チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

映画「エクス・マキナ」はロボットに対する畏怖と耽美と痛快さを兼ね備えた珠玉のSFスリラーだった。

昨日はSFスリラーの新作映画「エクス・マキナ」を観てきた。ポイントが貯まっていたので無料だった。当初は昨日公開の、これまたSFスリラー「10 クローバーフィールド・レーン」を観る事に決めていたのだが、トレーラーを観て本作に変更した。結論としてそれは正解だった。と言っても、10クロの方を観ない内から断定はできないが、エクマキは期待値を大幅に上回る傑作だった。今年劇場で観た映画は本作で11本目でしか無いが、その中ではダントツで一番の面白さだった様に思う。検索サービスをほぼ独占するIT企業の社長が、その私財とエンジニアとしての能力を投じて、人里離れた施設でAIを搭載したロボットの開発に興じているのだが、そこに社内から抽選で選んだ若き青年を呼び寄せ、AIが模倣では無く、本当に人間の様に思考しているのかを試すチューリング・テストを行わせる、というのが導入部だ。青年は若く美しい女の姿格好にデザインされたそのロボットとのやり取りを繰り返す内に、次第に心を通わせていき、遂には社長への不信感を募らせていくワケだが、ロボットと人間の関係というテーマを真正面から描いており、多分に哲学的で、知的興奮を刺激する。この届きそうで届かなそうな、絶妙な近未来感が、スリルを昂じさせる要素だろう。VFXも然ることながら、セットの完成度と浮世離れしたロケ地の選定が素晴らしく、存分に現実逃避させてくれる。キャストはドーナル・グリーソン、アリシア・ヴィキャンデルオスカー・アイザックという、いま最も勢いのあるハリウッド俳優達と、無名同然の日系イギリス人ソノヤ・ミズノの4人だけ。しかし、このミズノの存在感はあなどれず、本作に独特な異質さを添えている。もちろんSFだからツッコミどころはそれなりにあったが、それを差っ引いても、痛快で心に深く刺さる傑作だった。

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さて、向こう一ヶ月は劇場で観たいと思える程の目ぼしい新作が無いのう。ジャウム・コレット=セラ監督の新作「ロスト・バケーション」はトレーラーを観る限りなかなか面白そうだが、7月は予算がカツカツだし、どうしたもんじゃろのう。

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