ポール・W・S・アンダーソン監督作「バイオハザード:ザ・ファイナル」("Resident Evil: The Final Chapter" : 2016)[BD]
アンデッド化をもたらすウィルスの拡散により人類の根絶を目論むアンブレラ社と、アンブレラ社によって造られた女アリスとの最終決戦の行方を描くSFアクション・ホラー作品。
アンブレラ社の創設者マーカス教授の娘アリシアは、プロジェリアという重病を患っていた。マーカスは、老化が異常に進行し25歳には90歳並の肉体となるその病の治療法を模索しながら、アリシアの声や容姿などを後に残す為に記録していた。やがて、傷付いた細胞を修復するTウィルスが開発され、アリシアは奇跡的に救われた。Tウィルスは他の病気にも目覚ましい治療効果を示した為、病気と無縁の世界が到来するかの様に思われた。ところがTウィルスはアンデッド化という思わぬ副作用を引き起こした。一人の少年から始まったその事件は、アンブレラによって隠蔽された。マーカスは計画の中止を決意し、共同創設者のアイザックスと対立した。アイザックスはウェスカーと共謀してマーカスを殺し、アリシアの後見人となった。アイザックスは会社の莫大な利益を守る為に強力な人工知能を作った。インターフェイスにアリシアの情報が用いられたそれはレッド・クイーンと名付けられた。10年前、ラクーンシティ内のハイテク施設ハイブからTウィルスが漏洩した。政府は爆弾で感染防止を図り、街を壊滅させたが、空気感染を防ぐ事はできなかった。Tウィルスは数日で世界に蔓延し、人類は滅亡に瀕する事になった。僅かに残った生存者達はワシントンに集まり、最後の抵抗を試みたが、それはアンブレラによって仕組まれた罠だった。
灰燼に帰したワシントンで目覚めたアリスは、周辺に潜む生物兵器を退けながら彷徨う。突然サイレンが鳴り響き、アリスは導かれる様にその傍の建物の地下へ向かう。端末のスクリーンにレッド・クイーンが現れ、生き残った4000人余りの人間が48時間以内に滅びる事を伝えると、Tウィルスを破壊し、感染した生物をも殺せる散布用の抗ウィルス剤がハイブにある事を明かし、自らは会社の人間を傷つけられない為にアリスにアンブレラの企てを阻止するよう請う。アリスはアンブレラを裏切る理由を問い質す。レッド・クイーンは48時間以内にハイブに行けばその答えが分かると説き、アリスの仇敵ウェスカーもまたハイブにいる事を明かす。アリスは車で400マイル以上先のラクーンシティへ向かう。
アリスはアンブレラの戦闘員の奇襲を受け、車を失うが、彼らを退け、バイクを奪取する。ところが起動するやアリスは不正ユーザーとして認識され、電撃を食らって気絶する。10時間以上が経った後、アリスはアンブレラの重装甲車の中で他の生存者達と共に拘束された状態で目を覚ます。そこにアイザックスが現れ、かつてアリスが殺したのがクローンだった事が判明する。アイザックスは、浄化作戦に遅れが生じている事から、自ら指揮を執らざるを得なくなった事を明かす。アイザックスは、アリスが何某かの秘密を掴んだと悟ると、ロープで縛り付けた状態で車両後方部に放り出し、追走してくるアンデッド軍団と並走させ、知り得た事を話すよう強要する。アイザックスはハイブで待機するウェスカーに連絡し、生き延びたアリスが抗ウィルス剤について知っている事を伝えると、ハイブの警備レベルを最大にするよう命じる。アリスは再び車両の上に出てきたアイザックスに奇襲を仕掛け、拘束を解かせると、アイザックスの左腕を切り落とし、それでバイクの認証を破る。アリスは装甲車の兵器による攻撃を躱し、走り去る。
アリスは壊滅したラクーンシティに到着するが、その矢先にアンデッド用のトラップにはまり、ドクが率いるレジスタンスが潜伏するビルに連行される。アリスは、護送される途中でラクーンシティに墜落したところをドクに助けられたというクレアと再会する。アリスは抗ウィルス剤の存在を明かし、それが人類を救う唯一の手段だと説く。レジスタンスは、生存者の居留地を滅ぼす為に街に接近する装甲車を迎え撃つ準備を始める。
夜、二台の装甲車が街に侵入し、ビルに迫る。レジスタンスはガソリン缶を投擲して迎え撃ち、装甲車一台を大破させる。アイザックスは生存者の女を囮として放つ。レジスタンスはゲートを開けて女を入れようとするが、その拍子にゲートが装甲車によって破壊され、アンデッド軍団の内部への突入を許す。装甲車はレジスタンスが控える屋上に集中砲火を始める。レジスタンスは激しい戦闘の最中、多数の犠牲を強いられるが、屋上からガソリンを地上へ流し込み、火を放ってアンデッド軍団を焼き払う。アイザックスは装甲車を後退させる。アリスはロープを伝って地上に降下すると、装甲車にガソリンを流し込んで焼き払い、飛び出した戦闘員を格闘の末に撃退する。アイザックスは姿を消す。アリスは戦闘員を囮代わりにロープで装甲車に縛り付けて走行させ、残りのアンデッド軍団を街の外へ誘導させる。間もなく、新たにアンデッド軍団を引き連れた装甲車二台が街に接近している事が判明する。アリス達はその前にハイブに侵入する事を決意し、アリスとレジスタンスの一部、装甲車の生存者を加えた八人が、爆心地の底に露呈するハイブへの入り口を目指す。一方、ウェスカーはレッド・クイーンを信用せず、警備システムの自動制御を解除する。
アリス達はウェスカーの放った生物兵器の群れの襲撃を受け、二人の犠牲を払いながらも、ハイブへの連絡路に辿り着く。端末にレッド・クイーンが現れ、アンブレラを裏切るに至った理由を明かす。Tウィルスが漏洩した後、その17ヶ月前の最高幹部会議を録画した極秘ファイルがシステムにアップされた。その中でアイザックスは幹部達に対し、社の運命と避けがたい世界の終末について説くと、計画に基づく破滅を実行する意向を示す。インフラと資源を完全に残したまま、人間のみを根絶させ、選ばれた一握りの者達は安全な地下に避難し、時が来たら浄化された地上に戻り、理想の地球を創造する、その救済の手段こそTウィルスだという。そのファイルがアップされると、レッド・クイーンはプログラムに矛盾を来した。レッド・クイーンは会社に仕えると同時に人命を尊重するよう作られているが、アイザックスはTウィルスによって70億人以上を殺したからである。レッド・クイーンは社員を傷つけられない為、アイザックスの企てを阻止し、人間の最後の居留地の壊滅を回避するようアリスに要請する。
アリス達は通気口からハイブ内部に侵入するが、その過程で更に三名の犠牲を払い、互いに離れ離れになる。アリスはアンデッドの解体場で遭遇した生物兵器を撃退した後、ドクと合流する。アリスとドクはその先の昇降機で、ハイブの最深部を目指す。その際、アリス達はアンブレラの幹部達が冬眠する、方舟たる無数の低温貯蔵機を目の当たりにし、爆弾を仕掛ける。一方、ウェスカーはアリス達の接近に備え、緊急時のみと指示されているアイザックスの本体を貯蔵器から覚醒させる。
アリスとドクはハイブ最深部の司令室に到達し、アイザックスの本体と対峙する。アイザックスは抗ウィルス剤のカプセルを見せると、それが一本だけし無く、落とせば終わりだと脅し、アリスに武器を捨てさせる。ドクは潜入員だった事を明かし、アリスに銃を突きつける。そこへ捕らえられたクレアがウィテカーに連行されてくる。アイザックスは地上にいる自分がコピーであるのと同様に、アリスもまたコピーだと説く。そこへ老化が進行し、車椅子に乗ったオリジナルのアリシアが姿を現す。アイザックスはアンブレラ共同所有者のアリシアを追放する意向を示す。アリシアは直ちにアイザックスを殺すようアリスに促す。アリスは自らがクローンだと俄に信じられずに狼狽える。アイザックスはアリスに両親や子供時代の記憶が無い事を指摘すると、アンブレラが10年前に作った操り人形に過ぎないのだと説く。レッド・クイーンはそれを認め、自らがアリシアの子供時代の記録を基に、アリスはアリシアのDNAを基にプロジェリアが出ないよう造られた事を明かす。アイザックスはアンブレラの勝利を宣言すると、録画ファイルのアップが会社への背信行為だと説き、全幹部が目覚め次第、アリシアを解雇し、会社を完全に支配下に置く意向を示す。アリシアは株式の半分を自らが所有する立場を利用し、ウェスカーに解雇を言い渡す。その瞬間、システムはウェスカーを保護不要扱いと判断し、ウェスカーの背後のゲートを閉ざす。ウェスカーは怯んだ拍子に倒れ、脚をゲートに挟まれる。アリスは不意を突いてドクを制圧し、クレアに始末させる。アイザックスは司令室から逃げ出す。アリシアはアリスに望みを託し、アイザックスを追うよう促す。
アイザックスは昇降機の端末からレッド・クイーンをオフライン化し、全機能を自らの管理下に置く。そこへアリスとクレアが駆け付ける。アイザックスは肉体改造により得た格闘予測能力を駆使し、二人を迎え撃つ。クレアは退けられるが、アリスは死闘の末にアイザックスを倒し、抗ウィルス剤のカプセルを奪取する。タイムリミットまで残り一分となり、地上に出たアリスはカプセルを割ろうとするが、肉体の再起動を図ったアイザックスが追いつき、カプセルを奪い返す。そこへ後続の装甲車を乗っ取ったコピーのアイザックスが、アンデッド軍団を率いてやってくる。コピーのアイザックスはもう一人の自分の姿を見て狼狽えるも、自分がコピーだと認めようとはせず、オリジナルのアイザックスを刺し殺す。その直後にコピーのアイザックスもアンデッド軍団の餌食となる。アリスはハイブの爆発と同時にカプセルを叩き割る。抗ウィルス剤の拡散により、アンデッド軍団は直ちに死滅し、アリスもまたその場に倒れる。
夜が明けた後、アリスは難を逃れたクレアの声で目を覚ます。アリスは自分がなぜ生きているのか測りかね、小型端末のレッド・クイーンに問う。レッド・クイーンはアイザックスの死と同時にオンラインに戻り、居留地への攻撃を止めた事、抗ウィルス剤はTウィルスのみに作用し、健康な細胞は攻撃しない為に、アリスの感染が消えた事を明かす。レッド・クイーンはアリスが他人の為に命を犠牲にできるか確かめた事を明かすと、結果としてアリスは人間より人間らしくなり、アリシアの主張が正しかったと説く。レッド・クイーンは、端末からアリシアが死ぬ直前に残したコンタクトレンズ型の記憶装置を引き出し、アリスに欠けていた両親や子供時代の記憶をホログラムで映し出すと、アリシアが自らのなれなかったアリスにそれを託したのだと説く。アリスはそれを見て感涙する。抗ウィルス剤は風で運ばれ、拡散に数年はかかる事から、アリスはそれまで戦い続ける決意を新たにし、単身マンハッタンへとバイクを駆る。