チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

オートマタ

ガベ・イバニェス監督作「オートマタ」("Autómata" : 2014)[DVD]

荒廃の限りを尽くす世界で窮乏する人類が開発したロボットが、改変不能な制約から解かれて自我を有し、人類に反旗を翻す様を描くSFスリラー作品。

 

2044年。地球は急増した太陽嵐によって地表の大半が汚染濃度の高い砂漠と化しており、人口は99.7%減の2100万人にまで縮小する。更に大気の乱れが地上の通信システムを妨害し、人類は技術的な後退を余儀なくされている。およそ20年前、絶望の最中にROC社はオートマタ・ピルグリム7000型を開発した。その原始的な人型ロボットは最後に残った街に住む人類存続の為に、砂漠を隔てる防御壁や人口雨を降らせる機械式の雲を作った。膨大な数のロボットを制御する基盤は2つの安全プロトコル「1.生物への危害を禁ず」「2.自他の改造を禁ず」から成り、人類をロボットから守る為に作られたこのプロトコルは改変不能とされている。ロボットによる砂漠化阻止の計画は失敗に終わり、砂漠化は尚も急速に進行している。未来を担うと期待されたロボット達は厄介払いされる様に、主に家庭における雑事や各種労働を担うロボットとして利用されている。防御壁を隔てた街の外には棄民達が暮らすスラム街が広がっている。

ROC社の保険部に勤務するジャックはロボットの保険審査に奔走し、多忙を極める日々を送っている。その一方、妻レイチェルは出産を間近に控えて、自宅アパートで安静にしている。ある日、ジャックは警察の検視官に呼び出しを受け、防御壁の建設会社が所有するロボットがヤク中刑事ウォレスによって破壊され、検視に回された事を知る。ウォレスはロボットの自己修復を目の当たりにして、それを機能異常と判断し、銃で撃って停止させたのだという。検視官はロボットの内部が相当改造されており、高度な技術を有した専門の技師がいる可能性を説き、また頭部を撃たれた事でバイカーネルが破損している事を明かす。検視官はソフトが変更され、ロボットが道具や部品を盗んでいたという物証に基づき、第2プロトコルが失われている事を危惧し、ジャックに早急に手を打つ様に促す。

ジャックは上司ロバートに事件について報告する。ロバートはウォレスの妄想の線を疑うが、ジャックはロボットの改造自体は事実である事から、もぐりの技師が介在している可能性を指摘する。ジャックは職務で疲労困憊だと訴えると、汚染された街を離れる事を希望し、海岸地区への異動を申し出る。ロバートは会社の経営が厳しく、市当局との契約が不透明な状態の今は、仕事に専念すべきだと説き、いかに恵まれた環境にいるか再考する様に諭すと、問題の元凶を見つける様に命じる。

ジャックは防御壁で操業する件の建設会社を訪ねると、責任者の男に経緯を説明し、従業員の誰かがロボットをROC社に無断で修理、もしくは改造した可能性を指摘する。責任者の調べにより、盗まれた部品の中に稼働中のロボット206号の物が混じっている事が判明する。ジャックは構内を調べ回る内に、作業中の206号と遭遇する。206号は壁の外に出て、立入禁止区域に侵入すると、スラム街のコンテナの中に逃げ込む。ジャックが駆け付けると、206号は自らの体に火を放つ。

焼損した206号はROC社のラボに回収される。206号が所持していた小箱から、盗品と思しき数種の部品と共に、原子力電池が見つかる。研究員はそれがとても強力でなかなか手に入らず、高価な代物だと説く。ジャックは簡易復旧させた206号に、誰の指示で電池を盗み、なぜ自分に火をつけたのか問い質す。206号は自らにオーナーはいないと答えるのみで、火を付けた理由は明かさずにショートする。ジャックはロバートにこれまでに見た改造例とはレベルが違うと主張する。ロバートは会社の状況に鑑み、公にする事に難色を示すと、ジャックが異動したいが為に騒ぎを大きくしたいのではないかと邪推し、犯人を見つけて解決すれば異動を認める意向を示す。ジャックはロボットが自分に危害を加えたとしたら第2プロトコル違反だと主張する。研究員はプロトコルバイカーネル内にあり、更に量子暗号化されている事から、改変はカーネルが壊れる為に不可能だと説く。

その夜、ジャックはレイチェルに、汚染された街を出て、未来がある場所に行きたいという意向を示す。レイチェルはそれに拒否感を示すと共に、ジャックが本心では子供を望んでいないと悟って失望する。レイチェルに拒絶されたジャックは、その足でウォレスがロボットを破壊した現場へ赴き、そこでロボットが隠したと思しき原子力電池を見つける。

翌日、ジャックはスラム街でウォレスと落ち合う。ウォレスは自己修復の件が妄想では無く、事実だと主張する。ジャックは原子力電池を出汁にして、もぐりの技師を探し出す方策を説く。捜査の過程で、ジャック達は改造が施されたロボット、クリオで風俗業を営む女の元に辿り着く。ジャックは女に技師について問い質すが、ウォレスは有無を言わさずクリオを銃で撃ち、損壊させる。ジャックが真意を問うと、ウォレスは女がロボットを修理する為に技師の元へ持ち込むはずだと説き、次に会うまでに金を払う様にジャックを脅す。

ジャックは店からクリオを搬出した車を追跡し、デュプレ博士のラボに辿り着く。ジャックはロボットの改造について調査している事、カーネルが破損して分析できない事を明かし、第2プロトコルが破られた事実が発覚して、会社が潰れる事を危惧すると、協力の見返りに原子力電池を提供する意向を示す。デュプレは人間には脳の制約がある一方で、ロボットの唯一の制約は第2プロトコルであり、それが無くなるとロボットがどこまで進化するのか人間には予測不能だと説くと、クリオが他のロボットよりも人間をよく理解できる個体でありながらも、プロトコルが改変されていない事を明かす。ジャックはデュプレにカーネルの分析を依頼してその場を後にする。帰宅したジャックは、ロバートに調査の経緯と解決への手応えについて内部報告する。レイチェルはジャックの意向に理解を示しながらも、真の未来は生まれてくる子であり、人生はここでもなるようになるものだと諭す。

ROC社オーナーのホークは、ジャックがロバートに密かに送った報告の内容を知ると、側近のコンウェイに対処を命じる。ジャックは、コンウェイから調査の中止とカーネル及び資料の即時返却を命じられる。同時にジャックはデュプレから緊急の連絡を受け、再びラボを訪ねる。デュプレは破損したカーネルに使える部分が残っていた為に、通常のカーネルと合成してクリオに取り付けたところ、クリオが自ら方法を解明して、自己修復を始めた事を明かす。その時、ラボに刺客が襲来し、デュプレが射殺される。ジャックは命からがらラボから脱出すると、クリオの運転する車で逃走する。ジャック達は汚染された砂漠地帯に突入した後、猛追する刺客の車を退けるも、自らの車をも破損して失う。

負傷したジャックは、クリオと仲間のロボット三体に街とは反対方向へ搬送される。ジャックは街に戻す様に命じるが、クリオ達は街が安全では無いと説き、安全な場所へ連れて行く意向を示す。ジャックは強引に街へと引き返そうとするが、間もなく力尽きて倒れる。夜が更けると、ジャックはクリオの介抱を受けて目を覚ます。クリオは第1プロトコルに従ってジャックを守る意向を示すと、街に戻るのは不可能であり、生きたければ同行すべきだと説く。一方その頃、レイチェルは破水を起こし、病院に向かう。また、ホークはロバートを呼び出すと、ジャックが第2プロトコルを抹消した首謀者だと疑い、改造カーネルの在り処を問い質す。ロバートはジャックが忠実な社員であり、濡れ衣だと訴える。

クリオ達に搬送されるジャックは、携帯端末を使って現在地をロバートへ知らせる。ジャックは自らが相当被爆している事から、ここで死ねば殺したも同然だとクリオに指摘する。ジャックからの通知を受けたロバートは状況を測りかねながらも、ウォレスにジャックを連れ戻す様に依頼する。

程なく、ジャックは砂漠地帯にやってきたウォレス達を察知し、照明弾を放って居場所を知らせる。ウォレスは駆け付けるや否や、ジャックを殴り飛ばして原子力電池を奪う。ロボット達は電池が必要だと説き、返却を請う。ウォレスは黒幕の技師をロボット達に問い質すも、埒が明かない事に憤慨し、二体を破壊し、更にクリオに銃を向ける。ジャックがウォレスに照明弾を放って殺すと、もう一人の刑事は原子力電池を持って、逃走する。ジャックは現状を報告する必要性を説くと共に、娘が生まれる事を明かし、クリオに街に戻す様に請う。クリオは明日、目的地に着けば、使える車があるかも知れないと説き、更に街から遠ざかる。

ROC社に戻った刑事はロボット達が生き物の様だったと証言する。ホークはロバートを社に連行させると、ピルグリム型の製造前に試作品の初期型があり、プロトコルの制約が無いその個体と8日間学びあったが、やがてその個体は独習を始め、9日目には人間の理解が及ばなくなった事、その経験を経てロボットの知能を人間の理解の範囲内に制限すべきだと学んだ事を明かす。更にホークは、これまで誰もプロトコルを破れなかったのは、カーネルを設計したのが人間では無く、その初期型であるからだと明かす。ホークはジャックが会社のみならず、全人類の脅威になったのだと説くと、ホークとコンウェイカーネルを回収して首謀者を抹殺する様に命じる。一方、レイチェルは病院で無事女児を出産する。

ジャックはクリオ達に同行し、切り立った谷に面したアウトポストへ辿り着く。ジャックはそこで待ち受けていたロボットと遭遇すると、黒幕の技師の所在を問い質す。ロボットは自らの手で改良を施した事を明かし、ジャックはそのロボットが首謀者だと知る。三体のロボットは寄せ集めた夥しいパーツを使って、新たなロボットの製作に着手するが、原子力電池が無くなっている事に気付く。ジャックは構内に放置された車が使い物にならない事を知ると、谷底に広がるかつての大河の跡を見渡し、首謀者に諦めを吐露する。首謀者は人類が消滅し、ロボットが受け継ぐのは自然な成り行きだと主張し、かつて人類が核活動を実行して、何百万年も有機体が生存不可能となった谷の向こう側に行く為に、原子力電池が必要だと説く。ジャックは首謀者に盗んだ原子力電池を返却する。首謀者は自分達が生きたいのだと切望する。

コンウェイ達は砂漠地帯に侵入し、ウォレスの死体を発見する。ロバートはウォレスの所持していた銃を密かに奪う。間もなく、そこに拉致されたレイチェルが赤子と共に連行されてくる。ロバートはそれに反感を抱き、コンウェイに銃を向ける。コンウェイがもう帰る家は無い事を明かすと、ロバートはコンウェイに発砲するが、反撃を受けて致命傷を負う。一方、首謀者達は構築したロボットに原子力電池を組み込み、新たな生命体を創造する。

翌朝、首謀者達は車を修理し、ジャックに提供する。ジャックはクリオ達に別れを告げると、街へ向かう。程なく、ジャックは瀕死のロバートを発見し、レイチェルがコンウェイ達に攫われた事を知ると、その後を追う。ロボット達はゴンドラで谷を渡ろうと企てる。そこにコンウェイの一派が駆け付け、ゴンドラ上のロボットを撃ち落とす。首謀者はもう人間の命令には従わないと主張する。コンウェイはたかが機械と詰り、首謀者は人間が凶暴な猿だと応じる。憤慨したコンウェイは首謀者を破壊すると、更にクリオを破壊しようとする。そこにジャックが車で戻ると、コンウェイ達は赤子を抱えたレイチェルを盾にする。レイチェルが不意を突いてその場から逃げ出すと、ジャックは車を突っ込ませてコンウェイの手下を退ける。一人残ったコンウェイは弱ったジャックを窮地に追いやるが、そこに現れたロボット生命体に襲われ、崖下に転落する。ジャックは赤子と対面を果たし、愛おしむ。

ジャックはゴンドラを操作し、クリオと生命体を谷の向こう側へ渡す。クリオはジャックに別れを告げると、生命体と共に彼方へと旅立つ。ジャック達は車で海岸を目指し、遂にそれを見つける。

f:id:horohhoo:20160924153506j:plain

f:id:horohhoo:20160924153509j:plain

f:id:horohhoo:20160924153513j:plain

f:id:horohhoo:20160924153516j:plain

f:id:horohhoo:20160924153520j:plain

f:id:horohhoo:20160924153525j:plain

f:id:horohhoo:20160924153526j:plain

f:id:horohhoo:20160924153530j:plain

f:id:horohhoo:20160924153533j:plain

f:id:horohhoo:20160924153536j:plain

f:id:horohhoo:20160924153539j:plain

f:id:horohhoo:20160924153542j:plain

f:id:horohhoo:20160924153546j:plain

f:id:horohhoo:20160924153551j:plain

マン・アップ! 60億分の1のサイテーな恋のはじまり

ベン・パーマー監督作「マン・アップ! 60億分の1のサイテーな恋のはじまり」("Man Up" : 2015)[DVD]

中年の男女が人違いで始まったデートを通して、衝突を繰り返しながらも、やがて互いを理解し、恋に落ちていく様を描くロマンチック・コメディ作品。

 

34歳独身ジャーナリストのナンシーは、良い出会いを求めて、友人の催す婚約披露パーティに参加するが、そこで友人に紹介されたのは37歳の冴えない男で、進展を望むべくもなくデートを終える。翌朝、ナンシーは両親の結婚40周年パーティでスピーチを行うべく、ロンドン行きの列車に乗る。予てからナンシーに出会いが無い事を心配する姉エレインは、ナンシーに連絡を入れ、パーティの報告を受ける。ナンシーは列車が工事で目的地に止まらない為に遅れる事を伝える。ナンシーの向かいで相席する事になったジェシカは、ナンシーの会話を聞くと、人生を変える本と謳う「60億人とあなた」を提示し、読む様に促す。ジェシカはその本に基づき、成功を願って何でも試してみるべきであり、希望の無い人生は死だと説くと、共通の友人により紹介された男と、本を目印にして落ち合い、デートする予定を明かす。しかし、ナンシーは皮肉屋でマイナス思考な持論を展開し、ジェシカは呆れる。

寝入ったナンシーは終点で目を覚ますと、ジェシカが「マイナス思考で人生を台無しにしている」という章に印を付けて本を置いていった事に気付き、文句を言うためにジェシカの後を追う。その最中、ジェシカと会う為に待っていたジャックが姿を現す。お調子者のジャックは本を持っているナンシーをジェシカと誤解し、デートに誘う。ナンシーはジャックに好感を抱き、誤解を解かぬま、ジェシカのふりをして誘いに応じる。二人が去った後、駅の書店で新たに本を買い求めたジェシカは、一人待ちぼうけする。エレインはナンシーに再び連絡し、ジャックが代わりに出た事に不安を募らせる。

ジャックは40歳でオンラインマーケティングを営んでおり、絵描きを希望している事を明かす。ナンシーはジャックの話から、ジェシカがシティ勤務の24歳でトライアスロンに挑戦している事を知ると、苦慮しながらも適当に話を合わせる。ジャックは信頼できる友人の紹介を受けてデートに臨んだ事と共に、最近になって離縁した事を明かす。

二人はバーに入り、酒を飲み交わす内に意気投合する。ナンシーは本当の事を打ち明けようとするが、ジャックが好意を示した事で気を良くし、機を逸する。次に二人はボウリングに興じ、更に親密になる。ナンシーはそこで従業員として働く、かつての同級生ショーンと遭遇する。当時からナンシーに強烈な好意を寄せていたショーンは、思わぬナンシーとの再会を甚く喜ぶが、ナンシーがジャックにジェシカと呼ばれている理由を訝る。ナンシーは事情を説明すると、順調なデートの邪魔をしない様に請う。ショーンは黙っている見返りとしてフェラか手コキを要求する。ナンシーがそれを拒むと、ショーンはキスを要求し、ナンシーは已む無く応じる意向を示す。

その後、ナンシーはトイレで待ち伏せていたショーンに捕まり、キスを強要される。そこへ心配したジャックが駆け付け、その様子を目の当たりにする。ジャックはナンシーがショーンに未練があると誤解して落胆する。そこでショーンはナンシーが本名だと暴露し、ナンシーは已む無く全てを白状する。ナンシーは出会いを求めており、衝動に駆られただけだと弁解すると、ジャックはジェシカとは合わないと主張する。ジャックが気分を害して帰ろうとすると、ナンシーは24歳に拘るジャックを詰る。ジャックはそれが子供が欲しい34歳女の僻みだと罵るが、ナンシーはジャックが妻に捨てられて若い女にすがっているのだと応酬する。二人は啀み合いの末に、その場で別れようとするが、ジャックがバーにバッグを置き忘れてきた事に気付く。バッグにはバーで交換したナンシーのノートが入っており、その中にはスピーチ原稿をしたためてある事から、二人はバーに戻る。

ナンシーは負け犬を卒業する意を決し、色気を醸し出してジャックに対峙すると、デートが順調過ぎた為に人違いを言い出せなかったのだと弁解する。そこへ、ジャックがジェシカを連れて会う算段だった元妻ヒラリーとパートナーのエドが現れる。ジャックは咄嗟にナンシーを恋人と紹介し、ヒラリー達に一緒に飲む様に勧める。ジャックはナンシーに借りがあると説き、ケジメをつける為に付き合う様に求める。ナンシーはジャックとのセックスの相性がいかに良く、交際が順調かをアピールすると、離婚の理由はすれ違いでは無いと主張する。ジャックはヒラリーに求められていた、サイン済みの離婚届を手渡す。ナンシーは振られる方は後悔せずに済み、浮気をしたヒラリーに責任が伸し掛かるのだと諭す。ジャックは婚約に大金を投じ、妻一筋だった事を明かすが、ナンシーはそれが結局無意味だったと主張する。ジャックはナンシーが皮肉屋だと詰るが、ナンシーはジャックが夢を見過ぎだと応じる。ジャックはナンシーが高みの見物で持論ばかり展開していながら、勝負をせず、他人の結婚を非難している事を責めると、独身の中年男としてやっていく意向を示してトイレに篭る。

ナンシーはトイレで悄気るジャックに対し、自分は恋愛が上手く続かない為にポジティブさを失い、何でも分析し過ぎた末に判断を間違えてしまうのだと明かす。ジャックはヒラリーが新たな人生を歩んで幸せそうにしているのに対し、自分は未練たらたらで前に進んでいない事を嘆く。ナンシーはそれを否定し、愛情に対する未練に過ぎないと説く。ナンシーは6年間付き合っていた男に突然別れを切り出され、それ以後4年もフリーでいる事を明かすと、ジャックの心がパズルの様にバラバラなだけだと説き、端っこの青いピースから探す様に促す。ジャックはナンシーの協力を得てヒラリーにケジメを付けた後、バーを後にする。

夜10時を回り、ナンシーは実家に向かうべく、ジャックと共に再び駅を訪ねると、ジャックを誘おうとする。その時、ジャックはジェシカから電話とメールがたくさん来ていた事に気付き、ジェシカと会うべきか否か、ナンシーに意見を求める。ナンシーは意に反してジェシカと会う様に勧めると、その場でジャックと別れ、列車に乗る。

ジャックは改めてジェシカと会い、デートに臨むが、いかにナンシーとの相性が一致していたか気付くと、ジェシカに心の内を打ち明ける。ジェシカはジャックの気持ちに理解を示し、ナンシーに会いに行く様に促す。ジャックはナンシーの実家の住所をショーンに聞くべく、再びボウリング場を訪ねる。ショーンはジャックの要望に応じて、車で案内を買って出る。

一方、ナンシーはパーティの佳境で実家に到着する。ナンシーは家族の前で、素直になれずに意中の相手を誘えなかった事を嘆く。そこへショーンがやってくる。家族はショーンがその相手だと誤解し、喜んで招き入れる。その頃、ジャックはショーンに欺かれ、若者達が乱痴気パーティに興じる家に辿り着く。ジャックはナンシーについて彼らに尋ね、かつてナンシーに子守をしてもらっていたという少年と出会う。ジャックはその少年の案内でナンシーの実家を目指す。

ナンシーは集まった親族の前で、スピーチの代わりにその日起こった出来事の一部始終を打ち明けると、両親と姉夫妻の幸せを祝う。そこにジャックが駆け付け、一同の前でナンシーへの真摯な気持ちを伝えると、ナンシーこそが青いピースだと説く。二人は「60億人とあなた」に基づき、互いに過去を捨て去る事を決意する。結ばれた二人を皆が祝福する中、ショーンはその場から退散する。

f:id:horohhoo:20160923133607j:plain

f:id:horohhoo:20160923133612j:plain

f:id:horohhoo:20160923133615j:plain

f:id:horohhoo:20160923133619j:plain

f:id:horohhoo:20160923133623j:plain

f:id:horohhoo:20160923133629j:plain

f:id:horohhoo:20160923133636j:plain

f:id:horohhoo:20160923133640j:plain

f:id:horohhoo:20160923133644j:plain

f:id:horohhoo:20160923133647j:plain

ルーム

レニー・エイブラハムソン監督作「ルーム」("Room" : 2015)[BD]

数年に渡って小さく粗末な部屋で監禁生活を強いられてきた母子が、脱出に成功した後、再起を図るべく苦慮する様を描くドラマ作品。

 

24歳のジョイは5歳を迎えるジャックと共に、僅かな家具とテレビ、キッチン、浴槽、トイレが設置された薄汚い小さな「部屋」に監禁されている。その部屋は納屋を改築したもので、ドアには暗証ロック、壁には防音が施され、窓は無く、唯一小さな天窓から空が覗く状態である。ジョイは7年前にオールド・ニックと称する男に誘拐されて以来、その部屋で監禁生活を強いられている。オールド・ニックは定期的に食料や日用品などの物資を差し入れると共に、その都度、ジョイにレイプを繰り返し、そうして5年前に生まれたのがジャックである。

ジョイとジャックはその小さな部屋で二人きり、いつ終わるとも知れぬ、粗末で暗鬱な生活を続ける。ジョイは外の世界を知らない幼いジャックが混乱する事を恐れ、真実を教える事を控えてきた為、ジャックはその部屋だけが世界であり、唯一外界の様子を映し出すテレビは現実では無いと考えている。ジョイはジャックの精神の安寧を図る為に、求めに応じて授乳を続けている。オールド・ニックはジャックの誕生日を知ると、ラジコンを差し入れる。

次の差し入れの日、ジョイはいつもの様にジャックをクローゼットの中に隠して、寝かしつけると、オールド・ニックの訪れを待つ。程なくやってきたオールドニックは、半年前から失業している事を明かすと、二人の為に生活費を投じる事を惜しむ。眠らずに密かに様子を窺っていたジャックは、二人が眠った後にクローゼットから出ると、オールド・ニックに忍び寄る。オールド・ニックはそれに気付いて目覚めると、ジャックに触れようとする。咄嗟に目覚めたジョイは身を挺してそれを阻むが、オールド・ニックは憤慨してジョイの首を絞め、威圧した後、部屋を後にする。

翌朝、ジョイ達は部屋の電気が止められた事を知る。ジョイはジャックに対して、壁を隔てた部屋の外に広大な本当の世界がある事、テレビの中の人や物は実在している事、自分は両親と暮らしていたが、学校の帰りに誘拐されて部屋に連れて来られて以来、7年間監禁されている事、これまではジャックの為に嘘の話をしていた事を明かすと、この世界について理解し、自分を助けて欲しいと請う。ジャックはその話を理解できずに拒絶する。ジョイは失意に暮れる。

程なく、電気が戻る。ジョイの意を汲んだジャックは、オールド・ニックに対する敵意を露わにする。ジョイはかつて脱出を企てたものの、失敗して痛めつけられた事を明かすと、新たに脱出策を講じてジャックにそれを示す。ジョイはオールド・ニックが訪れる時刻を見計らって、ジョイの体をお湯で温める事で、電気が停まったせいでジョイが風邪を引き、高熱を出したように見せかけ、オールド・ニックにジャックを病院に連れて行かせ、ジャックに忍ばせたメモで助けを求めさせようと企てる。オールド・ニックはジャックに熱があると判断したものの、病院には連れて行こうとせず、薬で済ませる意向を示して部屋を後にし、ジョイの企ては失敗する。

次にジョイはジャックに死んだふりをさせ、オールド・ニックが捨てる場所を探す為にトラックで運び出した際に、助けを求めさせようと企てる。ジョイはジャックを絨毯で巻くと、薬を買って戻ってきたオールド・ニックに病状が悪化して死んだと欺き、すぐに良い場所を見つけて埋めて欲しいと哀願する。ジョイの鬼気迫る態度に圧倒されたオールド・ニックは死の確認はせず、絨毯に撒いたジャックを担ぎ出すと、トラックの荷台に乗せて運び去る。

トラックが走り出すと、ジャックは絨毯から出て、初めて外の世界の様子を目の当たりにする。トラックが一時停止で減速すると、ジャックはその隙を見計らって逃走を図る。オールド・ニックはそれに気付くと、慌ててジャックを連れ戻しに行くが、散歩をしていた男がその様子を見て訝り、事情を問い質す。オールド・ニックに捕まったジャックが母の助けを呼ぶと、男は警察を呼ぼうとする。オールド・ニックはジャックが握りしめていたメモを奪い取ると、一人でトラックに乗って走り去る。ジャックは程なく駆け付けた警察に保護される。護送中、警官はジャックが口にする断片的な情報から、監禁されていた納屋の位置を特定し、ジョイも間もなく無事に救出される。

二人は病院に搬送された後、治療を受け、入院する運びとなる。ジョイは医師に早期の帰宅を希望する。間もなくジョイの母ナンシーと、離縁して以来、別居している父ロバートが駆け付け、ジョイと再会を果たす。その後、ジョイはニュースでオールド・ニックが逮捕された事を知る。

病室でのしばしの療養の後、ジョイはジャックと共に帰途に就く。自宅にはジョイ達の生還を喜ぶ人達とマスコミが押し寄せる。ジョイ達の帰りをナンシーとパートナーのレオが温かく迎える。しかし、ロバートはジャックの父親が誘拐犯という事実を受け入れられず、ジャックから目を逸し続ける。それを察知したジョイは憤慨し、耐え兼ねたロバートはその場を後にする。

ジョイは失った時間の重さを痛感し、抑うつ状態に陥る。10日が経つ頃、ジョイはスマホで遊ぶジャックに苛立ちを募らせ、普通のおもちゃで遊ぶ様に強要し、スマホをジャックに渡したナンシーをも責め立てる。ジョイは自分が普通では無く、世間に好奇の目で見られている事への苦悩を吐露する。ナンシーは休養が必要だと説くが、ジョイは自分がいない間にレオと暮らし始めた事についてナンシーを詰る。ナンシーはそれでもジャックには優しくする様にジョイに促すが、ジョイはナンシーから優しくする様に教えられていたせいで、オールド・ニックの犬を助けようとし、誘拐されたのだと明かし、ナンシーに辛く当たる。

程なく、ジョイは弁護士の勧めを受け、自宅でテレビ番組のインタビューを受ける。ジョイは監禁されていた時の心境などを淡々と語るが、リポーターにジャックが大きくなったら父親についてどう説明するのか尋ねられると、親は自分一人だと強弁する。リポーターは更に、ジャックが生まれた直後にジョイが犯人に保護を求める等すれば、ジャックは普通の子供時代を送れたのではないか、また、ジョイの手元にジャックを留めるのが最良の選択だったのかと尋ねる。ジョイは返答に窮し、思い詰める。

その夜、ジョイは薬物自殺を図る。その直後にジャックが発見した事で、ジョイは救急搬送され、一命を取り留める。ジャックは入院するジョイの帰りを待ちながら、ナンシー達と暮らす。ジャックは時々「部屋」に帰りたくなると、ナンシーに吐露する。レオはジャックの体調を慮って友人宅に預けておいた愛犬シェイマスを連れ戻し、ジャックは甚く喜ぶ。

ジャックは予てからジョイにパワーが宿っていると教えられてきた髪を切って、入院しているジョイに送る事を希望する。ナンシーはそれを快諾し、監禁されている間中、伸ばしっぱなしだったジャックの髪を切って整えてやる。やがて、ジャックは近所の子供と遊ぶまでに回復する。そんな折、ジョイが退院して帰宅する。ジョイはジャックに愚挙を詫び、助けられた事に感謝する。ジャックは授乳をせがむが、ジョイはそれを拒むと、自分がよくないママだと説く。ジャックはそれでもママだと答える。

その後、ジョイはジャックにいろんな経験をさせ、穏やかな生活を送る。ある時、ジャックは「部屋」に戻ってみたいとジョイに請う。ジョイ達は警察に許可を受け、納屋に案内してもらう。ジャックは、既に証拠品が押収されて、物が無くなっているその部屋が縮んだ様だと表現する。ジャックは僅かに残されたクローゼットやテーブル、そして天窓に別れを告げる。ジョイはジャックに促され、部屋に決別の言葉を呟く。二人は降り始めた雪の中、帰途に就く。

f:id:horohhoo:20160922143257j:plain

f:id:horohhoo:20160922143300j:plain

f:id:horohhoo:20160922143303j:plain

f:id:horohhoo:20160922143306j:plain

f:id:horohhoo:20160922143309j:plain

f:id:horohhoo:20160922143312j:plain

f:id:horohhoo:20160922143315j:plain

f:id:horohhoo:20160922143319j:plain

f:id:horohhoo:20160922143322j:plain

f:id:horohhoo:20160922143325j:plain

f:id:horohhoo:20160922143328j:plain

f:id:horohhoo:20160922143332j:plain

f:id:horohhoo:20160922143335j:plain

f:id:horohhoo:20160922143341j:plain