ルパート・サンダース監督作「スノーホワイト」("Snow White & the Huntsman" : 2012)[BD]
囚われの身だった王女が、王たる父を殺して王国を乗っ取った魔女に復讐を果たすべく、狩人を始めとする仲間達と共に奮闘する様を描くファンタジー・アドベンチャー作品。
緑豊かな国土を有するマグナス王の統治する王国。ある冬、マグナスの子を宿した王妃エレノアは、雪の様に白い肌、血の様に赤い唇、カラスの様に黒い髪、バラの様に強い子が生まれてくる事を願い、やがて姫君スノーホワイト(スノー)が誕生する。スノーホワイトは健やかに成長し、国中に愛される存在となる。しかし、エレノアは病に倒れ、帰らぬ人となる。悲嘆に暮れるマグナスの心の隙に乗じて、謎の闇の軍隊が出現し、王国に攻め入る。マグナスは自軍を率いてこれを討伐し、敵に拘束されていたラヴェンナを城へ連れ帰る。
ラヴェンナに魅せられたマグナスは、直ちに彼女を王妃に迎える事を決め、盛大な結婚式を開く。その夜、ラヴェンナは、不遇を強いられ、復讐の憎悪に身を焦がす魔女としての本性を表し、マグナスを殺すと、弟フィンと自らの軍隊を城内に招き入れる。父の死を知ったスノーは、公爵ハモンドの息子で幼馴染のウィリアムの後を追って城からの脱出を図るが、フィンに捕らえられ、ウィリアムと生き別れになる。王座を奪取したラヴェンナは玉座の間に魔法の鏡を持ち込むと、この世で一番美しいのは誰かと尋ねる。鏡の精が姿を現し、それがラヴェンナであり、その力と美貌には限界が無いと説く。ラヴェンナはマグナスに仕えていた者達を皆殺しにすると、スノーを高い塔の中の牢に幽閉する。ラヴェンナによる邪悪な統治で、それまでの豊かな自然は色褪せ、人々は互いに啀み合う様になり、王国から希望の光が消える。
数年後、美しく成長したスノーは、希望を捨てる事無く、王国の復権を牢の中で気丈に願い続ける。ある時、隣の牢に同じ年頃の娘グレタが収容される。スノーはグレタからハモンド公爵の存命を聞き、ウィリアムの身を案じる。一方、ラヴェンナは魔力の使用に伴う代償で老化が進行し、その魔力にも衰えを感じる様になると、フィンはグレタを生け贄に提供する。美女の血こそ力の源であり、自分より美しい女がいれば魔力が消えるとされる魔女のラヴェンナは、グレタから生気を吸い上げ、若さと魔力を回復すると、再び魔法の鏡にこの世で一番美しいのが誰かと尋ねる。鏡の精は、成長したスノーがラヴェンナより美しくなった為に、魔力が衰えたのだと明かすと、スノーの清らかな心にはラヴェンナを滅ぼす力がある一方で、その心臓を手にすれば永遠の若さと不滅の魔力を保てる様になると説く。ラヴェンナはフィンにスノーを連れて来る様に命じる。
スノーは幼い頃に救った鳥達の導きで、窓際に釘を見つけ、それを引き抜く。程なく、フィンが連れ出しに来ると、スノーはフィンの不意を突いて釘で切りつけ、牢から脱出し、城から外界に通じる下水溝を抜けて海に逃げ込む。海岸に流れ着いたスノーは、再び鳥達に導かれ、待ち受けていた白馬に乗って逃走する。スノーはフィンの率いる追手から逃れ、やがて沼地で馬を失うと、その先に鬱蒼と生い茂る黒い森の中に逃げ込むが、森の発するガスを吸い、悍ましい幻覚に襲われて意識を失う。
ラヴェンナは、スノーを取り逃がした上に、自らの魔力が及ばない黒い森に追いやったフィンを激しく叱責すると、森に詳しい者を探し出す様に命じる。フィンは城から程近い村に暮す、傷心で飲んだくれの狩人エリックに当たりをつけ、ラヴェンナの元へ連行する。ラヴェンナはエリックに金と引き換えに囚人の女の捜索を依頼するが、エリックはそれを拒む。ラヴェンナはエリックの亡き最愛の妻サラを魔力で蘇らせる事を約束し、エリックは応じる。
エリックはフィンとその手下達と共に黒い森に訪れる。エリックはスノーの痕跡を辿り、間もなくスノーを見つけ出すと、フィンにサラとの交換を要求するが、フィンはラヴェンナとて人を蘇らせる事はできないと明かす。エリックはフィン達を撃退すると、スノーにラヴェンナから付け狙われる理由を問い質すが、スノーは答えるのを躊躇う。エリックは厄介事への関与を拒み、スノーを置いて立ち去ろうとする。スノーは手ぶらで帰れば殺されると説くと、自分を助け、公爵の城に案内すれば、見返りに金貨100枚を支払うと提案し、エリックはそれに応じる。
一方その頃、ハモンドは、ラヴェンナに息子を殺され、城から逃げ帰ってきた男から、スノーが生きており、黒い森へ逃げ込んだ事を聞き、反乱軍を指揮するウィリアムに伝える。ウィリアムはハモンドの制止を振り切り、一人でスノーの捜索に向かう。フィンは黒い森に通じる者達を集め、部隊を編成する。ウィリアムは素性を隠して、その部隊に加わる。
エリックはスノーに短剣を授け、護身術を教える。森のはずれに差し掛かった2人は、そこでトロールと遭遇する。トロールは怪力でエリックを圧倒するが、間に入ったスノーと対峙してその素性を悟ると、姿を消す。2人は間もなく森を抜け、川に出ると、畔に集落を作って暮らす女だけの部族と遭遇し、もてなしを受ける。部族を率いるアンナは、男達が皆、戦争に出掛けており、女達は皆、ラヴェンナに生け贄にされるのを恐れ、顔に傷を付けている事を明かす。エリックはアンナからスノーが王女だと知らされ、スノーに黙っていた理由を尋ねる。スノーは信じられなかった為だと明かし、詫びる。
その夜、エリックはスノーを危険から遠ざけるべく、密かに集落を後にする。その直後、フィンの部隊が集落に到達し、焼き討ちを仕掛ける。スノーは女達の舟による逃走を支援する。ウィリアムはスノーの姿を確認するが、炎に阻まれる。集落の危機を察知したエリックは踵を返すと、フィンの部隊を撃退し、スノーを救出する。2人は女達と別れると、その場を後にする。
夜が明け、2人は緑豊かな森へ逃げ込む。エリックは立ち去ろうとした事を詫び、公爵の城に連れて行く事をスノーに約束する。そこに小人族のビース、ミューア、ゴート、ニオン、デューア、コル、クワート、ガスの8人が現れ、不意打ちを仕掛け、スノーとエリックを木に逆さ吊りにする。スノーは自らの素性と、ラヴェンナの手下に追われている事を明かし、共に戦う様に請う。盲目の賢人ミューアは、スノーが確かに姫君だと悟ると、闇の時代の終焉を確信する。そこにフィンの率いる部隊が接近すると、小人達はスノーとエリックを連れて、洞窟へ逃げ込む。
洞窟を抜けた一行は、妖精の集う森の聖域へ到達すると、キャンプをして親交を深める。小人達は、かつてマグナスが統治し、繁栄を極め、住民は幸せであり、小人の仲間達が数多くいた頃の王国を述懐すると、ラヴェンナが王座を奪って以後、地上が破壊され、仲間達は皆殺されてしまったのだと嘆く。
翌朝、スノーは妖精に導かれ、森の精霊の白鹿と出会う。ミューアは白鹿が王国を癒やす救世主を祝福しているのだと説く。そこにフィンの部隊が急襲を仕掛け、白鹿に矢を放つ。白鹿は姿を消し、エリック達はフィンの部隊に応酬する。ウィリアムはスノーと再会を果たすと、小人達に加勢しフィンの部隊を退ける。エリックは格闘の末にフィンを倒木に串刺しにして倒す。フィンは城のラヴェンナに助けを請うが、魔力の衰えが進むラヴェンナはそれを拒み、フィンは絶命する。部隊の残党によりスノー目掛けて矢が放たれ、スノーを慕うガスが身を挺して守り、ガスは命を落とす。小人達はガスを火葬し、スノーはガスの愛用していた剣を形見に受け取る。
一行は公爵の城を目指して旅を続け、やがて雪深い森で夜を迎え、キャンプをする。エリックはウィリアムのスノーへの思いを悟り、告白する様に促す。翌朝、スノーは一人起き出すと、ウィリアムに姿を変えたラヴェンナに欺かれるままに、思い出話をし、口づけを交わした後に、差し出された毒りんごを口にする。スノーは死の呪いをかけられ、苦しみ悶える。ラヴェンナはスノーの心臓に手をかけようとするが、その矢先に異変を察知したエリックとウィリアムが駆け付け、企みを阻止する。ラヴェンナはカラスの群れへと姿を変え、城へ飛び去る。ミューアはスノーが死ぬはずが無いと説き、ウィリアムは口づけをして目覚める様に請うが、スノーはそのまま死の眠りに就く。ラヴェンナは城に舞い戻るも、魔力の衰えが極限に達する。
エリック達はスノーを公爵の城に運び込み、広間に安置する。その夜、悲しみに暮れるエリックは、自分のいない間に最愛の妻サラが殺され、悲しみで自暴自棄だった事を明かすと、スノーに会ってサラを思い出したものの、2人とも結局守れなかった事への無念を嘆くと、涙ながらにスノーに口づけをする。
程なく、スノーは息を吹き返すと、城の兵士や住民達の集まる元へ赴く。スノーは、マグナスの戦旗を掲げて敵陣に攻め込むべきだとハモンドに説くと、ラヴェンナをこの手で葬り去り、支配を終わらせ、王国を取り戻す為の戦いを皆に呼びかけ、皆はそれに賛同する。一方、ラヴェンナは囚われの若い女達から生気を吸い上げ、若さと魔力を回復する。
スノーは甲冑を纏い、公爵の軍隊と共に城へ進撃を開始する。小人たちは先遣隊として、下水溝から城内に侵入すると、護衛を退け、城門の開放を企てる。スノー達は城の軍勢による火球と矢による猛撃を躱し、城門に到達する。小人達は首尾良く門の開放に成功し、スノー達は城壁を突破する。スノーは戦火を潜り抜けて城内に突入し、ラヴェンナの待ち受ける玉座の間に到達する。ラヴェンナはスノーに復讐を果たす様に仕向ける。程なく、エリックとウィリアムが兵士達を率いて駆け付ける。ラヴェンナは魔法で凶暴な悪霊を作り出し、エリック達を襲わせる。エリック達は精霊達に圧倒されて窮地に陥る。ラヴェンナは殺されていく兵士達の姿をスノーにまざまざと見せつけると、自らが王国をいくつも略奪し、多くの命を生きてきたと明かし、スノーには無い魔力も備えており、絶対に負けはしないと主張する。ラヴェンナは悲惨な世界に相応しい女王、それが自分だと説くと、剣を振りかざし、スノーの心臓を奪おうとする。スノーはかつてエリックに教わった護身術に倣って、ラヴェンナの腹を短剣で一突きにする。短剣に付着したスノーの血がラヴェンナの魔力を消し、ラヴェンナは朽ち果て、息絶える。
王国に平和が戻ると、スノーの戴冠式が行われ、スノーは王座に就く。集まった皆が女王の誕生を讃える。