チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

キョンシー

ジュノ・マック監督作「キョンシー」("殭屍 Rigor Mortis" : 2013)[DVD]

人生に絶望した男が、流れ着いた団地の一室で悪霊と遭遇し、道士と共に復活したキョンシーとの戦いに臨む様を描くホラー作品。

チンは子供時代を貧民街で過ごし、その後、映画俳優として一度は成功を収める。しかし、その人気が凋落すると、チンの妻は息子を連れ、彼の元を離れてしまう。孤独を抱えたチンは、古びた団地に流れ着き、曰くつきの「2442号室」に入居するが、人生に絶望する余り、首吊り自殺を図る。その直後、部屋に取り憑く悪霊がチンの体に乗り移ろうとする。そこへ、住民の道士ヤウが駆けつけ、チンの体から悪霊を追い出し、窮地を救う。一命を取り留めたチンは、不審な女フェンが部屋の前を彷徨くのを目撃する。

食堂に赴いたチンは、住民のムイと挨拶を交わした後、店主でもあるヤウに食事を振る舞われる。ヤウは道士一族の末裔だが、キョンシーが消滅した今、キョンシー退治に効果のある商売道具のもち米を炊き、生業としている事を明かす。チンは助けてくれた事の礼を言う。程なくして、ムイの夫トンが階段から足を滑らせ、転落し、致命傷を負う。ムイは不意にトンが死んだ夢を見る。夢の中でトンは2,3日で戻るとムイに告げる。ムイは道士ガウの元を訪ね、トンの事を相談する。その後、守衛のインが階段で金歯を発見する。チンが部屋に戻ると、勝手に入り込んだフェンの息子パクと遭遇する。パクが出て行った後、チンはパクのスケッチブックを見つける。

ムイはトンを復活させる為に、ガウの指示に従い、遺体を浴槽に埋め、まじないを続ける。ガウは7日後にトンが復活すると告げる。チンは自室の前でフェンとパクを発見するが、そこに不気味な霊が通過し、フェン達はその場を去る。チンは2人を追って配電室に辿り着く。そこに現れたインが、部屋に帰れぬ2人を不憫に思い、配電室に置いてやっている事を明かす。元々、2人は2442号室で暮らしていたが、フェンの夫が家庭教師をする双子の姉妹をレイプした事で、反撃に遭って殺され、双子もその場で自ら命を絶った。それ以来、フェンは毎日、2442号室の前に現れ、住民が供えた食べ物で日々を食いつないできたのだった。その話を聞いたチンは、2人を助けるべく、協力を仰ぎにヤウを訪ねる。ヤウは父親の遺した形見の道具である金属板について語ると、チンの生き別れとなった子供への未練を見透かし、人助けする立場で無いと突き放す。

自室に戻ったチンは、不意にガウに拘束される。ガウはチンの体を囮に使い、双子の悪霊を呼び出し、取り憑かせようと企てる。霊気を感知したヤウが駆けつけ、ガウと共に、チンの体から双子を引きずり出し、衣装棚に封印する。ヤウはガウの強引な手法を非難する。

チンは双子の霊の消えた部屋にフェンとパクを招き入れ、共に暮らさせる。ヤウは食堂を訪れる客の服の、ムイによる繕い跡から、不可解な匂いを感知する。インは、トンが何者かに殺されたというフェンの証言を、ヤウに伝え、拾ったトンの金歯を見せる。ムイは毎晩11時になるとトンの目が開くものの、生き返る気配の無い事をガウに問い質す。ガウは万が一の場合、他にも方法がある事を仄めかすが、それには男の子の血が必要で、無理だと告げる。その上で、トンの口元の覆いを取らぬ様に再三、念を押す。

インは子供達の声がする苦情が来たと称して、ガウの部屋を訪ねると、そこでムイと出会う。インはガウに金歯を突きつけ、トンの行方を問い質すと、ムイがインに襲いかかり、撲殺する。ムイを不審に思ったヤウはパクを連れ、ムイの部屋を訪ねる。ムイはヤウを適当にあしらうと、パクを部屋に招き入れ、トンの眠る浴室に閉じ込める。パクはトンの餌食にされ、トンはキョンシーとして復活を果たす。

トンの復活と共に、ヤウの部屋の金属板が起動する。改めてムイの部屋を訪ねたヤウは、血塗れの室内で致命傷を負ったガウと、キョンシーと化したトンが出て行くのを目撃する。ガウはトンの死の経緯を打ち明ける。末期の肺がんのガウは、水子の遺灰を煙草にし、邪気の力を借り生きようとしていたが、その折、事故的にトンを殺してしまった為、トンをキョンシーにし、双子の魂を乗り移らせようと企てた。ガウはムイに防腐処置をさせると共に、死体油と口の覆いでトンの遺体を鎮めていたのだった。ガウはヤウに真実を告げた後、息絶える。

パクを探して2442号室を訪ねたフェンは、封印された衣装棚を開ける。解放された双子の魂は部屋から抜け出し、キョンシーの元へ向かう。ヤウはキョンシーに双子の魂が乗り移る前に止めようと、チンに協力を求める。パクの霊と遭遇し、パクが殺された事を悟ったフェンは、キョンシーを探し出し、殺そうとするが、返り討ちに遭い、殺される。そこへチンが火炎瓶を投げつけ、キョンシーを撃退するが、キョンシーの体に双子が乗り移る。魂を得て強化したキョンシーは、チンに致命傷を与え、その場を去る。

瀕死のチンの元に、ヤウが金属板を携え、駆け付ける。チンは自殺を図った時、ヤウに命を救われた礼がしたいと告げ、キョンシーと捨て身の戦いを挑む決意をする。ヤウがまじないを施し、キョンシーを異空間に誘き寄せると、チンはキョンシーと死闘を繰り広げる。ヤウは金属板に自らの血液を注ぎ込み、水、木、土、金、火と回転させる。チンがキョンシーを捕らえると、ヤウはチンと共にキョンシーを道連れにして団地から飛び降りる。地上に落下したキョンシーは燃え上がり、灰と化す。そこへムイが現れ、トンの死を見届けると、自らも首を切って死ぬ。キョンシーの死と共に、双子の魂も消滅する。

チンが団地に到着するシーンが繰り返される。しかし、団地の様子は最初とはまるで違う。チンは自殺を図り、そのまま帰らぬ人となる。遺体安置所へ身元確認をする為に息子が訪れる。

 

 

キョンシーが登場する霊幻道士の公開が約30年前という事で、内容はほとんど覚えていないのだが、キョンシーの強烈なイメージだけは脳裏に焼き付いている。霊幻道士と別に幽幻道士というシリーズもあるのだが、僕が地上波でよく観ていたのがどちらだったのか、今となっては思い出せない。本作はキョンシーというモチーフを流用しているものの、内容や作風は全くの別物で、ほぼオリジナルに近いシリアス・ホラー作品となっている。ストーリーが荒唐無稽というか、現実感に乏しいのは序盤から気になったのだが、それもそのはずで、最後に夢オチというか、臨死体験オチというか、主人公チンによる死に際の空想?である事が明かされ、どひゃーという感じである(笑)。演出面では印象的なシーンが多く、双子の姉妹がおどろおどろしく登場する様子は、和ホラーとも洋ホラーとも違う斬新さで良い。

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