チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ジンジャーの朝 さよなら、わたしが愛した世界

サリー・ポッター監督作「ジンジャーの朝 さよなら、わたしが愛した世界」("Ginger & Rosa" : 2012)[DVD]

米ソ間の緊張が頂点に達した冷戦中に、多感な時期を送る少女が、無二の親友との相克に苦悩を深めると同時に、核兵器廃絶の思想に傾倒していく様を描くドラマ作品。

 

1962年、ロンドン。米ソ間の冷戦が深刻化し、世界はソ連による核兵器使用への懸念を深める。17歳のジンジャーとローザは、それぞれの母ナタリーとヌシュカが親しい事から同じ日に誕生した為、幼い頃から何をするにもどこに行くにも一緒で、唯一無二の親友として暮らしている。詩人を志向するジンジャーはかつては平和活動家だった父ローランドの影響を受け、ノートに自作の詩を認めるなど、精神活動に耽る事が多い一方、ローザは幼い頃に父が家を出て以来、母親に反抗的になり、次第に素行不良となっていく。ナタリーはローザがジンジャーに悪影響を及ぼすのを懸念するが、ローランドは寛容さを示す。

核兵器による世界の終わりへの危惧を募らせるジンジャーは、ローザに抗議活動への参加を提案する。ローザはジンジャーにお揃いの十字架のペンダントを与えると、一緒に教会を訪ね、祈りを捧げる。ローザはやがてジンジャーをそっちのけで男と交遊する様になる。ある夜、ジンジャーはローザと共に、核廃絶運動の集会に参加する。以後、ジンジャーは核廃絶の思想に傾倒していく。一方、ローランドとナタリーの関係は冷え込み、ローランドは家に居着かなくなる。

実存主義のローランドは、ジンジャーの行動を評価すると、人生は一度だけだと説き、楽しむ様に促す。ジンジャーはローザと一緒に核廃絶のデモ行進に参加する。その最中、ジンジャーはローランドが若い女を車に乗せて走り去るのを目撃する。その後、ジンジャーは良き理解者のおじマークが、友人ベラと共に行進に参加していた事を知る。

ある夜、食事中にローランドとナタリーがジンジャーの前で口論を始め、ローランドは家を出て行く。父が出ていった理由を母に求めるローザは、ローランドが家を出た事に理解を示す。ジンジャーはローザと共に、ローランドが所有するボートに招かれる。ローランドは2人に、かつて投獄された時の様子を語り、それがいかに酷い場所だったかについて明かす。ローザはローランドに同情する。

ソ連による核攻撃の脅威が一段と深刻化する。ジンジャーはその事に懸念を募らせる。一方、ローランドへの気持ちを深めたローザは、ジンジャーにローランドの痛みが分かると説き、手紙を書く事を明かす。ジンジャーは当てつけの様に初対面の男と飲みに出かけ、泥酔して帰る。ナタリーはジンジャーを咎めると、自らが十代でジンジャーを産んで苦労した事を明かし、同じ思いをさせたくないと諭す。ジンジャーは勢いに任せ、ナタリーの様にはなりたくないから子供を産まないと言い放ち、ローランドと暮らす意向を示す。

翌日、ジンジャーは学校を抜けて、ローランドが暮らす仕事場を訪ねると、空き部屋があれば一緒に住みたいと希望する。その後、ジンジャーはマークに家出について相談し、ナタリーに対する心配を吐露する。更にジンジャーは核兵器で明日にも死ぬかも知れないと危惧し、やりたいことがあり、死にたくないと訴える。マークは焦って大人になる必要はなく、少女のまま人生を楽しむ様に諭す。

ローザはローランドから手紙の返事があった事をジンジャーに明かすと、ローランドが情熱的で高潔な平和主義者であり、感動したと説く。ジンジャーはローランドを理解したかの様に話すローザが気に入らず、ローランドと一緒に住む意向を明かす。逆にローザはローランドとボートで出かける予定を明かし、一緒に来るか尋ねる。間もなく、ジンジャーはナタリーの元を離れ、ローランドが用意した空き部屋に移り住む。

ローランドはジンジャーとローザをボートに乗せ、沖合まで出かける。ローランドとローザは親密になり、夜には遂にセックスをする。ジンジャーは別室でその様子を察知し、涙する。その後、ジンジャーは鬱憤を晴らす様に、活動にのめり込み、人類の滅亡を避ける為には違法行為も辞さない直接行動が必要だとする考えを抱き始める。

ジンジャーが集会に参加する一方、ローザはローランドと関係を深める。ジンジャーはローランドとローザが愛し合う様子を見て、深く傷付いていく。ジンジャーは衝動的にナタリーの元へ戻ろうと考えるが、ナタリーが気ままに生活している様子を見て翻意する。

ローランドはジンジャーを精神的に追いやっている事に気付くと、望んでいる父親にはなれないと弁解する。ジンジャーはそれを否定する。ローランドはナタリーと長い間、上手くいっていなかった事を明かすと、真実の愛を前にして抗う事はできないと説き、ジンジャーに理解を求める。ジンジャーは核兵器の脅威を説き、その最中に幸せにはなれないと嘆く。ローランドはローザとボートで過ごした事をナタリーに黙っていて欲しいと請う。

キューバ危機が勃発し、いよいよ核戦争が現実味を帯びる。ローザはローランドが精神的な傷を負っている事をジンジャーに明かすと、自分が父に捨てられた様に、ローランドも幼い頃に母に捨てられたという共通点がある事から、自分がローランドを助けてやりたいとジンジャーに伝える。ジンジャーはそれが虚しい共通点だと指摘するが、ローザは互いに理解しあっていると主張する。ジンジャーは世界の危機が訪れていると説くが、ローザは一人の事だけで必死だと応じる。ジンジャーはそれが思い上がりであり、ローザにはローランドは救えないと説く。ローザは戦争を阻止しようと考えるジンジャーこそ思い上がりであり、神が決める事だと反論する。ジンジャーは年を取れば絶対に捨てられるとローザを詰る。ローザは妊娠している事を打ち明ける。

ジンジャーは爆発しそうな感情の発露を求め、大規模な座り込みデモに参加する。警察はデモ隊を強制排除し、ジンジャーは連行された後、留置され、医師の診断を受ける。医師は駆け付けたマーク達に、ジンジャーのデモへの参加の裏に精神的な問題が隠れており、治療が必要だと説く。マーク達はジンジャーが純粋に核兵器の脅威を恐れているのだと主張する。

ジンジャーはマーク達と共にナタリーの待つ家に戻り、そこへローランドも駆け付ける。ナタリーは何があったのか問い質すが、ジンジャーが口を噤む為に、ローザを呼んで話す事を提案する。ジンジャーは秘密を話したら自分が爆発してしまうと訴えると共に、人類滅亡への危惧を露わにする。ベラは人類の滅亡が最悪の場合だと諭し、秘密を話す様に促す。ジンジャーは泣きながら、ローランドがローザとセックスしている事を打ち明ける。ナタリーは取り乱して、ローランドに激しく詰め寄ると、ヌシュカに知らせに行く。ジンジャーは世界の終わりを嘆く。ローランドはマーク達に非難される事を拒むと、自分の人生が常に「普通の家族」という名の重圧に抑圧されてきた事を明かし、ジンジャーはもう子供では無いと説く。マークはジンジャーが核兵器から人類を救おうと考える程には成長したが、心はまだ幼いのだと説き、ローランドを非難する。ローランドは自発的な思考や行動の自由を信じ、それに則って生きてきたが為に、投獄されたのだと主張すると、核戦争など起きはせず、知性を欠いた服従こそが危険であり、法律に対してノーというべきなのだとジンジャーに諭す。そこへヌシュカがローザを連れてやってくる。ナタリーはローザが妊娠している事を知ると、部屋に篭って薬を飲んで自殺を図る。ジンジャーが救急車を呼びに行く際、ローザはジンジャーに許しを請う。

ナタリーは病院に搬送され、救命措置を受ける。ジンジャーはローランドと共に、病院のベンチでナタリーの回復を待つ。夜が明け、ジンジャーはローザへの気持ちを詩に託してノートに綴り始める。その中で、ジンジャーは恐怖と痛みの中にあっても、世界を愛しており、命を守りたいと望んでいる事、いつかローザと再会したら愛していたと伝える事、ローザの夢は永遠の愛、自分の夢は生きる事それだけであり、互いに異なる事を記す。ジンジャーはローランドに何を書いているのか問われ、未来についての詩を書いていると伝える。ローランドはジンジャーに謝る。ジンジャーはローザを許すと記す。

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