デヴィッド・ウェイン監督作「ぼくたちの奉仕活動」("Role Models" : 2008)[BD]
罪を犯した代償に、問題のある少年達をサポートする奉仕活動を課せられた2人の男が、その人生観を変えていく様を描くコメディ作品。
「ミノタウロス」というエナジードリンクの販売員、ダニー(ポール・ラッド)とホイーラー(ショーン・ウィリアム・スコット)は、コンビで各地の学校を訪問し、子供たちにドラッグ撲滅を啓蒙する傍ら、ミノタウロスの宣伝を行っていた。しかし、ノリの良いホイーラーに反して、ダニーは普段から悪態ばかりついていた。ある朝、ダニーは恋人で弁護士のベス(エリザベス・バンクス)と口論の挙句、別れを切り出されてしまう。ダニーの何に対しても悪態をつく性格に、ベスはいよいよ愛想を尽かしたのだった。その日、ダニーはホイーラーと共に訪問した学校で、癇癪を起こしてしまい、挙句の果てに営業車で物損事故を起こしてしまう。被害の責任を問われ、逮捕された2人は、ベスの手配で30日の禁錮刑の代わりに、150時間の奉仕活動の選択肢を与えられる。
やむを得ず奉仕活動を課せられる事になった2人は、スウィーニー(ジェーン・リンチ)という女が運営する「折れない翼」という更生施設に所属する事になる。そこでは問題を抱えた少年少女「リトル」を、大人「ビッグ」がマンツーマンで更生に導くプログラムを行っており、ダニーはオーギー(クリストファー・ミンツ=プラッセ)、ホイーラーはロニーというそれぞれが一癖も二癖もある少年と共に、日中を過ごす事になった。オーギーは見るからにナードな少年で、友人がおらず、「レアー」というライブRPG型のバトルロワイヤルにハマっており、両親も手を焼いていた。一方、ロニーは生意気で、歳の割に性的な事に関心が強いませた子で、担当についた大人の手を焼き、なかなか定着しなかった。
ダニーとホイーラーはそれぞれオーギー、ロニーと過ごしながら、着々と活動の時間を消化していく内に、当初より打ち解け合い、お互いを理解していく。ダニーはオーギーと共に渋々レアーに参加するのだが、参加者の中心人物であり、王役の男と諍いが生じ、その結果、オーギーはレアーから追放されてしまう。レアーはオーギーにとって人生そのものであった為、そのショックは大きく、オーギーはダニーを激しく拒絶する。一方、ホイーラーはロニーを連れて盛り場に行ったものの、ロニーを放置して女とセックスに興じてしまい、ロニーの母親に叱責され、担当を解任されてしまう。
スウィーニーは2人の素行に激怒し、奉仕活動のリセットと法廷行きを言い渡す。ダニーとホイーラーは諍いの後、喧嘩別れをしてしまう。ダニーはオーギーに対して責任を感じ、レアーの王役の男にオーギーの参加を許可する様に直訴する。一方、ロニーがホイーラーの事を慕っていると感じた母親はホイーラーを許す。
ダニーとホイーラーの出廷の日、オーギーはレアーに参加できる事になったが、王の嫌がらせで新しいグループでレアーに参加せざるを得なくなる。そこで、ダニーはホイーラーとロニーに声をかけ、4人でグループを作り、レアーに参加する。オーギーはダニーらの協力を得て見事、王を倒し、一躍人気者になる。そんな彼らを両親やスウィーニー、そしてベスが笑顔で見守っていた。ダニーは奉仕活動を経て、確実に前向きな変化を果たしていたのだった。
問題のある大人が問題児の面倒を見る奉仕活動という、日本人にはちょっとピンと来ない文化で、米国では割と一般的な更生プログラムらしい。更にナードな少年オーギーがその人生を賭けて参加しているのが、レアーというライブRPG、いわば屋外型の中世版サバイバルゲームで、これまた日本人としては馴染みが薄い。その辺りの設定は若干取っ付きにくいものの、大枠としては、子供と関わっている内に、自分の人生観を見つめ直すきっかけが生じ、互いに成長していくというハナシ。ロックバンドのKISSが所々でフィーチャーされているのだが、最後にKISSのコスプレをしてレアーに参加するのはさすがに読めなかった(笑)。ちなみにポール・ラッドが今年公開のマーベルのアントマンを演じるんだよね。楽しみ。