チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ザ・スリル

E・L・カッツ監督作「ザ・スリル」("Cheap Thrills" : 2013)[DVD]

生活に窮し、途方に暮れる男が、偶然出会った金持ち夫妻の提案する、現金と引き換えに無謀な事に実行するゲームに挑戦する様を描くブラック・コメディ・スリラー作品。

 

大卒で作家を志望したものの、身を立てる事が叶わず、自動車整備工場に勤めるクレイグは、愛する妻オードリーと赤子キーナンと共に、アパートで慎ましく暮らしているが、薄給故に生活費に事欠く様になる。ある日、クレイグは家賃滞納によりアパートの立ち退きを勧告され、更に畳み掛ける様に、工場の人員削減の対象となり、解雇されてしまう。

クレイグは工場を後にするも、解雇の件をオードリーに明かす事を躊躇い、友人と飲みに行くと偽ってバーに立ち寄る。途方に暮れるクレイグの前に、幼馴染のヴィンスが現れ、二人は5年ぶりの再会を果たす。クレイグは結婚し、子供がいる事と共に、現在の窮状について明かすと、4500ドルが必要で困っていると嘆く。クレイグは金の取り立てを生業としているヴィンスに、仕事の内容について尋ねるが、自分には不向きな仕事だと知る。

クレイグとヴィンスは、ひょんな事から客として来ていたコリン、ヴァイオレット夫妻に奢ってもらう事になる。羽振りの良いコリンは、ヴァイオレットの誕生日祝いと称して、気前よく二人に高級な酒を振る舞うと、グラスの酒を先に飲み干したら50ドル進呈、ダーツで的に当てたら50ドル進呈、客の女をキレさせ、顔を叩かれたら200ドル進呈などのゲームに挑戦させる。クレイグとヴィンスはコリンのペースに翻弄されながらも、眼の色を変えてゲームに興じる。

ヴィンスの提案でストリップ劇場に場所を移す事になる。クレイグはオードリーを気にかけ、帰ろうとするが、付き合うように促される。劇場で、コリンの指定したストリッパーの尻を叩いたら200ドルがもらえる事になり、ヴィンスがそれをやり遂げる。一同は咄嗟に店から逃げ出し、車に乗り込むが、クレイグはいよいよ帰ろうとする。そこに警備員が現れ、クレイグが叩いて逃げたのだと誤解し、殴りかかろうとする。クレイグはそれを否定し、弁解するが、コリンはクレイグに先に殴れば500ドル進呈すると提案する。クレイグは男を殴りつけるが、逆に反撃を受けて気絶する。

顔面を負傷したクレイグは、コリンの邸宅で目覚めると、500ドルを手にしている事を確認する。コリンは今夜の事が一生忘れない最高の経験になると説く。クレイグは帰りたいと請うが、ヴィンスに留まるように促される。コリンはパーティの準備と称して、別室の金庫から大量のドラッグを持ち出す。ヴィンスはその様子を覗き見し、金庫の中に札束の数々を確認する。クレイグはヴァイオレットの献身的な手当を受ける。

一同はテラスに出ると、ヴィンスがクレイグの靴に小便をかけ、コリンから金を貰う。憤慨したクレイグがトイレに駆け込むと、ヴィンスも同行する。ヴィンスは金庫内の15万ドルに上る現金についてクレイグに明かすと、協力して強盗する事を提案するが、クレイグは拒否する。ヴィンスは金が必要なら絶好の機会だと説くと、コリンが薬の所持の発覚を恐れ、警察を呼べないはずだと諭し、自分一人でも決行する意向を示す。クレイグはやむを得ず協力を決意する。

トイレから出た直後、ヴィンスがコリンにナイフを突きつけて脅す。コリンが金庫に鍵をかけていない事を明かすと、クレイグは金庫の札束を箱に詰め込み、持ち出す。ヴィンスが車の鍵を奪って逃げ出そうとした矢先に、実は格闘技を嗜むコリンは不意を突いてヴィンスのナイフを奪い、それをヴィンスの顔に突き付け、ヴァイオレットはクレイグに銃を向ける。コリンは二人に冷静になる様に諭すと、何も無かった振りをして水に流し、最初からやり直す事を提案する。コリンは金が腐るほどある事から、ヴァイオレットへの贈り物には工夫が必要だと説くと、二人で考案したのが、現金を賭けて無茶な挑戦をさせるゲームだと明かし、ヴィンス達は賞金として渡す予定の金を強奪しようとしたのだと説く。コリンは更に25万ドル用意している事を明かすと、帰るのは自由だと説き、ヴィンスは即座に話に応じる。

深夜二時を回り、クレイグは心配するオードリーに45分で帰ると連絡する。コリンはゲームを再開し、より息を長く止めていられた方に500ドルが進呈される事になる。ヴィンスに続いてクレイグが挑戦すると、ヴィンスはクレイグが自らの記録を上回ろうという時に妨害し、金を受け取る。

コリンは隣家の犬が庭に糞をする事に憤慨している事を明かすと、意趣返しとして、隣家に侵入して脱糞して戻ってきた方に1200ドルの進呈を持ちかける。クレイグは快諾し、隣家に向かう。ヴィンスは不法侵入で逮捕されかねないと諭すが、クレイグは家族の為と称してその決意を示す。二人は同時に隣家の屋内に侵入し、気張り始める。程なく、クレイグが先に脱糞し、証拠の写真を撮ると、大声を上げて脱出する。寝ていた子供が目覚めて、悲鳴を上げると、ヴィンスは慌てて脱出する。

クレイグはコリンに撮った写真を見せ、勝利を収める。隣家からの去り際に犬をさらって来たヴィンスは、殺して糞の元を断つ事を提案するが、コリンはその必要は無いと説き、不快感を示す。ヴィンスはクレイグが妨害を図った事に憤慨し、両者は啀み合う。

徐ろにヴァイオレットがクレイグを誘惑し始め、コリンはクレイグに誘いに乗る様に促す。クレイグは妻帯者である事を告げ、拒否するが、コリンはクレイグが財布に所持していた立ち退き勧告の紙を見た事を明かすと、ヴァイオレットとセックスすれば4500ドルを進呈する事を提案する。クレイグは背に腹は代えられず、ヴァイオレットとセックスをし、コリンはその様子を見てオナニーする。ヴァイオレットとコリンが果てた後、クレイグは約束通り、金を受け取る。

コリンとヴァイオレットが別室へ着替えに向かうと、クレイグは金を持って立ち去る。着替えを終え、戻ってきたコリンとヴァイオレットは、クレイグが帰った事を知り、困惑する。ヴィンスは自分がいるから問題無いと主張し、ゲームの続行を求める。コリンは二人の仲を割くのが不本意だと説くが、ヴィンスはクレイグとは高校以来、付き合いが無かった事を明かす。

コリンは気を取り直し、25000ドルで小指を切り落とす様にヴィンスに命じる。ヴィンスは躊躇するも、応じる事を決意する。そこにクレイグが戻ってきて、23000ドルで応じる意向を示す。クレイグは今月乗り切っても、無職では来月以降の当てが無く、20000ドルで余裕ができると主張する。ヴィンスは、自らもまた仕事の度に逮捕寸前の事をしていると訴えると、チャンスを譲る様に請う。クレイグはヴィンスが高校を辞め、努力をしてこなかったのだから自業自得だと詰る。二人は値切り合った後、クレイグが15000ドルを提案し、ヴィンスは食い下がる。コリンは自ら実行する事を拒み、代わりにヴィンスが不意を突いてクレイグの小指を包丁で切断する。ヴィンスは激痛に悶え苦しむも、現金を受け取り、安堵する。その直後、犬が小指を口にし、喉に詰まらせて死ぬ。コリンは犬の死体を回収する。

クレイグは自分には家族を養う責任があるが、ヴィンスは金を女と薬に使うだけの負け組だと罵る。ヴィンスは、クレイグこそ両親に大学へ行かせてもらいながら、作家にもなれず、自動車整備すら続かず、家賃の為に他の女とセックスし、小指まで切り落とす負け組だと反論する。

そこへコリンが犬を調理して戻ってくる。コリンは犬をそれぞれの皿に盛ると、先に完食した方に50000ドルの進呈を提案する。二人は吐き気を抑えながら、ほぼ同時に完食する。コリンは引き分けと判断すると、決定戦と称して、クレイグの小指を食べた方が勝者と告げ、小指を床に放る。クレイグはヴィンスを制して小指を奪取すると、嘔吐しながらも飲み込み、勝利が認められる。

ヴィンスは激昂し、クレイグに馬乗りになると、何度も苛烈に顔面を殴りつける。コリンはヴィンスを宥めるべく、テラスへ連れ出す。ヴァイオレットはクレイグの手当を行う。ヴィンスはかつていじめられっ子だったクレイグを守ってやったのが自分だと明かすと、クレイグが自分を見下している事に憤慨する。コリンは25万ドルでクレイグを殺す様にヴィンスを唆し、心機一転、人生をやり直す様に諭す。

夜明けが近づき、コリンは二人に食事を提案する。ヴィンスはそれに応じるが、顔を腫らしたクレイグはタクシーを呼ぶ様に請う。ヴァイオレットはこれまでスマホで撮ってきた二人の写真をプロジェクターで投影する。ヴィンスはクレイグを背後からナイフで襲おうと企て、その様子をコリンとヴァイオレットが見守る。しかし、ヴィンスは直前になって躊躇し、断念する。その時、ヴィンスは投影された写真を見て、二人がバーで出会う直前から撮影されていた事に気付く。ヴィンスはコリンの思惑を悟り、クレイグに一緒に帰るように呼びかけるが、その途端、背後からクレイグに撃たれる。クレイグは倒れたヴィンスにとどめを刺すと、現金を鞄に詰め込み、邸宅を後にする。コリンはヴァイオレットと共にクレイグを見送ると、クレイグが生き残る方に賭けていたヴァイオレットに50ドルを手渡す。

夜明け前、クレイグは血塗れの姿でタクシーに乗って帰宅すると、泣きじゃくるキーナンを抱きかかえる。目覚めたオードリーは、クレイグの変わり果てた姿を見て呆然と立ち尽くす。

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