隣人Xは徹夜でゲームをしている様子。僕の就寝前から起床後まで6時間以上、延々とプレイ音が駄々漏れである。登場キャラがアニメ声で喋りまくるゲームの様で、その声がとくに薄壁を通り抜けてきて煩いのなんの。よっぽど壁ドンしてやろうかと思ったが、自制が効かなくなるのが怖くて布団を被って眠りに就いた。
まぁそれはとりあえず放っておいて、セルフカットを始めてから、坊主アタマで快適ライフが継続中。尤も、坊主とはいっても実際には自家製スリーブロックで、「9・6・3」(ミリ)→「8・5・3」→「6・4・3」という按配で長らく刈ってきた。徐々に短くなってきたのは、カットの間隔を延ばそうという思惑からだが、最近スリーブロックが面倒になり、ツーブロック「5・3」を経て、いよいよ一昨晩オール3ミリで統一した。横着極まりないが、どうせ外出時は帽子がデフォで人目に触れる機会が少ないのだし、これで良いのだと自分に言い聞かせている。今更ながらに辿り着いた結論だ。
さて、この3ミリという極短カットにしてみて、自分のアタマの形がこれまで以上にハッキリしてきた。大人になって初めて、ありのままのアタマの姿が露わになったワケだが、鏡でマジマジとその形状を観察してみると、意外な程、頭頂部が尖っている事実に気付いた。これまで手で触れるだけで把握していた頭頂部は、もう少し緩やかにRが付いている印象だったのだが、実際の見た目はかなり骨ばって尖っている。大袈裟に言えば、さしずめウルトラ怪獣のレッドキングばりの尖り具合なのである。その形状が見れば見るほど異様なモノに思えてきて、我ながらちょっとキモい。
坊主は主にコスト面でメリットばかりと喜んでいたのだが、極短だと不都合な事もある。ニット帽の着脱の際、内側の生地がかなり傷むのである。目の荒いブラシかなんかで擦って、毛羽立たせた様に生地がボサボサになる。当初、何の気なしに被っていたのだが、ふと気付いた時には既にかなり傷みが進んでおり、その帽子がお気に入りだっただけに甚く悲しかった。身に付けるモノはある程度消耗品だから、已むを得ないにしても、もう少し配慮していれば防げたかもしれない。残念。生涯坊主を変えるつもりは無いが、長さは考えた方が良いだろう。
映画鑑賞記
ニール・バーガー監督作「ダイバージェント」("Divergent" : 2014)
5つの派閥で秩序を保つ近未来のシカゴを舞台に、体制に反旗を翻す若者達の戦いを描くSFアクション作品。
近未来、世界は戦争の災禍で荒廃していた。シカゴの街は砦を設け外界を遮断する事で、独立したコミュニティを形成していた。社会システムの秩序を維持すべく、人々は5つの派閥「無欲 (Abnegation)」「平和(Amity)」「高潔(Candor)」「大胆(Dauntless)」「博学(Erudite)」のいずれかに所属し、それぞれの派閥に求められる役割を担い、人生を全うする事を義務付けられていた。すなわち「無欲」は政権、「平和」は農業、「高潔」は司法、「大胆」は警察・軍、「博学」は研究といった具合である。年頃の子供達は派閥適正を診断するテストを受け、その結果を踏まえた上で自由に所属する派閥を選択する事ができたが、二度と変更が許されない、まさに人生を決定付ける厳格なルールであった。「無欲」で生まれ育ったベアトリス(シャイリーン・ウッドリー)にも、派閥選択の日が近づき、適正テストを受けるのだが、結果はどの派閥にも不一致の「異端者(Divergent)」であった。「異端者」はシステムの撹乱因子と見做され、排除されてしまうために、ベアトリスは結果を「無欲」と偽る事でテストをやり過ごす。派閥選択のセレモニーの日となり、ベアトリスはかねてより憬れであった「大胆」を選択する。「大胆」での生活は、ベアトリスが想像していた以上に過酷で、訓練漬けの日々の連続だったが、「異端者」である事を悟られぬ様に持ち前の不屈の精神で克己していく。一方その頃、「無欲」からの政権奪取を目論む「博学」の謀略が動き始めていた。
独特の統治システムを構築した近未来の社会が舞台、勇猛果敢な女子が主役、虐げられた人々が体制に反旗を翻す、という点で、どことなくハンガー・ゲームに通じるところがあるSFアクション。5つの派閥でのみ統治された社会というのがユニークだけど、ハンガーに比べると世界観は小じんまりしている印象。実際問題、5つだけで社会が回るかどうかは疑問だけど、シカゴという一つの閉鎖系なら可能かも知れない。「派閥は家族以上」という台詞がある様に、それだけ強力で根源的な制度であって、移動は許されないが、脱落はありうると。脱落者は無派閥となり、社会に居場所を失いホームレス同然の立場に追いやられる。「異端者」のベアトリスが選択した「大胆」は警察・軍を担うだけあって、体育会系のノリ全開。性悪な監督官のシゴキに遭い、落伍者は容赦なく脱落させられる。ベアトリスも足切り線上から脱しようと、リーダー格でイケメソのトビアス(テオ・ジェームズ)のサポートを得て奮闘する。そうこうしている内にメキメキと頭角をあらわし、やがて「博学」の陰謀に立ち向かう存在になっていくと。中盤からラブロマンス色が濃くなり、なんだよそっち系かよと鼻白むも、黒幕役でケイト・ウィンスレットが出演しており、これが彼女にとっては珍しい役どころでなかなか良い感じ。僕は彼女目当てだったから概ね満足かな。いよいよ「異端者」が結集して、システムに挑戦するかというところで終了するのだけど、それもそのはず。観るまで知らなかったけど3部作らしいんだよね。これまたハンガーと同じですな。