チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

マリーゴールド・ホテルで会いましょう

ジョン・マッデン監督作「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」("The Best Exotic Marigold Hotel" : 2012)[BD]

老後をインド地方都市のホテルで暮らす事になった、シニア世代の英国人男女が、苦慮しながらも適応していく様を描くコメディ・ドラマ作品。

40年連れ添った夫を亡くしたイヴリンは、夫が残した負債を、自宅を売ることで肩代わりする。資産を失ったイヴリンは、インド・ジャイプル近郊の長期滞在型デラックスホテル「ベスト・エキゾチックマリーゴールドホテル」の存在を知り、親族と離れ、老後をインドで暮らす決意をする。人工股関節の手術を希望するミュリエルは、英国の病院では順番が回ってくるまで半年かかる事を知り、医師の勧めでジャイプル近郊の病院に転院し、手術を行う事になる。ダグラスとジーン夫妻は、娘の立ち上げたネット事業に退職金を援助したものの、事業が失敗した事で、老後の蓄えを失ってしまう。英国では満足な老後生活を送れないと考えた夫妻は、マリーゴールドホテルを知り、英国を離れる決意をする。グレアムは40年前に共に過ごした友人に会うために、再びジャイプルに戻る決断をする。共に独身のマッジ、ノーマンは最良のパートナーを探すべく、別天地を求めてジャイプルに向かう事になる。

7人は偶然にも同じ便の飛行機に乗り合わせ、顔見知りとなる。インドに到着するも、ジャイプル行きの便が欠航となり、唯一土地勘のあるグレアムに率いられ、一同はバスで目的地へ向かう。不安と冒険心をくすぐられながら、一同はバスからトゥクトゥクに乗り繋ぎ、ようやくマリーゴールドホテルに到着する。ところが、ホテルは修繕中の不完全な状態で、パンフレットのイメージ画とはまるで異なっており、一同はその有り様に戸惑う。支配人の青年ソニーは、イメージが将来の姿であり、何事も最後は大団円と7人を説得し、各々を部屋に招き入れる。しかし、ジーンは憤慨し、ソニーに詰め寄る。その一方で、イヴリンとダグラスは早くも意気投合する。以後、7人は不慣れなインドでの生活に適応しようと日々奮闘し、新たな習慣や文化に徐々に馴染んでいく。

グレアムは旧友を探す為に、かつての住所を訪ねるが、既に壊され空き地となった事を知る。ミュリエルは病院で手術に臨み、無事に成功する。ダグラスは寺院巡りを楽しむ一方、ジーンはインドの暮らしに馴染めず、ホテルに引きこもってしまう。イヴリンは職を求めて地元のコールセンターで面接を受け、英国人としての気質を買われ、採用される。ソニーは恋人スナイナにホテルへの来客を報告する。人探しが不振に終わり、ホテルに戻ったグレアムは、ジーンに外出を勧める。ジーンはグレアムに好意を抱く。イヴリンは教育アドバイザーに採用され、それが人生で初めて就いた仕事だとグレアムに報告する。グレアムはイヴリンに心を開き、旧友マノージとの関係を打ち明ける。40年前、グレアムはマノージと親しい関係だったが、ゲイである事が知れ渡ると、マノージは恥さらしと非難された挙句、マノージの父は解雇され、更に一家は追い出されてしまったのだった。グレアムはその時、マノージを庇おうとしなかった事を悔やみながらも渡英し、マノージとはそれっきりとなり、40年ぶりに再会する為にジャイプルに戻ってきたのだった。

手術を終えリハビリ中のミュリエルは、人種差別主義者でありながら、ホテルで下働きをするアノーキに気遣いをする。ソニーはホテルの改修資金を工面すべく、投資家のマルーティに出資を要請する。そこへ、ソニーを訪ねて母がデリーからやってくる。保守的な母はソニーにホテルを畳ませ、デリーで良家の娘と結婚する様に命じる。しかしソニーが頑なに拒んだ為、母はソニーが折れるまでホテルに居座る事に決める。かつて家政婦を生業としていたミュリエルは、アノーキに下働きの助言をする。ミュリエルの主治医はアノーカがいわゆる不可触賤民で、存在が見えない立場の人間だとミュリエルに伝える。

マッジはパートナーを探して、会員制の社交場に赴き、そこでノーマンと会う。ノーマンは社交場で同世代のキャロルと出会い、共に孤独を明かす事で意気投合する。一方、ジーンはグレアムの事が気になり、外出先を探ろうとする。コールセンターで初仕事に臨んだイヴリンは、自らの体験を交え、高齢者に寄り添った電話の仕方を指導し、好評を博す。

ミュリエルは、アノーキに家族の元へ招かれ、歓待される。存在を認めてくれた事への感謝と知ったミュリエルは、自身の考え方を少しずつ変えていく。イヴリンとダグラスは商店街で出会い、より親密になる。イヴリンは長年連れ添った夫に借金があった事をダグラスに打ち明け、人を信じる事の難しさを語る。ジーンはグレアムを追って公記録所を訪ねると、グレアムにそれとなく好意を伝えるが、ゲイだと聞かされ落胆する。ホテルに戻ったジーンは、イヴリンとダグラスの親密ぶりを知り、貧しくても英国で暮らしたいと主張する。ダグラスはインドで楽しみを見つけるように諭すが、ジーンは頑なに反対する。

ミュリエルはアノーキにかつて仕えていた家族の事を打ち明ける。ミュリエルはかつて仕えていた家で、年齢を気遣われ、若い新人と2人態勢にしてもらったものの、献身的に仕事を教えるや否や、あっさりと取って代わられてしまい、職を失った挙句、孤独に陥ってしまったのだった。ノーマンは精力増強を図り、キャロルの元へ向かう。ホテルの電話が復旧し、グレアムにマノージの消息に関する連絡が入る。グレアムはマノージの家に向かい、イヴリンとダグラスも同行する。グレアムは遂にマノージと再会を果たすが、マノージが妻子と共に暮らしている事を知る。夜、ソニーを訪ねてスナイナがホテルにやってくるが、誤ってマッジの部屋に夜這いを仕掛けてしまう。スナイナは、騒動を聞きつけてやってきたソニーの母に詰られる。母はソニーの説得に耳を傾けず、スナイナとの結婚を許さないと言い渡す。

グレアムはノーマンにマノージと再会できた事を、牢屋から出た気分だと告げる。その直後、イヴリンはグレアムが心臓病の発作で死んでいるのを発見する。生前のグレアムの希望通り、マノージとの思い出の地ウダイプルヒンドゥー式の葬儀が行われ、一同が参列する。葬儀後、イヴリンは夫と心を共有できていなかった事を述懐し、ダグラスの慰めを受ける。それを目の当たりにしたジーンが憤慨する。ダグラスが、あらゆる事を否定的に断じるジーンを責め立てると、ジーンは娘から事業が軌道に乗ったという連絡を受けた事を明かす。ジーンはダグラスと共に英国に帰国する事を決めると、有頂天で一同に報告する。

ソニーは母がホテルの売却に向けて、建物の査定をさせている事を知り、必死で説得を試みるが、母は意に介さない。ソニーはイヴリンにホテルの閉鎖が決まり、帰国してもらう旨を伝えると、自らもスナイナと別れ、デリーに戻る事を告げる。イヴリンはソニーに、スナイナへの真剣な思いを打ち明ける様に促す。ソニーはスナイナの元へ飛んでいき、心の底から愛を伝えると、スナイナと共にホテルへ向かう。ノーマンとキャロルはインドに残り一緒に暮らす決断をし、ダグラスとジーンは空港へと出発する。イヴリンはダグラスを気遣い、敢えて見送らずに見守る。

数字に明るいミュリエルはホテルの帳簿を独自に調べ、それが健全だと主張する。そこへ、スナイナと共にホテルに戻ったソニーが、改めて母にスナイナを紹介し、結婚の許しを請う。その時、ソニーの家族に長年仕える下働きの男が口を開き、ソニーの母もかつて父に求婚され、スナイナの様に嫁いだ事を明かす。それを聞いた母は、スナイナに詫び、2人の交際を認める。ミュリエルはホテルのプラン自体は悪くないものの、資金と客が不足している事を指摘し、マルーティに直訴し、ミュリエルがソニーの助手として経営をサポートする約束で、出資を取り付けた事を明かす。ノーマンとキャロルは同じ部屋に住む事にし、マッジも新たな出会いを求めて留まる事にする。イヴリンがダグラスの事で、期待通り行かずに決めかねていると、ミュリエルはリハビリのおかげで、少しずつ歩ける様になった事を明かし、励ます。ダグラスとジーンを乗せたタクシーは大渋滞で立ち往生し、空港に辿り着く目処が立たなくなる。ジーンは1人分の荷物しか乗せられない人力車で、単身空港に向かう事に決めると、これも運命だとダグラスに別れを切り出す。ダグラスは1人で一晩かけてホテルまで戻る。夜が明け、ダグラスがホテルに到着すると、出勤直前のイヴリンと再会する。

その後、ホテルは徐々に軌道に乗り、それぞれが新しい生活を始め、大団円を迎える。

 

 

英国のじっちゃんばっちゃんが、インド地方にある年季の入ったホテルに、なかばやむを得ず移住するハナシ。住み慣れた英国から離れる事自体、悲壮感が漂う現実ではあるのだが、いざ現地に到着すると、1人を除いてみな柔軟に適応していく。そこへ、シニア世代ならではのラブコメ要素や、セクシャリティ、身分制などの問題をバランスよく織り交ぜて、各登場人物の個性を巧く描き切っているのが面白い。異国情緒豊かなロケーションで、豪華なキャスト陣が演じているだけで見応えは十分だし、齢を取ってもこういう変化を楽しめれば、人生はずっと楽しめるんだよねっていう、そんな示唆を与えてくれる良作。

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