チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ファイナル・アワーズ

ザック・ヒルディッチ監督作「ファイナル・アワーズ」("These Final Hours" : 2013)[DVD]

地球に隕石が衝突し、人類が滅亡を迎えるまでの僅かな間に、男が偶然救った少女を親元へ帰すべく、奔走する様を描く終末スリラー作品。

北大西洋に隕石が直撃し、衝撃が北米大陸東海岸と西アフリカ、西ヨーロッパを消滅させる。爆炎は地球を駆け巡り、パース市に到来するまで12時間と予想される。滅亡が確実となった人類は秩序を失い、ある者は暴徒と化し、ある者は自殺を図り始める。

ジェームズは恋人ゾーイの暮らす海岸沿いの家で、最期をどう迎えるかでゾーイと口論になる。苦しまずに死ぬ事を希望するジェームズは、酒とクスリで気を紛らわせるべきだと主張し、パーティに出かけようと促すが、ゾーイはそれを拒む。ジェームズがゾーイを置いてパーティに向かおうとすると、ゾーイは妊娠を打ち明け、ジェームズを留めようとする。しかし、ジェームズは正気でいられず、ゾーイを置き去りにして、住宅街へと向かう。

街に着くやいなや、ジェームズは暴漢に襲われ、車を捨てて逃走する。ジェームズは逃げ込んだ先で、少女が男達に誘拐され、民家に連れ込まれるのを目撃する。ジェームズは男達の車を奪って逃走を企てるが、少女を見過ごせず、民家に侵入して、男達を殺す。少女を救出したジェームズは、奪った車で逃走する。その少女ローズは、父が自宅を燃やした後、叔母の家に向かう途中でガソリンが尽き、父と逸れてしまった為に、父と合流予定のロリーストーンの叔母の家まで連れて行って欲しいとジェームズに請う。ジェームズはガソリンが足らず無理だと告げると、ローズは父が車を止めたマラガのスケート場に連れて行ってもらう。

ラジオでは男が、カナダ、メキシコ、中央アメリカが消滅し、パースへの爆炎到達まで残り10時間だと伝える。2人はスケート場に到着するも、誰も見当たらない為、ローズは叔母の家に連れて行って欲しいと請う。ジェームズはそれに従わず、自らの姉夫妻の家を訪ねる事を決め、ローズもやむを得ず付いていく。

姉夫妻の家に到着すると、ジェームズは、屋内のシャワー室で心中を図った夫妻を発見し、その直後、庭に夫妻の3人の子を葬った墓を発見する。ジェームズは夫妻がいなかったとローズに偽ると、夫妻の車に乗り換え、最期の時を迎えるパーティに向かう。

その途中、図書館に入るパトカーを発見し、ジェームズは警官の男とその家族に遭遇する。ジェームズは男にローズを預かって欲しいと頼むが、男が館内で一家心中を図ろうとしている事を知る。男は自分では無理だとジェームズに心中の協力を求めるが、ジェームズは頑なに拒否し、男に請われるままに心中の赦しを与えると、ローズと共に図書館を後にする。

旧知の仲のフレディが催す乱交パーティの会場に到着すると、ジェームズはローズを連れて、酒とドラッグに興じ、自暴自棄で踊り狂う集団の中を分け入って、フレディの元に向かう。ジェームズはフレディと再会すると、フレディの妹で、恋仲でもあるヴィッキーを探す。その時、クスリで正気を失った女が、ローズを娘のマンディと思い込んでつきまとい始める。ジェームズは女を退けると、ローズをその場に置いて、ヴィッキーに誘われるまま屋内へ向かう。ジェームズはクスリをキメると、ヴィッキーにSEXを求められるが、姉一家の死によるショックでその気になれず、詰られる。ヴィッキーは残り時間を無駄に過ごせないと告げ、ジェームズをフレディが作った地下シェルターに案内する。ヴィッキーは1年分の食料の備蓄があり、生き延びられると主張するが、ジェームズはこの程度の設備ではまるで役に立たないと諭す。

その頃、ローズは女に促されるままに、クスリを飲んでしまう。激昂したヴィッキーは、ジェームズがゾーイに会いに行った事を責め立てると、死が怖くて堪らないとジェームズに泣きつく。ジェームズはヴィッキーを宥めると、自らも恐怖から逃避する為に、パーティに来た事を明かす。しかし、ジェームズは自分の居場所がここでは無いと翻意し、ローズを親元へ帰したいという意向を伝える。ヴィッキーは出て行くなら殺して、自分も死ぬと告げる。そこにフレディがやってきて、ヴィッキーが泣いている理由を問い質す。ジェームズはこの深さでは生き残れないと告げる。

屋外に出たジェームズはクスリで中毒症状に陥ったローズを発見し、女を問い詰める。ジェームズはローズを救うべく、敷地から連れ出そうとすると、激昂したフレディが銃で脅して、ジェームズを止め、ローズを女に返す様に命令する。その時、ヴィッキーがフレディから銃を受け取ると、女を射殺し、ジェームズを敷地から発つ様に促す。

ジェームズは車を奪って、自らの母の家まで走り、母にローズの救護を請う。ローズの看病の後、母は姉一家と会えず、避けられていると嘆く。ジェームズは姉一家の死を伏せ、出て行ったのだと偽って伝えると、ローズを家族の元へ送り届けたいと告げる。ローズが回復すると、ジェームズはガソリンを調達し、母に最後の別れを告げて出発する。

ラジオの男は東南アジア全域の消滅を伝える。2人はローズの叔母の家に到着するが、屋敷がもぬけの殻だと知る。その直後、ジェームズは離れの森の中で、ローズの父を含めた親族達が集まって死んでいるのを発見する。ローズに父の死を伝えると、ローズは直に確かめたいと訴えるが、ジェームズは惨状を見せるに忍びなく、父の死体だけを森から担ぎ出す。ローズは父の亡骸を弔うと、父の元に留まって最期を迎えたいと希望する。ジェームズは、自らも父親になれるはずだったと告げ、ヴィッキーとは別の恋人ゾーイを置き去りにしてきた事を明かす。ローズはまだ間に合うと、会いに行く様に促す。

ジェームズはローズに別れを告げると、再び海岸沿いのゾーイの家へと向かう。ラジオの男が爆炎到達まであと1時間と伝える別れを告げる。その直後、車がエンストする。ジェームズは車を乗り捨て、海岸を目指し走りだす。程なくして水平線の彼方に爆炎が現れる。ジェームズは砂浜に佇むゾーイと再会するが、置き去りにした事を詰られる。ジェームズは許しを請い、愛を伝え、ゾーイと和解する。2人は抱き合ったまま海に向き合い、爆炎に飲み込まれる。

 

 

低予算だけあって、派手な演出は無く、最期の時までの数時間を淡々と描くスリラーなのだが、さすがオーストラリアを舞台にしているだけあって広々とした印象を受ける。巨大な隕石の衝突と言っても、即座に地球が崩壊するワケでは無く、こうして徐々に爆炎が地球を飲み込んで、最終的に火の玉にするのだな。爆炎到達まで、これだけの猶予を描いた作品は観たことが無かったから、なかなか斬新。しかも、その限られた時間で行うのが、偶然助けた少女ローズを親元に戻す事で、その過程で主人公のジェームズは人生観を見つめ直すのである。ジェームズについて深く語られる事も無いし、恋人が2人いる経緯も詳らかにはされない。車であちこち奔走する割にはそれぞれの位置関係もよく分からない。全体的にフワッとしてはいるものの、ジェームズとローズの関係がほのぼのするから、人類滅亡ENDでも鑑賞後は良い。

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