チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

45歳からの恋の幕アケ!!

クレイグ・ジスク監督作「45歳からの恋の幕アケ!!」("The English Teacher" : 2013)[DVD]

45歳にして独身を貫く高校教師の女が、教え子の青年と再会した事をきっかけに、思いがけず生じた恋心に翻弄されていく様を描くロマンチック・コメディ作品。

 

ペンシルバニア州キングストン高校の英語教師リンダは45歳にして独身であり、平凡な毎日を送る中年女。リンダは倹約家で品格を保ち、高望みしない事を自らに課しているものの、その内心は情熱的でロマンチックだったりする。幼い頃からずっと孤独を愛してきたリンダは、日常世界を俗物と捉え、本の世界を心の拠り所にし、読書に明け暮れて生きている。そんなリンダは、若者の心に文学に対する情熱の炎を灯す為に上級英語の教師になり、学校での評価は良好だが、生真面目で妥協しない性格が災いし、出会う男を都度、厳しくランク付けしてしまい、恋愛では終ぞ花咲く事無く、生涯独身を決意する。

ある夜、リンダはかつての教え子ジェイソンと遭遇する。ジェイソンはリンダがその文才を見込んだ生徒であり、ニューヨーク大学に進学していた。ジェイソンは劇作コースを卒業した後、作品を方々に売り込んだものの採用されず、プロになるのを諦め、医師の父トムの家に戻ってきた事を明かす。ジェイソンは作品を書こうと思うと具合が悪くなる為に、やむを得ず、トムに勧められるまま法学の勉強をしている事を明かす。リンダは力になるべく、ジェイソンの書いた戯曲を読ませる様に請う。

翌日、授業中の教室にジェイソンがやってきて、リンダに戯曲を手渡す。リンダは生徒達に卒業生と紹介する。リンダは通っているジムでトムと顔見知りであり、トムにジェイソンと会った事を伝えるが、素っ気なく対応された事で印象を悪くする。その夜、リンダはジェイソンの戯曲「さなぎ」を読了し、その出来栄えに甚く感動すると、早速、ジェイソンに連絡し、感想を伝える。リンダは「さなぎ」が陽の目を見ないのは惜しいと主張すると、演劇部の顧問カールが毎年同じ演目を強いられ、不満を抱いている事を明かし、「さなぎ」の舞台化を希望するはずだと説く。

リンダの思惑通り、「さなぎ」を読んだカールは感銘を受け、舞台化すべきだと主張する。カールはリンダと共に、夫妻で高校を運営する校長トゥルーディ、副校長フィルに、「さなぎ」の舞台化を打診する。トゥルーディ達は内容が暴力的で高校生向きでは無い事を憂慮し、また予算を超過する事を懸念する。リンダは先輩の戯曲を演じられるのは生徒にとって特別な経験になると主張し、カールは客が新作に飢えており、チケットが倍は売れると説く。更にリンダは予算の超過分を自らが補うと申し出る。トゥルーディ達は主人公の女子が首を吊り、その父親が頭を撃ち抜くという暗すぎる結末を問題視する。カールは結末を曖昧にして、客が想像で補える形にする事を提案し、トゥルーディ達は契約書への署名を要求する。リンダは結末を変えたら作品が台無しになり、ジェイソンに申し訳が立たないと難色を示す。カールは本番では結末をカットせず、成功を収めて、なし崩し的にトゥルーディ達に認めさせる意向を示す。

後日、リンダは「さなぎ」を高校で舞台化する為の契約書をジェイソンに提示し、署名を求める。ジェイソンは「さなぎ」を高校生向けに書いたわけでは無いと説き、気乗りしない事を明かす。リンダはジェイソンが自信を無くしているだけであり、トムの意向が間違っている事を示すべきだと説き、これをやり遂げれば返り咲けると励ますと、契約書の細目には触れずに署名させる。

その後、主役ジェーンを演じる女優志望のハリーを始めとする配役が決定すると、劇場にジェイソンを招いて顔合わせを行う。ジェイソンは「さなぎ」の内容が全て、自らの経験に基づいている事を明かす。演者の一人ウィルがその内容を批判し、悪態をつくと、ジェイソンは気分を害する。リンダはジェイソンにウィルの非礼を謝罪すると同時に励まし、ウィルに和解させる。

間もなく稽古が始まり、リンダも適宜助言を行う。稽古中に突然トムがやってきて、ジェイソンを連れ出す。トムがジェイソンを叱責する様子を見かねたリンダは間に割って入り、ジェイソンには芸術家として相応しい人生があるとトムに説き、追い返す。その最中、ジェイソンはストレスで胃の不調を訴える。リンダはジェイソンを教室に連れ込み、薬を飲ませる。ジェイソンは母が消えてトムがあんな風になったのだと明かすと、リンダがトムに掛けあってくれた事に謝意を示す。リンダがジェイソンを抱き寄せ、慰めると、二人は成り行きでキスを交わし、勢いに任せてセックスに至る。

翌日、リンダはジェイソンへの好意を募らせるも、いまはプロ意識を持って芝居に集中すべきだとジェイソンに説き、二度と関係を結ばない事を誓い合う。その夜、リンダはジムでトムと再会する。トムは昨日学校へ行った理由が、ジェイソンが嘘をつき、法学部の予備校をサボったからだと明かし、無理強いはしていないと弁解する。リンダはジェイソンの才能と意思を尊重すべきだと反論する。その後、リンダはジェイソンに連絡し、トムと話した事を明かすが、ジェイソンが自宅にハリーを招いて稽古している事を知り、動揺する。

カールは機材や備品の数々を所望し、リンダは約束通りに自腹を切って購入に応じる。リンダは稽古中にジェイソンがハリーとイチャついているのを看過できず、ハリーを呼び出すと、ジェイソンとの関係が目に余ると噂されていると偽り、外見ではなく内面で勝負できる女性になって欲しいと説き、ジェイソンから離れるべきだと諭す。しかし、その甲斐虚しく、リンダは楽屋でジェイソンがハリーとキスしているところを目の当たりにする。当惑したリンダは二人を咎め、ハリーに頼まれた大学への推薦状を書かないと言い渡し、逃げ出す。リンダは説得にやってきたジェイソンに良心とプロ意識の欠如を指摘するが、ジェイソンはそれが嫉妬だと喝破し、元生徒の自分と教室でセックスした事を論う。リンダは憤慨し、立ち去る。その口論の一部始終をウィルが密かにスマホで撮影する。

翌日、学校中にリンダとジェイソンの関係が知れ渡り、リンダは生徒から嘲笑される。リンダはハリーが吹聴しているのだと確信すると、トゥルーディの元を訪ね、噂の出元がハリーであり、ジェイソンと抱き合っているのを注意した意趣返しだと明かす。フィルは逆恨みでリンダがいじめられている事を知って憤慨し、トゥルーディと共に稽古場へ向かう。リンダはハリーを校長室に呼んで内々で収める様に提案するが、フィルは噂を放置すると教師の名に傷が付くと聞かず、稽古中のジェイソンとハリーに事実を問い質す。ハリーはジェイソンを奪われてリンダが嫉妬しているのだと主張する。その際、フィル達は稽古の様子を見て、結末をカットするという契約が反故にされている事を知る。カールはそれが試しているだけであり、本番ではカットする意向を示す。カットの件について関知していないジェイソンは憤る。カールはリンダがジェイソンに説明したはずだと説き、責任を転嫁すると、リンダはジェイソンとフィル達に責められ、説明に窮する。その時、ハリーがウィルの撮影した動画を持ち込み、フィル達に見せる。リンダは即解雇を告げられ、当惑の余り、逃げ出す。ジェイソンはリンダを追いかけ、嘘を付いていた事を詰る。リンダはジェイソンに催涙スプレーをかけて逃走するが、自分の目にも入ってしまい、運転を誤って自損事故を起こし、意識を失う。

顔と首を負傷したリンダは、トムの勤務する病院へ搬送され、治療を受ける。リンダはこれまで悪態をついてきたトムに優しくされ、悲嘆する。トムはリンダがジェイソンの助けになってくれている事を感謝する。リンダはジェイソンとセックスした事を明かし、トムは当惑する。その後、トムはリンダがジェイソンを騙していた事を知ると、退院間際のリンダを非難する。リンダは自分が酷い人間だと認め、解雇された事を明かす。トムは芝居の行方とジェイソンの事を心配する。リンダはジェイソンが「さなぎ」を書いたのは、トムが妻の死後に酒と暴力に走ったからだと説く。トムは自分が酒を飲まず、妻は離婚しただけで生きている事を明かすと、ジェイソンの著した虚構と現実を見誤ったリンダを詰る。

その後、リンダの元にカールから再三、謝罪の連絡が来るが、リンダはそれを無視する。カールはこれまで嘘で糊塗し、誰にも話した事の無かった、自分が役者を諦めた本当の理由を明かすと、リンダに戻って助ける様に哀願する。程なく、トゥルーディがやってきて、カールが心労で倒れ、入院した事を報せる。トゥルーディは本番を目前に控えた今、キャンセルするわけにはいかない為に、リンダにカールの代わりを務める様に請い、応じてくれれば解雇を取り消し、休職で済む様に計らう事を提案し、最後のチャンスだと発破をかける。

翌日、リンダは稽古場を訪ねる。ハリーはカールによって変えられた結末が最悪だと主張し、ジェイソンを連れて来る様に要求する。リンダはジェイソンの元へ赴き、別の結末を書く様に要請する。ジェイソンはそれを拒否すると、リンダが窮地に陥ったのは自業自得だと説き、更にリンダの事を誰も尊敬しておらず、卒業したら忘れ去られる存在だと罵倒する。リンダは売り言葉に買い言葉で、「さなぎ」の結末が最悪だと詰ると、別の結末を考えてみるべきだと諭す。ジェイソンは憤慨し、リンダを追い返す。リンダはやむを得ず、自ら結末を書き改めると、それを元に稽古が進められ、本番当日を迎える。

開演直前にカールが復帰し、リンダに客席で見守る様に促す。開演後、トムが会場に駆け付け、間もなくジェイソンも様子を見にやって来る。演劇は順調に進行するが、ジェイソンは改められた終盤の展開に不満を露わにし、台無しだとリンダに詰め寄る。リンダは自分にはあれが精一杯だと詫びると、自分のせいで成功を逃さないで欲しいと伝える。無事終演すると、ジェイソンはカールに舞台上に招かれ、客に拍手喝采で称賛される。リンダは帰り際にトムに呼び止められ、好意的な評価を伝えられる。リンダがトムに謝罪すると、トムは自分が良い父親で無かったのは事実だと明かし、二人は和解する。

リンダは雰囲気を一新し、教師の仕事に戻ると、授業に新しい手法を取り入れる。また、リンダはトムと距離を保って交遊を続ける。ある時、リンダはトムにコーヒーに誘われる。トムはジェイソンがニュージャージー児童劇団を始めた事を明かす。トムはリンダをデートに誘い、リンダはそれに応じる。二人の交際が始まる。

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