チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

マシニスト

ブラッド・アンダーソン監督作「マシニスト」("The Machinist" : 2004)[DVD]

不眠症に苛まれる機械工の男が、不可解な現象に翻弄され、次第に倒錯していく様を描くサイコ・スリラー作品。

機械工のトレバーは、1年にも渡る原因不明の不眠症に苛まれており、それが原因で彼の体は極端に痩せ細っていった。トレバーは懇意の娼婦スティービーと会っては、日々の疲れを癒やし、スティービーもまた一番の上客であるトレバーに親身に接するのだった。その一方でトレバーは、夜毎、空港のカフェに通いつめ、ウェイトレスのマリアと談笑に耽っていた。しかし、職場の工場では上司に楯突いた事で睨みを利かされ、同僚には付き合いの悪さから次第に疎まれる様になる。

ある日、工場長に呼び出されたトレバーは、薬物依存症を疑われる。疑いを否定し、トレバーが車で休憩していると、隣の赤いポンティアックに乗るアイバンという男と知り合う。アイバンは、逮捕された溶接工レイノルズの代わりだと自称する。同僚のミラーが旋盤の調整をする為に、トレバーに手を貸す様に求めるが、トレバーはアイバンに気を取られ、誤って電源を入れてしまう。その結果、ミラーは旋盤に巻き込まれ、左手切断の大怪我を負う。気付くと、アイバンの姿は消えていた。帰宅したトレバーは、冷蔵庫に不可解なメモを発見し、何者かの侵入を疑うようになる。

翌日、会社による事故の検証が行われ、トレバーはアイバンの事を説明するが、上司はそんな人物がいないと突っぱねる。その夜、トレバーはマリアと子供を連れて遊園地へ行く約束をする。

トレバーは異常な言動が原因で、同僚から煙たがられる様になる。退社後、トレバーはポンティアックを見つけるや否や、即座に追いかけ、アイバンにバーに誘われる。トレバーは、アイバンが会社に在籍していない件を問い質す。アイバンが席を外した隙に、トレバーはアイバンの財布の中から、レイノルズと写った写真を発見し、抜き取る。帰宅したトレバーは、再び冷蔵庫に"____ER"と記された不気味なメモを発見する。動転したトレバーは、スティービーの元へ相談に訪れ、何者かの策略で陥れられようとしていると告げる。

トレバーは、マリアと息子ニコラスと共に約束した遊園地に訪れる。トレバーがニコラスと2人でファンハウス「ルート666」に入ると、途中で突然ニコラスがてんかんの発作を起こす。トレバーが慌ててニコラスを担ぎ出すと、そこへマリアが駆けつけ、介抱し、事なきを得る。その後、マリアの自宅へ招かれたトレバーは、チップを多くくれる理由を尋ねられ、楽しみを買っているのだと告げ、次の約束をする。その直後、ニコラスの書いたメモ書きを見つけたトレバーは、自宅へ戻り、不可解なメモが"MOTHER"の可能性を疑う。

翌日、トレバーは上司から旋盤の担当を命じられる。そこへ退院したミラーが、挨拶に訪れる。トレバーはミラーに謝罪するが、ミラーは会社から高額な補償金をもらった事で、根に持っていないと伝える。その直後、トレバーが旋盤の修理をしていると、勝手に電源が入って動き出し、危うく手をもがれそうになる。トレバーは同僚らがグルになって貶めようとしていると主張し、アイバンの写真を突きつけようと探すが見当たらず、上司はトレバーに解雇を通告する。帰宅したトレバーは終ぞ写真を見つけられず、不安定な状態でスティービーの元を訪ねる。

大家が水漏れを訴え、勝手にトレバーの部屋に入ろうとした事で、トレバーは制止する。その直後、トレバーは冷蔵庫から血が大量に滴り落ちているのを目の当たりにし、""_IL_ER"と記されたメモを発見する。トレバーはそれが"MILLER"だと解釈し、翌日ミラーの元を訪ねる。トレバーはミラーが復讐を目論み、部屋に侵入したのではないかと詰め寄るが、追い返される。そこにポンティアックが通りがかり、トレバーは追いかけるが、山道へ出たところで車がエンストし、取り逃がす。

トレバーはポンティアックのナンバーから身元を照会しようと試みるが、犯罪で無ければ無理だと断られる。そこで自ら轢き逃げされ、事件をでっちあげる事で警察へ申告する。ところがそのポンティアックはトレバー自身が1年前に事故で廃車にした事が判明し、警察に虚偽報告を疑われる。トレバーはその場から逃走し、スティービーの元を訪ね、負傷した体の介抱を受け、事情を話す。スティービーの部屋で、アイバンとレイノルズの写った写真を見つけたトレバーは、アイバンがスティービーの元亭主だと疑い、激昂し問い質す。スティービーは写真に写っているのがトレバー自身だと説明するが、トレバーは聞く耳を持たず、スティービーを罵り、追い出される。

トレバーはその足でマリアに会うために空港に訪れるが、現れたウェイトレスにそんな人物は最初からいないと告げられる。錯乱したトレバーは、アパート前に止まったポンティアックから、アイバンがニコラスを連れて入っていくのを目撃する。トレバーは、ナイフを手にしたアイバンがニコラスを殺したと思い込み、衝動的にアイバンを殺す。しかし、室内にニコラスの姿は無く、血の滴る冷蔵庫を開けると、レイノルズの写真に映っていた魚が腐敗していた状態で見つかる。

トレバーはアイバンの死体を海まで運び、投げ捨てるが、その瞬間、死体は忽然と消え、背後に再びアイバンが現れ、「お前は誰だ?」と問いかける。その時、トレバーは全ての記憶を思い出す。1年前、トレバーは子供を轢き逃げし、それ以来、不眠症に陥ったのだった。不可解なメモは"KILLER"であり、自らの罪を示唆していたのだった。その後、アパートを引き払ったトレバーは、警察へ出頭し、留置所でようやく眠りに就く。



本作は脚本の面白さもさる事ながら、やはりクリスチャン・ベールのおぞましいほどに痩せ細った身体による怪演ぶりに感服せざるを得ない。その異形の姿に思わず目を疑ってしまう。wikiによれば、4ヶ月間毎日りんご1つ、ツナ缶1つで過ごしたらしい。役作りの為に、そんなライザップもびっくりのストイック且つ危うい離れ業で、体重を30キロ近く落として本作に挑み、撮影が終わるとすぐに、バットマンのあのビルドアップしたボディを作り上げたのだから、文字通り人生そのものが俳優業なんだろう。この意気込みが作品に奥行きや真実味を与えているんだよね。シンプルでありながら、徐々に核心に近づいていく構成と全体を覆う暗鬱な雰囲気が良い。

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