チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

復讐捜査線

マーティン・キャンベル監督作「復讐捜査線」("Edge of Darkness" : 2010)[BD]

娘を殺された刑事が捜査に乗り出し、やがて国家機密を巡る策謀に巻き込まれていく様を描くポリティカル・スリラー作品。

夜、ボストン市警の刑事トーマス・クレイブン(トム)は、久しぶりに帰省したMIT卒業生の一人娘エマを駅で出迎える。自宅へ着くと、トムは有給研修生をしているというエマの近況を聞くのもそこそこにして、不調を呈すエマを休む様に促す。その途端、エマは鼻血と激しい嘔吐を催し、トムはエマを病院に連れて行こうとする。ところが家を出た矢先に、マスクをした何者かがクレイブンの名を叫んでショットガンを放ち、エマが直撃を受ける。エマはトムの胸の中で息を引き取る。警察による現場検証が行われ、駆け付けた同僚のホワイトハウスがトムを気遣う。犯行はトムへの怨恨が原因と考えられ、エマは誤射された可能性が疑われる。その後、エマの携帯に無言の着信が入る。

翌朝、出勤したトムは、署長から規則により捜査に加われない旨を告げられるが、トム以外の目撃証言も物証も無い事から、特別に捜査を認められる。トムは過去に関わった事件との関係も視野に入れ、独自に捜査に乗り出す決意をする。生前のエマの異変を察知したトムはエマの遺体と対面し、髪の毛を採取する。トムはエマの所持品から、エマがノースモアという民間企業に核技術者として勤務していた事を知り、更に拳銃を発見する。銃の登録者はバーナムと判明する。時を同じくして、犯人のマスクが見つかり、残存した毛髪のDNA鑑定が行われる。

トムはバーナムのアパートを訪ね、部屋に押し入ると、突然バーナムに襲われるが退ける。エマの同僚で交際していたバーナムは、自分が拳銃を渡した事を明かす。トムはエマに何が起きたのか尋ねるが、バーナムは監視している二人組の男の存在を明かし、部外者との接触を恐れ、守秘義務を盾に口を閉ざす。バーナムはエマの遺した所持品をトムに手渡す。トムはエマの自宅を訪ね、所持品の中に放射線検出器を発見すると、それはエマの毛髪に線量反応を示す。トムはエマの部屋に何者かが押し入り、PCを盗んだ痕跡を発見する。更にトムは、エマの遺した電話帳からメリッサに連絡し、何が起きたかを尋ね、協力を要請するが、メリッサもまた恐れを抱いている事を知る。

国家機密の隠蔽処理を請け負う掃除屋ジェドバーグは、政府職員のミルロイから相談を持ちかけられる。ミルロイは国防総省と契約するノースモアが独自の警備システムを有する民間企業だと称し、ノースモアに侵入した3人とそれに関与した社員が会社により殺された事を示唆すると、その社員の父がボストン市警の刑事だと明かす。ミルロイは捜査により標的がエマだった事が判明すると、国家の安全に関わる重大事になりかねない事を危惧し、この件の始末をジェドバーグに依頼する。

トムはノースモアの研究施設に所長ベネットを訪ねる。ベネットは研究施設が州にとって大きな財源となっていると説き、全てが極秘としながらも、政府の依頼により安全な核エネルギーの開発と、核原料の管理を請け負っている事を明かす。トムはエマの仕事内容を尋ねるが、ベネットはエマが調査研究部所属の優秀な研究員だったと明かし、エマの死を悼む。

程なくDNA鑑定の結果を元に容疑者が割り出され、自宅で腕利きの殺し屋と称される男の射殺体と犯行に使用されたショットガンが発見される。現場に立ち会ったトムは男が犯人とは別人だと悟る。

その夜、トムの元にジェドバーグが訪ねてくる。予めトムの事を調べ上げてきたジェドバーグはDCから来た事のみを伝え、その立場と目的を明確にはせず、エマがテロリストとして要注意人物に指定されていた事と、ノースモアの極秘研究施設に侵入後、溺死した3人について明かす。ジェドバーグは3人が環境保護を訴える過激派ナイトフラワーのメンバーだと明かすが、トムはエマの関与を信じない為、誰もが活動家に成り得ると諭す。ジェドバーグがトムに事件の捜査を続けさせる意向を示すと、トムは犯人を逮捕せずに殺す意向を示す。ジェドバーグは最も正直な男に出会ったと告げて去る。

翌日、トムは再びバーナムの元を訪ね、痕跡からジェドバーグの来訪を知る。バーナムはトムの追求に対し、ナイトフラワーとの関わりを否定し、トムとの関与が失職や死に繋がる事を恐れる。バーナムは、エマが個人で上院議員パインに告発の手紙を書く為に弁護士に相談したものの、議員から返事が無く、ナイトフラワーと関わる様になった事、その後、仲間を通じて極秘施設への3人の侵入を手引した事を明かす。トムはエマが被爆していた理由を問うが、バーナムはエマが3人と同行しておらず、被爆していない見立てを伝えると、ベネットにより侵入者には放射性物質を含んだ蒸気を当てる様に指示されていた事を明かす。

トムは車で移動中のベネットを追跡すると、警備の二人組を振り切って急襲し、銃を突きつけて脅す。その夜、バーナムは殺される。

市民から兵器開発の禁止を求める署名活動が行われる中、ノースモアの研究施設を支援し、その見返りに献金を受けている事が指摘されているパインは、研究調査の必要性を説き、州経済の為にも有益で全面禁止すべきでは無いと主張する。

翌日、ジェドバーグはトムを呼び出し、子供がいない事を明かす。トムはバーナムの死について触れ、エマの被爆がノースモアの仕業だと疑う見解について尋ねる。ジェドバーグは真相究明の妨害が自らの仕事だと明かし、複雑過ぎてどうにもできない解決不能な事件だと説く。トムはエマの告発内容について尋ねるが、ジェドバーグは自らの態度を明確にはせず、子供がいない気持ちは分かると告げる。

トムはエマの相談を受けた弁護士サンダーマンを訪ねる。トムはエマがノースモア側の弁護士と知らずにサンダーマンに相談し、一方サンダーマンはエマの告発内容の危険度を知る為に相談を受けた事を見抜き、サンダーマンが裁判官に推薦してくれたパインを支援している事を指摘する。トムはマスコミに真実を公表すると脅し、パインに会わせる様に要求する。

その後、トムはメリッサと車内で接触する。ノースモアに脅えるメリッサは、自分がエマをナイトフラワーに紹介した事を明かす。メリッサはエマの遺したDVDをトムに手渡すと、エマが会社に被爆させられたと漏らしていた事を明かす。メリッサはナイトフラワーの連絡役ロビンソンの事を伝え、車から出た途端、ベネットの送った刺客の車に轢かれる。トムは自分を狙って猛進してきた刺客を射殺する。搬送されたメリッサは重傷を追うも、一命を取り留める。

トムはDVDのデータを確認し、それがエマの遺したビデオメッセージだと知る。エマは守秘義務を正義の為に破り、ノースモアによる違法な核兵器製造を告発する。ノースモアは外国の材料を使用する事で、外国製として核兵器を製造し、米国の関与が疑われぬ様にしているという。エマは書類や画像は入手したが、存在の証拠が必要と考え、撮影チームの侵入を手引した事を明かし、自分が監視下にあり、父がDVDを手にした時には死んでいると予見する。

政府の要人ムーアは、事件に関与し殺された者達の死に方が不自然過ぎ、証拠が漏れかねない事を危惧し、ベネットの不手際を責める。ベネットは不測の事態にはムスリム過激派による仕業だとすれば、心配は無用だと反論する。

トムは研究施設に程近い場所にあるナイトフラワーの小屋にロビンソンを訪ね、ベネットと取引する事で身の安全を図っている事を指摘する。トムはロビンソンに全てを話す様に迫り、エマの自宅の冷蔵庫から高線量の物質が混入した牛乳を発見する。

ベネットはエマの自宅に忍ばせたトリウムで、トムの被爆をも画策している事をムーアに伝える。ムーアはその前にトムが真実を暴露する事を恐れ、始末する様に命じる。一方、ジェドバーグは持病により、余命が残り少ない事を知る。

トムはパインの自宅を訪ね、エマの告発について尋ねる。パインは国家の安全に関わる極秘情報に触れた手紙を送ってきたエマに対し機密漏洩だと警告した事、その後の身辺調査によりテロリストと分類され処理された事を明かす。トムはノースモアが殺人を犯している事を伝えると、議員としての正しい決断を迫る。

トムは一計を案じることで、ベネットの雇った監視の二人組を警察に逮捕させ、その内の一人がエマを射殺した犯人だと悟る。二人組逮捕の件がマスコミに報じられると、事態の発覚を恐れたムーアはベネットに計画の中止を命じるが、ベネットは既に手配済みである事を伝える。

帰宅したトムは次第に不調を来し始める。そこにホワイトハウスが訪ねてくる。ホワイトハウスはベネットに弱みを握られており、トムがバーナム殺しの容疑で起訴された後、破滅が待っている事を伝え、捜査から手を引くように促す。その時、トムは激しい嘔吐に見舞われる。トムは完璧でなくとも正しい生き方があり、悪人には屈しないと説く。そこに逮捕したはずの二人組が現れると、トムは拉致された後、ノースモア内で拘束される。

目覚めたトムは職員を欺いて拘束を解き、ノースモアを脱出する。自身の体に一刻の猶予も無い事を悟ったトムは、ベネットの屋敷へ向かう。トムはベネットを警護する男が、エマ殺害犯だと確認した後に射殺する。不意を突かれてトムはベネットに銃撃を受けるが、反撃し、ベネットを追い詰める。トムはエマの自宅にあった牛乳をベネットの口に流し込み、パニックに陥ったベネットを射殺する。

ベネットの死を受け、ムーア、ミルロイ、パインはジェドバーグを交えて対応を協議する。ジェドバーグが提案した、娘のせいで被爆した刑事が所長ベネットを恨んで殺したという筋書きに一同は賛同する。事件は複雑に入り込んでおり調べようが無く、トムがやがて死ぬ事で真相は闇の中となる事にムーアら三人はほくそ笑む。パインはジェドバーグの対処が遅く、トムを殺せたのに殺さなかった事を責める。ジェドバーグは事態を観察した上で対処を決める自らの姿勢を明かすと、この国にはよりよい指導者が現れるべきだと告げ、ムーア、ミルロイ、そしてパインを射殺する。ジェドバーグは駆け付けた護衛の警察官を殺さず、子供がいる事を確認すると、自らを撃たせる。

程なくマスコミにトムが送付したエマの告発DVDが届く。トムは病院でエマの存在を感じながら息を引き取る。

 

 

久しぶりのメル・ギブソン主演作は浮ついた要素の無い質実剛健なポリティカ・ルスリラーだった。娘を殺害した忌むべき復讐相手は、国家に対する隠然たる力を持ち、極秘に核兵器開発を行う企業の所長で、典型的な軍需企業のトップである。そこにズブズブの関係を持つ上院議員やら、反発する過激な環境保護団体やら、真相解明を阻む謎の男やらが登場し、なかなか起伏に富んだ話にはなっていると思う。基本的には主人公トムが娘を殺した犯人を追いながら、ノースモアの秘密に迫っていくという流れで、派手なアクションシーンは無いが、メル・ギブソンが銃をぶっ放すとオヤジのいぶし銀がサマになって良い。冷蔵庫に仕掛けられていたトリウムがどれ程の放射能を帯びていたのか分からないが、接近しただけで急性障害が出るって事は余程の量だろう。結局、復讐は果たせてもトムは死んでしまうのだからEDはとても切なく、後味が良いとは言えないが、最後のジェドバーグの立ち回りは渋かったな。

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