チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

シング・ストリート 未来へのうた

ジョン・カーニー監督作「シング・ストリート 未来へのうた」("Sing Street" : 2016)[BD]

家計節約の為に、劣悪な環境の高校への転校へ余儀なくされた少年が、そこで集めた生徒達とロックバンドを組み、意中の年上の娘を射止める為に奮闘する様を描く青春コメディ・ドラマ作品。

 

1985年、ダブリン。父ロバート、母ペニー、大学中退を余儀なくされた長男ブレンダン、建築士を志す長女アン、高校生の次男コナーからなるローラー家は、稼ぎ頭ロバートの失業により、波乱の様相を呈する。ロバートとペニーは子供達そっちのけで大喧嘩した末に、家計を節約すべくコナーを現在通っているイエズス会系の学校から、より学費の安いカトリック系の学校へ転校させる事を決める。

程なく、コナーはシング・ストリート"SYNGE STREET"高校に転校するが、前の学校とはかけ離れたその低い教育レベルと荒みきった校風を目の当たりにする。校長バクスターはコナーが校則に基づく黒では無く茶色の靴を履いている事を指摘し、明日までに変えてくるよう命じる。コナーは生徒らに気取っていると誂われた上、粗暴な性格のバリーにトイレに連れ込まれ、オカマだと詰られ、裸になって踊るよう脅される。コナーはそれを拒んで立ち去る。

翌日、コナーはバクスターに靴を買う余裕は無いと弁解する。バクスターは聞く耳を持たず、コナーに下校時まで靴を脱いで過ごすよう強要する。昼食時、コナーは生徒らの面前でバリーに顔面を殴られる。その様子を傍で見ていたダーレンは、バリーと同じアパートに暮らしている事を明かすと、コナーが命令に従わなかった為に一年間バリーにいじめられると説く。ダーレンはコンサルタントを自称し、手作りの名刺をコナーに渡す。下校時、コナーは学校の真向かいの女子児童養護施設の前に立つ、派手な風貌の年上の少女に惹かれる。ダーレンはその少女が誰とも話さないスカシた女で、彼氏は売人であり、高校生には興味が無いと諭す。コナーはお構いなしにその少女に声をかけに行く。少女は学校には行かずにモデルをやっており、宣材写真ができたらロンドンに行くつもりだと明かす。コナーは少女と接点を持つ為に、バンドをやっている様に装い、MVへの出演を打診する。少女はコナーにその場で歌ってみるよう促す。コナーはa-haの"Take on me"を口ずさみ、少女の名がラフィーナだと教えてもらう。

コナーはダーレンをマネージャーに据え、直ちにバンドを組む事を決意する。ダーレンは友人エイモンを紹介する。エイモンは父親がカバーバンドをやっている事から、保有する数多の楽器を演奏でき、その名手ぶりを披露する。コナーは自らがボーカルを務め、詞を書き、未来派志向のジャンルでバンドを始める意向を示す。エイモンはそれに賛同し、ギター兼作曲担当で加入すると、酒と暴力癖で更生施設に入っている父の留守中に練習する方針を定める。三人はバンドに箔をつけるべく、街で唯一の黒人の生徒ンギグに話を持ちかける。ンギグはキーボード担当で加入する。更に、コナー達が作ったバンドメンバー募集のビラを見た生徒ラリーとギャリーがそれぞれドラムとベースで加入する。六人が一堂に会すると、エイモンはバンドを学校名と掛けてシングストリート"Sing Street"と命名する。

バンドは早速エイモンの家でカバー曲を用いて練習を始める。コナーはデモテープを、ロックに造詣が深く、数多のレコードを所有するブレンダンに聞かせる。ブレンダンは学芸会レベルの最低な音楽だと酷評すると、女を他人の曲で口説こうとせず、自作曲を必死で練習するよう命じ、ロックには覚悟が必要だと諭す。

コナーはエイモンと曲作りに励み、ラフィーナをモチーフにした"The Riddle of the Model"を完成させると、デモテープをラフィーナに手渡し、MV撮影の日時を伝える。土曜日、バンドはスーパーの裏路地で、各々が思い思いのコスチュームで着飾り、ダーレンをカメラマンに据え、撮影の準備を始める。ラフィーナはメイクアップを買って出る。バンドは初めてのMVを完成させる。その夜、コナーはラフィーナを自転車で施設まで送っていく。そこに羽振り良さげな彼氏エヴァンが車でやってくる。ラフィーナエヴァンと一緒に出かけていく。コナーは完成したMVをブレンダンに見せる。ブレンダンは一定の評価を下すと、更に想像力を鍛え、ラフィーナを毎作品出演させるよう促す。コナーはラフィーナに大人の彼氏がいて分が悪い事を明かす。ブレンダンはエヴァンが車でかけていた曲を知ると、敵では無いと説き、コナーに宿題としてレコードを渡す。更にブレンダンはペニーが上司と不倫している事を明かす。

コナーはエイモンと新曲"Up"を完成させると、バンドでデモテープを作り、ラフィーナに届ける。ラフィーナはそれを聴いて感銘を受ける。それを機に、コナーは髪を染め、化粧をして登校し始める。コナーは直ちにバクスターに呼び出され、絵の具で黒く塗った靴を見せる。バクスターは化粧を落とすよう命じる。コナーは反論し、教室に戻ろうとする。バクスターはコナーを洗面所に連れ込み、強引に化粧を落とす。下校時、意気消沈するコナーを迎えに来たラフィーナは、"Up"への好意的な感想を伝える。コナーはラフィーナエヴァンについて尋ねる。ラフィーナは複雑な間柄で、冷却期間にありながらも、一緒にロンドンに行くつもりだと答える。ラフィーナはコナーの反応を見て嫉妬していると誂うと、楽しい曲も作るよう促し、悲しみと喜びの両面を併せ持つのが愛だと説く。ラフィーナは父が酒浸りで、車に轢かれて死に、母は躁鬱病で病院を出入りしていた事を明かすと、英国への出発が迫っている事から次のMV撮影を急ぐよう促す。

コナーはラフィーナについてブレンダンに助言を求める。ブレンダンはラフィーナファザコンであり、男に守られたいタイプだと説くと、コナーに新たなレコードを提供する。コナーはエイモンと新曲"A Beautiful Sea"を作ると、バンドにラフィーナを交えて、電車で港へMV撮影に出かける。撮影中、ラフィーナはコンテを無視して突然海に飛び込み、コナーが慌てて助け出す。ラフィーナはその一部始終をも撮影させると、コナーになんでもハンパはダメだと説く。コナーは勢いに任せてラフィーナにキスをする。コナーはラフィーナと共に海を眺望すると、晴れた日は英国が見えると説き、祖父が船乗りで港へよく連れてきてもらった事、ブレンダンはドイツ行きを希望し、家出まで企てたが母に止められた事を明かす。ラフィーナもまた父親に外出させてもらえなかった事を明かし、二人は親の愛の不可思議さについて共鳴する。コナーはラフィーナへの恋心を募らせていく。

ある日、コナーはバリーにバンドについて誂われ、更にいつか殺してやると脅されるが、コナーはそれを意に介さず、暴力では何も生まれないと説く。コナーは中間試験後に学期末ディスコが開催される事を知るや、エイモンにバンドにとっての初ギグを提案し、新曲を作り足す必要性を説く。一方、家ではペニーの浮気が露呈した事で、ロバートはペニーと毎晩の様に大喧嘩する様になる。バンドの面々は練習に明け暮れ、中間試験を散々な結果で終える。その後、コナーはラフィーナを再び港へ連れ出すと、祖父譲りのボートに乗って海へ出た後、二人きりで丘でピクニックを楽しむ。二人は新曲のMVの構想について語り合った後、キスをする。コナーはラフィーナに次の撮影の日時を伝える。ラフィーナは顔を曇らせる。

間もなく、ロバートとペニーは別居を決意し、現在の家を手放した上で、子供達はロバートが借りるアパートと、ペニーが上司と暮らすアパートを行き来する方針を伝える。とりわけブレンダンはペニーと上司が暮らすアパートに行く事に反対する。ブレンダンは出直しを図る為に大麻を止め、募らせた苛立ちを頼ってくるコナーにぶつける。ブレンダンは、自分勝手な両親の間で一人きりで道を切り開いてきたのが自分で、コナーはその後を歩いてきただけであり、笑い者の落ちこぼれに甘んじる自分もかつてはコナーの様に褒められる立場だったのだと説く。コナーは思いも寄らないブレンダンの苦悩を聞いて言葉を失う。

バンドは新曲"Drive It Like You Stole It"のMV撮影の日を迎え、講堂を舞台にプロムナイトをモチーフにした演出を施す。結局、ラフィーナは講堂に現れず、バンドは撮影を終える。その夜、コナーは施設にラフィーナを訪ねる。応対した別の少女は、ラフィーナが昨晩の内に伝言を残さずロンドンへ発った事を明かす。間もなく、家が売りに出される。突然の失恋で途方に暮れるコナーは新曲"To Find You"を作り始める。後日、コナーは施設の前で偶然ラフィーナを見つける。頬に痣を作ったラフィーナはチケットもアパートもツテも無く、安宿に放置されてエヴァンと大喧嘩した事を明かすと、自らの人生はバーガー屋で働くのが関の山だと諦観する。コナーはラフィーナを残してリハに出かける。

コナーはエイモンと共に"To Find You"を完成させる。エイモンはコナーが代わりにラフィーナをロンドンに連れて行ってやり、更にレコード契約を取ってバンドをダブリンから救い出すよう促す。コナーは早速デモテープをラフィーナに届ける。バンドはギグの準備を始めると同時に、バリーに学校のはみ出し者同士としてその腕っ節を見込み、ローディでの加入を打診する。バリーは快諾し、バンドに居場所を見つける。

学期末ディスコ当日の夜が訪れる。バンドは講堂で初ギグに臨み、男子生徒のやじを物ともせず、集まった女子生徒らを盛り上げる。新曲"Girls"を終えると、コナーはバンドに盛り下がる事を覚悟の上でバラード曲を挟む事を提案し、"To Find You"を披露する。その頃、デモテープを聞いたラフィーナはコナーのメッセージに心を打たれ、落涙する。バンドは最後にバクスターに捧げる曲と称して"Brown Shoes"を披露し、予め準備しておいたバクスターのお面を生徒らに配って盛り上げる。その最中、ラフィーナがやってきて最後まで一緒にギグを楽しむ。

終演後、コナーはラフィーナを連れて帰宅すると、ブレンダンにボートで英国に渡る決意を示し、港まで車で送ってほしいと頼む。ブレンダンはツテがあるのか二人に尋ねる。コナーはツテも金も無いが、ラフィーナには写真が、自分にはデモテープとMVがあると自負する。それを聞いてブレンダンは快諾する。コナーは寝室で眠っている両親に別れを告げると、三人で港へ向かう。明け方、港に着き、二人がボートの準備を済ませると、ブレンダンはコナーに自作の歌詞を託し、いつか自分の代わりに曲を付けるよう促す。ブレンダンはコナーを強く抱き締めて送り出す。ボートを見送り車に戻ったブレンダンは快哉を叫ぶ。コナー達は激しい雨と荒波に晒されながらアイリッシュ海を進む。程なく、ボートは英国行きのフェリーと遭遇する。コナー達はその後を追って、ウェールズを目指す。故国に無い希望の光を求めて…

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