チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

インヒアレント・ヴァイス

ポール・トーマス・アンダーソン監督作「インヒアレント・ヴァイス」("Inherent Vice" : 2014)[BD]

クサ好きヒッピー探偵が、元恋人の関与する富豪失踪事件の調査に乗り出し、やがてその背後に潜む陰謀に翻弄されていく様を描くクライム・コメディ作品。

 

1970年カリフォルニア。ゴルディータ・ビーチに暮らし、私立探偵を営むドックは、クサ好きのヒッピーである。ある夜、久方ぶりに元恋人のシャスタがドックを訪ねてやってくる。シャスタは、ロサンゼルスのユダヤ人にして不動産王のミッキー・ウルフマンと交際し、援助を受けている事、ウルフマンの妻スローンが愛人と共に悪事を企み、ウルフマンを精神病院に入れようとしており、その協力を強要されている事を明かすと、ドックの恋人で地方検事補のペニーに相談し、助けてもらえないかと請う。シャスタは車で転々としながら逃亡生活を続けている事を明かすと、ドックの前から姿を消す。

翌日、診療所の一室に構えたドックのオフィスに、黒人ギャングのタリクが相談にやってくる。タリクは、ウルフマンお抱えの用心棒のバイカー集団「アーリア人同胞団」のグレンが取引の金を払わない事を明かし、ドックに話を付ける様に依頼する。

ドックはウルフマンにより黒人ギャングの界隈を潰して宅地開発が行われた「チャンネル・ビュー」住宅地に訪れ、その中に建つ風俗店のジェイドにグレンの居場所を尋ねる。その直後、ドックは不意を突かれて殴られ、気絶する。程なく、店の外でドックはグレンの死体の傍で目を覚まし、因縁の仲の刑事ビッグフット率いる警察隊に包囲され、連行される。

ビッグフットは、ドックがシャスタとグレンとの関係を疑って、グレンを殺したのだと指摘すると、ウルフマンが失踪した事を明かす。ビッグフットは狂信的な集団の仕業だと疑っており、FBIが関与してくる前にその集団名を白状する様にドックに命じる。そこにドックの旧知の弁護士ソンチョが駆け付け、証拠不十分だと説く事でドックの釈放を要求する。

その後、ドックは釈放され、メディアではウルフマンの失踪事件が大きく取り沙汰される。ドックはシャスタもまた失踪した事を知る。程なく、サックス奏者コーイの妻ホープから連絡があり、ドックはホープの家を訪ねる。ドラッグカウンセラーを営むホープは、コーイがシャスタと親しかった縁でドックに相談を持ちかける。ホープはコーイとヘロイン仲間として出会った後、娘アメジストを儲けた事を明かすと、バンド仲間を通じてコーイの死を知ったものの遺体の確認をしておらず、またコーイが失踪した直後に高額の入金があった事から、コーイの死を疑う。

ドックは社交界で華々しく活動するスローンの元に身分を偽装して訪ねる。ドックはスローンを言葉巧みに欺き、スローンからオーハイの施設クリスキロドンに寄付した事を聞き出す。

ドックはペニーと会い、ウルフマン失踪とスローンらによる企みについて明かすと、調査を依頼する。その直後、ドックはFBI捜査官の二人組と遭遇し、黒人過激派タリクと会った事について尋問を受ける。FBIの二人は過激な黒人民族主義者の捜査を進めており、タリクがドックを訪ねた翌日にタリクの囚人仲間のグレンが殺され、ウルフマンが失踪し、ドックが逮捕された事が不可解だと指摘すると、タリクの相談内容を問い質すが、ドックは守秘義務を盾に証言を拒否する。

診療所にジェイドからドック宛の手紙が届き、ドックは指定されたクラブでジェイドと落ち合う。ジェイドは罪をチャラにすると唆され、店でドックを騙した事を詫びると、ドックを気絶させたのが背中に鍵十字のタトゥーを持つ男だと明かす。その後、ジェイドはドックをコーイと引き合わせる。死んだ事になっているというコーイは、ホープとアメジストの近況を知らせる様に依頼する。ドックはジェイドの手紙で警告された「黄金の牙」についてコーイに尋ねる。コーイはそれが密かに何かを運んでいる大きな船だと明かすと、姿を消す。

ドックは港近くに停泊する「黄金の牙」と称する船を、海岸から確認する。ソンチョはその船がバミューダトライアングル付近を行き来しており、素性がよく分からない船だと説き、ウルフマンが失踪の前にその船で近辺を一周したらしい事を明かす。ドックはシャスタも同行し、ウルフマンと共に失踪したのだと疑い、その身を案ずる。ソンチョは、FBIが糸を引き、司法省が仲介する事で、ラスベガスのカジノのオーナーをイタリア系からアングロサクソン系のウルフマンに挿げ替えるという策謀をドックに伝える。

その後、ソンチョはシャスタが「黄金の牙」でサンペドロから出航した事をドックに伝える。 ドックはペニーを自宅に呼び、クサに興じる。ペニーはコーイが公安の情報提供者として囲われており、カリフォルニア自警団に潜入している事を明かす。

ドックは雑誌記者を装い、コーイの所属していたバンドメンバーの家を訪ね、そこでコーイと再会する。ドックはホープとアメジストの近況をコーイに知らせる。コーイは国を救う為に情報屋に志願したものの、その後、自分が利用され、ベトナム戦争に対する世論誘導など、国民を間違った方向へ従わせる片棒を担がされている事に気付いた事を明かし、それが国の自殺行為でありヤク中同然だと説く。コーイは家族の元に戻りたい意向を示し、ドックへの協力に応じる。ドックは雇い主について尋ねるが、コーイはドックが既にそれを知っていると説き、シャスタを見つける様に促す。

ジェイドは「黄金の牙」が、栽培、密輸、精製、売人ネットワークまで全てを牛耳り、荒稼ぎするインドシナのヘロイン・カルテルの名であり、ジェイドの店がマネー・ロンダリングの拠点だとドックに明かす。ドックはLA市警本部にビッグフットを訪ね、情報屋であり自警団にも雇われているコーイについての調査を依頼する。

その後、ビッグフットからの連絡を受け、グレンの妹クランシーが診療所にドックを訪ねてやってくる。クランシーはグレンを殺した者を探しており、ウルフマンが全財産を人に譲渡しようと企てていた事を明かすと、それが粗悪な家を売ってきた罪悪感に依る行為だと推察する。ドックは何者かがウルフマンの改心に反発し、ウルフマンが消えたのだと疑う。クランシーは、グレンの死んだ日のウルフマンの警護担当がビーバートンだった事を明かし、直前になってグレンと交代した事で、グレンが死に、船が消えた事を訝る。その直後、ドックの家にシャスタからの絵葉書が届き、シャスタはその文面で二人で過ごした最後の頃の思い出を記す。

翌日、ドックは「黄金の牙エンタープライズ」の本部を訪ね、歯科医ブラットノイドと面会する。ヤク中のブラットノイドはドックがヤク漬けのヒッピーだと察すると、「黄金の牙」が歯科医が中心になって税金対策で作った組合だと明かし、ヤクを勧める。そこへジャポニカという若い女がブラットノイドに会いに来る。かつてドックは探偵としての初仕事として、家出したジャポニカ悪徳弁護士で大富豪の父親に依頼されて連れ帰った事があり、ジャポニカは精神病院のクリスキロドンに入れられるのを拒み、逃げている事をドックに明かす。

その夜、ブラットノイドはトランポリン中の事故で不審な死を遂げる。ビッグフットは死の直前まで一緒にいたドックの関与を疑う。ビッグフットはビーバートンがヤクの売人エル・ドラノの家で目撃され、その家でコーイが高純度のヘロイン「チャイナ・ホワイト」の過剰摂取で死んだ事になっている事を明かす。更にビッグフットはビーバートンがムショ入りするまで高利貸しのプロシアに雇われていた事を明かすと、ドラノがプロシアによく金を借りていた事から、ビーバートンが金の取り立てに行った可能性を指摘する。ドックはブラットノイドの首に咬み傷があった事を知ると、「黄金の牙」との関与を疑い、ただの税金逃れの団体では無いと察する。

ドックは「黄金の牙」が麻薬中毒治療も商売にするはずだと考え、クリスキロドンを訪ねる。ドックは院内で修養するコーイと遭遇し、その傍に鍵十字のタトゥーの男を発見する。その直後、ドックはFBIの監視下に置かれるウルフマンを発見し、密かに接触を図る。ウルフマンは全財産を人に譲ってしまう夢から目覚める為に、友人達に入院させられた事を明かし、住宅が無料であるべきだと説く。ドックはシャスタの居場所を尋ねるが、ウルフマンはその問いに口を噤む。

程なく、姿を現したウルフマンはスローンと共にカジノ付きリゾートホテルの建設を発表し、大々的に復活を報じられる。その夜、ドックの家に再びシャスタがやって来る。シャスタはウルフマンとの関係が終わった事を明かすと、裸になる。ドックは誘惑のままにシャスタをファックする。ドックはシャスタの掛けるネックレスについて尋ね、シャスタは船に乗って遠くに行った事を明かす。シャスタは自分が貴重な積荷であり、「内在する欠陥」(インヒアレント・ヴァイス)により保険を掛けられないのだと説く。

ドックはペニーの事務所を訪ね、ウルフマンの失踪にFBIが関わっている事を明かし、プロシアの犯歴を照会させてもらう。ドックは、プロシアがLA市警に雇われた殺し屋として汚れ仕事を請け負っており、何度も逮捕されながら罪に問われず、毎回釈放されている事と共に、かつてプロシアが正当防衛でビッグフットの相棒インデリカートを殺した事を知り、市警の腐敗ぶりを嘆き、ビッグフットの心情を慮る。

ドックはかつて業務の過程でバットで殴られた事のあるプロシアのアジトへ赴く。ドックはそこでプロシアと再会するも、鉤十字のタトゥーを持つ男ビーバートンに欺かれ、LSDで昏睡させられた後、拘束される。ドックはビーバートンの隙を見て拘束を解くと、ビーバートンに奇襲を仕掛けて撲殺し、銃を奪った後、駆け付けたプロシアを射殺する。程なく、アジトにビッグフットが駆け付ける。ドックはビッグフットが自分をプロシアに仕向ける事で、「黄金の牙」のブツを奪取しようと企てた事に気付く。ドックはビッグフットにブツを押し付けられ、「黄金の牙」の餌にされる。

翌日、ジャポニカの父フェンウェイから連絡が来る。フェンウェイはジャポニカが世話になった為にドックを生かしているのだと説くと、依頼人のブツの返却を要求し、自分の店に呼び出す。その夜、ドックはフェンウェイの店を訪ねる。ドックはフェンウェイの語り口から、ブラットノイドの死がジャポニカを餌食にした事のフェンウェイによる復讐だと悟る。フェンウェイはブツの返却と引き換えに多大な謝礼を払うと提案するが、ドックはその代わりにコーイの自警団からの解放を要請する。フェンウェイはコーイが秘密を漏らさないという保証をドックに要求すると、解放の要請に応諾する。

その後、ドックは「黄金の牙」が差し向けた女にブツを引き渡すと、女からコーイのクレジットカードを受け取り、解放が認められた事を知る。ドックはクリスキロドンへコーイを迎えに行き、契約が終了した事を伝えると、ホープの元へコーイを送り届ける。また、「黄金の牙」の船は司法省に押さえられる。ドックの家にビッグフットが現れ、昨夜の件を詫びると、クサを食べ尽くして立ち去る。

程なく、ドックはシャスタと再会し、ヨリを戻すつもりでは無い事を告げ、シャスタもそれに同意する。

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