金子勝,武本俊彦 著「儲かる農業論 エネルギー兼業農家のすすめ」(2014)
大規模専業農家を拡大支援するのではなく、小規模農家の抱える農地の特性を活かし、太陽光発電やバイオマス発電に要する設備拡充を支援する事で、農家のエネルギー兼業化を後押しせよと提言する一冊。農業の6次産業化、及び、従来の大規模集約型から小規模分散型へのシフトを図る事で、農業を担う地域に利益が直接還流する仕組みを構築し、域外大資本への利益の流出を防ぐ改革を模索する内容である。著者らは反TPP、原発即廃炉の立場から、現行の安倍政権の推進する政策とは、地方創生の観点で真っ向から反対している。本書で言うところのエネルギー兼業農家を増やす為には、電力会社の発送電分離が不可欠だが、現在までのところ、それすら足踏みが続いている状況で、著者らが謳う提案にどれほど実現可能性があるのか、僕には分からない。農業が大事、食糧自給率が大事とは言うけれど、果たして国民が農業・農家の在り方について、関心を持っているのか、真剣に向き合っているのか、甚だ疑問だし、まず国民的合意を取り付ける事からして難しそうだ。