チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

プロジェクト・アルマナック

ディーン・イズラライト監督作「プロジェクト・アルマナック」("Project Almanac" : 2015)[BD]

タイムマシンを作製した少年達が、過去に戻り、時系列に関与する事で、変わっていく未来に翻弄される様を描くSF作品。

工学の知識に長ける17歳の高校生デヴィッドは、MITの試験に合格するが、奨学金は5000ドルしか給付されず、学費の不足分4万ドルを前に途方に暮れる。見かねたデヴィッドの母は家を売り、学費を賄おうとするが、デヴィッドは制止する。金策に悩むデヴィッドは、妹のクリスティーナと共に、屋根裏で10年前に死んだ父の所有品を漁っていたところ、生前、父が使用していたビデオカメラを発見する。カメラにはデヴィッドの7歳の誕生日パーティの映像が記録されていた。父はまさにその日、パーティから急用で抜け、その直後、交通事故で死んだのだった。

デヴィッドはその映像の鏡の中に、現在の自分の姿が映っているのを発見して驚き、親友のアダムとクインに相談する。デヴィッドは映像の中の自分の目的を探ろうと、同じ構図で撮影を試み、自分の向かった先が、かつて父が管理していた地下室だと知る。デヴィッド達は地下室の床に隠されたケースを発見し、色めき立つ。中には国防総省の機密部門DARPA(国防高等研究計画局)の書類一式と、小型の装置が収納されており、電力会社に勤務していた父が、「アルマナック・プロジェクト」と称されるなんらかの計画へ関与していた事を示唆していた。書類に付された時間転移装置試作機の設計図を広げた一同は、それがタイムマシンを意味していると理解し訝るが、映像にデヴィッドが映っていたのは、実際に作れる証拠だと考え、製作に乗り出す。

一同は早速、ホームセンターに繰り出し、部品を調達すると、設計図を元に心臓部の小型装置と連結し、回路を組み上げる。起動を試み、電磁エネルギーが発生した事で、設計図に確信を得た一同は、改良を施すと共に、作業の一部始終をビデオに記録していく。その後、旧式のナビゲーションプログラムをスマホで操作できる様に改良し、回路を組み上げ、再度起動を試みるが、核融合に必要な水素が足りない事が分かり、一同は高校の保管庫に侵入し、ボトル型水素を大量に盗み出す。

一同は、最初の実験をラジコンを60秒前にワープさせる事に決め、装置を起動するが、バッテリーが持たず、途中で停止してしまう。その時、隣家で行われているパーティに、デヴィッドが好意を抱くジェシーが訪れる。デヴィッドは、ジェシーのPHVに搭載されているニッケル水素電池を無断で流用する事に決める。連結を済ませ、起動したところへ、異変を察知したジェシーがやってくる。その直後、ワープが成功し、ラジコンはその場から消える。壁に突き刺さったラジコンのストップウォッチは、2時間が経過していた。一部始終を目の当たりにした事で、ジェシーもメンバーに加わる。

その後、デヴィッドは装置を持ち運べる様にコンパクトに改良する。一同は、まず無生物から実験を重ね、段階を踏んでから動物での実験に移行する計画を立てるが、ジェシーは最初から人間で試す様に提案する。装置の出力を上げる事で、5人全員がワープできる様に調整すると、一同は深夜の人気の無い路地で1日前に戻る実験に臨む。激しい衝撃の後、気付いた一同は、ワープの成否を確認する為に、クインの家を訪ねる。クインは眠っている1日前の自分に落書きをするが、目覚めた自分と目が合った瞬間、存在が消えそうになり、慌てて逃げ出す。一同は装置の成果を確認すると、現在に戻るが、追いかけてきた犬が一緒に付いてきてしまう。その時、一同は過去に作用を及ぼした事で、未来が変わる事を知る。

一同は装置の活用法を話し合い、単独でのワープを禁止し、毎回全てを映像に記録し、誰にも秘密にする事を、ルールとして厳守する様に決める。その後、クインが化学の試験に合格できる様に、過去に戻ってやり直しをさせるなど、実験を重ねていく。一同は結果の判った宝くじを過去に戻って買い、180万ドルを手に入れると、デヴィッドは学費に回し、クインはマセラッティを買うなどし、各々が散財する。デヴィッドはバッテリーを強化すべく、2フッ化キセノンを購入し、更に過去に戻るために装置に改良を施す。デヴィッドは父のいた10年前に戻る意思をジェシーに告げる。

5人は授業を抜け出して集合すると、3ヶ月前に戻り、念願だったロックフェスに訪れる。一同が多いに盛り上がる中、デヴィッドはジェシーと距離を縮めようとするが、ここ一番で決められず、ジェシーの好意を不意にしてしまう。現在に戻った一同は、取り巻く環境が変化している事に気付く。ジェシーと気まずくなったデヴィッドは、フェスでの出来事をやり直したいと願い、無断で単独ワープを行い、フェスでジェシーに気持ちを伝え、キスをする。現在に戻ると、ジェシーとは既に交際している事になっており、デヴィッドは戸惑いながらも喜ぶ。

その日、5日前に起きた航空機の墜落事故が報じられており、アダムは自分達が過去に戻った事で生じた事故だと主張する。デヴィッド達が初めて装置の起動に成功した夜、停電が発生し、校内バスケ部の有力選手ジャスティンが、隣家のパーティで骨折していた。ジャスティン不在でバスケ部が敗退した為に、同級生サラの弟が決勝へ出場せず、航空機を操縦していたサラの父親の観戦が無くなり、事故に繋がったという。アダムとクインは、影響が把握できる内に、過去に戻って事故を取り消そうと提案するが、デヴィッドはジェシーとの関係をリセットする事に躊躇する。

デヴィッドは単身、装置を初めて起動した夜に戻り、ジャスティンを助けようと企てるが、ワープ直前にアダムがやってくる。事情を問い質すアダムに、デヴィッドは単身でワープした事を打ち明ける。アダムは皆に事実を伝える様に促すが、デヴィッドはアダムを振り切り、ワープする。過去でジェスティンを救出したデヴィッドは、現在に戻り、ジャスティンと航空機の無事を知って安堵するが、程なくしてデヴィッドのワープが原因でアダムが重傷を負い、入院している事を知る。

デヴィッドは当惑しながらも、アダムを救うために戻るべき時間を探り、装置を起動する。しかし、そこへジェシーが訪れ、一緒にワープしてしまう。ジェシーはデヴィッドが単身でワープした理由を問い質し、騙して交際に至った事を知ると、憤慨する。ジェシーはデヴィッドの事がずっと好きだったと打ち明ける。そこへ、その時間軸のジェシーが訪れ、対面した双方のジェシーが忽然と消えてしまう。デヴィッドは過去に戻ってジェシーを助けようと試みるが、装置の水素が尽きてしまう。そこにクインが訪れ、事情を問い質すと、デヴィッドは10年前に戻って、タイムマシンの存在自体を消す意向を告げる。

デヴィッドはジェシーの失踪への関与が疑われ、警察に追跡されるが、学校に再び侵入して水素を入手すると、10年前の誕生日に戻る。デヴィッドは密かに自宅を訪ね、地下室で父と対面する。父はデヴィッドの姿を見て、全てを悟る。デヴィッドは父を見送ると、装置を燃やし、処分する。その直後、デヴィッドの姿は消滅する。

10年後、MITの合格通知を受け取ったデヴィッドは、クリスティーナと共に屋根裏を漁り、2台のカメラを発見する。その内の一台には、実験の過程が全て記録されていた。デヴィッドはジェシーと接触し、自分達の手で世界を変えられる事を告げる。

 

 

1人の傑出した工学青年を中心に、現代風の高校生達がひょんな事からタイムマシンを手に入れ、随分お手軽に過去に戻って楽しんじゃう、厨二っぷり全開なストーリー。作れよと言わんばかりに設計図と心臓部があったり、テストもしていないのに、事故一つ無く人間のワープに成功してしまったり、カメラだけ過去に残ったままとなったり、その辺りが多分にご都合主義的で苦笑してしまう。ただ、この手の作品には珍しく、完全なファウンド・フッテージ型の構成となっており、演出的には斬新でよく出来ていると思う。装置を起動して周囲がガタガタ振動するのを一人称視点で見るのは、作り物だと分かっていても臨場感がある。過去にワープして宝くじで大儲けと言うのは、欲望に素直で実によろしい。本当は5800万ドル当選するところが、数字を一桁書き間違えて180万ドルになってしまったという、お粗末な展開も良い(笑)。しかし、タイムマシンに対するロマンは尽きないよなぁ。空想はアタマの肥やしだもんな。

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