チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ザ・タウン

ベン・アフレック監督作「ザ・タウン」("The Town" : 2010)[BD]

強盗団の男と、被害に遭った女が恋に落ち、それぞれの人生が交錯していく様を描くクライム・ドラマ作品。

ボストンの一角を占めるチャールズタウン、通称「タウン」。この街は銀行強盗、現金輸送車強盗が世界で一番多い事で知られ、その有り様は稼業の様に受け継がれると揶揄される程であった。

ある日、ダグ、ジェム、グロンジー、デズの4人組は銀行強盗を決行する。デズが配電盤で電気系統に細工を施し、グロンジーが逃走車両の確保とドライバーを担い、ダグとジェムが店内に押し入り、現金を奪う役回りだった。ダグは銀行支店長のクレアに金庫を開ける様に命じ、現金を奪取するが、ジェムは副支店長の男を激しく殴りつけ、更にクレアを人質に取るという予定外の行動に及ぶ。首尾よく強盗に成功した4人は逃走し、クレアは海岸沿いで解放される。FBI捜査官のフローリーの陣頭指揮の元、警察の捜査が始まるが、現場には漂白剤が撒かれた事でDNAは破壊され、また逃走車両も燃やされた事で、犯人に繋がる証拠は消滅していた。フローリーはプロの手口だと判断する。フローリーはクレアに事情聴取を行うが、手がかりは得られなかった。

犯行後、ジェムはダグにクレアの免許証を奪った事を明かし、彼女が近所に住んでいる事が判明する。ジェムは彼女を尾行し、万一の時に備えるべきだと主張するが、ダグは自分に任せるように諭す。

銀行強盗の計画は花屋のファーギーから回ってきた話だったが、ダグはファーギーと組む事に不満を感じていた。ファーギーは街のボスとして、ヤクを流通させ、街を牛耳ってきた男で、かつてダグの父も彼の手下として働いていたのだった。ダグとジェムは花屋を訪れ、強盗で得た金の相応の取り分をファーギーに手渡すと、クラブで散財する。しかし、ダグはそんな生活自体に嫌気が差しており、ジェムの妹で元交際相手のクリスタとも距離を置きたかった。ダグはかつてプロホッケー選手を目指すも挫折し、人生に対する失望と喪失感に苛まれていた。

ダグは免許証からクレアに接触を図り、偶然を装って出会う。ダグはクレアが強盗に遭ったショックで傷付いている事を知り、心が揺れ動く。ダグはクレアを食事に誘い、お互いの事を知っていく。フローリーは警察と共に捜査を進め、電力会社ベリコムの従業員が犯行に関わった事が判明する。フローリーは再びクレアに接触し、交際相手ができた事を知る。その晩、クレアはダグとデートし、強盗に遭った事とその時感じた恐怖を話す。更にクレアは、FBIに協力しているが、犯人の1人の首元のタトゥーを見た事は、証言させられるのが怖くて伝えていないと打ち明ける。それはジェムのタトゥーで、発覚を恐れたダグは巧みに伝えないように誘導する。

ダグは、子供の頃、母が家から出て行った時の事をクレアに打ち明ける。父が探そうとしないので、ダグだけで必死で探したが、結局見つかることはなく、ダグは母が自分を捨てたのだと思っていた。犯行当日のベリコムの欠勤記録からデズが容疑者として浮上し、フローリーはダグ、ジェム、グロンジーを容疑者として目星を付ける。

ダグとクレアがデートしているところに、突然ジェムが現れる。ジェムはクレアの事を聞かされていなかった為に、ダグの真意を探ろうとする。ダグはジェムのタトゥーがクレアに見られるのではないかと焦る。FBIへのタレ込みを恐れるジェムは、その後、ダグがクレアと親密になる理由を問い質し、次の輸送車強盗のヤマに集中する様に告げる。ダグは今度のヤマで強盗を最後にし、街を出る意思を明かす。

ダグは服役中の父に会うため、刑務所に赴く。ダグは生き方を変える為に街を出る意思を告げ、改めて、母を探そうとしなかった理由を父に尋ねる。父は母が、ダグが慕うような存在では無く、取るに足らない女だった事を明かす。

クレアはひょんな事から、ダグがかつてプロリーグにドラフトされる程の選手だった事を知る。ダグがホッケーと決別したのは、暴力沙汰の後、ヤクにハマったのが原因だったが、適正が無かったからだと偽る。強盗決行前夜、ダグはクレアと一夜を共にする。

決行日の朝、ダグ達は重装備の上からシスターに扮し、現場へ向かう。ダグ達は輸送車から現金を奪取し、逃走を図るが、警察に張られていた為に猛追される。ダグ達は銃撃戦で追跡を突破し、車を乗り換え、更に逃走するが、犯行の連絡を受けたフローリーが橋の封鎖を指示し、街の区域外へ出られないようにする。ダグ達は封鎖を察知すると、全速で橋を渡り、区域外へ脱出し、逃走に成功する。今回も証拠は消されていたが、フローリーはダグ達を署に連行し、取り調べを行う。フローリーはダグに司法取引や捜査協力をさせず、囚人達に甚振られて連邦刑務所で死ぬ様に望んでいる事を明かす。

再度クレアと接触を図ろうとしたフローリーは、クレアが銀行を退職した事を知る。ダグはクレアに会い、ダイヤを送る。クレアから辞職を聞いたダグは、クレアの望む場所で一緒に人生を変えようと提案する。フローリーはダグとクレアの通話記録から、2人が親密な関係にあると知る。フローリーはクレアを訪ね、ダグが銀行強盗の容疑者だと伝える。

ジェムがファーギーからおおきなヤマが回ってきた事をダグに伝えるが、ダグは強盗から一切手を引くと告げる。ジェムはダグが自分は特別だと思っている事が鼻持ちならず、一方ダグはジェムやクリスタと付き合う事にウンザリしており、口論の末、殴り合いとなる。ジェムはかつてダグを守るために人を殺し、9年間服役した事を初めて打ち明ける。ダグは感謝するがそれでも街を出て行くと告げ、その場を後にする。

ファーギーを訪ねたダグは、金を携え、強盗から抜ける意思を告げるが、ファーギーは突っぱね、ダグの母親をヘロイン中毒の末、自殺に追い込んだ事実を明かし、更にクレアに危険が及ぶと示唆する。ダグはクレアの元を訪れるが、ダグが犯人だと知ったクレアは激しく拒絶し、ダグの説得に耳を貸そうとしない。その後、ダグは次のヤマを渋々承諾する意思をファーギーに伝える。ダグは再びクレアの元に訪れ、聞かれるままに真実を話し、クレアを失うと死ぬまで後悔する、自分を待っていて欲しいと告げる。

ファーギーはダグ達を集め、次のヤマである球場の売上金強奪の計画を説明する。フローリーはダグ達が動き始めた事を察知し、クリスタに接触を図り、捜査に協力する様に強要するが、クリスタは拒む。

強盗決行日、ダグ達は囮を仕掛けて捜査を撹乱させ、その隙に準備を進める。そこへクリスタが娘を連れてやって来る。クリスタはダグが街から出ると同時に、自分が捨てられる事に憤るが、ダグはクリスタを強引に追い返す。

ダグとジェムは警官に扮し、球場内部に侵入する。フローリーは再びクリスタと接触し、娘を社会福祉局送りにすると脅し、司法取引して協力する様に要求する。クリスタはフローリーにダグ達の計画を明かす。ダグとジェムは警備員を拘束し、現金を強奪するが、逃走の準備中に異変を察知し、球場が警察に包囲されているのを目の当たりにする。接近する特殊部隊にジェムが発砲し、銃撃戦が始まり、その最中、デズが死ぬ。また、グロンジーが車に乗り込み、その身を賭して突破し死ぬ。ダグとジェムはその隙に警官隊に紛れ球場を脱出するが、フローリーは不審な警官をジェムと察知し、呼び止める。ジェムはフローリーに発砲して逃走するが、警官隊に追い詰められ射殺される。ダグはジェムの死を見た後、パトカーで逃走し、花屋を訪れ、ファーギーを殺す。

クレアの部屋にフローリー達が待ち伏せる。ダグはクレアの部屋が見渡せる場所から電話をかけるが、クレアはそれとなく来ないように仄めかす。ダグは大金を入れたバッグをクレアの農園に埋めると、街を離れる。その後、クレアはバッグを発見する。金にはクレアなら有効に使えるという旨の手紙とタンジェリンが添えられていた。それはかつてダグが話した、祖母の家があるというフロリダ州タンジェリンを示唆していた。クレアはその金で、ダグの母名義の寄贈と称し、街のアイスホッケー場を整備する。ダグは罪から逃れられない事を自覚し、約束の地でひとり佇む。

 

夢を諦め犯罪の世界に浸かってしまった男と、そうとは知らずに彼を愛してしまった女の顛末を描くドラマなのだが、ベン・アフレックの監督作品は実によくできていて、その展開の巧さに素直に感服する。犯罪渦巻く「タウン」という狭い世界、ホッケー選手からの挫折、隠匿された母の死。ダグは客観的に見れば凶悪な犯罪者でしかないのだが、彼の抱える悲哀やある種の諦観に思いを馳せると、共感しないまでも理解できてしまう。そんな彼が、自分が襲った銀行に勤めるクレアを愛してしまい、人生を変えたいと強く願う様になるも、彼を取り巻く環境がそれを許してはくれないと。しかし、最後にクレアがタンジェリンを見つけるシーンなんか、なるほどそこに繋がるのかと膝を打ったな。銃撃戦もアクション映画に勝るとも劣らないデキで、かなり迫力があって良い。

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