昨日の昼下がり、カーテン越しに動くシルエットに気付いたので窓外を見やると、少し離れた場所に黒猫がいた。私が住んでいる地域では野良猫がほとんどいないので、猫をリアルで見かける事は少ないのだが、稀にこうしてボロアパートの傍まで猫がやってくる。黒猫ともなると更に稀である、というか初めてだ。私が窓越しに見つめていると、その黒猫はこちらを一瞥した後、私の手招きなど意に介さぬ様子で歩き去ってしまった。比較的小さくて若い個体に思われたが、野良猫だったら冬は越せないだろうし、ご近所さんの飼い猫かも知れない。この辺が気に入って巡回コースにでも加えてもらえると、また見かける事があるかもしれない。動物好きでありながら、動物と触れる機会が皆無に等しい私にとって、猫は割合馴染み深い存在ではあるが、実際にこの手で触れたのはン十年前を最後に無かったと思う。街まで出向けば猫カフェがいくつかあるらしいのだが、私の様に露骨に不審者然としたアラホーのおっさんが、その様なサレオツな場に一人で乗り込むのはほぼほぼ無理である。豆腐メンタルがもたない。しかし、タヒぬ前に一度くらい、猫を抱きかかえて撫で撫でするくらいの経験はしてみたい。さぞかし至福な事だろう。