カーン・サクストン監督作「SUSHI GIRL/スシガール」("Sushi Girl" : 2012)[DVD]
犯罪グループが過去に強奪したダイヤの行方を巡って真相解明の為に集い、やがて仲間割れに発展していく様を描くクライム・スリラー作品。
デュークをリーダーとする、クロウ、マックス、フランシス、ネルソン、フィッシュからなる六人の強盗団は、犯罪組織の拠点を襲撃し、無数のダイヤモンドを強奪する。しかし、逃走中にバンが衝突事故を起こし、全員が負傷、運転していたネルソンが死亡する。衝突した車を運転していた男が、バンの様子を覗いに駆け付けるが、デュークは男を射殺する。警察の追跡が迫り、デュークはフィッシュにダイヤの入ったバッグを持ち出す様に命じると、一同は逃走を図る。その後、デュークのみが逮捕される。六年五ヶ月余りの歳月を経て出所したデュークは、迎えの車に連行される。
デュークは事件以来初めて、かつてのメンバー五人に会合と称して集合を呼びかけ、特別に設えた食堂に招く。中央のテーブルの上には若い女が横になり、職人による寿司の女体盛りが用意されており、デュークはただの器を演じる様に女に命じる。五人が揃うと、デュークはフィッシュの出所を祝して、皆に酒を勧めるが、五人はデュークの真意を図りかねる。
デュークは手前にある一般的な寿司ネタから、女の体の敏感な部分に近づくに連れ、刺激的なネタになっていくヤクザ式の食事を提案し、秘部にあるごちそうのフグには毒があり、運が悪ければ命を落とす事を明かす。デュークは外側から内側へ食事を進め、男気を試す様に促すと、食事を楽しみながら事件当日の顛末を語り合う事が、集合の目的だと明かす。フィッシュはダイヤを盗んでおらず、警察にも口を割っていない事を弁明し、家族の元に帰す様に請う。クロウはバッグから消えたダイヤの行方について問い質すが、フィッシュは警察が盗んだとしか考えられないと弁解する。マックスはそれが嘘だと指摘する。フィッシュは六年間、仲間を庇ってきた事を伝え、理解を求める。デュークはフィッシュに対する感謝を告げると、分前を欲しているのだと諭し、真実を語る様に迫る。フィッシュは五人の内の誰かが奪ったのだと主張する。デュークはダイヤの在り処を吐けば無事に帰すと約束し、フィッシュを椅子にテープで縛り付けさせる。
デュークはタイマーを用意すると、三分にセットし、一人ずつダイヤの在り処を尋問して、三分以内にフィッシュがそれに応じなれば拷問にかける様に促す。初めにマックスが尋問を始めるが、フィッシュはそれに答えず、マックスはフィッシュを殴り飛ばした後に肋骨を折る。フランシスは拷問という手法に難色を示す。マックスと犬猿の仲のクロウは、どちらが先に落とせるかで5000ドルを賭け合う事をマックスに提案し、尋問を始める。フィッシュはそれにも応じず、クロウはマックスの膝に金槌で箸を突き刺す。フィッシュがクロウを罵倒すると、激昂したクロウはデュークの制止を振りきって、金槌でフィッシュの頭部を殴り付ける。
デュークはフランシスに順番を回すが、フランシスはそれを拒む。デュークは関わりたくなければ分前を放棄する様に促す。フランシスが順番をパスし、マックスが再び尋問に臨む。マックスは靴下に入れた瓶を割った物でフィッシュの顔を苛烈に殴りつける。その様子を見たフランシスは戸惑い、六年の間に父親になった事を明かすと、デュークに集合させた理由を問い質し、その企みを疑う。デュークはフランシスが警察の犬だと指摘する。
次にクロウはフィッシュの歯をペンチで抜き始める。フランシスはデュークに犬だと見抜かれた事に動揺し、トイレに駆け込み嘔吐する。フランシスは子供の写真を取り出して詫びると、ドラッグで心を落ち着かせ、屋外で盗聴している刑事へと発信する無線機を隠す。
クロウは更にフィッシュの歯を抜き、デュークに制止される。フィッシュは拷問に屈し、警察に追いつかれてからの顛末を話そうとするが、突然、マックスが痺れを切らしてフィッシュを殴り続け、結果的に殺してしまう。クロウは情報が無ければ金が手に入らないとマックスを詰り、銃を突き付けてその責任を追求する。そこにフランシスが戻ると、全てがデュークによる茶番劇であり、仲間割れをさせる事で邪魔者を殺そうと企んでいるのだと指摘し、警官を買収してフィッシュに罪を被せ、マックスがその警官を殺した事で、出所したフィッシュと仲間が死ねば、全てがデュークの思惑通りだと主張する。
デュークは今までの会話がフランシスによって刑事に盗聴されていると指摘する。クロウはシャツを開ける様にフランシスに命じ、マックスは無線が無いと証明すれば信用すると告げる。フランシスはマックスがデュークに飼いならされた犬だと罵倒し、それに憤慨したマックスがフランシスのシャツを強引に開け、無線が無い事が判明する。その時、デュークがフランシスを射殺し、フランシスが裏で警察と取引し、仲間を売ったのだと明かす。
デュークに辟易したマックスは、デュークに拳銃を突き付け、分前を要求する。デュークと気脈が通じるクロウはマックスに銃を向け、デュークが騙すはずは無いと主張し、銃を下ろす様に命じる。マックスは咄嗟にもう一丁の銃を取り出し、クロウに向ける。クロウはマックスの父親を侮辱し、憤慨したマックスと激しい撃ち合いとなり、互いに致命傷を負う。デュークは背後からマックスを射殺すると、助けを請うクロウをも射殺する。
デュークはテーブルの上の女に近づくと、ダイヤの行方は掴めなかったものの計画が巧くいったと明かす。デュークは女を堪能する前に、秘部に乗ったフグの切り身を口にする。すると、途端に中毒症状が現れ、デュークは身動きが取れなくなる。女は起き上がり、全てが自分の企みだった事を明かすと、シガーカッターでデュークの指を切断し、自分から奪ったものを返す様に命じる。
事件当日、衝突した車には男の恋人だったその女も同乗しており、女は車内で恋人が殺されるのを為す術も無く目撃していた。女はデューク達が現場から去った後、恋人の元へ駆け寄り、そこでフィッシュがバッグの破れ目からこぼして行ったダイヤを発見し、回収したのである。
女は恋人といた頃が人生で一番幸せだったと述懐し、金では人生を取り戻せないと説くと、デュークを射殺する。女は復讐が最高の気分だと告げると、店の外に待たせた寿司職人の運転する車で立ち去る。女に買収された悪党が、刑事達を殺してバン諸共焼却する。