チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

シリアナ

スティーヴン・ギャガン監督作「シリアナ」("Syriana" : 2005)[BD]

ある架空の産油国を舞台に、石油利権を巡る中国の台頭に、中東情勢の先行きを案じた米国当局及び米国企業が、自国への利益誘導を図るべく、陰謀を張り巡らせる様を描くポリティカル・スリラー作品。

米国の大手エネルギー企業コネックスが、シリアナにおけるペルシャ湾天然ガス採掘権を中国に奪われ、衝撃が走る。一方、キリーンという小さな会社がカザフスタンで未開発の大油田の採掘権を獲得した事で、両社は合併の協議に入る。しかし、司法省検事局は、キリーンの採掘権獲得の経緯に不正の可能性を疑っており、海外汚職行為防止法に抵触すれば、合併の承認は降りない。そこで大手法律事務所代表のホワイティングは、合併の進行を促す為に、有能な弁護士ベネット・ホリデイに不正の有無を調査する様に命じる。コネックスとキリーンの合併が実現すれば、世界第5位の石油ガス企業の誕生となるだけに、ベネットにとっても大きな仕事だった。

その一方、コネックスで働いていた現地の労働者は突然解雇を言い渡される。2週間以内に移民局で手続きをしなければ、本国に強制送還となる為、労働者達は呆然とする。その中にワシームという青年がいた。ワシームは職探しを行うも難航し、移民局に訪れた際に警備する兵士に暴行される。ワシームはその後、反米・反資本主義を標榜するイスラム原理主義組織と接触する様になり、彼らの教義に傾倒していく。

スイスを拠点に活動するエネルギー分野のアナリスト、ブライアン・ウッドマンは、シリアナの王ハマドがスペインで開くパーティに招待される。

長らく中東で活動するCIAのベテラン工作員ボブ・バーンズは、テヘランにおける武器商人の暗殺に関与するが、その際に用いた2つのミサイルの内、1つが横流しされ消えてしまう。CIA本部長はその件の発覚を恐れ、ボブを内局へ昇進の形で異動させようと目論む。ボブは面接に臨むが、誰よりも現場を知ると自負するボブは、つい熱くなって空回りしてしまい、昇進の機会を不意にする。

ブライアンは妻と2人の息子を率いて、スペインに赴く。ハマドには中国企業からの訪問団が訪れていた。ウッドマンはハマドに会う事ができず、使いの者に石油資源の枯渇とそれに伴う産油国の衰退、価格戦略の必要性を説く。その後、ハマドと2人の息子、ナシール王子とメシャール王子は中国の訪問団に、邸宅の設備を披露するが、その過程でプールの電灯が故障する。運悪く、ブライアンの長男がプールに飛び込み、感電死してしまう。
ベネットは検事局のファリシュと面会し、司法省が不正を証言する関係者を押さえていると疑う。ホワイティングはメシャールと会合を持ち、親米派のメシャールを唆し、王にさせようと企む。
ボブはコネックスが中国に利権を奪われたのは、反米主義のナシールの思惑が働いたと睨む。ナシールは反米テロ組織に金を流している疑われており、ボブは紛失したミサイルも反米組織に渡ったと考えていた。CIA本部はボブに挽回の機会を与える。
ナシールはブライアンと会い、自らの施設が原因で子を死なせた事を詫びる。ナシールは油田の一部をブライアンに任せると提案するが、ブライアンはその判断の誤りを指摘し、独自の改善案を提示する。ナシールの信頼を得たブライアンは、以後ナシールの経済アドバイザーを任せられる。

ボブはベイルートのヒズボラ占領地区に赴き、長のハシミに来た目的を説明し、歓迎される。ボブは傭兵のムサウィと会い、ナシールの拉致計画の協力を要請する。しかし、ムサウィは実はイランのスパイであった為、逆にボブは拉致され、拷問を受ける。しかし、ハシミに歓迎されていた事が救いとなり、命は助かる。ムサウィはその後、ナシール暗殺の件をメディアにリークする。ボブの作戦の不手際が続き、米当局はボブの調査を始める。ボブはワシントンに身柄を戻され、パスポートが剥奪される。
ベネットは合併に暗躍したドールトンが、スイスの学校に送金していた事実を掴み、ハマド買収の事実関係をコネックスとキリーンの役員らにぶつけるが、彼らはしらを切る。その後、ハマド王の財産が凍結される。ホワイティングが王に巧みに圧力をかけていた。ナシールは弟メシャールと米国の接触を訝る。ブライアンはナシールの真の民主主義に対する崇高な理念を聞く。それは、独自の石油取引所を作り、米国依存からの脱却を図り、中国へ傾注していく事だった。

ベネットはドールトンに会い、カザフスタンに係る不正の件を追求するが、ドールトンは不正こそが米国に利益をもたらしてきたと自負しており、逆に居直る。その後、ファリシュと会ったベネットは、不正に加担していると責められる。ベネットはドールトンを差し出す事で手打ちにできないかと提案するが、ファリシュはそれだけでは不十分と突き放す。

当局により、調査対象となったボブは、事務職に回されるが、程なくして検閲に晒される様になり、身動きが取れなくなる。ボブはCIA幹部のフレッドの元へ赴き、事情を問い質すが、追い返される。

米国からの圧力に疲れたハマドは、後継者をメシャールに決定するが、ナシールは憤慨する。ナシールはアラブに真の民主主義を根付かせたいと考えており、メシャールが王になれば、米国の食い物にされる事は目に見えていた。

ボブはCIA内でも協力的なスタンと会い、情報提供を受ける。メシャールが王になれば米軍基地建設が推進される為、CIAが前のめりになっている事を知る。更に、CIAがボブによる情報の暴露を懸念している事も知る。ボブはホワイティングを呼び出し、自身や家族の身の安全が図られなければ、報復に及ぶと脅す。

ワシームは過激派の教義に染まり、紛失したミサイルを使ったテロの実行犯に選ばれる。

ベネットはキリーンのCEOポープと会い、ドールトンの起訴だけでは司法省が納得しない事を告げる。司法省も両社の合併が米国を利する事は分かっており、体裁を整える必要があった。ファリシュが合併承認の条件と示唆したのは、大物2人の起訴だった。

メシャールが王位を継承する直前、ナシールはクーデターを企てる為に動き出し、ブライアンも行動を共にする。

ベネットは上司のシドニーと共に、コネックスのCEOジャヌスの元へ赴く。ベネットはシドニーが過去に不正取引を行い、私腹を肥やしていた事を暴露し、合併の犠牲にする。その後、合併は承認され、コネックス・キリーン社の設立セレモニーが開かれる。そして新設された精製所からタンクに石油が注入される。ワシームはミサイルを積んだミサイルを石油タンカーに激突させ、自爆テロを完遂する。

ボブはナシールと共にクーデターに向かう。ナシールの車列にボブの運転する車が接近し、車列を止める。ボブはナシールに必至に何かを訴えかけようとするが、その瞬間、フレッドの命令で米国の戦闘機が発射したミサイルがナシールの車を撃破し、暗殺する。命からがら生き延びたボブは、その後、帰国し、妻子と再会を果たす。

 

いやはや、難解な作品だった。こうしてあらすじを記録していても、まだ完全に理解できていない。まず、予備知識として石油利権を巡る地政学や、欧米諸国のアラブ諸国におけるプレゼンスなど、中東情勢が頭に入っていないと、序盤で置いてけぼりを食らう。ストーリーは主に、ボブ、ブライアン、ベネットの3つの軸で同時に進行し、ザッピングを繰り返し、やがて相互に関わりあうのだが、登場人物も多く、背後関係などの情報量も多いから、1つ1つ処理していくのもなかなか大変で疲れる。一度観終わっても、理解度は50%程で、英語版wikiのstorylineを読み補完する事で、なんとなく意図するところが分かったが、それでもまだ不十分だ。ボブはいったい何がしたくてナシールの元へ向かったのか、サッパリ分からず、結果として彼のせいでナシールが爆撃された様な気がしてモヤモヤする。ベネットの父との確執の下りがイミフだったが、wikiによるとなにやら「父と息子」の関係が、本作の隠れテーマとなっているらしく、ベネットとその父、ブライアンとその次男、ボブとその息子、ワシームとその父、そしてハマドとメシャールの関係が象徴的に描かれる共通のシーケンスとなっているんだと。更に、ブライアンの長男が事故死し、ナシールが暗殺され、ボブも巻き添えで死ぬのももう1つの共通シーケンスらしい。こんなの何度観ても気付くワケないっての。

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