チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

WISH I WAS HERE 僕らのいる場所

ザック・ブラフ監督作「WISH I WAS HERE 僕らのいる場所」("Wish I Was Here" : 2014)[DVD]

役者になる夢を捨てきれない中年男が、父が癌を悪化させた事を境に人生観の見直しを余儀なくされ、妻子や弟との関係を改めていく様を描くコメディ・ドラマ作品。

 

ロサンゼルスの住宅街に暮らすブルーム一家。父エイダンは役者の夢を追い続けて、オーディションへの挑戦を繰り返すも、未だ日の目を見ない無職。母サラはそんなエイダンの夢を応援する為に、水道局でデータ入力業務を行いながら、厳しい家計を支えているが、後ろの席のジェリーから執拗にセクハラ発言を浴びせられ苦慮している。姉弟グレース、タッカーは、エイダンの父ゲイブの意向に従い、ゲイブから学費の援助を得て、私立のユダヤ系小学校に通っている。ゲイブはエイダンが信仰心の希薄なサラと結婚した事に批判的な態度を示している。

ある日、ゲイブはエイダンの元を訪ねると、エイダンが相変わらず夢を追い続けている事を非難すると共に、ガンが再発して全身に転移している事を明かす。ゲイブは保険が利かない高額な先端治療を受ける為に、孫への学費をもう出さない意向を示すと、自らの愛犬クーゲルを預かる様に頼む。

エイダンは、トレーラーハウスに篭りっきりで暮らし、ゲイブとは折り合いが悪い弟ノアを訪ねると、ゲイブの症状と、育児とオーディションで手一杯の自らの窮状を伝え、クーゲルを預かる様に頼む。アプリ開発の夢を諦め、ブログで食い扶持を得ているノアは、エイダンへの資金協力を拒む。サラは地元の公立校が荒んでいる事から、子供達をホームスクールで教える事をエイダンに提案すると、役者を諦めて働くか、公立校に入れるかの選択を迫る。

翌日、エイダンは小学校に学長を訪ねると、事情を伝えて施しを請う。学長はエイダンが好きで役者を目指している事から施しの必要性を認めず、神は男が家計を支える事を望んでいると説く。エイダンは子供達を無理やり退学させ、連れ帰る。一方、ノアは近所に住むジャニーンからクーゲルの無駄吠えに対する苦情を受ける。その際、ノアはジャニーンに好意を抱き、彼女に倣ってコミコン用のコスチューム制作に乗り出す。

エイダンは子供達へのホームスクールをそっちのけでオーディションの準備に傾注し、帰宅したサラに咎められる。その夜、二人は関係の悪化を防ぐために、ノアに子守りを頼んでディナーに行く。エイダンはかつてサラがサーフィンに興じているのを見て幸せだと感じた事、サラはかつてエイダンがシェークスピアの舞台を観客ゼロで演じているのを見て幸せだと感じた事について述懐する。サラは毎日データ入力に忙殺され、夢を忘れてしまった事を嘆くと、自分だけが家計を支える役割を担う事に反発する。その時、エイダンはゲイブが緊急搬送されたとの報せを受ける。二人は直ちに病院に駆け付ける。ゲイブは臨床試験中の治療に失敗した事でガンを更に悪化させ、集中治療室で処置を受ける。

その後、帰宅した二人は、グレースが退学に加えて、好意を寄せる男子についてタッカーに誂われた事でナーバスになり、自ら丸坊主にした事を知る。当惑するエイダンとサラに対し、ノアは目を離している間にやった事だと弁解するが、エイダンはノアを追い返す。

再び、病院にゲイブを見舞ったエイダンは、ラビの一人からゲイブの最期に備える様に促される。ゲイブは余命が幾許も無い事をエイダンに明かす。エイダンは子供達が漠然と不安を抱いている事を知ると、罰金の詰まった"Swear Jar"を持ち出し、子供達をキャンプに連れ出す。その際、エイダンはサラに「夢を追って欲しい」という旨を記した手紙とマッサージ代を置いていく。

エイダン達は砂漠の丘にテントを立てて、焚き火を起こし、談笑しながら星空の下で一晩を明かす。翌日、エイダンはグレースにウィッグを買い与える。グレースはピンクのボブを選択する。一方、サラは上司にジェリーの件で直談判し、不愉快だと伝える。上司はジェリーの否を認めながらも、サラもまた神経質だと指摘し、仕事があるだけ幸せだと諭す。

エイダン達はノアの元を訪ねる。ノアはコミコンのコンテストで賞金1000ドルを獲得し、更にコスプレ女と関係を結ぶ事への願望を露わにし、コスチューム制作に励む。エイダンはゲイブの見舞いに付き添う様に命じるが、ノアは家庭を持つエイダンと違ってゲイブから見放されているのだと説くと、貶される事を忌避して同行を拒む。エイダンは子供の頃、互いにヒーローに憧れていた思い出を挙げると、今こそ本当の勇気を見せる時であり、逃げるべきでは無いと詰る。

エイダンはサラと子供達を連れて、病院にゲイブを見舞う。ゲイブは孫が退学した事を憂慮し、勉強に励んで、役者になどならぬ様にと二人に諭す。サラがそれに反論すると、ゲイブは男に甘い嫁を貰うと、無駄に夢を追い続けてしまうのだと説く。その後、エイダンは教会を訪ねると、キャンプで経験した無限に広がる空に対する神聖な気持ちをラビに吐露し、神が自らを導いているのでは無いかと問う。ラビはその考えに理解を示し、神がエイダンを苦境の先へ導こうとしているのだろうと説く。

エイダンは子供達と共に、ゲイブが退院後に自宅療養する時に備え、実家の片付けを始める。エイダンはアルバムでゲイブの若かりし頃の様子を眺めていて、着想を得ると、子供達を連れてディーラーを訪ね、アストンマーチンに試乗して楽しむ。一方、サラは病院にゲイブを訪ねると、「悲しみの先に学びがある」という旨のかつてのゲイブの言葉で姉の死を乗り越えられた事を明かす。サラは姉の死から、気持ちを伝えないと一生後悔すると学んだのだと説き、姉にどれほど大好きで憧れていたか伝えられなかった事への悔悟を示す。ゲイブはこれまで依願退職したと話してきた事が嘘で、実際には技術に付いていけずに肩たたきにあった事を明かす。サラはゲイブがエイダンとノアをいかに愛しているか伝える様に請い、亡きゲイブの妻ならそう願うはずだと説く。ゲイブはサラなら家族を守っていけると悟り、安心する。

エイダンは、長らく放置して荒んでいる事をゲイブに指摘された、自宅の庭の柵とプールの修繕を、子供達と共に着手する。サラはエイダンの心痛を慮り、二人は久しぶりに愛し合う。サラは職場で受けているセクハラについて打ち明け、エイダンは憤慨する。

程なく、ゲイブは実家に移って療養を始め、エイダンが介抱に通う。寝たきりのゲイブは、ノアに会って謝る事を希望し、ノアを説得する様にエイダンに頼む。エイダンは再びオーディションに挑み、以前同席したポールと再会する。エイダンはポールと意気投合すると、演技について助言し、ポールから感謝される。

ノアは完成したコスチュームを身に纏ってコミコンに参加し、来場者の注目を集め、見事ジャニーンとのセックスに至る。エイダンはゲイブの最期が迫っているとの報せを受けると、ノアに連絡し、ゲイブが和解を望んでいる事を伝え、また父親がいかに大変かについて諭すが、ノアは難色を示す。グレースはエイダンに代わって、ゲイブの元へ行く様に哀願する。ノアは母の死で経験した辛さを二度と耐えられないのだと、その恐れを吐露する。グレースは家族が支え合う必要を説くが、ノアは電話を切る。

エイダンは子供達を連れて、ゲイブがかつて切望したアイスを買いに食料品店に立ち寄り、そこで女をナンパするジェリーと出会す。エイダンはサラに対するセクハラを止めなければ訴えるとジェリーに詰め寄り、悪罵するが、ジェリーに殴り飛ばされる。エイダン達はアイスを買ってゲイブの元へ駆け付ける。ゲイブはエイダンが家族を一つにしようとしてくれた事に感謝し、またサラを守ろうとした事を讃える。そこへノアがコスチュームを着たまま駆け付け、コンテストで優勝した事を明かす。ゲイブはノアと会えた事を喜ぶと、家族に看取られながら静かに息を引き取る。

葬儀の後、エイダンは撮影現場でポールと再会する。ポールはエイダンの助言のおかげで役を取れた事を明かすと、自らが所属する劇団で講師として演技指導する事を要請し、エイダンはそれを快諾する。ジェリーは水道局を解雇される。サラはサーフィンを再開する。ノアはジャニーンと恋仲になる。ブルーム一家は絆を強め、新しい人生を歩み始める。

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