チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

セル

トッド・ウィリアムズ監督作「セル」("Cell" : 2016)[BD]

携帯で通話していた人々が突然凶暴化し、都市機能が失われた街で、難を逃れたコミック作家が妻子の無事を願って捜しに行く様を描くSFホラー作品。

 

コミック作家のクレイはボストン空港に到着すると、別居中の妻シャロンに携帯で連絡し、仕事で成功を収めた事を報せる。クレイが小学生の息子ジョニーとのビデオ通話に切り替えた直後に携帯のバッテリーが切れる。クレイは電源を見つけられず、ターミナルの公衆電話からシャロンに掛け直すと、ジョニーに久しぶりに会いたいと望む。シャロンはクレイの成功を喜びながらも、復縁には難色を示す。その時、ターミナルを往来する人達が突然凶暴化し、誰彼構わず襲い始める。クレイはその様子を見て、携帯で通話するのが感染の原因だと悟る。間もなく、警官達が駆け付けるが、多勢に無勢で手に負えず、クレイはターミナルから逃げ出そうとする。そこへ上空で制御を失ったジェット機が墜落する。クレイは命からがらターミナルから連結した地下鉄構内に逃げ込む。地下は圏外の為、クレイを追ってきた狂人達は不活性化する。クレイは地下鉄車内に身を潜める正常な乗客達と合流する。運転士トムは非常ブレーキが作動して走行できない事、ターミナルは火の海で出られない一方で、停電で地下水の汲み出しが止まって構内も水没する事を明かすと、線路を歩いて逃げる様に乗客達に促す。乗客達はそれを拒み、クレイと乗客の一人マイクだけがトムと一緒に線路を伝って整備口を目指す。ところが整備口にも狂人達が屯しており、マイクが襲われて命を落とす。クレイとトムは傍のハシゴを昇って地上へ出る。二人は街の住民の多くが既に感染し、都市機能が完全に失われている様子を目の当たりにする。

クレイは自らの住むアパートへトムを連れて行く。クレイはトムの携帯を借りて、ジョニーにメールを送ろうとするが不通になっている事を知る。日が暮れた後、上の階に住む少女アリスが助けを求めてやってくる。アリスは凶暴化した母を刺殺して狼狽しており、クレイはアリスを落ち着かせて休ませる。クレイは夜が明け次第、妻子が暮らすニューハンプシャー州のケントポンドに行く意向を示し、トムとアリスを誘う。間もなく、トムの携帯に非通知で着信が入る。

翌朝、クレイ達は、群れを成して街を駆け巡る狂人達に気付かれないよう注意を払いながら、市街地を離脱する。クレイ達は住宅地で銃所持を表示している家を見つけ、押し入る。トムはそこで元軍人で銃の扱いに長けている事を明かす。クレイ達はその家から拳銃とショットガンを持ち出すと、追ってくる無数の狂人達を退け、街外れのダムの傍で身を隠す。間もなく日が沈むと、狂人達は条件反射の様に不活性化し、整然と並んでその場から去っていく。クレイ達は狂人達がパルスを通じて集合精神を備え、感覚を共有しているのだと推測する。

夜、クレイ達は郊外の野道を進む内にアカデミーに辿り着く。生き残りの校長アーダイと奨学生のジョーダンはクレイ達を歓迎する。クレイ達は、競技場に集まり、口から電話の様に音楽を発しながら眠っている夥しい狂人達を目の当たりにする。アーダイは狂人達が群れの為に行動し、競争心や身勝手さは皆無である事から、それが人類の進化した姿であり、全人類が巨大な有機体の一部となる可能性を説くと、彼らが眠っているのは再起動で能力を更新する為であり、やがて闇を恐れなくなる事を危惧する。クレイとトムは、芝生用の散水機を乗せたトラックと給油ポンプがある事を知ると、競技場の狂人達に散水機でガソリンを撒き散らした後、火を放って焼き払う。その際、停車したトラックに火が燃え移って爆発し、アーダイは破片の直撃を受けて即死する。

翌朝、ジョーダンを加えた一行は、アカデミーを出てケントポンドを目指す。夜を前にして、一行は無人のダイナーに入って休息を取る。クレイは赤いフードを纏った不気味な男に襲われる悪夢を見る。それを聞いた他の三人もまた、同じ赤いフードの男に異なる状況で襲われる悪夢を見た事を明かす。クレイはその男が自らのコミックに登場する、終末を予言するキャラクターである事を明かす。一行は同じ悪夢を見た事に不可解さを覚え、寝るのを止めて店を出る。その直後にトムとアリスの携帯に非通知で着信が入るが、二人はそれを無視する。

一行は「カシュワク」と描かれたバーを見つける。店内に身を潜めていた正常なサリー、ラガディ、ジェフは一行を歓迎する。サリー達はカシュワクについて、メイン州にあるパルスを免れた者達の避難所である事を明かし、明日そこへ向かう意向を示す。クレイは自らの境遇について、妻子を重荷に感じ、また雇われの仕事にも不満を感じていた為に、自己嫌悪に陥ってシャロンを憎んでしまい、自暴自棄になって家出し、後悔している事を明かす。夜更け、皆が眠りに就いた後、サリーは屋外から聞こえる奇声で目を覚ます。サリーはドアに近づき、聞き耳を立てる。狂人達は口から発するパルスでドア越しにサリーを感染させ、店内に侵入する。目を覚ましたクレイ達は襲いかかる狂人達に銃で応戦し、窮地を脱するが、サリー、ラガディ、ジェフ、更にアリスが命を落とす。クレイ達は狂人達自身が「勧誘」を始めている事から、もう感染に携帯は不要だと悟る。一行はバーを後にし、先を急ぐ。

一行はキャンプ場で正常な二人組、レイとデニースに遭遇する。レイ達はカシュワクが圏外で安全だというのは嘘であり、行けば餌食にされると説くと、クレイ達と同じ様に、赤いフード姿の男の悪夢を見る事を明かす。デニースは、感染した兄が狂人達の群れが通ると騒ぐ事から、拘束して炭坑のカナリア代わりに利用している様子を見せる。デニースの兄はクレイが近づくとジョニーの声で「会いたい」と発し始める。ジョニーはデニースの兄の目隠し用のマスクを剥いで顔を確認すると、衝動に駆られて射殺する。その際、一同は姿を見られてしまった為に、レイのトラックで直ちにキャンプ場から離脱する。程なく、レイは山道で車を停めると、クレイを連れて森の奥へ向かう。レイは頭の中にフードの男が入ってきて幻を見せると訴え、当惑し始める。レイはクレイに携帯を手渡し、旅が終わる時にかける様に命じると、自爆ベストで自殺する。

一行はトラックでクレイの自宅に辿り着く。クレイは一人で屋内に入り、キッチンで「母は奴らになった。自分はカシュワクに行くから会いに来て。」という旨のジョニーのメッセージを見つける。クレイは人の気配を察知して屋根裏に上がり、潜んでいたシャロンに襲われる。そこへ駆け付けたトムの加勢を得て、クレイはシャロンを殺す。トムはトラックにC4が満載されている事に気付く。クレイはトム達にシャロンの車を譲ると、自らはトラックでカシュワクへジョニーを捜しに向かう意向を示す。クレイは、悪路に出たらスプレーで目印を付ける様にジョーダンに頼むと、トムに謝意を告げ、出発する。

その夜、クレイは山中の空き地に設けられた中継塔へ到着する。クレイは中継塔を周回する夥しい狂人達をトラックで押し退けながら、中継塔へ接近すると、そこで待ち受けていた赤いフードの男を撥ね飛ばす。クレイはトラックを降りて男の傍へ歩み寄り、ショットガンを何度も放って男を殺す。間もなく、どこからともなくジョニーの声が響き渡る。クレイは狂人達の群れを掻き分け、ジョニーを探すも見つからず、途方に暮れて電話を開く。そこへジョニーが現れる。クレイはジョニーを抱き寄せる。すると、狂人達がパルスを放ち始め、ジョニーもまた同じようにクレイの前でパルスを放つ。クレイは携帯の通話ボタンを押す。次の瞬間、トラックが大爆発し、爆炎が中継塔と狂人達を飲み込む。

クレイはジョニーを連れて、山中を線路沿いに北へ向かう。その途中、二人は線路脇の木にジョーダンが描いたサインを見つける。・・・という夢を見ながら、クレイは他の狂人達と同じように中継塔の周りを延々と駆け巡るのだった。

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