チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

チェンジリング

ピーター・メダック監督作「チェンジリング」("The Changeling" : 1980)[DVD]

妻子を亡くした音楽家が、移り住んだ古い館で数々の心霊現象に見舞われ、館に纏わる真実を追求すべく奔走するサイコ・ホラー作品。

 

11月末、音楽家のジョンは妻子を連れてニューヨーク北部へ車で旅行に出かけるが、道中、妻子がトラックに轢かれて死亡する。以後、ジョンは悲しみに打ちひしがれて月日を過ごす。翌年3月、出直しを決意したジョンはそれまで暮らしていた家を引き払うと、シアトルに移り、友人の伝手を得て、歴史保存協会のクレアから協会が保有する物件、チェスマン館を紹介される。クレアは郊外な閑静な土地に建つその古い館が、しばらく人が住んでおらず、博物館にする計画が立ち消えになった経緯を明かす。館には音楽室にアンティークのピアノが備えられていた事から、ジョンは館に修繕を施した後、暮らし始める。

程なく、ジョンは大学での講義を再開し、穏やかな生活を取り戻すが、連日、朝6時になると叩きつける様な音が館内に轟き始め、ジョンはその音で目を覚ます様になる。またある時、ジョンは館内に何者かの気配を感じる。ジョンは館の管理人タトルに調査を依頼するが、タトルは古い館にはよくある事だと説く。その後も館内で不可解な現象が続き、ジョンは音の発する元を探って浴室へ辿り着くと、浴槽で子供が溺れる幻覚を見る。

ジョンは協会にクレアを訪ね、事情を伝える。クレアはジョンが多忙に加え、妻子を亡くしたショックが癒えていない事を指摘し、案じる。協会員のミニーは、クレアが理事会を通さずに独断でチェスマン館の貸与を決めた事を明かし、契約を見直す意向を示すと共に、館が代々人が住めない家であり、家が人を拒むのだと主張する。

館に戻ったジョンは、屋根裏の飾り窓が内側から割れるのを目撃する。ジョンはその原因を探るべく、二階の物置で屋根裏に通じる隠し扉を発見し、施錠を解くと、誘われる様に屋根裏へ上がる。屋根裏には打ち棄てられた状態の部屋に、埃が被った子供用の車椅子、ノート、オルゴール等があり、ジョンはノートの表紙に「1909年1月C.S.B.」の記載を見つける。更にジョンはオルゴールの奏でる子守唄が、音楽室のピアノで収録した楽曲とテンポ、曲調共に酷似している事に気付く。

ジョンはクレアに事情を伝え、館が人を拒んでいるのでは無く、不可解な現象を通して、自分に何かを訴えているのだと主張する。ジョンはクレアと共に協会で過去の館の持ち主を探り、1967年に売却された館を民主党上院議員で、協会の理事の一人でもあるジョゼフ・カーマイケルの財団の援助により、協会が購入していた事が判明する。クレアは1920年以前の記録が残っていない事を訝る。ミニーは1909年頃の所有者がバーナードという人物で、息子と娘が一人ずついたが、事故があって1909年に館を売った事を明かす。

ジョンとクレアは新聞社を訪ね、当時の新聞記事を参照し、医師バーナード博士の娘コーラが館の前でトラックに撥ねられて死亡した事を知ると、C.S.B.がコーラを指しているのだと察する。ジョンは自分の娘がコーラと同じく事故死した為に、自分に何かを訴えかけているのだと悟る。

館に戻ったジョンは、仕舞っておいたはずの娘のボールが、階段の上から転がり落ちてくるのを目撃する。ジョンは妻子を喪った悲しみと決別する為に、橋の上から川にボールを捨てる。ところが、ジョンが館に戻ると、再び同じボールが階段の上から転がり落ちてくる。

翌日、ジョンは大学の心霊研究者を訪ね、霊媒師を紹介してもらう。その夜、ジョンは霊媒師を館に招くと、クレアと共に降霊会に加わる。霊媒師はジョゼフという子供の霊が、妻子を亡くしたジョンに縁を感じて、助けを求めていると説く。霊媒師がジョゼフの霊にその目的と死んだ理由を尋ねると、グラスが割れるだけで真意が掴めずに終わる。

降霊会が終わった後、ジョンは一部始終を録音したテープを聞き直し、その中で霊媒師の問いかけに応える子供の声が記録されているのを確認する。ジョゼフを自称するその霊は、自分が病で歩けず、屋根裏部屋で殺された事を明かすと、父親、牧場、セイクレッドハート、メダル、井戸という言葉を羅列する。その時、ジョンは足の不自由な子供ジョゼフ・カーマイケルが父親に溺死させられるビジョンを見る

真実を理解したジョンは、再びクレアを館に招く。クレアはかつてセイクレッドハートという名の孤児院があった事を明かす。ジョンはジョゼフが殺され、埋められた後、孤児が身代わりになったと推理する。その時、二人は階段の上に独りでに車椅子が移動してくるのを目撃する。

ジョンはカーマイケル議員が本物のジョゼフでは無いと悟り、その経歴を調べ始める。一方、ミニーはジョン達が秘密を嗅ぎ回っている事をカーマイケルに密告する。ジョンの調査の結果、館の所有者は議員の亡き父親リチャードであり、母親は1900年に死亡した事、一人息子ジョゼフは三歳の時に萎縮性関節炎に罹り、1906年にリチャードと共にスイスへ渡り、第一次大戦終了後に帰国した事が判明する。ジョンは、リチャードが病気のジョゼフを殺した後、六歳の孤児を身代わりに海外へ出す事で、18歳で帰国した時には足が治った様に見せかけ、替え玉を図ったのだと推察する。リチャードの妻はスペンサー財閥の一人娘であり、スペンサーが1905年に死んだ事から、ジョンはスペンサーの遺言と井戸のある牧場を調べる為に、資料館を訪ねる。

ジョンは1908年からのカーマイケル牧場の変遷を辿り、牧場が売られた後、井戸の跡地に民家が建っている事を知る。また、牧場も含めて全遺産が当時5歳のジョゼフに譲られており、リチャードには成長するまでの管理権のみが与えられていた事、ジョゼフが成人前に死んだ場合、遺産は慈善に回される手筈になっていた事などから、ジョンはリチャードが金の為に悪心を起こしたのだと確信する。

夜、ジョンはクレアと共に、井戸の跡地に該当するグレイ夫人の家を訪ね、事情を伝える。夫人は奇遇にもジョン達が降霊会を行った三日前の夜に、娘リンダが、小さくて痩せこけた青白い男の子が寝室の床下でもがきながら見つめていた夢を見て恐怖し、悲鳴を上げ、泣きじゃくった事を明かす。ジョンは床を剥がして調べたい意向を伝え、夫人は検討すると応じる。その後、夫人と共に眠ったリンダは誘われる様に起き出し、再び寝室の床下に幻覚を見て悲鳴を上げる。

翌日、ジョンはクレアと共に再び夫人の家を訪ね、寝室の床を剥がし、そこに井戸を発見する。ジョンは井戸の中に溜まった土を掘り出し、その中から子供の骨を発見する。通報の後、警察が駆け付けるが、ジョンはメダルを発見できなかった事から真実を伏せる。その夜、夫人達が一旦立ち退き、警察が去ると、ジョンは再び寝室に忍び込み、更に井戸を掘り進む。やがてジョンは土中から押し出される様に現れたメダルを発見し、それがジョゼフ誕生時の洗礼証だと知る。クレアは警察に届け出るべきだと促すが、ジョンは自分で解決する意向を示す。

ジョンは空港で離陸直前のカーマイケルにメダルを見せて、真実の追求を試みるが、護衛に退けられる。真実の発覚を恐れたカーマイケルは、知己の警部デ・ウィットに根回しを行う。ジョンが館に戻ると、程なくしてデ・ウィットがやってくる。デ・ウィットは降霊会、人骨の発見、空港での騒ぎを把握しており、ジョンが警察に骨について関知しないと証言した事を指摘すると、カーマイケルへの非難が筋違いであり、強請に当たると主張する。デ・ウィットはジョンが妻子を亡くした事で精神に問題を抱えていると指摘すると、治療の為に強制的な入院措置を命じる事を仄めかし、メダルを渡す様に迫る。ジョンがそれを拒むと、デ・ウィットは家宅捜索する意向を告げて立ち去る。そこにクレアがやってきて、協会に館の貸与の契約がキャンセルされた事と、更に自分が協会をクビにされた事を明かす。憤慨したクレアは理事長に抗議しに向かう。

その直後、ジョンが姿見の鏡を見つめた瞬間に砕け散り、同時にデ・ウィットが車を横転させて不審死する。カーマイケルは帰路でデ・ウィットの死を知ると、ジョンからの面会要請を許可する。ジョンはカーマイケルの邸宅に招かれると、単刀直入にチェスマン館での奇妙な出来事を伝え、メダルを見せて、カーマイケルが替え玉で財産を相続したという自らの推理を明かす。カーマイケルはそれを強請だと察し、ジョンの筋書きを買い取ろうとするが、ジョンはカーマイケルの富が盗まれた物であり、人殺しの恩恵を受けていると指摘する。カーマイケルはリチャードによる殺人を猛然と否定し、偉大で優しい父だったと強弁する。ジョンは他言無用を命じるカーマイケルに、公文書のコピーと降霊会の録音テープを差し出し、立ち去る。

その頃、クレアは連絡の取れないジョンの身を案じて館を訪ねる。クレアは館に誘われる様に招き入れられ、ジョンを探して屋根裏へ向かうが、車椅子に追いかけられ、階段から転倒する。そこにジョンが帰宅し、クレアを屋外に退避させると、屋根裏に向かう。しかし、ジョンは館内に吹き荒れる突風に遮られ、転落させられる。やがて、館が炎上を始める。

一方、カーマイケルはリチャードの肖像画にメダルを掲げる。同じ頃、ジョンは炎に包まれる館内にカーマイケルが姿を現し、誘われるままに上階へ向かうのを目撃する。ジョンはクレアと共に車で炎上する館の敷地から脱出する。カーマイケルは屋根裏部屋でリチャードがジョゼフを溺死させる幻覚を見た後、邸宅内で発作を起こして絶命する。同時に、チェスマン館は爆発し、崩落する。邸宅に駆け付けたジョンとクレアは、カーマイケルが死んだ事を知る。

翌朝、焼け落ちた館に佇む車椅子の傍にあるオルゴールが開き、子守唄を奏でる。

 

 

これみよがしにオドロオドロしい演出で恐怖を掻き立てるホラーとは一線を画しており、ストーリー性の高いドラマチックな作品。主人公ジョンの妻子が冒頭で突然死んでしまうのは強引な感じがするが、それがあって古い館に移ってくるのだから仕方ない。それにしても、霊と化した少年は遺産の為に父親に殺され、チェンジリングされた恨みを晴らしたいのなら、ジョンに託すまでも無く、自ら手を下せば良かった様な気がしなくもないのだが。それとも、ジョンが遺骨を発見する事で、更に霊力が強まったという事かしら。井戸と言えば、どうしてもリングの貞子を思い出してしまうが、その辺のプロセスは似ていて興味深いんだよね。

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