チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ

ガブリエーレ・マイネッティ監督作「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」("Lo chiamavano Jeeg Robot)" : 2015)[DVD]

ひょんな事から超人的な肉体を手に入れた中年男が、犯罪組織から愛する女を守る為に奮闘する様を描くスーパーヒーロー作品。

 

ローマ東部の町トル・ベッラ・モナカ。恋人も友達もいない孤独な中年エンツォは、これと言った目的もなく、窃盗で日銭を稼ぎながらアパートで暮らしていた。ある時、ローマで爆弾テロが発生し、激しい抗議デモが勃発する。その最中、エンツォは腕時計を盗んで二人組の男に追われ、テヴェレ川沿いに立つ小屋に逃げ込むと、川に身を沈めて男達をやり過ごす。その際、エンツォは川底に投棄された放射性物質のドラム缶を踏み破り、黒ずんだ廃液を大量に飲んでしまう。間もなく、エンツォは激しい吐き気と寒気に襲われ、やっとの思いでアパートに戻ると、嘔吐した後で眠りに就く。

翌日、エンツォは風邪の様な不調を覚えながらも、階下に暮らすセルジョを訪ね、腕時計を換金する。セルジョは娘アレッシアが母の死で気が触れてしまい、ロボットアニメ「鋼鉄ジーグ」を妄執する様になり、そのDVDを唯一の心の拠り所とし、精神科に通院している事を明かす。セルジョはギャングのリーダーで冷酷かつ気性の荒いジンガロから指示を受け、ナポリのマフィアの一派ヌンツィアが手配した麻薬を受け取る為に、エンツォを連れて空港へ赴く。セルジョ達は黒人二人を拾い、建設中で無人のビルの最上階へ連れていく。セルジョは男の一人が体内に隠した麻薬を下剤を使って取り出そうと企てるが、その矢先に男は痙攣を起して死ぬ。セルジョは腹を裂いて取り出そうとするが、もう一人の男は逆上し、不意を突いてセルジョから拳銃を奪って発砲する。致命傷を負ったセルジョは男を壁に叩きつけて殺すが、その弾みで発射された弾がエンツォの胸を貫き、エンツォは地上へ転落する。しかし、エンツォはどういうわけか無傷で済み、その場から走り去る。

ジンガロはマフィアと親睦を深める為にヌンツィアの誕生日パーティに参加する。ジンガロはその場で手下からセルジョが消えたとの報せを受けるが、ヌンツィアへの金の支払いまで一週間の猶予がある事から、その件をヌンツィアに伏せる。アパートに戻ったエンツォは、アレッシアにセルジョの所在を問い質されるが口を噤む。間もなく、エンツォは銃槍が治癒し、更に超人的な怪力と鋼鉄の様な頑強さをその身に宿している事に気付く。夜更け、エンツォはその力でATMを筐体ごと取り外して持ち帰り、大金を入手する。

翌日、ジンガロは手下を連れてセルジョの部屋を訪ね、アレッシアにセルジョの所在を問い質す。しかし、アレッシアの話は訳の分からない鋼鉄ジーグに関する事ばかりの為、ジンガロらは痺れを切らして家探しを始める。手下の一人がDVDに触れると、アレッシアは激しく反発し、ジンガロの顔を引っ掻く。ジンガロは憤慨し、アレッシアの顔に包丁を突き立ててセルジョの所在を詰問する。その時、フードで顔を覆ったエンツォが窓を破って現れ、大男のタッツィを含む四人の手下らをいとも容易く撃退する。ジンガロはアレッシアを解放すると、エンツォの足に包丁を叩きつけて退散する。エンツォは足の小指を失う。アレッシアはエンツォがジーグに変身する司馬宙だと認識して喜び、人類を救う運命だと説く。エンツォは戯言だと一蹴するが、アレッシアは闇の日が来る前にセルジョを炎の帝王から助けて欲しいと哀願する。エンツォはアレッシアをジンガロから庇護する為に自分の部屋に泊めてやるが、俄にアレッシアに欲情する。エンツォはセルジョが所持していた眼鏡ケースの中に、ジンガロらが企図する現金輸送車強盗の計画書を見つける。

翌日、エンツォは行く宛がないアレッシアを、かつて収容されていたという施設に預けると、セルジョを見つけるまで待っているよう命じる。一方、エンツォのATM強奪の一部始終を収めた監視カメラの映像がYouTubeに流出し、大きな反響を呼ぶ。それを見たジンガロは、昨日現れた男だと確信すると、自らも大仕事をして目立ってやろうと意気込む。間もなく、アジトにヌンツィアの手下が押しかけ、セルジョの死体が見つかりながらも麻薬が消えていた事を伝える。ジンガロは明晩までに金を支払う事を約束し、その場を執り成す。エンツォはアレッシアの置いていったDVDを見て、鋼鉄ジーグに興味を抱く。

翌日、武装したジンガロと手下達は、輸送車の走行ルートで待ち伏せする。しかし、その手前で覆面姿のエンツォは輸送車を投石で停め、警備員を退けて力づくで現金を強奪する。ジンガロ達は為す術もなく退散する。エンツォは入手した金でプロジェクターと鋼鉄ジーグのDVDボックスを購入する。エンツォがそれを部屋で観ようとした矢先に、アレッシアが警察官に連れられてやってくる。警察官はアレッシアがエンツォと不和を起こした恋人だと誤解し、街道を一人で歩いていたところを保護したと説く。アレッシアはエンツォが変身する時に着ける為にと、手編みで作ったマスクを手渡す。エンツォは意に介さず、施設に連れ戻す意向を示す。アレッシアはそれを拒み、闇の日が来る前にセルジョを救わなければならないと訴える。夜更け、ジンガロはアジトに金を取りに来たヌンツィアの手下らを隠れてやり過ごす。エンツォはアレッシアに請われ、一緒にDVDを鑑賞する。エンツォは純真なアレッシアに心を寄せていくが、アレッシアは突然虐待を怖れる子供の様に錯乱し始める。エンツォはアレッシアを宥めて落ち着かせる。

翌日、エンツォはアレッシアを過去に両親と訪れたという無人の遊園地に連れて行く。アレッシアは無邪気に楽しむ。一方、ジンガロの手下のリッカはジンガロの横暴なやり方に愛想を尽かし、離反する意向を示す。ジンガロはそれを許さず、アジトで飼っている番犬を放ってリッカを殺す。エンツォはアレッシアをモールへ連れて行くと、妄想に付き合い、オモチャ屋でアレッシアが予てから欲しがっていたお姫様のドレスを買ってやる。アレッシアは試着室にエンツォを連れ込みキスをする。エンツォは欲情し、半ば強引にアレッシアとセックスする。気分を害したアレッシアは、店を出るや、エンツォがセルジョや人類を救う使命を忘れていると詰る。エンツォはセルジョが死んだ事を明かす。アレッシアはエンツォを非難して走り去る。その頃、ニュースで現金輸送車を襲った超人がスーパークリミナルとして大きく取り沙汰される。アレッシアは市電に乗り込む。エンツォは顔を晒したまま市電を怪力で止めると、車内のアレッシアに女の扱い方に不慣れな自らの非を詫びる。周囲の乗客らはエンツォをカメラで撮影する。その時、そこから程近い場所で大きな爆発が起きる。エンツォは騒動の隙に乗じてアレッシアを連れて逃走する。

ジンガロは知人マルツェッローネに会って金を借りる。そこにヌンツィアが手下を連れて現れ、マルツェッローネを撃つ。ジンガロは金があると弁解する。ヌンツィアは金を奪った上でジンガロにガソリンを浴びせ、火を近づけて脅す。その時、急所を外したマルツェッローネが不意を突いてヌンツィアの手下ら目掛けて発砲し、ジンガロもそれに加勢する。手下を失い、脚に被弾したヌンツィアは、金を持って退散する。ジンガロはマルツェッローネを射殺する。一方、エンツォはアレッシアを遺体安置所へ連れて行く。アレッシアはセルジョの遺体と対面する。

夜更け、アジトに戻ったジンガロは、タッツィ以外の手下と番犬が皆殺しにされているのを目の当たりにする。ジンガロはヌンツィアへの復讐を企図するが、その矢先にニュースで市電に現れたスーパークリミナルを見て、それがエンツォだった事を知る。ジンガロらはアパートを出たエンツォの車を尾行する。エンツォはアレッシアを連れてモーテルに身を寄せると、今は亡き仲間がいた頃の古き良き時代を述懐し、死を覚悟していたところでこの体になり、アレッシアと一緒にいられて楽しいと考えている事を明かす。

間もなく、ジンガロは部屋に押し入り、エンツォを麻酔銃で眠らせると、テープでぐるぐる巻きにして拘束する。ジンガロはタッツィが車内にアレッシアを監禁している様子を携帯で見せると、その力をどうやって手に入れたのか問い質す。ジンガロは爆弾テロの首謀者がナポリのマフィアだと明かすと、二人が手を組めばもっと大きな事ができると唆す。エンツォは教える事を拒むが、アレッシアを痛めつけると脅され、やむを得ずジンガロをテヴェレ川へ連れて行く。ジンガロはエンツォにドラム缶を引き上げるよう命じる。アレッシアは不意を突いて持っていた針でタッツィの首を一突きして殺す。その時、ヌンツィアが手下を連れてやってくる。ジンガロはエンツォの方へ駆け寄ってきたアレッシアを捕まえて盾にする。ヌンツィアらはジンガロに銃撃を浴びせ、アレッシアともども致命傷を負う。ヌンツィアらはジンガロ火炎放射器で燃やすと、ジンガロが川に転落したのを見届けて去る。エンツォがアレッシアの傍へ駆け寄ると、アレッシアはジーグになって人類を救うよう訴えて息絶える。エンツォは慟哭する。

翌朝、焼け爛れたジンガロは超人と化して川から出ると、メイクを施し、ヌンツィアのアジトに押し入る。ジンガロはヌンツィアと手下を皆殺しにした後、アジトの奥の武器庫に時限爆弾を見つける。エンツォは悲しみに打ちひしがれながら彷徨う内に車の横転事故に遭遇し、爆発寸前の車内から幼い少女を救い出す。その瞬間からエンツォはスーパーヒーローとしての使命に覚醒する。期せずして、ニュースでジンガロがネットにアップしたヌンツィアらの虐殺動画と共にテロを示唆するメッセージが報じられる。エンツォはモーテルでジンガロが言及した話から、サッカーの試合で賑わうスタジアムが標的にされると確信し、直ちにスタジアムに向かう。ジンガロは時限爆弾を乗せた救急車をスタジアムの傍に停め、爆破テロを企図する。そこに駆け付けたエンツォは、ジンガロが持つ起爆用の携帯を奪う為に闘いを挑む。闘争の末に観客席で携帯を見失ったジンガロは、爆弾のタイマーを直接5分にセットして逃走する。エンツォは爆弾を人混みから遠ざける為に持ち出すと、事情を知らずに立ちはだかる警察隊を躱しながら川へ急ぐ。ジンガロはエンツォから爆弾を奪取すると、15秒にセットして逃走を図るが、エンツォは爆弾を抱えたジンガロと一緒に川に飛び込む。間もなく、水中で大きな爆発が起こるものの人的被害は免れ、ジンガロの頭部が橋の上に打ち上がる。その後、エンツォは自らを犠牲にして人々を救った男として英雄視され、その死が惜しまれる。しかし、エンツォは生きており、アレッシアから貰ったマスクを被って夜の街へと向かう。

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