チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

海賊じいちゃんの贈りもの

アンディ・ハミルトン,ガイ・ジェンキン監督作「海賊じいちゃんの贈りもの」("What We Did on Our Holiday" : 2014)[DVD]

子供達が思いがけず陽気な祖父の死を経験する事で、崩壊寸前の家族の再生に一役買う様を描くコメディ・ドラマ作品。

 

ロンドンに住むダグ・マクラウドと妻アビーは目下、ダグの浮気を発端とした離婚協議中で別居しており、アビーの元で三人の子供、しっかり者だが神経質でメモ魔の長女ロッティ、ヴァイキングをこよなく愛し、オーディンのファンの長男ミッキー、石に執着し、思い通りにならないと失神するまで息を止める次女ジェスが暮らしている。一家はダグの父ゴーディの75歳の誕生日パーティを祝うべく、ゴーディがダグの兄で投資家のギャビン一家と暮らすスコットランドの屋敷に赴く事になる。ゴーディはガンを患っており、誕生日を迎えるのが今年で最後かも知れない事から、ダグとアビーは一時休戦状態とし、親族に不仲ぶりを悟られない様にする事で合意するが、出発前から何かに付け啀み合い、その都度、子供達は気を揉む。

出発後も走行中の車内で二人は口論は繰り返す。子供達は二人によりを戻す事を期待するが、二人はそれがもう無理だと理解を求める。車は大渋滞に巻き込まれ、夜までに到着するダグの計画は頓挫し、アビーは途中で一泊する事を提案するが、そこでも二人の意見は対立する。更にアビーの携帯にレオンという男から電話が掛かって来ると、ダグは二人の関係を訝る。一方、スコットランドのマクラウド家では、ギャビンが妻マーガレットと共にパーティの準備に追われる。

ダグ達は結局、途中のホテルで一泊する事になる。ダグとアビーは二人の不仲と別居の件を、親族に明かさぬ様に子供達に諭す。しかし、嘘を何より嫌うロッティはそれに反発する。一方、ゴーディはギャビン達の心配をよそに自由気ままに過ごす。ゴーディはギャビンの意向でバイオリンを嗜むギャビンの息子ケネスに、自分の殻を破る様に促すも、ケネスは型に嵌まった演奏に囚われる。

ダグ達は人里離れ、海岸から程近い場所に位置するマクラウド家の屋敷に到着する。ゴーディは体調が優れないながらも、そんな素振りは見せずにダグ達の前に陽気に姿を現す。ダグとアビーは夫婦仲が良好な様に振る舞う。ギャビンは金に物を言わせて拵えた、全端末がITで同期しているこだわりの屋敷を自慢する。マーガレットはダグとアビーの不仲を雰囲気から察知する。

ゴーディは自室へロッティを案内すると、ガンを患っており、余命が短い事を明かす。知り得た情報を具にメモするロッティは、その事をもノートに記録するが、ゴーディは人生がメモ書きとは別物だと諭す。ゴーディはダグ達がロッティの為に嘘を付いたのだと説くと、嘘も方便であり、時々はついていいのだと諭す。その後、ロッティは嘘の件でダグを詰り、その際に転居の件を漏らす。その夜、ゴーディは痛みで苦悶する。一方、ケネスはトイレで蹲って泣いているマーガレットを発見する。マーガレットは中年ゆえの問題だと弁解する。ケネスはネットの動画の件との関わりを尋ねる。

翌朝、ダグは転居の件をアビーに問い質し、アビーは子供達と共にニューカッスルに移り住む意向を明かす。ダグはそれに反発し、二人はトイレの中で激しく口論を始める。二人の不仲は親族の知るところとなる。ゴーディはDNA検査の結果、自らがヴァイキングの末裔だと判明した事をミッキーに明かす。

翌日、パーティを夜に控え、ギャビン主導の下、それぞれの役割分担で215名の客を迎える最終準備が進む。ゴーディはそんな家族をよそに、子供達をトラックで連れ出すと、知己ドーリンのダチョウ牧場を訪ねる。ゴーディはダグとアビーが難しい時期にあり、待つしか無いと説く。ロッティは二人の離婚を心配するが、ゴーディは二人が子供達を愛しており、きっと乗り越えられると諭す。一方、ダグは作業中もアビーに転居の翻意を促す。

次にゴーディは、子供達を浜辺に連れて行く。ゴーディはかつてその浜辺で兄に泳ぎを習い、後にその兄が対独戦争で死んだ事を明かす。葬儀について話が及ぶと、ゴーディは形式的な葬儀を拒み、先祖と同じ様に、燃える小舟に亡骸を乗せて沖へ流す、ヴァイキング流を希望する。更にゴーディは、バカバカしい家族の揉め事にうんざりしている事を付言する。その後、子供達は浜辺で思い思いの遊びに興じる。ロッティは嘘ばかり付く両親への憤りを露わにする。ゴーディはどんな連中でも愛しているのに変わりは無いと説き、放っておくように促す。ゴーディはギャビンが成り上がる事に腐心し、マーガレットの悩みに気付いていない事への呆れを吐露すると、人には誰しも多少馬鹿なところがあり、互いを批判し、争ったところでどうなるものでなく、最後はどうでも良くなると説く。

子供達が遊びに興じている内に、ゴーディは若かりし頃の兄フレイザーの幻を見て、自らの最期を悟る。ゴーディはそのまま浜辺に横たわり、永眠する。程なく、子供達はゴーディが動かない事に気付くと、ロッティが生体反応を確かめ、いつもの様な冗談では無く、本当に死んでいるのだと知る。ロッティはミッキーとジェスに見張りを任せ、家族に報せに行く。

屋敷に戻ったロッティは、パーティのあり方を巡ってギャビンがダグと口論する様子を見て、報せるのを躊躇う。その後、レオンについてダグがアビーに問い質し、アビーがそれを新しい職場のボスと明かすも、浮気相手が他におり、子供達にはそのうち話す意向を示すと、その一部始終を見たロッティは辟易し、誰にも報せる事無く、ゴーディの部屋から形見を密かに持ち出して浜辺に戻る。

ロッティは大人達には任せられないと主張し、三人でゴーディの希望したヴァイキング流の葬儀を行う事を提案する。三人は浜辺に遺棄された木材と漁具を集めて、即製の装飾を施した筏を作り上げると、それを水辺まで運んで、ゴーディの亡骸と形見を乗せる。三人はゴーディに別れを告げると共に、祈りを捧げると、ガソリンをかけて筏を燃やし、沖へと送り出す。

子供達は屋敷に戻ると、家族にゴーディの死を伝え、ゴーディの意向に従って葬儀を済ませてきた事を明かす。家族は俄にそれを信じる事ができず、ギャビンとダグが浜辺に確認に向かう。二人は水辺に放置されたゴーディの車と、沖で昇る火煙を見つけ、子供達の言っている事が事実だと確信する。そんな事情は露知らず、客達は続々と屋敷に集まり始め、マーガレットはゴーディが亡くなった(であろう)事を報告する。一方、ケネスもまたゴーディの訃報を知る事なく、バンドのバイオリン奏者の若い娘と意気投合し、殻を破ってセッションに興じる。

程なく、ギャビンの通報を受けて、警官が児童福祉課のチズムを連れてやってくる。チズムは子供達と個別に面談を行い、事の経緯を調査する。ケネスは若い娘と恋に落ち、キスをする。面談を終えたミッキーとジェスは、ラップトップでYouTubeに流出した、マーガレットがかつてスーパーで乱闘騒ぎを起こした際の防犯カメラの映像を再生する。その動画が同期システムで屋敷内の端末に表示されると、それを初めて目にしたギャビンは唖然とする。

チズムはロッティが具にメモを取っている事を知ると、そのノートをロッティから預かる。同席したアビーは、両親の不仲が知られる事を怖れ、気を揉む。一方、警察官は、スーパー側が穏便に事を収めた為にマーガレットがお咎め無しで済んだ事を明かすと、皆がマーガレットの抱える事情を承知しており、マーガレットが治療用の抗鬱剤の影響で攻撃的になったのだとギャビンに伝える。

翌朝、一家は険悪な雰囲気に包まれる。騒動が世間に知れ渡り、屋敷の前に大勢のメディアが集う。その最中、再びチズムがやってくる。アビーは子供達が連行される事を危惧し、チズムの調査を拒絶する。その後、形見分けの件でギャビンとダグの間に齟齬が発覚し、再び家族がいがみ合いを始める。そこに憤慨したロッティが割って入り、ゴーディが死の直前に口にした、家族への辛辣な言葉を伝える。家族はそれを聞いて頭を冷やす。ダグはその間にミッキーが屋敷の前で取材陣のインタビューを受けている事に気付き、慌てて止めに入る。ミッキーは自分のせいで大騒ぎになった事への責任を口にする。ダグはそれを否定し、取材陣を牽制するが、逆に取材陣から監督不行届やアビーとの不仲の件を追求された挙句、父親失格だと詰られ、返す言葉を失う。そこにアビーが駆け付けると、家庭が崩壊している事を認めながらも、子供達を守りたいのだと啖呵を切る。チズムはその様子を見て安心し、ノートを置いてロッティに目配せし、立ち去る。

その後、一家は改めてゴーディを弔うべく、海を見渡せる丘の上に客を招く。アビーはダグに転居を取り止める意向を示し、争わずに話し合いで解決する様に持ちかける。集まった皆の前で、ダグとギャビンが弔辞を述べる。ギャビンは大いに生きたゴーディに倣って、自分達も愛する者達と共に生きる様に呼びかけ、宴が始まる。ケネスとバンドによる陽気な楽曲に合わせて、一同はダンスに興じる。

宴の後、アビーは子供達に心配をかけた事を詫び、別居の状態は変わらないものの、これからは大人らしく振る舞うと約束する。ロッティはメモがもう必要で無くなった事を明かす。絆を取り戻した一家は、夕暮れの水辺ではしゃぎ合う。

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