チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ヤング・アダルト・ニューヨーク

ノア・バームバック監督作「ヤング・アダルト・ニューヨーク」("While We're Young" : 2014)[DVD]

生活にマンネリを感じ始めた中年夫婦が、今を自由気ままに生きる若い夫婦と出会い、感化されながら、人生を見つめ直していく様を描くコメディ・ドラマ作品。

 

ニューヨークに暮らす40代の夫婦、ジョシュとコーネリア。記録映画作家のジョシュは米国論に関する重厚なテーマの新作の制作に精を出すが、資金難により完成に至らぬまま8年が経過する。コーネリアはかつてジョシュが師事した、同じく記録映画の大家ブライトバートの娘であり、父のプロデューサーを担う一方で、ジョシュはブライトバートとは進路を違えた事で不仲になっている。コーネリアは過去に二度流産した経験から、子供を持たない選択をし、二人は育児に束縛されない自由を手に入れるが、夫婦生活にマンネリを感じ始めている。そんな折、親友夫妻のフレッチャーとマリーナに子供が誕生する。

ある日、ジョシュが講師を務める大学の講義に、20代の夫婦ジェイミーとダービーが聴講に訪れる。ジェイミーはジョシュの過去の作品に感銘を受け、自らも記録映画を撮っており、目標にしている事を明かす。ジョシュは気を良くし、コーネリアスを交えて、ジェイミー達と会食する。ダービーは自家製のアイスを作っている事を明かす。ジェイミーは週末に自宅に来る様に誘う。ジョシュは自分達の失くした若々しさに満ち、それでいて謙虚さを備えたジェイミー達を甚く気に入る。

後日、ジョシュ達はジェイミー達の自宅を訪ね、大量のレコードのコレクションや古風な家具、タイプライターやVHS、子猫や鶏などに囲まれた部屋を目の当たりにし、自由気ままで小洒落た暮らしに感銘を受ける。ジョシュは成功志向が災いし、過程を忘れてしまったと吐露する。

程なく、ジョシュ達はジェイミーの催す路上ビーチに招待される。ジェイミーは、Facebookにプロフィールを載せ、交流の絶えていた友人が接触してきたら、返信せず、カメラを担いで直接会いに行くという趣旨の企画をジョシュに提案する。ジョシュはもう少し企画を練る様に忠告する。

ジョシュはパートナーでカメラマンのティムに滞った給料を支払う為にも、助成金の支払いに期待をかける。コーネリアはマリーナの誘いを受け、ママ友達に加わって、音楽教室に参加するが、居た堪れなくなって退散する。コーネリアはその足でダービーに会うと、自分の幼児化を防ぐ為にも育児に一線を引くべきだと主張し、ダービーはそれに賛同する。コーネリアはダービーに誘われ、ヒップホップダンス教室に参加し、のめり込む様になる。一方、ジョシュはジェイミーに倣ってハットを被り、自転車に乗る様になる。二人はジェイミー達に感化され、新鮮さを取り戻していく。しかし、ジョシュは無理が祟って関節炎を患う。

ジェイミーはジョシュとの会食中、高校の同級生でポキプシーに住むケントからFacebookに反応があった事を明かす。そこにブライトバートが偶然姿を現し、ジョシュはジェイミーを紹介する。ブライトバートは映画に関心があるというファンドの男を紹介する意向を示すが、ジョシュはそれを断る。ジョシュはジェイミーに、ブライトバートが重荷であり、折り合いが悪い事を明かす。ジェイミーは映画制作に金は欠かせない事から、融資に応じる様にジョシュに促す。ジェイミーは自らの作品の共同監督をジョシュに依頼する。ジョシュはそれを断るが、傲慢な自分と違うジェイミーの寛容さに感銘を受ける。

ジョシュとコーネリアは、マリーナに別荘への同行を誘われるが、それを断り、ジェイミー達に招待されたアヤワスカの儀式に参加する方を優先する。儀式では参加者全員が白装束を着て、アヤワスカ由来の薬を飲み、幻覚を見ながらゲロと共に悪を吐き出す。コーネリアはジェイミーとダービーの情熱に憧れを抱く。コーネリアは酩酊状態で誤ってジェイミーとキスをしてしまい、それを秘め事にする。ジョシュはジェイミーの映画制作への協力に応じる事を決意し、哀愁と軽蔑しか無かった自分に希望が戻ってきた事を喜ぶ。コーネリアは子供を作る機会を逸したものの、それを後悔していないとジョシュに打ち明ける。

ジョシュはジェイミー、その同居人のティッパーと共にポキプシーのケントの家を撮影に訪れる。ジョシュ達はケントが精神病院に入院している事を知ると、面会に行き、ケントがリストカットを図った事を知る。ジェイミーは母を卵巣がんで亡くし、セックスに溺れ、誰も愛せなかった過去を打ち明ける。撮影後、レストランでの会食中に、ジョシュはケントをネットで検索する。ジェイミーは偶然を好み、下調べしていない事を明かす。ケントがアフガン帰りの傷病兵であり、民間人虐殺に居合わせていた事が判明すると、ジョシュはおふざけの企画が真の記録映画に化けたと歓喜し、戦争論の語り部として自らの作品に出演する教授をジェイミーに紹介する意向を示す。コーネリアはプロデューサーを買って出る。ジェイミーは甚く喜ぶ。

ある夜、ジョシュとコーネリアはフレッチャー達の自宅を訪ねる。フレッチャー達はジョシュ達を招かず、パーティを催しており、ジョシュ達は気分を害する。フレッチャー達はジョシュ達が若い夫妻と付き合うようになって変わったと指摘し、更に子供がいない事まで論った為に口論になり、ジョシュ達は帰る。

ジェイミーの撮影はトントン拍子に進む。ジョシュはジェイミーに協力していながら、自らの作品が頓挫し続けている事に焦燥感を抱く。ジョシュはジェイミーに奮起させられ、ブライトバートに紹介されたファンドマネージャーのデイヴと会い、出資の交渉に臨む。ジョシュは自らの作品の趣旨について熱弁するが、デイヴには響かず、出資の機会をふいにする。ジョシュはその足でブライトバートを訪ねると、作品を観てもらい、助言を請う。ブライトバートは不要な箇所を指摘するが、ジョシュはそれに納得がいかず、自分に対する恨みで目が曇っているのだと詰る。ブライトバートはジョシュが能力を発揮しきれておらず、魅力的で普遍性を備えた一作目と比べ、新作は視野が狭いと諭す。ジョシュはブライトバートに反発し、蟠りを抱えたままその場を後にする。

ジョシュはジェイミーの新作の試写会を訪ね、そこでブライトバートの姿を見つける。ジェイミーはブライトバートから連絡があり、招待した事と共に、デイヴの出資でアフガンに取材旅行に行く事を明かす。ジョシュはジェイミーがブライトバートに近づく為に、自分を踏み台にしたのでは無いかと疑い始める。それを聞いたコーネリアは被害妄想だと諭すが、ジョシュはそれに反発し、二人は口論する。

その直後、ジョシュはダービーとバーに行く。ダービーはジェイミーが自分大好き人間だと説くと共に、自らの母が高校の時に卵巣がんで死んだ事を明かす。ジョシュはその話がジェイミーと同じ事を訝りながらも、ジェイミーの様に寛大であろうとして、ブライトバートを紹介した事を明かす。ダービーはジョシュにキスをすると、コーネリアがジェイミーとキスをした事を明かす。ジョシュはその夜、帰宅せずにダービーとクラブで踊り明かす。

翌日、ジェイミーとコーネリアは制作中の映画について話し合う為に会食する。コーネリアはジョシュが帰宅しなかった事を嘆き、ジェイミーはコーネリアを慰める。コーネリアはジェイミーが講義でジョシュと出会った時から、ブライトバートを目的にしていた事を看破し、その下劣な一面を詰る。その時、ジェイミーのツイッターで居場所を知ったジョシュが店の前にやってくる。ジョシュはコーネリアにキスについて咎めると、ジェイミーが誠実そうに見えて実は大嘘付きなのだと主張する。コーネリアはジェイミーに夢中になったのはジョシュの方だと応じる。二人は互いに罵り合うを始める。コーネリアはジョシュが映画製作を口実に、旅行も子作りも何もかも保留にしてきた事を責め立て、もう手遅れだと嘆く。その後、ジョシュはフレッチャーの元を訪ねる。フレッチャーは思いの外、育児にのめり込めず、自分が一番だと思い始めている事を明かす。

ジョシュは自らのCDコレクションを全部売って資金を工面すると、ティムにブライトバートの助言に則った編集を依頼する。その際、ティムが編集を協力していたジェイミーの作品のケントを撮影した時の素材が再生され、ジョシュはそこにダービーのアイスが映り込んでいる事に気付き、やらせだった事を確信する。ジョシュは確証を得るべく、再びケントの家を訪ねる。ケントはダービーと長年の友達であり、連絡を取ってきたのはジェイミーの方からだった事を明かし、撮影の際に演技する様に指示されていた事を証言する。

コーネリアはジョシュに連絡し、ブライトバートの記念祝賀会に来る様に促す。ジョシュはダービーに会い、アイスの件とケントがアフガン帰りと発見させた件について問い質す。ダービーは、ジェイミーがケントの虐殺の話を聞いて、それが映画に活かせると判断し、純粋なジョシュを利用するに至った事を明かす。ジョシュはそれが自分だけで無く、観客をも欺く犯罪だと非難するが、ダービーはジェイミーに干渉するのを嫌う。

ジョシュはジェイミーが祝賀会に行った事を知り、自らも急行する。ジョシュが会場に到着して間もなく、ブライトバートのスピーチが始まる。ジョシュはジェイミーに対し、嘘を咎めると共に、記録映画は真実の探求であり、過程こそが大事なのだと説く。ジェイミーは皆やっている事であり、歌も物語も全ては皆の物で自由に使えるのだと主張する。ジョシュはそれが盗作だと非難するが、ジェイミーは老人の妄言だと一蹴する。ジョシュはジェイミーに皆の前で真実を話す様に迫る。それを受け、ジェイミーはブライトバートやコーネリアが集まる席の前で、自らの作品において事実を違え、時系列を変えた事を告白するが、基本は同じだと付言する。ジョシュは偶然を装ったでっち上げだと説く。しかし、ブライトバートはそれを問題視せず、映画のあり方は様々だと説き、ジェイミーに理解を示す。コーネリアもまた、ジェイミーが最低な人間だと評しながらも、作品は上出来だと擁護する。ブライトバートは物事は変わるものであり、それが世の習いだとジョシュに諭すが、ジョシュは憤懣やる方無く、会場を後にする。失意に暮れるジョシュの元にコーネリアが駆け付ける。ジョシュは尊敬される弟子を欲していた事を明かし、大人になりきれない子供を初めてやめられたのだと説くと、齢が齢だけに毎日が充実というわけにはいかないが、それでもコーネリアがいる事への喜びを吐露する。二人は和解する。

一年後、二人は養子を迎える事を決意し、ハイチ行きの便に乗る為に空港に到着する。二人はそこで一躍有名になったジェイミーが雑誌に掲載されているのを見る。コーネリアは悪魔が世に放たれたと説くが、ジョシュは悪魔では無く、若いだけだと応える。

f:id:horohhoo:20170205122615j:plain

f:id:horohhoo:20170205122617j:plain

f:id:horohhoo:20170205122620j:plain

f:id:horohhoo:20170205122623j:plain

f:id:horohhoo:20170205122626j:plain

f:id:horohhoo:20170205122630j:plain

f:id:horohhoo:20170205122635j:plain

f:id:horohhoo:20170205122638j:plain

f:id:horohhoo:20170205122643j:plain

f:id:horohhoo:20170205122648j:plain

f:id:horohhoo:20170205122653j:plain

f:id:horohhoo:20170205122657j:plain

f:id:horohhoo:20170205122700j:plain