チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

地下に潜む怪人

ジョン・エリック・ドゥードル監督作「地下に潜む怪人」("As Above, So Below" : 2014)[DVD]

秘密の石を探し求めて、パリのカタコンベ内部に侵入した研究者の女とその一行が、想像を絶する現象に見舞われていく様を描く、ファウンド・フッテージ型超常ホラー作品。

UCLの都市考古学博士スカーレットは、錬金術の研究者であった父から教わった、賢者の石の手がかりを探す。その石を追う者は正気を失うと言われ、スカーレットの父も自殺しており、躍起になったスカーレットは決死の覚悟でイランに入国し、ハバラ地域にある爆破直前の洞窟に侵入する。スカーレットは親族リーザの助けを得て、内部で父が探し求めていたローズの鍵と称する石像を発見すると、表面に彫刻された文字を撮影する。その時、洞窟の爆破が実行され、スカーレットは崩落に飲まれるが、リーザに救われ、辛うじて脱出する。

イランを出た後、スカーレットはカメラマンのベンジーと共に、パリで石探しのドキュメンタリー番組の撮影を始める。スカーレットは、賢者の石の生成に成功し、富と永遠の命を手に入れたといわれる、600年前の偉大なる錬金術士フラメルの家を訪ねる。次にスカーレットは博物館を訪ね、そこに所蔵されているフラメルの墓碑の前に立つ。父は墓碑に刻まれた記号に、石につながる何らかのヒントが隠されていると考えていたが、スカーレットは解読する為のローズの鍵を発見した事でヒントの解明に意気込む。

スカーレットは旧知の間柄のジョージと会い、ローズの鍵を見つけた事を伝え、鍵から変換したアラム語の解読を依頼しする。スカーレットは墓碑の裏に秘密があると悟り、薬品を使って文字を炙りだすと、ジョージは記号の解読に臨む。そこには「最も暗い門と我々が眠る墓の墓碑との真ん中にある」「天の支配のもと失われたものは戻る」とあり、2人は暗い門を地獄の門と考え、悪魔の数741を用いる事で、地獄が地下741フィートならフラメルの墓碑の地下370.5フィートに石があるはずだと推測する。2人は地図を元にその位置を探し、世界最大の地下納骨所であるカタコンベ内部から掘り進んだ場所に目星を付ける。翌日、スカーレット達はツアーに混じり、カタコンベの偵察を行い、侵入方法を模索する。不意に通路にいた男が、クラブにいるパピヨンが案内すると告げ、忽然と姿を消す。スカーレット達はパピヨンに会い、目的を伝えると、宝物を山分けする条件で協力を依頼し、パピヨンは承諾する。

翌日、パピヨンは仲間のスージーとゼッドを集め、一行の装備を整えるが、ジョージは頑なに同行を拒む。パピヨンに先導され、一行は悟られぬ様にカタコンベへの侵入口に向かう。ベンジーは各々のヘッドランプに小型カメラを付ける。その直後、侵入を察知した警察官に取り押さえられそうになり、一行は内部に逃げ込む。ジョージは弟が洞窟で溺死した事がトラウマになっていたが、已む無く同行する。

通路を進むと、パピヨンは人骨の積み上がった狭い穴を抜けると告げる。スカーレットは地図を元に、石で封鎖された通路の方が近道だと主張し、意見が対立する。パピヨンはその通路が二度と出て来られない不吉な場所だと告げ、地下通路を知り尽くしていた知人のラ・トープすら避けていたが、好奇心で入ったきり戻ってこないと明かす。スカーレットはジョージに説得され、パピヨンに従う事にする。ところが穴を抜けている途中、崩落が起こり、一行は辛うじて抜けきるも、何故か元の場所に戻ってくる。パピヨンはあり得ない事だと当惑するが、一行はやむを得ず、スカーレットが主張した通路の方に進み始める。

程なくして、初めて来た場所なのに、壁面にパピヨンの目印が見つかる。その直後、50年前に回収されたはずの電話の音がどこからともなく鳴り響く。また、ジョージが子供の頃に持っていたのと同じピアノが見つかり、故障した部位まで同じだと分かる。一行は音を辿って奥へ進み、電話を見つけるとスカーレットが出る。電話口の男は「なぜ私と話してくれない?」と問いかける。突然、ラ・トープが現れ、目的地を伝えてもいないのに一行を案内し始める。通路の天井に亀裂が生じ始め、一行は慌てて奥へ進む。ラ・トープに促されるまま、一行は深い穴の下へ降りる。更に通路を奥に進む内に、一行は異常な音と明滅に見舞われる。パピヨンはラ・トープがまるで別人だと訴える。

通路が行き止まりとなると、スカーレットとジョージは壁画の文字から手掛かりを掴み、仕掛けを動かすと、通路が現れる。一行は聖人の遺体が安置された部屋に着く。スカーレットは石が更に奥にあると睨み、光の差す水の中へ向かう。スカーレットはその先の部屋で石が取り付けられた壁板と、宝物庫を見つけ、一行は歓喜する。スカーレットが石を取り外すと、宝物庫の前の天井が崩落し、スージーが重傷を負う。スカーレットは石の力を用いて、傷を癒やす。

崩落で元の場所に戻れなくなると、スカーレットは天井に扉を見つけ、「下なるものは上なるものの如く」の言葉通りに、床に隠された扉を見つける。一行が扉の先の通路を抜けると、石のあった空間と鏡像の作りの部屋に出て、来た道が塞がる。一行は出口を探して、これまでと正反対の構造の通路を進む。突然、ラ・トープが現れ、スージーを惨殺して消える。スカーレットは石の力で回復を試みるが、死人には効かない事を知る。一行はやむを得ずスージーを残し、更に先に進む。

一行がその先の深穴を降りる途中、ベンジーが子を抱えた女に襲われ、転落死し、人骨の積まれた穴を抜ける際に、ジョージはダニーの幻覚を見て、救い出そうとするが、スカーレットはそれが現実では無いと諭す。一行は更に奥の部屋で、炎上する車と遭遇する。車内の男は、自分の責任じゃないと訴えるパピヨンを引きずり込み、その途端、車は忽然と姿を消し、パピヨンは地中に埋まる。

3人となった一行が更に通路を進むと、坑内に異様な音が響き始める。一行はその先の空間で、椅子に腰掛ける黒衣の人物と遭遇する。一行は避ける様にその場から立ち去ると、突然、壁に彫り込まれた人が動き出し、一行に襲いかかり、ジョージが致命傷を負う。スカーレットとゼッドはジョージを引きずって、そこから逃亡する。石は効果を発揮せず、スカーレットは「罪なき者、大地の中で秘密の石を見つける」という言葉を思い出すと、取り出した石を元に戻さなければならないと悟る。スカーレットはジョージをゼッドに任せ、これまでの道のりを遡って、石を元の場所に戻しに行く。その途中、スカーレットは父の首吊り死体と遭遇する。

石を壁板に戻したスカーレットは、「下なる物は上なる物の如く、願えばそれは現実となる」の言葉に着想を得て、ジョージの元へ向かう。その途中、再び父の死体と遭遇し、スカーレットは電話に出なかった事を心から悔いて詫びると、父の死体は消える。戻ったスカーレットがジョージにキスをすると、ジョージは息を吹き返す。一行は先に進み、深穴に出る。スカーレットは罪を告白してから穴に飛び込む様に2人に促す。ジョージは弟の溺死を、ゼッドは子供を認知しなかった事をそれぞれ告白し、3人は穴の中に飛び降りる。

密室に辿り着いた一行は床にマンホールを見つけ、そこに入ると重力が反転し、パリ市街の路上に出る。

 

 

雨後の筍の様に量産されたファウンド・フッテージ型ホラーの一つ。本作ではそもそもフッテージ自体の回収をしてないはずだから、この型式にこだわる必要性は無いとは思うのだが、一応緊迫感が増す効果は得られているから、そこは目を瞑っちゃおう。因縁の石を探し求めて、研究者の女がチームを集めて、カタコンベ奥深くにえいやっと侵入するハナシで、その途中に呪い的な超常現象が頻発し、チームを脅かす。暗く不可思議な構造の地下通路を行き当たりばったりで上下に登り降りし、進んでいくのはなかなか手に汗握る展開で、まさに""as above, so below"である。石を元に戻す云々のくだりから、ややイミフだったが、深く考えても埒が明かなそうだから、そっとしておこう。しかし、内容に照らして、邦題は全く的を射ておらず、センスを疑う。原題通りか、原題を活かしたタイトルにできなかったのだろうか。

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