チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

サスペリア・テルザ 最後の魔女

ダリオ・アルジェント監督作「サスペリア・テルザ 最後の魔女」("The Mother of Tears" : 2007)[DVD]

ローマで復活を遂げようとする最後の魔女を倒すべく、母から超能力を受け継いだ女が戦いに臨む様を描くスーパーナチュラル・ホラー作品。

 

ヴィテルボ墓地の傍で工事中の地中から、鎖で巻き付けられた棺と遺品入れの箱が発見される。それは1815年に没した貴族オスカー・デ・ラ・バレーの物と判明し、司教は棺を墓地の反対側に埋め直す事を指示する。司教は箱の中の遺品を確認すると、ローマ古代美術博物館の館長で、魔術の歴史や神秘の科学に詳しいマイケルへ箱を送り、調査を依頼する。

マイケルの留守中に博物館に箱が届くと、副館長ジゼルは、美術品修復と考古学を学ぶサラと共に箱を開封する。中には中世の短剣と三体の彫像、更に太古の文字が記され、儀式に用いると思しき赤い衣服が収められており、ジゼルは文字の解読を試みる為に、サラに辞書を取ってくる様に頼む。その直後、ジゼルの前に猿と三体の怪物が現れ、ジゼルを惨殺する。辞書を持って戻ってきたサラは、その様子を目の当たりにすると、怪物達に悟られぬ様に逃げ出す。しかし、猿がそれを察知し、追跡を始めると、館内の扉が全て施錠され、サラは追い詰められる。その時、女の声がサラに逃げる様に促し、扉が全て開放される。サラは館外へ脱出すると、警察に通報する。遺品は怪物達により奪われる。

サラは駆け付けた警察の捜査主任マルキに、事情を見たままに伝えるが、警察はサラの突拍子もない話を疑う。館内での聴取中、マイケルが戻り、サラを自宅に連れ帰る。マルキはサラを見張る様に部下に命じる。

サラは、マイケルが息子ポールと暮らす家に一晩泊まる事にする。サラは館内で猿に追い詰められた時に、女の声で救われた事をマイケルに伝えるが、なぜ怪物達がジゼルを殺し、遺品を奪ったのか、その理由を図りかねる。マイケルは明日、オカルト科学の権威である司教に会って、事情を聞きに行く意向を伝える。非科学的な事に懐疑的なサラはオカルト科学を否定する。その頃、涙の母(マーテル)が手に入れた赤い衣服を身に纏い、ローマに復活を呼びかけると、ローマの市民が殺人や暴行を働く様になる。

翌日、マイケルは教会に司教を訪ねるが、司教は棺を開けた翌日に脳卒中で倒れ、入院した事を知る。マイケルは遺品入れについて神父に尋ねる。棺はオスカー・デ・ラ・バレーの物で、司教はそれがアオスタの町に伝わる昔話に登場する人物だと考えたという。その話は次の通りである。

1814年、教会を修復していた者が遺品入れを見つけたが、その晩、狼が現れ、埋葬したばかりの遺体を荒らした。神父は遺品入れを教皇庁へ送る事にし、その運び役に貴族のオスカーが任じられた。しかし、オスカーが行く先々で死と破壊が付いて回った為に、多くの町がオスカーを恐れ、閉め出した。ヴィテルボに着いた頃、オスカーは病を患い、教会に保護されたが、6日後に高熱で死んだ。遺品入れはオスカーの棺と共に鎖で固定されたという。

神父は、司教が遺品入れを見つけてから、人が変わったように戯れ言ばかり口にする様になったと明かすと、司教が記した遺品のリストをマイケルに手渡す。司教は遺品が魔術に関係する物で、魔女マーテル・ラクリマルム(涙の母)の物だと考えたという。神父はその話を真に受けなかったが、マイケルはリストに意味があると説く。その夜、マイケルはヴィテルボを離れる直前に、二人の不気味な女と遭遇する。

サラは生前の母の写真を取り出し、涙する。その後、犯罪が横行する街をすり抜け、再びマイケルの家に訪れる。マイケルはポールの部屋のベッドに呆然と座ったまま、ポールが誘拐された事を明かす。ベッドの傍には、血で書かれた「息子にまた会いたいのなら沈黙を守れ」というメッセージと共に、遺品入れと同じ文字が見つかる。マイケルはジゼルの死、司教の脳卒中、ポールの誘拐が同時に起きたのは偶然では無く、全て遺品入れに結び付き、それが黒魔術の一種だと説くと、ローマに広まる暗黒について口を噤む様に脅しているのだと察する。それを疑問視するサラに、マイケルは博物館での事件後にローマで発生した殺人、暴行、自殺、放火、誘拐を報じた記事の数々を突き付けると、エクソシストや超常現象に詳しい神父ヨハネスに会い、ポールを取り戻す方法を聞く意向を告げ、サラの制止を振りきって出発する。

ローマにはマーテルの復活を祝う為に、世界中から下僕達が集まり始める。サラは図書館で三女神について調査を行う。その最中、マイケルから連絡が来るが、マイケルの前に再び二人組の女が現れると、マイケルは助けを求めて電話を切る。サラはマイケルの身を案じ、モンテレオーネのヨハネスの元へ向かうべく、駅へ急行する。

駅に着いたサラは、マーテルの下僕の女に執拗に追いかけられる。一方、マルキが部下を率いてサラの捜索を始める。書店に逃げ込んだサラは追い詰められるが、女の声に精神を集中する様に命じられ、サラがその通りにすると、姿を消す事ができ、マルキをやり過ごす。サラは警察の追跡を逃れ、列車に乗り込む。その頃、女は車内で刑事の一人を殺し、サラを探し始める。トイレに隠れているのを見つけられたサラは、女を殺すと、別の列車に乗り換え、駅を発つ。

教会に着いたサラは、マイケルが来ていない事を知ると、ヨハネスに面会を求める。サラはそこで母エリザをよく知るという、降霊師マルタと出会う。マルタはかつてドイツで、最高の心霊術者であり、神霊治療家でもあり、さらに良き魔女でもあったエリザに多くを学んだ事を明かすと、サラもその能力を受け継いでいるのだと伝え、駅でサラを救ったのがエリザだと明かす。サラはエリザについて事故死という事以外よく知らなかったが、マルタはエリザが強力な魔女、溜息の母(マーテル・サスピリオルム)に戦いを挑み、殺されたのだと明かす。そこにヨハネスが現れ、エリザについて色々と話す事があり、サラを待っていたのだと告げる。

1000年以上前、3人の姉妹が黒海の近くで魔術を生み出した。3人は放浪を続け、村や町に死や破壊をもたらした。その後、3人はそれぞれ安住の地へ向かった。溜息の母はフライブルク、暗黒の母はニューヨーク、涙の母はローマに。3人の中で生き残った涙の母は最も残酷で最も美しく、他の2人はずっと前に死んだ。エリザは溜息の母に敗れたものの、深手を負わせる事ができ、その為に溜息の母は魔力をほとんど失い、バレリーナのスージーに殺された。一方、司教が見つけた遺品入れを開けた事で、涙の母の魔力が復活した。マイケルは電話で古代の衣服が強力な魔力の源だと言っていたという。

マルタは世界中の魔女が復活を祝いに来る幻影を見た事を伝える。ヨハネスはローマを邪悪な町にして、魔女の時代を再来させる為に、連日、魔女達がローマに集まってきていると明かす。ヨハネスは教会を取り巻く正気を失った者達の様子をサラに見せると、涙の母が災いを広めており、それにより生じる混乱と絶望が魔女の喜びになっていると説く。ヨハネスはこの窮地を乗り切る方法を記した本があると明かすと、それを別室に取りに行く。しかし、その直後にヨハネスは正気を失った妻に惨殺され、妻もまた自殺する。サラ達は教会に群がる正気を失った者達を退け、車で逃走する。

帰宅したサラは室内に何者かの気配を察知し、マルタの家に身を寄せる。マルタはサラに潜在的な力があると説き、浮遊霊を招き寄せる術を教える。サラがその術を使うと、エリザの霊が現れる。エリザはマーテルが力を増しており、サラの身に危険が迫っていると告げ、マーテルと戦う様に促す。マルタはマーテルに挑む為のガイド役として、偉大な学者と称するグリエルモを紹介する意向をサラに伝える。

その晩、悪夢で目を覚ましたサラは、室内に侵入した猿を見つけると、部屋から脱出し、屋外からマルタに電話をかけ、危機を知らせようとする。しかし、室内にはマーテルの下僕が侵入し、電話を妨害すると、マルタと同居人のエルガを惨殺する。そこにマーテルが現れ、サラに逃げられた事を知ると下僕を詰る。

サラの前にエリザの霊が現れ、受け継いだ力を使う様に告げると、その姿を消す。サラは夜の街を彷徨う内に、憔悴したマイケルと遭遇する。マイケルはポールが殺された事をサラに伝える。サラはマイケルの部屋に身を寄せると、マイケルの話を疑って掛かった事を詫びる。サラはマイケルが首元を激しく怪我している事を指摘すると、マイケルは取り憑かれた様に激昂し、サラに襲いかかる。マイケルはマーテルから逃げられはせず、サラを救う者もいないと告げる。サラはマイケルに火を放って逃げ出す。そこにエリザの霊が現れ、サラにグリエルモを探す様に告げると、襲いかかるマイケルの盾となり、闇の世界に引きずり込まれる。

翌日、ニュース番組にマルキが出演し、ローマに蔓延る暴力の発端がジゼル殺害にあると述べると、サラの情報提供を呼びかける。それを見たサラは、人目を避けながら、グリエルモの家を訪ねる。錬金術師を自称するグリエルモは、サラの正体とその受け継いだ能力を確認する。サラはローマの危機を救うためにマーテルを探し出し、倒す意向を伝える。グリエルモは再来の祝いが始まっている事を認め、それを止める良き魔女がいない為に、サラにしか止められないと明かす。グリエルモはその為の情報を提供する為に、何世紀も前の偉大な錬金術師にして建築家のヴァレリの著書をサラに手渡す。

ヴァレリは晩年、三母神の為にフライブルク、ニューヨーク、ローマにそれぞれ館を建てたが、三軒の館に隠された秘密を後に知った。三母神は自らの館から苦痛と涙と暗黒を世界に広めたという。サラは、ヴァレリがローマに建てた家の挿絵の下に記された謎の言葉「汝の目に見えるものは存在しない 見えぬものこそ真実」の真意を図りかねる。グリエルモはマーテルの居所を見つければ、答えも見つかると告げる。

その夜、サラはローマ市街をタクシーで回る内に、マーテルの復活を祝いに訪れた女の群れを見つけ、その後を付ける。やがてサラはヴァレリの著書に描かれたのと同じ館を見つけると、その中へ侵入する。サラは屋内でマルキと遭遇するが、その直後にマーテルの下僕達がサラを探し始める。

サラ達は辿り着いた広間の壁にヴァレリの著書に記された謎の言葉と、更に遺品入れに刻まれたのと同じ記号のオブジェクトを見つける。サラがオブジェクトの仕掛けを作動させると、隠し扉が開き、二人はそこに現れた未発見のカタコンベの中に入る。サラはそこがマーテルの住処だと悟る。マルキは前方の様子を窺いに向かうが、そこで下僕達に捕らえられる。一方、サラは女達に察知されるが、意識を集中する事で姿を消し、やり過ごす。サラはカタコンベ内で禍々しい儀式を行う下僕達を横目で見ながら、通路を進み、やがてマーテルと下僕達が集う広間に辿り着く。

サラが様子を窺っていると、グリエルモが処刑され、マーテルは太古の服を身に付ける。そこにマルキが連行されてくる。マルキは拳銃を発砲し、下僕達を退けるも、すぐに捕らえられて吊るされ、心臓を抉り取られそうになる。その時、猿がサラの存在を察知し、サラをマーテルの元へ連行する。サラが意識を失いかけると、マーテルはサラを食べたい者を下僕達に募り、もう誰も自分を倒せないと歓ぶ。その時、サラは意識を取り戻し、傍にあった槍でマーテルの着ている古代の服を剥ぎとって火に焚べる。服が燃えると、地震が起き、カタコンベと館が崩壊を始める。マーテルと下僕達は崩落に巻き込まれて死に、サラはマルキと共に地上へ脱出する。

 

 

ダリオ・アルジェントの魔女三部作サスペリアインフェルノに続く三作目にして完結編。直接ストーリーが繋がっているワケでは無いのだが、世界観と時系列が共通だからやはり順番に観たほうが良さそうだ。前作からかなり年月が経って製作されたので、割りと最近の作品なのだが、相変わらず昔ながらのコテコテのアルジェント節が効いている。やり過ぎなくらいグロ描写へのこだわりが随所に見られるのだが、それが却って違和感を禁じ得ないのが残念なところ。腹を割いて内臓がドバっと出て、それを巻きつけるなんて、シリアス系のホラーじゃ余りお目にかかれないからなぁ。CGもチープだったし、敢えて使わない方が良かったと思う。とりあえず三人の魔女を倒したって事で、めでたしめでたし。しかし、前作の魔女の登場シーンが衝撃的過ぎたから、あれと比べると今作の結末は地味だな。ま、全体としての雰囲気は好きなのだが(笑)。

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