チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

日本のいちばん長い日

原田眞人監督作「日本のいちばん長い日」(2015)[BD]

昭和天皇の聖断を受けた鈴木内閣が、陸軍の企てたクーデターの危機を回避し、終戦へと導くまでの道のりを描く歴史ドラマ作品。

1945年4月、参内した鈴木貫太郎は拝辞の許しを請うも、天皇からの強い要請を受け、内閣総理大臣の大命を拝す。鈴木は組閣に当たり、天皇の意向を忖度し、陸軍大臣に侍従武官時代からの知己である阿南惟幾を起用する事を決め、陸軍省に打診する。参謀総長梅津は阿南の入閣に伴い、陸主海従路線への転換を企図するが、前大臣杉山はそれを陸海軍一体化に抑え、三つの条件を課す事にし、鈴木はそれを承諾する。阿南入閣の一報が省内軍務課に届くと、畑中少佐を始め、中堅将校らは陸軍の士気の高まりを確信して歓ぶ。阿南は戦死した次男惟晟を慮り、次女喜美子に結婚を正々粛々と執り行う様に促す。鈴木は阿南の自宅を訪ね、入閣を要請する。程なくして、米国大統領ルーズベルトが死去し、更に独総統ヒトラーが自殺する。

5月25日、東京大空襲により、都心に甚大な被害が生じる。宮殿と海軍省が焼失すると、鈴木と情報局総裁の下村はお詫びの参内に向かう。その後、内閣は戦局の協議の場を持つが、阿南と海軍大臣の米内は陸海軍の主導権を巡って激しく衝突する。

6月22日、御文庫地下防空壕で御前会議が開かれる。天皇東京大空襲で受けた甚大な被害に鑑み、先の会議で決定した、本土決戦で勝利を挙げた上での和平交渉を翻し、戦争終結に向けた具体的な研究と実現への努力を要請する。鈴木は天皇の速やかなる和平への強い希望を確信する。天皇は阿南を別途呼び出し、喜美子の結婚式が無事に済んだのかを尋ねる。阿南は天皇の気遣いに感激する。東条は阿南の出張中に陸軍省を訪ね、天皇の発言の解釈について持論を将校らに説き、本土決戦こそが唯一の道だと触れ回る。首相官邸で閣議が開かれ、米内は総力戦を戦う糧食がもう無い事を主張する。東郷、安倍らは本土決戦を見据え、松代への宮城移転を図る事を是とするが、阿南は東京で国民と苦痛を味わいたいと望んでいる天皇の意向を忖度する。

7月27日、ポツダム宣言が発令され、日本に無条件降伏が勧告される。閣議において、鈴木は天皇による受諾の意向を伝える。阿南は国体護持に関しての確証が与えられていない事を危惧し、拒否すべきだと主張する。鈴木は勧告の静観を決定する。その直後、広島に原爆が投下され、ソ連の参戦が決定する。鈴木は総辞職を拒否し、現内閣で戦争の決着を図る決意を表す。一方、陸軍内ではポツダム宣言の受諾に反対する声が高まり、阿南は義弟の竹下に閣議で本土決戦を主張する様に要請される。

鈴木は最高戦争指導会議を開き、ついで閣議を招集、その跡、抜き打ちで御前会議を開いて聖断を仰ぐという禁じ手を使う事で、身を賭して受諾に持ち込む事を企図し、内閣書記官長の迫水にその旨を伝え、準備を始めさせる。迫水は鈴木の命を受け、海軍、参謀、陸軍を回り、緊急対応と欺く事で御前会議開催に必要な書面の花押署名をさせる。最高戦争指導会議において、鈴木は戦争継続が不可能であり、受諾して終結させるほかないと主張する。阿南は国体護持、天皇の国法上の地位を変更しない事、占領が小兵力小範囲である事、武装解除が日本人の手で行われる事の四条件が受諾の必須条件であり、受け入れられなければ戦争を継続すべきだと主張する。米内は事実上敗北しており、ありえない条件だと一蹴するが、阿南は頑として譲らない。その時、長崎への原爆投下が伝えられる。

鈴木は参内し、最高戦争指導会議で結論が出ず、閣議に入る事を報告すると、聖断を仰ぐ見込みを伝え、天皇はそれを理解する。鈴木の予想通り、閣議は紛糾する。一時、陸軍省に戻った阿南は、中堅将校らによる蹶起案を受け取る。それは全国に戒厳令を敷いた後、内閣を倒して、軍政権確立を目指すというものであり、阿南は対応に苦慮する。鈴木は阿南が戻るや否や、抜き打ちで御前会議を開催する。阿南は安井から蹶起の阻止が阿南の一挙手一投足に掛かっていると奮起させられる。

8月10日の御前会議において、阿南はあくまで国体護持の保証を主張し、四条件案による終結であれば受諾に賛成する意向を示すと、梅津もこれに同意する。枢密院議長の平沼は東郷の原案に賛成すると共に、阿南の主張にも理解を示す。戦争指導会議のメンバー6名は賛成3反対3で拮抗した為、鈴木は天皇に聖断を仰ぐ。天皇は東郷の意見に同意すると、戦争を速やかに終結させ、日本国民が生き残る事で、将来再び立ち上がってもらうべきだと説く。

阿南は陸軍省に戻って聖断を伝えるが、中堅将校らは激しく反発する。阿南は皇室保全の確証が得られて受諾が初めて実行されるのであり、さむなくば戦争を継続すると主張し、和戦両様の構えで連合国側の回答を待つ意向を伝える。受諾決定を不服とする東条は参内し、その旨を奏上するが、天皇に説き伏せられる。

陸軍は独自に天皇の意志に反対する訓示の新聞掲載を企図する。阿南は軍務課長荒尾から陸軍中央が、阿南を担ぎ出そうというクーデター派と、阿南ごと倒閣を目論む過激派の二つに分かれている事を伝えられる。迫水は徹底抗戦を呼びかける檄文が新聞社や放送局に出回っている事を知り、下村に掲載を阻止する様に進言した事を鈴木に伝える。鈴木は阿南が望むならそのまま流す様に伝える。下村は阿南に請われ、戦争終結論と徹底抗戦論の二つを掲載する事を認める。

8月11日、阿南の三鷹の実家に憲兵隊と共に畑中と井田が訪れる。畑中らは和平派が国賊であり、全滅か勝利しかない時に妥協的な国体護持などあり得ないと主張すると、戦争継続を遂行できるのは阿南だけだと進言する。翌12日、連合国側からの回答が届くと、"subject to"の解釈を巡って物議を醸す。陸軍は、天皇陛下及び国家統治の権限が連合軍最高司令官に「隷属する」と訳しうる事に憤激する。

阿南は辞世の句を妻綾子に託すと、実家を離れる。梅津は参内し、回答が天皇の尊厳を冒涜していると奏上するが、天皇は文言が気に入らないという理由での戦争継続を否定する。 畑中は省内の阿南を訪ね、受諾を阻止できぬなら切腹すべきだと詰め寄るが、将校らに制止される。13日、阿南は参内し、日本国の形態決定に大きな不安を抱えている旨を奏上するが、天皇は国体護持への確証を説き、阿南を諭す。

畑中ら若手メンバーは蹶起の計画を練り上げる。荒尾は陸軍大臣、参謀総長、東部軍司令官近衛師団長の四者の承諾を実行条件に課す。井田はそれが無ければ理念無き逆賊に堕ちると説く。官舎に阿南を訪ねた荒尾達軍務課のメンバーは、閣議の席に押し入り、和平派要人を監禁した後、天皇に聖慮変更を迫るという計画書を阿南に提示し、承諾を迫る。阿南は閣議に全力を注ぐ意向を伝え、軽挙妄動を慎む様に諭す。その後、閣議が開かれ、鈴木は受諾への結論を閣僚に募る。阿南は受諾賛成多数が判ると、閣議を抜け、陸軍省で連絡を待つ軍務局長吉積に、閣僚の大多数が反対に回ったと偽って伝え、自分が戻るまで待機する様に命じる。鈴木は閣議の結果を天皇に伝え、重ねて聖断を仰ぐ事を決めると、散会する。阿南は御前会議の日延を鈴木に要請するが、鈴木はソ連が今にも侵攻して国土が分断されかねない事を危惧し、それを拒む。

8月14日、阿南は近衛師団長の森、東部軍司令官の田中、憲兵司令官の大木戸と時局の協議を行う。阿南は若手らによる蹶起を阻止する一方、罰する事も極力避けたいとの意向を告げる。天皇は御文庫地下壕に全閣僚を招集すると、自らが犠牲になっても国民を助けたいという希望と共に、求められるならマイクの前に立ち、どこへでも出かけて行って、国民を説き諭す意向を伝える。天皇は内閣に対し、終戦に関する詔書を用意する様に命じる。阿南は陸軍省に戻り、天皇の聖断を報告する。畑中は辞職して覆す様に要求するが、阿南は納得できぬなら自分を斬ってから蹶起に及ぶ様に命じる。畑中は頑強に反対し、知己の古賀と会って、蹶起に向けた行動を開始する。一方、阿南の実家に惟晟の部下だった青年が訪ねてきて、綾子に生前の惟晟の様子を伝える。

田中に追い返された畑中は、陸軍省に戻り、井田達が既に自決を覚悟している事を知る。畑中は翌日の天皇の放送までに無為に過ごすのは罪悪だと説き、近衛師団、宮城警備と連携し、時局収拾の最後の努力をすべきだと主張する。井田は畑中を諌めるが、椎崎は畑中に同調する。一方、閣議では詔書の文面を巡って紛糾し、阿南は米内と衝突する。その後、米内は陸軍中央に鈴木と米内の暗殺計画が企図されている事を知ると、翻意し、阿南案に賛同する。鈴木の一存で詔書は阿南の主張通りに決定される。阿南は省に戻って辞表を認める。そこに荒尾が駆け付け、去就について尋ねると、阿南は軍が無くなっても国が残り、勤勉な国民の手で必ず復興が成される見通しを告げ、外地に残された将兵の復員を早急に実現し、平静に終戦処理を行う事を指示する。

畑中と椎崎らは近衛師団作成命令書を持ち回って連判を進め、蹶起に必要な承認があると欺く事で、近衛師団第二連隊長の芳賀を説得し、切腹前の井田に森の説得を請う。その頃、綾子は阿南が最期を迎える前に惟晟の戦地での活躍を伝えるべく、実家を出発して徒歩で官舎に向かい始める。

深夜、閣僚達は詔書への署名を終える。阿南は鈴木を訪ね、頑強に持論を貫いてきた事の理解を求める。鈴木は皇室が絶対に安泰だとの見通しを伝え、阿南の暇乞いを悟る。阿南は最期を迎えるべく、官舎に戻る。宮内省天皇が赴き、玉音の収録が行われる。

井田と椎崎は森に本土決戦を主張する。一方、畑中は竹下の元を訪ね、阿南の説得を請うが、竹下は無駄だと諌め、一触即発となる。玉音の収録が終わり、録音盤は宮内省で保護される事になる。井田と椎崎は尚も森に決断を迫るが、森は首肯せず、そこに戻った畑中が森を射殺する。畑中達は命令書に森の判を押すと、芳賀に蹶起の遂行を連絡し、芳賀は下村を始め録音に関与した者の確保と、皇宮警察武装解除を指示する。しかし、森の暗殺を受けて蹶起を翻意した井田は、東部軍司令参謀の高嶋に森の死を伝える。

阿南は官舎に訪れた竹下に、自刃により幕引きを図る意向を伝える。畑中達により、下村や放送関係者が次々に逮捕、監禁される。田中は高嶋に叛乱軍の鎮圧を命じ、高嶋は井田に畑中の説得を命じる。芳賀は森の不審死を知って、蹶起承諾の真偽を疑うと、5時までに阿南が来なければ撤退する意向を畑中達に伝える。畑中達は下村を尋問し、録音盤の在り処を聞き出そうとする。そこに井田が駆け付け、蹶起の失敗を伝えると、夜明けまでに兵を引くように諭すが、畑中は録音盤が宮内省から出ていない事を知り、捜索を始める。

夜明け前、阿南の官舎に井田が訪れる。阿南は井田の自刃の意向を厳しく咎めると、竹下と共に訣別の宴と称して酒を酌み交わす。高嶋は芳賀に連絡し、命令が虚偽である事を伝える。芳賀は畑中に引く様に促すが、畑中は天皇の放送前に自分達の気持ちを国民に伝えたいと要望し、叛乱の障害となる芳賀を殺そうとするが、古賀に諌められる。畑中はその足で放送局に押しかけ、天皇の放送前に時間を割く様に強要するが、局員の反発に遭って不振に終わる。

田中は宮城前に集まった反乱軍に命令が虚偽である事を告げ、鎮圧する。阿南は官舎で自刃する。程なく、綾子が官舎に到着し、阿南の遺体の前で惟晟の戦地での活躍ぶりを伝える。畑中、椎崎、古賀は自決する。玉音の目処が立つと、鈴木は総辞職を決意する。15日正午、玉音が放送され、日本は終戦を迎える。

 

 

歴史に全く明るく無いので、我が国が終戦に至るまでにこんな紆余曲折があった事を知らなくて恥ずかしい限り。原作はどうなっているのか知らないが、二時間強という尺の映画に収めるのはさぞ難儀だった事だろうと思う。登場人物は多いし、扱うべき事象も多いから、シーンの一つ一つが短く、細切れになっており、慌ただしくて余韻を感じさせないから没入感にやや乏しい。鈴木、阿南、畑中、そして昭和天皇の四者が主役格となっており、それぞれに見せ場が用意されているのだが、そのせいで一本の大きな骨格が無い為、物語性が薄く、豪華キャストと潤沢な予算による歴史再現ドラマになってしまっている印象を受けた。本木雅弘による昭和天皇がまるで実際に見てきたかの様なハマりっぷりで、東条を論破するシーンでは鳥肌が立ち、本作では一番記憶に残った。松坂桃李は現代風のイケメソ過ぎて、鬼気迫る感が足りないんだよなぁ。

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