久しぶりにプラス気温に転じたので、今日は雪融けが進んでしまいそうだ。またザブザブのシャーベットロードを歩く事になるのかと思うと、外に出る前から憂鬱である。 外出といっても、定期的に通っているコインランドリーで、タオルとシーツ類を洗濯・乾燥してくるくらいで、往復1キロ程の距離である。土日は混みやすいので、いつもは極力平日に利用する様にしているのだが、今週は都合が付かなかったので渋々ながらの今日だ。
しかしこのコインランドリー代も、定期的に利用するとかなりの出費で、年間でン万になる。洗濯機や乾燥機の1台くらい買えてしまえそうな額だが、底辺はこういうコスパの悪い生活に甘んじなければならぬ、如何ともし難い部分がある。自室には中華製の小型で安価な洗濯機があるが、シーツやバスタオル複数枚などとても洗えない。洗えたとしても、そもそもベランダの類が無いから乾かす場所もない。乾燥機があればどんなにラクな事だろう。安物なら購入できない価格でもないが、狭い部屋に置く場所などない。
コスパが悪いと言えば、食器洗いなんかもそうだ。面倒でも自分の手で洗う方が、ヨゴレ落ちは確かだと思い込んでいたが、最近の食洗機はヨゴレ落ちの点でも、コスパの点でも非常に優れているらしい。初期投資さえできれば、すぐに元が取れてしまうのかも知れない。しかし、こちらも置く場所などない。テクノロジーの恩恵に与りたい。でもテクノロジーのおかげで人が携わる作業が減り、仕事が減るのかと思うと複雑である。
それはさておき、先日、ポチったベッドのシーツが届いているので、ズタボロの旧いシーツは棄ててしまおう。ときに、はてラボにQuyoというサービスが新たにできたそうなのだが、僕のズタボロシーツも供養していいのかしら。まぁとてもお見せできる代物ではないし、遠慮しておこうか。というかそれ以前にこのサービス、いまいち使い方がわからないのだが・・・
読了記
家事労働ハラスメント――生きづらさの根にあるもの (岩波新書)
- 作者: 竹信三恵子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2013/10/19
- メディア: 新書
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夫は会社でがむしゃらに働き、妻は家で家事と育児に励む。そんな性差による役割分担が、当たり前の様に押し付けられてきた。夫が会社で働けば相応の賃金が支払われるが、妻が家庭で行う家事や育児は基本的に無償労働である。その為に、女性の家事労働にも、税制上の控除などで報いる仕組みがあるが、その額は夫が労働で得る賃金の額とは比べるべくもない。家事労働はその重要度と大変さの割に、社会的な評価が低く、それが家事労働を主体的に担っている女性の評価をも、押し下げる要因となってしまっている。ここに社会がもたらすハラスメントの元凶がある。
それでも、高度経済成長期における日本であればまだマシだった。夫の賃金は右肩上がりだったから、妻は家事と育児に専念できたし、不足があれば短時間パートで補う事も容易かった。しかし、現下の経済情勢では、夫はいつリストラの憂き目に遭うやも知れず、それどころか正社員で長年勤務しても、低賃金に甘んずるしかないなんて事もザラである。そうなれば、妻がフルタイムで働きに出なければならない。ところが社会では、女性の活躍を謳っておきながら、未だ硬直した価値観が蔓延っているために、女性の低待遇やむなしの仕事で溢れかえっている。夫ががっりち稼ぐのだから、妻はお小遣い程度の稼ぎでいいだろうとこんな感じだ。妻は家で家事労働を担うもの、などという、人権のみならず、経済情勢の観点からも時代遅れの因習が根強く残っているのである。そして、世帯収入の主体である夫すら稼げない時代になると、立処にダブルインカムでも貧困に突入する世帯が増えてしまったワケだ。
国が率先して、家事労働の社会的な評価の再考を促さなければならないのだが、現政権与党はガチガチの復古主義的な考え方で支配されており、改善を望むべくもない。それどころか安倍晋三は悪名高い保守系極右団体「日本会議」の中核メンバーであり、女性の活躍~などといくら美辞麗句を並べ立てたところで、彼らが普く女性の待遇改善や生きづらさの解消を図ろうなどと、真剣に考えているはずがない。せいぜい一握りのパワーエリートに限定したハナシだろう。夫は会社に隷属し、妻は夫に隷属する、彼らはそれを立ち返るべき、古き良き家庭のモデルだと考えているのだから。全くもってカルト的な教条である。
映画鑑賞記
ジョナサン・グレイザー監督作「アンダー・ザ・スキン 種の捕食」("Under the Skin" : 2013)
人間の姿をした謎の存在が、自我に覚醒していく様を描くSFスリラー作品。
それは人間の女の姿格好をしていながら、実際には人間とは似て非なる存在だった。その謎に満ちた美しい女(スカーレット・ヨハンソン)は、小型のトラックで町を流し、獲物となる男を物色している。その女は、そうやって人が良く攻撃的でない男を見つけては、声をかけ、巧みに誘惑し、住処である廃屋に誘う。その女に魅了された男達は、漆黒の空間に招かれ、気付いた時にはもはや身動きが取れなくなっている。程なくして男達は消滅する、皮だけを残して。その女は、時には仲間と思しき男の格好をした存在の助力を得ながら、獲物となる男を次々に住処へと連れ帰る、それが宿命であるかの様に。しかし、ある時からその女は自分の行動に違和感を覚え始める。そして、遂には自分のアイデンティティを揺るがす事態へと発展していく。
非常に奇天烈な内容のSFスリラーで、今年一番の迷作だった様に思う。どんなハナシって説明するのがなかなか難しい(笑)それというのは、劇中、細々とした設定については何ら明示的に語られる事がなく、また台詞も極端に少ないために、起こっている事象を見て、後はご想像にお任せしますという具合で、視聴者の感性が試される、そんな作品なのである。その女の姿をしたナニカはエイリアンなのか、或いは別の未知の存在なのか、それすら良くわからない。とにかくその謎の女が次々に男を誘惑して、漆黒の空間に招き入れる。そこで男達は漆黒の液体に水没し、皮だけを残し、ズボッとどこかへ吸収される。邦題の「捕食」はこれを意味しているのだろうけど、身の毛もよだつ非常におぞましい光景でギョッ!とする。女の役割は男達を謎の空間まで招き入れる事だけらしい。ところが、そのいわばルーチンな作業を繰り返す中で、女は自我らしきモノに覚醒するワケですな。人間の姿をしてながら、人間と同じようには振る舞えない。アイデンティティが揺らぎ始めた女はやがて倒錯し、破滅の道を辿る。オチがこれまた脳裏に焼き付く衝撃的な鬱ENDと女の正体にギョッ!とする。キューブリック作品を彷彿とさせる画作りと、一度聴いたらアタマから離れない不協和音のBGM。そして最大の見所はなんといってもスカヨハのフルヌード。一癖も二癖もある内容だけど、とても人に勧めたくなるミステリアスで不思議な魅力に満ちた作品(笑)