チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

STAP細胞に群がった悪いヤツら

小畑峰太郎 著「STAP細胞に群がった悪いヤツら」(2014)

STAP細胞に群がった悪いヤツら

STAP細胞に群がった悪いヤツら

 

昨年、巷を賑わしたSTAP細胞騒動は、1人のリケジョによる論文不正に留まる問題ではなく、産官学が裏で暗躍する、より巨大で悪質な経済犯罪という疑いが日に日に強まっている。メディアに消費され尽くした小保方氏を敢えて光に例えれば、本書は大手メディアがスルーする闇の部分を暴き出そうという趣旨の渾身の一冊だ。

本書を一読した限り、いわゆるSTAP現象というのは、最初からオカルト=似非科学だったと断定せざるを得ない。それくらいに著者の筆致には説得力がある。そんな似非科学錬金術を夢見たのだが、理研東京女子医科大学セルシード厚労省文科省の面々、そして小保方氏、笹井氏、ヴァカンティ氏という事になるのだろうか。更に続々と顔の見えないキープレーヤー達が登場する。まるでミステリー小説か何かを読んでいる様で、俄には信じられないが、純粋な基礎科学の世界とは程遠い何かが、密かに蠢いていたらしい事は分かる。

市場で巨額を動かすこの一連のスキームというのは、20年も前にアメリカで確立し、現在では既に規制が掛かった代物らしい。ところが日本は、この分野では多分に遅れており、規制が緩い為に、アメリカ仕込みのスキームを学んだ人間が、それをまるごと輸入し実行に移した、古くて新しい犯罪という事になりそうだ。笹井氏の自殺で、事件の全容解明は不可能に近いが、ips細胞とその生みの親である山中伸弥氏への対抗心以上に、理研という組織を代表する権力闘争にのめり込んでいたのは間違いない様だ。科学者としても、組織人としても、余人をもって代え難い存在だったはずなのに、あのような形で亡くなったのが残念でならない。

ひとつ残念なのが、小保方氏を露骨にコケにする様な記述が多用されている点で、彼女の悪意を認めるにしても、記述の下品さには感心できないし、それが本書のレベルを自ら下げている様な気がしないでもない。