チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

一着のフリース。

台風温帯低気圧が接近しているのだが、その割に気温は下がったままで寒い。この冷たい台風温帯低気圧に抗えず、ようやくユニ黒さんのフリースを引っ張り出してきて羽織った。フリースはこの1着しかなくて、何年前に購入したモノか忘れてしまったが、秋から春先までおよそ半年間、自室に篭っている時は常に着ているのに、そんなにヘタっていない。あくまで部屋着だし、素肌の上から着るワケでもないので、そこまで頻繁に洗濯する必要がなく、それ故傷みが少ないのだが、2000円そこそこの安物の割にかなり丈夫である。(一応エマールで洗っているが(笑))

もちろん一口にフリースと言っても、値段によって品質はピンきりだとは思うが、僕はユニ黒さんのフリースしか着たことがないから、例えば有名なアウトドアブランド製の高級品とどこがどう違うのか、知る由もない。(まぁアウトドア向けのモノを、部屋着専用として使う様なヒトもそうはいないと思うが。)喩えに用いる尺度が貧弱だから、DVDとBDくらい違うかしらんとか、とりあえずそんな風に考えている。

フリースは、ユニ黒さんが格安で売りだして以来、一挙に市民権を得て定番化したアイテムだと思う。それがフリース=安物という偏見を抱かせている嫌いがあり、それ故、僕も部屋着オンリーでしか使う気にならないワケだが、やはりパ~とかモ~の様な高級品ともなれば、外で着たくなるほど高機能・高品質で、着心地にも優れているのだろうか。値段に正比例して良し悪しが変わるとは思わないが、アウトドアブランドを標榜するくらいだから、少なくともユニ黒さんのよりは良いことだろう。いや、そもそもユニ黒さんのはフリースとは名ばかりの、フリース風のオリジナル商品なのかも知れない。だから今、こうして羽織っているモノは、ひょっとしたらフリース然としたフリース風のナニカかも知れないが、さしたる不満もないし、とりあえず今後も大事に着よう。

それはさておき、この台風直下、僕はゲオにDVDを返却しに行かなければならない。ゲオはやや遠い場所にあり、普段は行かないのだが、そこにしか置いてないDVDを借りるために、久しぶりに利用したらこの有り様だ。今日が期限だし、行かないという選択肢はないのだが、終日雨風が強そうだし、どうしたもんかしらんと早朝から悩んでいる。こんな時、パ~とかモ~のゴツいフリースがあれば、さぞかし役に立つんだろうなぁ。

 

映画鑑賞記

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作「灼熱の魂」("Incendies" : 2010)

母の遺言に促され、見知らぬ父と兄を探す事になった双子の姉弟が、その出自を辿っていく様子を描いたミステリー作品。

カナダ、ケベック州で暮らす双子の姉弟、ジャンヌとシモンは、母ナワルの急死に伴い、長らくナワルを雇ってきた公証人ルベルにより、遺言書の存在を知らされる。ナワルにより遺言執行者に指名されていたルベルは、姉弟の前でその遺言書を開示する。遺言書には2通の封筒が添えられており、遺言の中でナワルは、ジャンヌに対しては父を探し出して父宛の封筒を渡す様に、シモンに対しては兄を探し出して兄宛の封筒を渡す様に、それぞれ求めているのだった。姉弟は父と会った事も無かったし、また兄に関してはその存在すら知らされていなかったから、予想だにせぬ母の頼み事に大いに戸惑う。ナワルはレバノンで生まれ育ち、その後、カナダに渡ってきた移民の女だったが、その出自からカナダへ移住した経緯まで、姉弟が知ることは少なかった。ジャンヌは遺言に応じて、父を探し出すため、レバノンへ飛び、まずナワルの生まれ故郷を訪ねる。ナワルの足取りを辿っていく内に、ジャンヌはナワルが想像を絶する苦境を乗り越えてきた事を知るのだった。

レバノン内戦の最中、筆舌に尽くしがたい、苛烈な経験をした女の人生を軸に据え、そんな母の歩んできた軌跡を双子の姉弟が父と兄を探すという形で辿るという、一風変わったミステリーでありながら、ドラマチックな展開が目を見張る作品。ナワルは元々家族らと共にレバノン南部で暮らしていた。しかし異教徒の男の子を身ごもったがために、駆け落ちしようとしていたところを、兄弟に発見され、男はその場で射殺、産まれた子は里子に出されてしまう。ナワルはその後、学問を修めるために南部を離れていたのだが、紛争の激化で、生き別れた息子の事が心配になり、単身、南部に探しに行く。しかしそこで、当時台頭していた社会民族党の残虐非道な蛮行に遭遇し、また息子との邂逅も叶わうことなく、彼女は悲痛に満ちた運命に翻弄されていくと。父探し担当のジャンヌ、兄探し担当のシモンは、そんな母に纏わる謎をそれぞれ紐解いていく。過去パートと現在パートがザッピングされ、少しずつ真実に近づいていき、そして最後に明らかにされる衝撃的な結末に戦慄は必至。2通の封筒の中身と、遺言の真意に、きっと誰もが驚愕するはず。先日観た「プリズナーズ」をきっかけに、本作を観たワケだけど、この監督の手腕は素晴らしい。今後に俄然期待しちゃうなぁ。

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