チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

特捜部Q 檻の中の女

ミケル・ノルガード監督作「特捜部Q 檻の中の女」("Kvinden i buret" : 2013)[DVD]

殺人課から未解決事件を扱う新部署へと異動になった刑事が、失踪した女の再捜査に着手し、真相究明に奔走する様を描くミステリー・スリラー作品。

 

2013年、コペンハーゲンデンマーク警察の刑事カールは同僚ハーディ、アンカーと共に応援を待たずして被疑者宅へ捜索に入った矢先に、不意を突かれて銃撃を受ける。アンカーは即死し、ハーディは半身不随となる。カールもまた頭部に被弾し、手の震えなどの後遺症を患う。三ヶ月の休養後、カールは刑事課長に復職を志願する。課長は威圧的なカールと仕事をしたがる者がいないとの理由で殺人課に復帰させない意向を示すと、法務省が予算を出して新設された特捜部Qへの転属を命じる。カールはその業務が、過去20年の未解決事件の書類上のミスを探して分類するだけの、いわば資料整理に過ぎないと知り、不満を露わにする。カールはその足で入院中のハーディを見舞う。ハーディは一生寝たきりで過ごすのが生き地獄だと説き、絶望を吐露する。その後、カールは離縁した後、疎遠となっている元妻ヴィガに連絡を入れるが、露骨に煙たがられる。

翌日、カールは薄暗い地下室に設けられた特捜部Qのオフィスに出向く。カールの助手として、閑職から転属してきたアサドは、カールと対照的に社交的で、早速資料の分類に着手する。カールはアサドに促され、五年前に発生した国会議員ミレーデの失踪事件に着目する。記録ではミレーデがフェリーから投身自殺を図ったと結論付けられていたが、カールは当時の担当刑事が無能なバクだと知り、自殺説が誤りだと推察する。カールは課長に無断で捜査に着手する。

幼い頃に交通事故で両親を亡くしたミレーデは、その際に精神障害を患う事になった弟ウフェと、二人で暮らしており、失踪直前のフェリーには二人で乗船していた事から、カール達は手始めにフェリーの目撃証言を集める。その結果、和やかな雰囲気だったミレーデとウフェが甲板で口論をしていた事、到着の直前になってウフェはレインコートを着た男と二人でいた事、ウフェと逸れたミレーデが船内を探し回っていた事が判明する。カールはバクに会い、ミレーデの件について問い質すが、バクは捜査がミレーデの自殺で終了したのだと主張する。

カール達はウフェが療養するサナトリウムを訪ねる。職員はウフェが事故の際に脳に外傷を負って解離性障害を患い、ミレーデの失踪後に症状が悪化した事を明かす。カールはウフェに面会し、レインコートの男について尋ねるが、ウフェは心を開こうとせず、空振りに終わる。次にカール達は、ミレーデと付き合いの会った議員バゲスンの元を訪ねるが、バゲスンは妻帯者である事を明かすと、ミレーデの件への関与を拒み、カールの上司に圧力をかける事を示唆して退ける。

カールはミレーデの当時の秘書ススと会う。ススはバゲスンがミレーデの友人の一人に過ぎない事、ミレーデが失踪する一ヶ月前にスウェーデンで会議があり、そこで知らない男と懇意になって朝まで戻って来なかった事を明かす。一方、アサドは再びサナトリウムにウフェを訪ね、信頼関係を築くところから始める。

アサドはカールが常に不機嫌で、他人にも自分にも関心が無い事を慮ると、自らも悲惨な体験をしてきた事を明かし、それでも人間の善意を信じていると説く。カールは自分には捜査しか無いのだと答える。二人は会議に招待されていた参加者全員の洗い出しを始めると共に、会議の写真を取り寄せて不審な男を探す。その一方で、アサドはサナトリウムに通い詰める。その矢先に、カールは課長に呼び出しを食らう。課長はサナトリウムやバゲスンから苦情が来た事を明かすと、資料整理が任務だと釘を差し、速やかにミレーデの件の報告書を仕上げて次の作業に移る様に命じる。

アサドはウフェが心を開いて来たところで、写真を一枚ずつ見せて反応を見る。ウフェはその中の一枚に写る男を見るや否や、激しく動揺する。間もなく、写真の男はスウェーデンのバイオ・ダイナミクス社の社員ダニエルであり、ミレーデの失踪後に湖で溺死した事が判明する。カール達はヨーテボリに赴くと、湖の傍で聞き込みを行う。現地の警察官から開示を受けた資料に拠り、ダニエルがレインコートの男とは別人だと判明する。釣り人はダニエルとレインコートの男が二人で湖に来たと証言する。カールはレインコートの男がダニエルになりすまして会議に出席し、その後、ダニエル本人を殺したと推測する。その矢先に、カール達は課長からデンマークに戻る様に命じられるが、それを無視して、ダニエルの同僚だったルンドクイストの元を訪ねる。ルンドクイストはレインコートの男がラセであり、ダニエルとラセがかつてデンマークの孤児院にいた事を明かす。そこに警察官が駆けつけ、カール達は強制的にデンマークに連れ戻される。

カールはラセがダニエルに成り済ましていたのだと課長に訴える。課長はカール達が任務を放棄した上、捜査に予算を使い果たし、更にスウェーデン警察をも巻き込んだ事を咎め、停職を命じる。カールは再びハーディを見舞い、徒労感を吐露する。ハーディはカールが誰よりも頑固者であるが故に、最高の刑事なのだと励ます。その言葉に触発されたカールは、真相を究明する為に捜査を続ける決意をアサドに示す。アサドはそれに賛同する。

翌朝、二人はラセとダニエルが同時期に居たという孤児院を訪ねる。孤児院の責任者は、通称ラセことラースが、養父母の家から孤児院に移るも、反抗的ですぐにキレる性格が災いし、二年後に実母ウラの元へ戻った事、ラースは幼い頃に自動車事故に遭い、自らは大事に至らなかったものの、父が死亡し、ウラには障害が遺った事、もう一台の生存者がミレーデとウフェだった事を明かす。

2008年の事故当日、ミレーデの家族を乗せた車とラースの家族を乗せた車は道路上を並走していた。ラースとミレーデはその際、窓越しに互いの顔を見合わせた。その直後、ミレーデは運転席の父親にいたずらをして目隠しをした。そこへ前方からトラックが接近し、二台の車は事故に巻き込まれた。ラースは横転した車の中から、唯一無傷で済んだミレーデを見ていた。ラースはその事故で父と妹を失った。母は障害を負って歩けなくなり、酒に溺れる様になった為、ラースは養子に出されたが、継父の性的虐待に耐えかねて脱走し、孤児院に引き取られた。ラースはそこでいじめに遭う内に、その凶暴性を発露する様になった。やがて大人になったラースは、継父を薬殺して復讐を果たした後、レストランの調理場で下働きしていた。そんな折、ラースは議員として華々しく活躍するミレーデの姿をテレビで見かけた。ラースはミレーデに接触を図り、首尾よく会議で懇ろの関係を結んだ後、その動向を探知してフェリーでミレーデを誘拐し、自宅の倉庫に設けた加圧室の中に監禁した。ラースはミレーデに目的を明かす事無く、一年ごとに室内の気圧を1バールずつ上げ、その様子を観察していた。ミレーデは五年の長きに渡って、正気を保ちながら、苛虐を耐え凌いできたのだった。

カール達はラースがウラと暮らす郊外の家を訪ねる。車椅子で現れたウラは、ラースが半年前から海に行ったきり戻らないと説く。カールはそれが嘘だと悟り、捜索を始める。潜んでいたラースは、直ちに倉庫内の加圧室を6バールから急減圧すると、ミレーデに事故の日付を伝える。それを聞いてミレーデは監禁の理由が復讐だと悟る。間もなく、カールは倉庫の施錠されたドアの向こうから響く微かな音に気付き、こじ開けようとする。そこへラースが現れ、ウラは認知症だと説く。カールはミレーデやダニエルについて追求するが、ラースは白を切る。カール達はラースを警察に連行する意向を示し、車に乗せる。車を出して間もなく、カールは倉庫の前に置かれた無数のオイルタンクを見て、発電機があると確信し、アサドに引き返す様に命じる。その途端、ラースは隠し持っていたドライバーでアサドの腹を刺し、カールを殴り飛ばして逃走する。カールは倉庫へ押し入り、加圧室に監禁されたミレーデと、それをモニターする機器を発見する。カールは携帯で課長にそれを報せ、海軍と救急車の派遣を要請する。カールは減圧を止めると、衰弱しきったミレーデに諦めない様に声をかける。ラースはカールに忍び寄り、再び減圧を始めると、カールの首をワイヤーで絞め付ける。そこへアサドが駆けつけ、ラースをパイプで殴り飛ばし、カールの窮地を救う。間もなく、応援が到着し、ミレーデは一命を取り留める。病院に孤児院の職員がウフェを連れて見舞いにやってくる。

後日、課長はカールが刑事課へ戻れる様に手配する意向を示す。カールはそれを拒み、引き続き特捜部Qで捜査を行う事を志願すると、助手にアサドと秘書一人を要望する。課長はそれを承諾し、カールとアサドの停職を解除する。

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