菓子をバッグに忍ばせてフェンスに向かう。シュムールは服に付けられた番号が遊びでは無いと伝える。

ある時、エルサは収容所で燃やしているのはユダヤ人だとコトラーから聞いて憤慨し、ラルフに黙っていた事を詰る。ラルフは極秘事項で他言できないと諭すが、エルサは人の道に反すると抗議する。ラルフはユダヤ人の焼却も戦争の一部で、皆が望む祖国を作る為に必要な事だと反駁し、誰から聞いたのか問い質す。

その夜、マサイアスとコトラーを招き、一家で食事を共にする。マサイアスはナタリーが病気で来れなかったと理解を求める。マサイアスはリストに対する不満を述べるブルーノに、歴史が如何に大切か説く。その話の流れで、コトラーは大学で文学を教えていた父親が国を出て以来、連絡を取っていない事を明かすと、ラルフは行き先とその理由を執拗に追求し、裏切り者なら上官に報告する義務があると指摘する。その時、給仕で粗相をしたパヴェルに、コトラーは苛烈な暴行を加え、ユダヤ人に対する敵意をあからさまに示す。

ブルーノはコトラーの暴力をラルフが止めなかった事にショックを受ける。ブルーノはグレーテルに農場について尋ね、グレーテルはそれがユダヤ人の強制労働収容所であり、ユダヤ人が敵で、危険な害虫だから入っているのだと説くと、ラルフを誇りに思うように諭す。エルサはラルフがユダヤ人に対する酷い仕打ちに加担している事に耐え切れず、次第に憔悴し、夫婦仲が険悪になっていく。

ある時、ブルーノはグラス磨きの為に屋敷に派遣されたシュムールと出会う。ブルーノは自分達が敵同士だと告げ、シュムールに菓子を与える。そこへコトラーが現れ、シュムールに菓子を食べている理由を詰問する。シュムールはブルーノが友達だからくれたのだと釈明するが、ブルーノはコトラーの剣幕に怯み、シュムールは知らない子で、勝手に盗んで食べたのだと嘘をつく。

ブルーノは難を逃れたが、咄嗟に付いた嘘に悔み、涙する。その後、屋敷からシュムールの姿は消え、ブルーノは再びフェンスの前に訪れるが、会えずに終わる。

軍関係者が屋敷に多数訪れ、軍の作成したプロパガンダ映画を鑑賞する。その中では、収容所内は娯楽に満ちており、ユダヤ人が不自由なく生活しているという偽りの姿が描かれる。映画を盗み見たブルーノは、それを信用して安心する。

ブルーノは来る日も来る日もフェンスの前に訪れるが、シュムールは現れず、ある日ようやく、右目を殴られ負傷したシュムールと再会する。ブルーノは映画では収容所の暮らしが楽しそうだったと告げると、嘘を付いた事を詫び、まだ友達同士だという事を確認する。シュムールは和解に応じ、二人はフェンス越しに握手する。

程なくラルフはコトラーが前線に異動になった事を明かす。その直後、ベルリンの実家が爆撃に遭い、ナタリーが死んだ事が伝えられ、一家は葬儀に参列する。エルサはナタリーの棺に、ヒトラーからの弔意が施されている事に憤り、それを取り払おうとするが、ラルフに制止される。

ブルーノはシュムールの元に通い続け、二人の親交は深まっていく。その一方で、エルサの精神状態は悪化し、夫妻の口論が絶えなくなる。痺れを切らしたラルフは、エルサと子供達を安全な場所に移り住まわせようと決意する。グレーテルはそれに同意するが、ブルーノは拒否する。

程なくしてシュムールは、父親がいつもと違う仕事に行って以来、帰って来ない事の不安をブルーノに打ち明ける。一方、ブルーノも翌日の午後に屋敷を離れる事を打ち明けると、かつて嘘を付いたお詫びと称して、シュムールの父親探しの協力を申し出る。ブルーノはフェンスの下の土を掘る事で中に入れる事を知り、シュムールはブルーノの為に囚人服と帽子を持参する約束をする。

翌日、屋敷からの出発を控えたブルーノは、サンドイッチを作ると、スコップを持って屋敷を抜け出す。フェンス前に到着すると、ブルーノはシュムールの持ち出した服を着て、敷地内に入る。やがて大雨が降り始める。ブルーノは収容所内部の様子が、映画で見た場所とはまるで違う事に戸惑うが、シュムールに請われ、父親探しに同行する。その最中、二人は他の収容者達と共に一斉に強制連行される。

エルサはブルーノが屋敷にいない事に気付くと、グレーテルやマリアと共に手分けして探し、やがて倉庫でブルーノが落としたサンドイッチを発見する。エルサはブルーノが外へ出た事を確信すると、ラルフにそれを伝える。

ブルーノとシュムールは収容者達と共に服を脱ぐように命じられ、二人はシャワーを浴びるのだが誤解するが、その後、ガス室に監禁される。ブルーノの足取りを追って収容所に辿り着いたラルフは、フェンス前にブルーノの着衣を見つけ、中に入った事を察知し、内部へ探しに向かう。ラルフを追ってエルサとグレーテルもフェンス前に辿り着き、事態を把握する。程なく、ガス室に薬剤が投入され、ブルーノとシュムールは状況を理解できぬまま最期を迎える。ラルフはブルーノがガス室に入った事を察知し、止めに向かうも間に合わずに立ち尽くす。エルサはブルーノの死を悟ると、崩れ落ち、慟哭する。

 

 

大戦下のドイツにおける忌々しい強制労働収容所の一幕を、一風変わった視点で描いた作品。境遇が真逆の少年が出会い、親交を深めるほのぼのとした作品かと思いきや、あれよあれよと衝撃の鬱EDに突入してしまうから、なんともやるせない気持ちにさせられた。また二人の子役がちっこくてかわいいだけに、結局助からねえのかよって思わず悪態をついてしまった。特にエイサ・バターフィールドが本当に純粋な歳相応の男の子って感じだから、このまま大人にならないで欲しい(笑)。しかし、ドイツの物語を英語ベースで作るっていうのは、どうしても違和感を禁じ得ないんだよなぁ。もちろんドイツ語は全く分からないから、英語の方が理解しやすいのだが、ニュアンスが表現できない様な気がする。こんな事言っても詮無い事なのだけどさ。それにしても印象深い作品で心にグッと来た。

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