チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ソムニア -悪夢の少年-

マイク・フラナガン監督作「ソムニア -悪夢の少年-」("Before I Wake" : 2016)[DVD]

我が子を亡くした夫妻が、新たに少年を里子に迎えるも、睡眠中の夢を現実化するという彼の特殊な才能に惑わされ、やがて脅威に晒されていく様を描くファンタジー・ホラー作品。

 

ジェシー・ホブソンとその夫マークは、幼い息子ショーンを浴槽における溺死で亡くして以来、悲壮感を抱えながらも、セラピーに通うなどして日々を過ごす。夫妻は苦慮しながらも前に進むべく、里親になる決断を下す。ケースワーカーのナタリーは、三歳で母を亡くし、受け入れ先の里親を転々としているという八歳のコーディを夫妻に紹介する。夫妻はコーディが機転が利き、気丈だが、警戒心が強く、睡眠に問題を抱えていると知りながらも、受け入れる意向を示す。

夫妻は浴槽に手すりを設置し、更にショーンと撮った家族写真を外すなどした後、コーディを暖かく迎え入れる。蝶が好きだというコーディは、私物を収めた小箱を抱え、ナタリーに連れられてやってくると、夫妻の前で礼儀正しく振る舞う。夫妻はコーディの為に設えた二階の子供部屋に案内し、自由に使う様に促す。コーディは夫妻と家を直ちに気に入り、夫妻は安堵する。

コーディは小学校に転入する。ジェシーはコーディのベッドの下に置かれた小箱の中から、蝶の図鑑と共に、カフェインの錠剤や眠気覚ましのジュースを見つける。その夜、ジェシーはその件についてコーディに尋ねる。コーディは、眠ると人を食べるキャンカー・マンなる恐ろしい存在が現れ、母もそれに食べられた事、またそれに「いつも一緒にいる」と告げられた事を明かし、眠るのが嫌いだと訴える。コーディを寝付かせた後、居間で寛ぐ夫妻の前に、無数の色とりどりの蝶と黒い蛾が飛び交い始める。夫妻はその出処を探ろうとするが、その矢先に蝶と蛾はこつ然と姿を消す。更にその後、ジェシーは暗闇の中にショーンに似た子が現れ、走り去るのを目の当たりにする。

翌日、夫妻は唯一残した壁掛けの写真に写っているショーンについて、天国に行ったのだとコーディーに説く。その夜、再び居間に蝶が飛び交い始め、更に夫妻の前に無言で微笑む、写真と同じ姿のショーンが現れる。夫妻はショーンに近づき、触れる事で、その確かな実感を得るが、ジェシーが抱き寄せた途端にショーンは消滅する。そこへコーディが降りてきて、夫妻に謝ると、ジュースを持ち出して部屋に戻っていく。夫妻は不可解な出来事に困惑する。

翌日、コーディは自分が夢を見たからだと打ち明ける。夫妻はコーディの夢がショーンをもたらすのだと悟ると、ショーンと過ごしたクリスマスの様子を収めたビデオをコーディに見せる。その夜、夫妻はショーンに良く眠る様に促すと、居間でショーンが再び現れるのを待つ。程なく、電飾で彩られたクリスマスツリーと光輝く蝶の群れと共に、ビデオと同じ姿のショーンが現れ、プレゼントを喜ぶ。ジェシーは当時と同じ様にショーンと鼻でキスをする。一方、コーディの元にはキャンカーマンが現れ、耳元で「いつも一緒にいる」と囁く。コーディがそれに驚いて目覚めると、夢は終わり、ショーンは消滅する。

翌日、ジェシーは居間にショーンの思い出の写真を戻す事で、コーディにそれを見せ、夢に働きかけようと企てる。マークはそれが虐待の様だと非難し、映写機の様に利用すべきでは無いと反対する。ジェシーは夢の力で癒しを得るのだと主張するが、マークは現れるのはショーンでは無く、別物だと諭す。ジェシーショーンの死の責任がマークにあるかの様な言い方で詰り、マークはそれに気分を害する。

コーディは質の悪いクラスメイトのテイトに、蝶を入れた瓶を壊され、それに反発してテイトを突き飛ばす。コーディは夜間の睡眠不足が災いし、一人で教室に残って休んでいる内に眠ってしまう。そこへテイトがやってきて、意趣返しを図ろうとするが、悪夢が生んだキャンカーマンが出現し、テイトを飲み込む。テイトの突然の失踪は事件化する。

その夜、ジェシーは一人でコーディが眠りに就くのを待つ。コーディはカフェインを摂取し、眠らぬ様に企てるが、そこへテイトの悪霊が現れ、コーディをベッドの下に引きずり込もうとする。コーディは必死で自分が起きていると叫ぶ。そこへジェシーが駆け付け、テイトは姿を消すが、コーディの足には引っかき傷が残る。

翌日、コーディは病気だと主張し、登校を拒む。マークは、自分を卑下するコーディを元気付ける為に、買い物に連れ出す。一方、ジェシーは勤務する病院の医師に事情を伝え、小児用睡眠薬を処方してもらう。程なく、自宅に刑事がテイトの件で聴取にやってくる。それが済むと、マークはベッドをコーディ好みに改造する。ジェシーは密かにミルクに睡眠薬を混入し、コーディに差し入れる。コーディは夫妻にショーンの死因を尋ねる。マークはショーンが溺死だった事を明かす。

その夜、マークは、尚もショーンを求め続けるジェシーに、それではいけないと諭し、寝る様に促す。そこへ死霊と化したショーンと共にキャンカーマンが現れ、二人に襲いかかる。夫妻はコーディの部屋に逃げ込む。マークはコーディを目覚めさせようとするが、ジェシーはしばらくは無理だと説く。キャンカーマンは室内に押し入ると、マークを体内に取り込む。ジェシーはコーディを抱えて逃げようとするが、キャンカーマンに殴り飛ばされて気絶する。間もなく、目覚めたコーディが警察に通報する。

警察はジェシーがコーディに睡眠薬を飲ませた事を虐待と見做し、コーディは児童保護局の施設に収容される。ジェシーはナタリーの元を訪ね、コーディと会って夢について探る事を希望するが、即座に追い返される。その際、ジェシーは児童保護局のコーディのファイルを盗み出し、行方不明になった里親達の情報について知る。ジェシーはかつての里親であり、悪魔が妻を拉致したと主張し、精神病棟に収容されているウィーランと面会する。ジェシーは直近の里親も行方不明となり、自らも夫を奪われた事を明かす。ウィーランは夢の現実化が蝶から始まり、数週間後、妻がキャンカーマンに取り込まれた事、幼いコーディの記憶があやふやだった為に、夢から現れた妻の姿がまるで別人だった事、コーディに憎しみを募らせ、殺そうとしたが叶わなかった事を明かす。ウィーランはコーディを殺して楽にしてやるべきだと説くが、ジェシーはそれを拒む。

ジェシーはコーディの唯一の家族だった母親アンドレアの素性を探るべく、彼女が入院し、亡くなった病院を訪ねると、保管された遺品から日記と蝶のぬいぐるみを持ち出す。一方、施設に収容されてから眠るのを拒み続けるコーディは、ナタリーの指示で強制的に睡眠薬の投与を受ける。

その夜、ジェシーはナタリーを騙ってコーディの収容されている施設を聞き出す。一方、施設内ではコーディの悪夢が現実化し、ナタリーと職員達は伸び盛る樹木に絡め取られる。施設に侵入したジェシーは、ショーンやマークの死霊に惑わされながらも、コーディの眠る部屋に辿り着く。そこにキャンカーマンが立ちはだかり、ジェシーに襲いかかる。キャンカーマンは、ジェシーが差し出した蝶のぬいぐるみを目にするや否や立ち止まる。ジェシーが優しく抱き締めると、キャンカーマンはコーディに姿を変えた後、消滅する。ジェシーは眠るコーディを抱えて、施設から連れ出す。悪夢は消え、ナタリーと職員達は解放される。

ジェシーは自宅に連れ帰ったコーディにアンドレアの日記を見せ、彼女がコーディの才能や成長に関して綴っていた事を示すと共に、彼女が膵臓がんを患い、亡くなるまでの顛末を明かす。アンドレアは闘病の末にあっという間に別人の様な姿となり、集中治療室に入った頃にコーディの里親探しが始まった。コーディは最期に別れを告げる為にアンドレアと面会し、その際にアンドレアはコーディの心に刻む様に「ずっと一緒にいる」と告げた。コーディは成長と共に記憶がおぼろげになり、いつしか「癌(キャンサー)」が転じて「キャンカー」が母を食べたと思い込み、夢はそれをキャンカーマンとして具現化したのだった。ジェシーショーンが恋しい余り、コーディを利用していた事を詫びる。その夜、ジェシーはコーディに寝る前のお話を求められ、キャンカーマンに食べられていなくなった人達が心の中で生きており、皆が幸せに暮らすという物語を語り聞かせると、それが実現するかどうかはコーディ次第であり、才能はまだまだ育つはずだと諭す。コーディは目を閉じると、その掌に美しい蝶を出してみせる。

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