チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

マルコヴィッチの穴

スパイク・ジョーンズ監督作「マルコヴィッチの穴」("Being John Malkovich" : 1999)[BD]

冴えない人形師の男が渋々就いた職場で、偶然にもジョン・マルコヴィッチの意識に通じる入口を見つけた事で人生が急変し、妻や職場の女、社長を巻き込んだ騒動へと発展していく様を描くファンタジー・コメディ・ドラマ作品。

 

ニューヨーク。冴えない人形師クレイグはペットショップを営む妻ロティと、チンパンジーのイライジャを始めとするペット達に囲まれながら慎ましく暮らしていた。発表の場に恵まれず、工房に篭って一人芝居に耽るクレイグは、ロティから別の仕事に就くよう勧められる。ある日、クレイグは路上で官能的な人形劇を演じると、興味を示した少女が傍に寄ってくる。少女の父親はクレイグを変態と罵って殴り飛ばす。それを機にクレイグは職探しを始め、新聞の求人広告に、頭の回転が速くて手先が器用な者を募るファイル係の職を見つける。クレイグは早速、そのレスター社があるビルの7と1/2階を訪ねる。クレイグはエレベーターで降りるのに特別なコツを必要とし、天井が低い奇妙なフロアの一角を占めるレスター社のオフィスに着くと、受付を担う役員フロリスに案内され、社長レクター博士の面接に臨む。レクターは簡単なテストを課した後、クレイグを気に入り、即採用する。クレイグはそのまま別室の説明会への参加を促され、7と1/2階の歴史に関するビデオを見せられる。19世紀の終わり、アイルランドのマーティン船長は街にオフィスビルを建てた。ある日、子供の様に小柄な婦人がやってきて、世界が自分の大きさに合っていないと嘆き、なぜ快適に働ける職場が無いのかと訴えた。心を動かされたマーティンは、その婦人を妻に娶ると、天井が低い専用の階を作ったのだった。クレイグは説明会に居合わせた別の会社の女に好意を抱き、声をかけるが、女はマーティンを素っ気なくあしらう。その夜、ロティはマーティンに子作りについて考えて欲しいと請うが、クレイグは仕事が落ち着くまでは無理だと答える。

翌日、クレイグは再び女に声をかけるが、女はまたしてもつれない態度を示す。レスターはクレイグの前でその色情ぶりを露わにし、フロリスをモノにする為に若返りを望むと、仕事の後で性欲の話をする為に、クレイグを半ば強引にジュース店に誘う。一方、クレイグは女の名前をマキシンと的中させる事で、レスターと会った後でマキシンと飲みに行く約束を交わす。レスターは性欲について語った後、クレイグとロティを夕食に招く約束を交わす。その後、クレイグはバーでマキシンと落ち合うと、活動的で自信に満ちたマキシンへの好意を伝える。マキシンはクレイグが人形師だと知るや、興味を失って帰る。夜、クレイグは工房でマキシンを模した人形を作ると、自らを模した人形と愛し合う様を再現する。

翌日、マキシンは尚も言い寄るクレイグに対し、魅力を感じないと一蹴する。クレイグは失意の内にファイル整理を行う。その最中、キャビネットの裏にファイルが落ちてしまい、クレイグはそれを取る為にキャビネットをずらすと、壁に板で隠されていた小さなドアが現れる。クレイグがドアを開けると、どこまで続くとも知れぬ洞穴が現れる。クレイグは意を決してその中へ這い進む内に、奥へ吸い寄せられ、何者かの意識に辿り着く。クレイグは目を通して起きている事を追体験する内に、それがジョン・マルコヴィッチの意識だと知る。15分後、クレイグは意識から吐き出され、ニューヨークの有料道路脇に落下する。クレイグは興奮冷めやらぬまま、マキシンの職場を訪ね、マルコヴィッチの意識への入口を見つけた事を伝えると、それが超自然現象であり、哲学的な論争が巻き起こるのは必至だと説き、元の生活にはもう戻れないと訴える。マキシンは一旦は真に受けずに無視するが、間もなく、一回200ドルで入場券を売る会社を一緒に起こす事を提案する。それを受け、クレイグはロティに経緯を伝えると、昼とは別に夜間に働く意向を示し、それで経済的に助かると説得する。ロティは自分も試す事を希望し、クレイグは終業後のオフィスにロティを連れて行く。ロティもまた意識を追体験した後、有料道路脇に飛ばされる。ロティはその経験に感激すると同時に、自分に変化が起きた事を自覚し、再度試す事を希望する。その後、二人はレスターの屋敷を訪ね、会食する。ロティは化粧室に向かう途中、マルコヴィッチの成長過程を写真で並べた奇妙な部屋を見つけ、レスターとマルコヴィッチとの関係を測りかねる。

翌日、クレイグとマキシンは会社JMインクを起こし、広告を出す。間もなく、ロティが再びマルコヴィッチを体験する為にやってくる。ロティは初めての経験に感銘を受けたと説き、性転換を希望する。クレイグはロティの正気を疑い、一瞬のスリルに酔っているに過ぎないと諭すが、マキシンに促されて、ロティに再度の体験を認める。マキシンはマルコヴィッチの電話番号を調べて連絡すると、自らがマルコヴィッチの崇拝者だと説き、マルコヴィッチを夕食に誘う。マルコヴィッチは面識が無いマキシンを訝りながら会いに行く。夜、二人はレストランで落ち合う。ロティはその時間に再びマルコヴィッチを体験し、マキシンが自分を見つめる眼差しに火照りを感じる。ロティは帰宅後、マキシンを夕食に招くようクレイグに提案する。間もなく、JMインクに最初の客がやってくる。自分に自信が無くて孤独なその男は、マルコヴィッチを経験して甚く感激する。クレイグとロティはマキシンを夕食に招くと、マキシンに同時にキスをする。マキシンはクレイグには魅力を感じないと諭す一方で、ロティがマルコヴィッチを経験していた時に視線を感じ、女の欲望に興奮した事を明かす。ロティはマキシンとの関係を求めるが、マキシンはマルコヴィッチの時だけにするよう促す。

JMインクは行列ができるほど繁盛するが、クレイグはマキシンに冷たくあしらわれた事で傷心する。ロティはマキシンに会いたいと伝える。マキシンはロティに時刻を指定すると、その直前にマルコヴィッチの家を訪ね、セックスに誘う。ロティはマルコヴィッチを介してマキシンを、マキシンはマルコヴィッチの向こうにいるロティを感じる事で、二人は愛し合う。クレイグはロティが帰宅するや非難する。翌日、クレイグはマキシンを悪罵する。マキシンはロティの欲望と愛がマルコヴィッチの目から伝わってくるその快感は、クレイグには分かるはずもないと詰る。クレイグはオフィスを飛び出して帰宅すると、ロティを拳銃で脅し、電話でマキシンに会いたいと伝えるよう命じる。マキシンはそれを受け、一時間後に会う約束を交わす。クレイグはロッテを縄で縛り、トラウマで療養中のイライジャの檻に一緒に監禁する。マキシンは稽古中のマルコヴィッチを誘い出し、家を訪ねると、ロティを意識しながらマルコヴィッチとセックスする。マルコヴィッチを体験するクレイグは、マルコヴィッチの言動を操れる事に気付く。マルコヴィッチは自分が何者かに操られている事に気付き、不気味さを訴える。クレイグは直にマルコヴィッチを人形同然に操れる様になると悟って歓喜し、帰宅する。

翌日、マルコヴィッチは親友の俳優チャーリーに、誰かに操られている感覚について訴える。チャーリーはラリっていただけだと一笑に付す。マルコヴィッチはマキシンが魔女の類だと恐れながらも、真実を知るべく、マキシンを尾行してビルに辿り着く。マルコヴィッチは客に紛れてフロアに忍び込み、そこで行われている事を聞いて憤慨すると、JMインクに押し入り、自分をドアの中へ入れるよう要求する。クレイグはマルコヴィッチをシミュレートさせているのだと弁解する。マキシンは中に入っている客がいるにも関わらず、マルコヴィッチに入るのを認める。マルコヴィッチは通常とは異なる潜在意識の方へ吸い込まれ、誰もがマルコヴィッチの顔で「マルコヴィッチ」とだけ喋る奇妙なレストランに迷い込む。動転したマルコヴィッチは、逃げ惑う内に店を出て、道路脇に吐き出される。マルコヴィッチは駆け付けたクレイグに、人が見てはならない世界だと訴え、永遠に封印するよう命じる。クレイグは自分が見つけた商売道具だと反駁するが、マルコヴィッチは訴える意向を示して立ち去る。

帰宅したクレイグはロティに電話をかけさせ、マキシンと会う約束をさせると、オフィスに向かう。イライジャは幼少期にジャングルで両親が人間に捕らえられた時の忌まわしい記憶を思い出し、ロティの縄を解く。ロティはマキシンに連絡し、前回マルコヴィッチの中にいたのが自分では無く、クレイグだった事を報せる。マキシンはクレイグが人形師の技を使ってマルコヴィッチを操った事に興味を抱くと、マルコヴィッチに会いに行く。マキシンは家に押し入ると、マルコヴィッチの意識の中のクレイグに呼びかける。クレイグはマルコヴィッチの言動を自在に操作し、その上達ぶりを披露する。マキシンはその状況に興奮し、マルコヴィッチ越しにクレイグとセックスする。

一方、マキシンの態度に傷心したロティはレスターの元を訪ね、マルコヴィッチに対する病的な強迫観念がある事を明かす。ロティはかつて訪れた際に見たマルコヴィッチの博物館の様な部屋に言及し、レスターなら気持ちを理解できるのでは無いかと伺う。レスターは実はマーティン船長であり、レスターの体が容器に過ぎない事、90年前に容器本体へ繋がっている不思議な入口を見つけ、容器を渡り歩く事で永遠に生きられると分かった事を明かすと、それを図解で説明する。次の容器たるマルコヴィッチが円熟を迎える44歳の誕生日の真夜中までに中に入らねば、新生容器へと進路が逸れて吸収されてしまい、自由を失って誰かの目を通して永遠に世界を見るだけになってしまうのだという。レスターは孤独を嫌い、今度は友人達を一緒に連れて行く意向を示すと、ロティを別室に控える友人達に紹介し、仲間に迎え入れる。それを受け、ロティはマルコヴィッチに関する真実を打ち明ける。

クレイグは好きなだけ中に要られる方法を見つけた事をマキシンに明かすと、人形師よろしく踊りを披露する。マキシンはクレイグが天才だと感嘆すると、永遠にマルコヴィッチの中に留まるよう促す。クレイグはそれに賛同し、マルコヴィッチの知名度を利用して自らの人形師としてのキャリアを世に広めようと画策する。後日、クレイグはエージェントのラリーの元に婚約者マキシンと共に訪れ、役者から人形師へと方向性を変える意向を示す。

八ヶ月後、マルコヴィッチが44歳の誕生日を迎える。クレイグはマルコヴィッチを利用し、思惑通りに人形師として成功を収めた一方、妻でマネージャーのマキシンは妊娠を境に表舞台とクレイグを避け、ロティへの思いを募らせていた。レスター達は一堂に会し、クレイグからマルコヴィッチを奪い返す機を窺っていた。夜、クレイグは劇場公演を大盛況で終えて帰宅するとマキシンがいない事に気付く。間もなく、レスターが連絡を寄越し、マキシンを誘拐した事を明かすと、直ちにマルコヴィッチから出ていくよう命じる。クレイグはマルコヴィッチから離れたら仕事も金も失ってしまうと訴える。レスター達はJMインクでクレイグがマルコヴィッチから出てくるのを待つ。ロティは痺れを切らし、マキシンを拳銃で殺そうとする。レスターはマキシンの子供が次の容器だと明かす。マキシンはマルコヴィッチへの入口に逃げ込み、ロティはその後を追う。二人はマルコヴィッチの潜在意識を次々に移動した末に、有料道路脇に吐き出される。マキシンは咄嗟に拳銃を奪う。ロティはマキシンへの愛を訴える。マキシンもまたロティへの愛を訴えると、胎内に宿しているのがロティがマルコヴィッチの中にいる間にできた子であり、ロティが「父親」だから産むと決意した事を明かす。一方、クレイグはバーで思案に暮れている内に客と乱闘騒ぎを起こした後、レスターに連絡し、マキシンを救う為にマルコヴィッチから出ると伝える。間もなく、クレイグは有料道路脇に吐き出される。レスター達は日付が変わる直前に挙って入口に入る。ロティとマキシンは口づけあった後、クレイグを捨ててタクシーで走り去る。

七年後、ロティとマキシンはエミリーを育てながら睦まじく暮らし、レスターはマルコヴィッチの体でフロリスと悠々自適に暮らしていた。レスターはチャーリーを屋敷に招くと、永遠に生きる方法がある事を明かし、次の容器たるエミリーの成長過程を追った部屋を見せる。一方、クレイグは真夜中過ぎにマルコヴィッチの中に入った為に、進路が逸れてエミリーの中に吸収されてしまい、その目を通してロティとマキシンの幸せな暮らしぶりを永遠に鬱々と見続けるのだった。

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